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2020年12月 7日 (月)

キュートなボーカルが魅力的

Title:THE ANGEL YOU DON'T KNOW
Musician:Amaarae

本作がデビュー作となる、両親がガーナ人でアメリカ出身の女性シンガーソングライターAmaaraeのニューアルバム。日本ではまだほぼ無名といって言いミュージシャンで、まだ海外でも評判の・・・とまでは言っていないようですが、本作はPitchforkで高い評価を受け、徐々に注目度も高まっているようです。

アルバムは、いきなりパンキッシュなサウンドからスタート。え?ロック系??と思いきや、楽曲的にパンキッシュなのはこのわずか21秒のイントロ的な楽曲「D*A*N*G*E*R*O*U*S」のみ。それに続く「FANCY」はミディアム系のポップス。HIP HOP的なトラックが流れる中、ウィスパー気味のボーカルでかわいらしく聴かせるポップチューンとなっています。

その後の楽曲も、比較的ハイトーンのウィスパー気味のボーカルでかわいらしく聴かせる、HIP HOPの要素も取り入れたメロウなR&B寄りのポップチューンが並びます。「TRUST FUND BABY」などもそんな彼女のボーカリストとしての魅力を感じるかわいらしいポップチューン。それに続く「HELLZ ANGEL」も(刺激的なタイトルはともかく)HIP HOP系の楽曲なのですが、非常にキュートな歌声を聴かせてくれます。さらに「CELINE」もハイトーンのクリアボイスでキュートに聴かせるナンバー。ちょっと感じるエキゾチックな雰囲気も大きな魅力となっています。

そして終盤はメランコリックな楽曲が並び、そのキュートは歌声はそのままに、しんみりと聴かせてくれます。「SAD,U BROKE MY HEART」もタイトルからしてそのままなのですが、哀しげな楽曲。メロウな歌声でしんみり聴かせる「3AM」に、リズミカルな楽曲ながらも、悲しげなメロディーが印象的な「SAD GIRLZ LUV MONKEY」と続きます。ウィスパー気味のボーカルも相まって、胸がキュンと来てしまうそうなポップチューンが続きます。

ラストもメロウに聴かせる「PARTY SAD FACE/CRAZY WURLD」で締めくくり。こちらはメロウな歌声に色っぽさも感じるなど、ボーカリストとしての表現の幅も感じます。そしてラストは再びパンキッシュなサウンドがいきなり登場して締めくくり。アルバムの構成的にはスタートにそのままつながる感じになるのでしょうか。こういったアルバムの構成もまた非常に面白さを感じさせる作品になっていました。

ガーナ系アメリカ人ということでアフリカ的な要素も探してしまうのですが、正直言うと、アフリカ的な要素はこのアルバムではさほど感じません。数曲、トライバルなリズムを取り入れた楽曲がある程度でしょうか。ただ、トライバルなリズムも、アメリカのブラック系のミュージシャンがよく取り入れる要素であり、彼女特有といった感じではありません。そういう意味では、アフリカ音楽の要素を期待すると、若干方向性は違うのかもしれません。

もっとも、キュートなボーカルが非常に魅力的なポップシンガーで、広いリスナー層に波及していきそうなポピュラリティーを持ったミュージシャンであることは間違いなさそう。これから徐々に知名度も高くなり、日本でも注目が集まりそうな予感がします。これからが楽しみなミュージシャンです。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

POWER UP/AC/DC

オーストラリアのハードロックバンドAC/DCの約6年ぶりとなるニューアルバム。バンドメンバーのマルコム・ヤング逝去後初となるアルバムなのですが、軽快なギターリフを中心としたハードロック路線は相変わらず。ある意味、「大いなるマンネリ」ともいえるサウンドなのですが、「POWER UP」というタイトル通り、バンドサウンドにはいまなおある種の「若々しさ」すら感じる部分も。ただ、ブライアン・ジョンソンのボーカルは、さすがに寄る年波に勝てず、いまひとつ伸びがない感じも・・・。現役感があって十分楽しめるアルバムですが、いろいろと寄る年波も感じてしまう部分も否定できないアルバムでした。

評価:★★★★

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