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2020年12月 8日 (火)

「2020年」を反映した2021年ブルースカレンダー

Title:2021-Classic Blues Artwork from the 1920s Calendar

Bluescalender2021

今年も出ました!毎年恒例となっていますブルースカレンダーの2021年版。このカレンダーを購入しはじめてもはや8年目。私の部屋の壁にはすっかりなじんでおり、もはやこれがないととしを越せない気分なのですが・・・(笑)。今年も無事、購入。年越しの準備も万全です。本作について説明あせていただくと、アメリカのブルース・イメージズ社が毎年発行しているカレンダー。毎月、戦前ブルースの広告イラストや戦前のブルースミュージシャンの貴重な写真を掲載したカレンダーとなっているのですが、毎年CDが付属。こちらは毎年、戦前ブルースの楽曲を収録しているほか、貴重な発掘音源も収録しており、貴重な戦前ブルースのオムニバスアルバムとなっています。

まず今年のカレンダーで印象的なのはこの「表紙」。こちらはBLIND LEMON JEFFERSONの「Pneumonia Blues」の広告イラストなのですが、「Pneumonia」とは「肺炎」のこと。1929年に録音したナンバーということで、いまから90年以上前の楽曲なのですが、本作を収録し、さらにカレンダーの表紙に起用したのは、言わずと知れた、いまなお世界中で猛威を振るう新型コロナウイルスを意識したからでしょう。2020年は、結果として新型コロナで終始する1年となっていまいましたが、今回のカレンダーはそんな2020年を反映したセレクトとなっています。

もちろんこの曲は本作にも収録されているのですが、アコースティックギターを爪弾きながら聴かせるBLIND LEMON JEFFERSONの力強いボーカルが印象に残る楽曲。こうやってオムニバスアルバムでいろいろな楽曲を並べて聴くと、余計、彼のボーカリストとしてのパワフルさとその力量を感じさせます。今回のアルバムの中でも印象に残る作品でした。

また、力強いボーカルということで今回のアルバムの中でも印象に残ったのが、REV D.C.RICE AND CONGREGATIONの「The Angles Rolled The Stone Away」。毎年、12月に相当する12曲目の楽曲には、ブルースというよりも説教師による説教のトラックが収録されることが多いのですが、とにかく血管が切れそうなほどの迫力で説教を繰り広げる内容が印象的。まあ、一歩間違えれば、昨今の新興宗教の宗教家みたいな・・・みたいにとらえられそうになるのですが、ただ、リズムを刻みながら、ソウルフルに繰り広げるそのボーカルは実に魅力的。教義の内容については英語なので聴き取れないのですが、それでもそのパワフルな説教に思わず耳を傾けてしまいます。

そして、今回のブルースカレンダーで最大の特徴は、13曲目以降に収録される未発表音源。今回はLOST JOHN HUNTERというブルースシンガーの未発表音源が13曲目以降23曲目まで全11曲収録されています。LOST JOHN HUNTER・・・・・・といっても、もちろん私も初耳のミュージシャンな訳ですが、1911年にテネシー州で生まれたとされる盲目のピアニストでありシンガーでもある彼。1950年頃に録音された音源4曲が、4スター・レコードから発売されたのみという知る人ぞ知る的なミュージシャンなのですが、そんな彼の未発表音源が一気に11曲、日の目を見ることになりました。

そんな彼の音源なのですが、まずはそのボーカルが耳をひきます。だみ声のボーカルがゆえに、非常に耳に残るボーカルが印象的。しかし、そんなインパクトあるボーカルとは裏腹に、楽曲自体はピアノを取り入れて軽快にポップにまとまっているのが特徴的で、例えば「Boogie For Me Baby」などはブギウギ調のピアノで軽快に聴かせるナンバー。「Mind Your Own Business」も軽快にポップに聴かせる楽曲となっています。かと思えば「You Gotta Heart Of Stone」はピアノをバックにしんみり聴かせる楽曲になっており、意外な繊細さも見せてくれたり・・・そんな荒々しいだみ声のボーカルとは裏腹な、軽快なピアノや意外に繊細さを見せる歌などのアンバランスさが逆に魅力的。ひょっとしたら、このアンバランスさ故に、「幻のミュージシャン」的な立場になってしまったのかもしれませんが、今となっては、それが彼の大きな魅力になっているようにも感じました。

全体的に1月から12月分に相当する1~12曲目よりも、13曲目以降の「未発表曲」が魅力的だった本作。戦前ブルースファンなら今回もたまらない選曲になっていたかと思います。あなたの部屋にも来年、このカレンダーを飾ってみてはいかがですか?お勧めです。

評価:★★★★★

2013-Classic Blues Artwork from the 1920s Calendar
2014-Classic Blues Artwork from the 1920s Calendar
2015-Classic Blues Artwork from the 1920s Calendar
2016-Classic Blues Artwork from the 1920s Calendar
2017-Classic Blues Artwork from the 1920s Calendar
2018-Classic Blues Artwork from the 1920s Calendar
2019-Classic Blues Artwork from the 1920s Calendar
2020-Classic Blues Artwork from the 1920s Calendar

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