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2020年12月25日 (金)

Gotchの才が発揮されたソロ3枚目

Title:Lives By The Sea
Musician:Gotch

ASIAN KANG-FU GENERATIONのギターボーカルであり、メインライターである後藤正文が、Gotch名義でリリースしたソロアルバム。ソロアルバムとしては約4年半ぶりとなる3枚目のアルバムとなります。ただ、3作目となるのですが、何気に私が彼のソロアルバムを聴くのは今回がはじめて。なんとなく、アジカンのパワーポップ路線とは異なる、「音楽的偏差値」の高いアルバムになっているのかなぁ、という漠然の予想があったのですが、まさに彼のソロアルバムは、そんな私の予想がドンピシャでマッチするようなアルバムになっていました。

まず全体的な影響を強く感じるのがHIP HOP。1曲目「The End Of The Day」はラッパーの唾奇がフューチャーされているのですが、Gotchのボーカルもどこかラップ的。「The Age」もラップが取り入れられていますし、トラックもどこかHIP HOP的。Achicoとmabnuaが参加した「Stay Inside」も、楽曲自体はメロウなGotchの歌が乗ったポップなのですが、シンプルながらもビート感の強いトラックにはHIP HOPの影響を感じさせます。

また、ソウルの要素を感じる楽曲も多く、ここらへんもアジカンの方向性とは異なるGotchの趣味性を感じさせます。「Nothing But Love」などもまさにそんなエレピを使ったメロウでフィーリーなトラックが印象的。コーラスからはゴスペルの要素も感じます。「White Boxes」もメロウなエレピでしんみり聴かせるソウルバラードに仕上がっています。

ほかにもギターサウンドでファンキーなリズムを刻む、爽快な「Eddie」も彼の幅広い音楽性を感じさせますし、また「Endless Summer」は、アジカンにも通じるような爽快なギターポップになっており、ここらへんはGotchのロックに対する愛情もしっかりと感じることが出来ます。

さらには、アジカンの曲でも覗かさせていた、彼の社会派な側面を感じさせる曲もあり、それが、「The Age」。

「『ポリティクスには興味はねえ』って
いい歳こいて そんなことまだ言ってんの?」
(「The Age」より 作詞 Masafumi Gotoh・BASI)

というのは、彼なりのかなり強烈な社会に対するメッセージに感じさせます。

そんな彼の音楽に対する素養や「音楽的偏差値の高さ」を感じさせつつ、また社会に対するメッセージを織り込ませつつ、ただ、一方ではアルバム全体としてはポップでメロディアスなアルバムになっており、アジカンでも感じる彼のメロディーメイカーとしての才をしっかりと感じさせるアルバムになっています。アルバムの最後を飾るタイトルチューン「Lives By The Sea」も温かさを感じる曲調と前向きなメッセージが魅力的な楽曲となっており、アルバムを聴き終わった後に、とても気持ち良い気分の後味を感じさせる構成になっていました。

アジカンの曲調とは少々異なるため、アジカンファン全員が即、気にいるアルバム・・・ではないかもしれませんが、おそらく何度か聴けば間違いなく好きになれる魅力的なアルバムだと思います。逆に、普段アジカンのようなロックを聴かないようなリスナー層も楽しめるアルバムかも。Gotchの才がしっかりと発揮された、ある意味、ソロアルバムらしいソロアルバムでした。

評価:★★★★★

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