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2021年1月 4日 (月)

アジテーショナルな歌詞を叫ぶ、注目のミクスチャーロックバンド

Title:WRONG GENERATION
Musician:FEVER 333

2019年にリリースしたデビューアルバム「Strength in Numb333rs」が話題となったアメリカの3人組ロックバンドFEVER 333。政治的にアジテーショナルな歌詞にハードコアやメタルの要素を多分に含んだサウンドをバックにラップを聴かせるスタイルは、RAGE AGAINST THE MACHINEの後継者的な位置づけを強く感じさせるバンドということで、ロックリスナーに注目を集めました。そんなデビューアルバムから約1年9ヶ月、新たにリリースされたのが全8曲入りのミニアルバムでもある本作。今回は、今年、世界を席巻したBlack Lives Matter運動のきっかけとなった、ジョージ・フロイド氏への傷害致死事件を受けて制作された作品だそうで、前作に引き続き、非常にアジテーショナルな内容になっています。

基本的に、バンドが奏でるヘヴィーでメタリックなサウンドに、ボーカルのJason Aalon Butlerの狂ったように叫びまくるラップがのりまくるスタイルで、聴いていてRAGE AGAINST THE MACHINEを彷彿とさせる方も多いのではないでしょうか。タイトル曲の「WRONG GENERATION」などはまさに典型例で、スクラッチ音を取り入れてヘヴィーなバンドサウンドで押しまくるイントロは、まさにRATMからのストレートな影響を感じさせます。

政治的にアジテーショナルな歌詞といえば、「U WANTED A FIGHT」なんかは典型例で

「Anti racist
These black faces
We all screaming "FTP"
A power to the people
Take a knee while chanting
"I can't breathe"」
(「U WANTED A FIGHT」より Written By Travis Barker, Keith Varon, John Feldmann & Jason Aalon Butler)

などと、BLMを彷彿とさせる単語が並びます(FTP=ファック・ザ・ポリスの略語、"I can't breathe"はジョージ・フロイド氏が最期に発した言葉ということで、BLMの象徴的なフレーズです)。

基本的に政治的スタンスといい音楽性といい、RATMそのまんま・・・という見方も出来ない訳ではないのですが、やはりハードコアなミクスチャーロックのサウンドとシャウトというスタイルは、聴いていて文句なしにカッコよさを感じさせ、ロック好きとしては惹かれざるを得ません。また、RATMよりも、音楽的にはより多彩な音楽性を取り入れており、バリエーションを感じさせるのも特徴的でした。

今回のアルバムで言うと典型的なのは後半で、「FOR THE RECORD」は疾走感あるギターロックのハードコアパンクで、明確にRATMとは異なる方向性ですし、さらに「LAST TIME」はピアノでメランコリックに聴かせるバラードナンバーになっていますし、ラストを締めくくる「SUPREMACY」はメランコリックな女性ボーカルが入り、R&B的な要素を感じさせる楽曲に。

また、前半でも「BLOCK IS ON FIRE」はメランコリックなシンセの音色が入ってくるあたりは、RATMとはちょっと異なる感触がありますし、「WRONG GENERATION」でも、リズムにトラップ風のサウンドが入っていて、これはRATMとは異なる…というよりは今時の要素を感じさせます。

逆にRATMにおけるトム・モレロのようなガツンとくるギターリフなどはなく、その点はRATMと比べてしまうと薄味に感じる部分もあるかもしれません。まあ、もっとも、これでギターリフを入れてきたら、まんまRATMになってしまうのですが・・・。正直言って、楽曲的には「革命的!」といった感じではありませんし、目新しさもあまりありません。ただ、ロックミュージックとして文句なしにカッコよさを感じさせるアルバムであり、ロックリスナーなら間違いなく、聴いていてワクワクするような、そんなアルバムではないでしょうか。今度、さらに注目度が高まりそうな、そんなカッコいいロックアルバムでした。

評価:★★★★★

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