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2021年1月26日 (火)

コロナ禍の中で「愛」を歌う

Title:Inner Peace
Musician:Chara

このコロナ禍の中でライブなどミュージシャンにとって重要な活動が厳しく制限される一方、コロナ禍だからこそ生まれ得た作品も数多くリリースされています。昨年、何作もリリースされた「2020」というタイトルのアルバムもそうですし、先日紹介したばかりのamazarashiのミニアルバムもその1作でしょう。Charaがコロナ禍の中の悲しみを深く受け止め、自身の音楽へと反映させたのが今回、配信リリース(一部、アナログ盤も限定リリース)された本作です。

本作は、(ちょっと意外なことに)彼女にとって初となる洋楽カバー曲4曲とオリジナル曲2曲から成るEP盤。もともと、その舌ったらずで甘い雰囲気のボーカルが大きな特徴の彼女でしたが、本作は、その個性的かつ魅力的なボーカルをいかんなく発揮し、非常に心に染み入る楽曲を聴かせてくれます。

まず印象的なのが4曲の洋楽カバー曲。Iggy Popの「Sing a Rainbow」からスタートしますが、ゴスペル風のコーラスラインを入れつつ、ジャジーな要素を入れて優しくも力強さを持って歌い上げるボーカルがまずは印象的。2曲はセサミストリートから「Imagination」のカバーなのですが、静かなピアノをバックに耳元でささやくように歌われるCharaのボーカルに、強いやさしさを感じられ、思わず聴き入ってしまいます。

3曲目「Snow」もアコースティックギターとピアノをバックに静かに優しく歌うCharaのボーカルが印象に残る楽曲。そして、本作のハイライトとも言えるのが4曲目おなじみ「Moon River」のカバー。数多くのミュージシャンがカバーしたスタンダードナンバーですが、もともとメランコリックな楽曲を、彼女が、感情たっぷりにウィスパーまじりに歌うボーカルはまさに絶品。思わず涙腺が緩むカバーになっています。

残り2曲は今回のアルバムのオリジナル楽曲なのですが、タイトルチューン「Inner Peace」では

「私があなたのこと愛したいと思っちゃう
明日がないかもしれないって生きているからなの」
(「Inner Peace」より 作詞 Chara)

という刹那的な歌詞が目立つ本作。「明日がないかもしれない」というのは彼女が今、テーマに掲げている一節なのですが、このコロナ禍の中で胸に響くフレーズとなっています。そして最後はこのミニアルバムのテーマを締めくくるようなタイトル「とてもあいしてる」。まさに最初から最後までCharaの「愛」がつまったミニアルバムになっていました。

日本語曲2曲ももちろん名曲ですが、それ以上に洋楽カバー4曲が絶品な今回のアルバム。このコロナ禍の中でCharaが伝えたい思いが、そのボーカルを通じて伝わってくるような、そんな傑作アルバムに仕上がっていました。コロナ禍の中で、いろいろと鬱々とした状況が続いていますが、そんな中、こんな傑作がリリースされたというのは数少ない救いかも?Charaの思いが痛いほど伝わってくるアルバムでした。

評価:★★★★★

CHARA 過去の作品
honey
kiss
CAROL
Very Special
Dark Candy
うたかた
Cocoon
JEWEL
Secret Garden
Naked&Sweet
Sympathy
Baby Bump
echo(Chara+YUKI)


ほかに聴いたアルバム

アナザー・ストーリー/スカート

ミュージシャン澤部渡によるソロプロジェクト、スカートのニューアルバムはカクバリズム所属以前のインディー時代の楽曲を再録音した企画盤。カクバリズム移籍後、急速に注目を集めた彼ですが、音源としては2010年からリリースを続けており、なにげに中堅ミュージシャンとしてのキャリアを持っています。基本的にインディー時代の楽曲から、比較的シンプルながらも心にしみるようなメロディーラインという彼の特徴をしっかりと確立しています。ただ、インパクトがちょっと薄めで、粗削りな部分も感じさせる点が、まだ成長途上だったといった感じも。とはいえ、スカートの魅力をしっかりと感じさせるアルバムでした。

スカート 過去の作品
CALL
20/20
トワイライト

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