謎の覆面バンドの17年ぶりとなる新作
2021年最初の更新となりますが、例のごとく、1番として本作を取り上げたのは偶然で、特に意味はありません・・・。
Title:Money Money 2020 PartII:We Told Ya So!
Musician:The Network
ついに待望の復活作!2003年にアルバム「Money Money 2020」でデビューを果たした「謎の覆面バンド」The Networkが帰還!タイトル通りの2020年の年に、約17年ぶりとなるニューアルバムをリリースしました・・・と言っても声を聴けばバレバレなのですが、The Networkはご存じ人気パンクバンドGREENDAYのサイドプロジェクト。やはりデビュー作のタイトルが「2020」だった影響でしょうか、その2020年にまさかのニューアルバムをリリースしました。
以前、先行販売されたEPを当サイトでも一度紹介していますが、そのEP盤の曲も収録された本作。まず全体的な特徴としては80年代のニューウェーヴからの影響を感じさせる作風という点。その先行EP盤のタイトルチューンだった「Trans Am」もそうですが、「Flat Earth」なども疾走感あるエレクトロポップに仕上がっており、まさにニューウェーヴ風。「Respirator」もコミカルさを感じるシンセのサウンドも特徴的なエレクトロポップになっていますし、「The Stranger」も軽快でポップなエレクトロチューンに仕上がっています。
またGREENDAYとは異なる、という意味ではメンバー3人が均等にボーカルを取っているという点も相違点でしょうか。GREENDAYでは基本的にビリー・ジョーがボーカルを取っていますが、本作ではビリー・ジョーことFinkのボーカル曲は25曲中10曲と過半以下。ほかは他のGREENDAYのメンバーがボーカルを取っています。正直なところ、ビリー・ジョーのボーカルではGREENDAYとバレバレですし、何気にVan Gough(=マイク)とThe Snoo(=トレ)のボーカルも、それはそれでちょうどよいインパクトになっていました。
GREENDAYとは異なる軽快なニューウェーヴのエレクトロポップ路線が、GREENDAYとは異なる味わいを見せており、聴いていて素直に楽しくなってくる魅力的なポップソングを聴かせてくれています。また、ポップでインパクトのあるメロディーラインは、まさにGREENDAYと同様。GREENDAYが好きなら、間違いなく気に入るアルバムになっていました。
しかし、そんな「謎の覆面バンド」というスタンスを取りながら、曲によっては、「これ、GREENDAYだよね・・・」とバレバレな曲も少なくありません。典型的なのが「Cancer Is The New Black」で、パンキッシュなギターロック路線。軽快なギターリフが主導するサウンドに、ボーカルもFink=ビリー・ジョーという楽曲で、これ、何も言わずに聴かせたら、10人中10人、GREENDAYの曲と言いそうな曲になっています。
ただ、そんなGREENDAYらしさを前面に出しながらもThe Networkとしての特色を出して、両者が上手い具合に融合した曲もあり、それが「Carolina's Ultimate Netflix Tweet」でしょう。こちらもFink=ビリー・ジョーボーカル曲で、パンキッシュな作風はまさにGREENDAYなのですが、打ち込みのサウンドでリズミカルに聴かせる曲調はニューウェーヴの特徴も多く感じられ、いわばGREENDAYとThe Networkの言い所取り・・・といった作品になっています。
GREENDAYの覆面バンドとしてGREENDAYとは異なる方向性を取りつつも、一方ではGREENDAYらしさもしっかり感じられてしまうそんなアルバム。ただ、それだけに疾走感あるサウンドとポップなメロがとても心地よく、覆面バンドとして演奏している本人たちも楽しそうですし、聴いていてこちらも楽しくなってくる、そんなアルバムに仕上がっていました。GREENDAYのアルバムに比べると、取扱いがあまりよくないようですが、GREENDAYが好きならこちらも要チェック!GREENDAYとは異なる楽しさのある傑作でした。
評価:★★★★★
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