より挑戦的な作風に
Title:synonym
Musician:パスピエ
昨年1月にユニバーサルミュージック内に自主レーベル「NEHAN RECORD」を立ち上げたパスピエ。2020年はコロナ禍という音楽活動に大きな制約を与えた1年ながらも、積極的な活動が目立つ1年となりました。本作にも収録された「まだら」が、彼女たち初のドラマ主題歌として起用されたのをはじめ、2月には結成10周年記念ライブ「EYE(いわい)」を開催。5月には、歌詞及び楽曲の旋律すべてが回文の形になっているという実験作「202 OTO 505」をYou Tube上で公開。さらにコロナ禍の中の企画、ロート製薬「ロートジー デジタルMVフェス」とのコラボ曲「真昼の夜」を6月にリリースするなど、コロナ禍をものともしない、ともいえるような積極的な活動が目立ちました。
本作は、そんな中でリリースされた、「NEHAN RECORD」設立後初となる、約1年7か月ぶりとなる、彼ら6枚目のニューアルバム。まず強く感じるのは、いままでの作品に比べて、楽曲のバリエーションが増して、サウンドの強度もグッとましたアルバムになっているという点でした。いままでの彼女たちもシンセのサウンドを主軸としつつ、インパクトと個性を感じる曲も目立つ半面、若干形式化されたようなJ-POP、アニソン的な路線が気にかかる部分もあり、手放しに絶賛しにくい作品が目立っているように感じていました。本作でも、「プラットホーム」のように、インパクトはありつつ、いかにもJ-POP然とした曲もありました。ただ、それ以上に彼女たちの挑戦心を感じさせる曲が多く収録されていました。
まずアルバムの冒頭を飾る、ドラマ主題歌にもなっている「まだら」が非常にユニーク。メロウなR&Bテイストの作風ながらで、メランコリックなメロディーラインがインパクトがありつつ、微妙に通常の旋律を外したような複雑なメロが印象に残る作品。さらに実験的と言えば、前述の昨年5月にリリースした「202 OTO 505」。本作では「oto」と名前を変えて収録されているのですが、ちょっとモダンジャズのテイストを擁したサウンドに不思議な雰囲気の歌詞とメロディーラインが印象的なのですが、しっかりと「ポップ」として成り立っている点はさすがといった感じでしょうか。
ほかにもシティポップな作風が印象的な「現代」や、途中でリズムが変化する複雑な構成を擁していながら、キュートなポップに仕上がっている「真昼の夜」、まるで教会音楽のような雰囲気を醸し出すシンセの音色をバックに哀愁感たっぷりのメロディーラインが印象的な「Anemone」、エキゾチックなシンセの音色で疾走感のあるサウンドを聴かせる「tika」など、サウンドの面でもメロディーラインの面でも、いままで以上にバリエーションが増し、バンドとしての成長も感じさせる内容になっていました。
バンドとしての成長は、やはり自主レーベルを立ち上げたことによることが影響しているのでしょうか?いままでのアルバムに比べてグッと面白みが増した傑作に仕上がっていたと思います。2019年に結成10周年を迎えて、そろそろ中堅バンドの域に入ってきた彼女たちですが、ここに来てのさらなる成長は驚くべき事実。今後の活躍も楽しみになってくる作品でした。
評価:★★★★★
パスピエ 過去の作品
ONOMIMONO
演出家出演
幕の内ISM
娑婆ラバ
&DNA
OTONARIさん
ネオンと虎
more humor
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