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2020年12月12日 (土)

新型コロナに翻弄された1年を総括

Title:2020
Musician:打首獄門同好会

今年1年のアルバムの傾向として非常に特徴的だったのが「2020」というタイトルのアルバムが多くリリースされたという点があります。eastern youtha flood of circle、現時点では未聴ですが、THA BLUE HERBも同タイトルのミニアルバムをリリースしていますし、海の向こうではBON JOVIの最新アルバムも「2020」というタイトルになっています。アルバムがリリースされた年をアルバムタイトルにするというのは、珍しい話ではないのですが、これだけの数がリリースされているのは異例中の異例。20という数字が2つ並んでいるという響きの良さももちろんアルバムでしょうが、何よりも今年2020年という1年が、おそらく後の歴史でも語り継がれそうな、異常な状況とも言える1年だったから、というのが大きな理由でしょう。

今年起きた大きな出来事、それは言わずもがな世界中を席巻した新型コロナウイルスに覆いつくされた1年だったという点。「2020」というアルバムは、いずれも異常事態となった今年1年を総括したようなアルバムになっています。そしてそんな中リリースされた打首獄門同好会のニューアルバム。彼ららしいといえば彼ららしいのですが、どのアルバムよりもストレートに2020年という1年を総括したアルバムになっています。

ジャケット写真からして、そのものズバリ、新型コロナウイルスが登場してくるのですが、1曲目のタイトルはそのものズバリ「新型コロナウイルスが憎い」。内容からしてそのままストレートに新型コロナウイルスへの恨みを綴った内容なのですが、非常に潔い内容ですし、新型コロナに対して誰もが言いたいメッセージをストレートに述べているあたり、非常に共感度の高い歌詞になっています。さらにこの曲と対になっているのがラストを飾る「明日の計画」。

「ガマンした分 めっちゃ美味しいものを食べたい
しんどかった分 めっちゃ楽しいことしたい
つらかった分 めっちゃ笑える日にしたい
つらかった分 めっちゃ幸せに過ごしたい」
(「明日の計画」より 作詞 大澤淳史)

とコロナ終息後を語るこの歌詞は、この窮屈な日々の中で非常に共感を覚えますし、胸が熱くなる思いもします。1日も早くコロナが終息し、以前と同じような日常を送れるように、そして満員のライブハウスで何の憂いなく音楽が楽しめる日々が戻るように、強く祈念します。

さて、そんな「2020」を総括した今回のアルバムですが、この2曲以外は(というかこの2曲もなのですが)彼ららしい曲が並んでいます。筋肉賛歌の「筋肉マイフレンド」、日本のアニメ賛歌の「サクガサク」、甘いものを無性に食べたくなる心境をつづった「ああ無性」、タイトル通りの「牛乳推奨月間」「足の筋肉の衰えヤバイ」「ニンニクは正義」と、ふとした日常の素朴な出来事を歌詞にしつつ、バックにはメタルばりのヘヴィーロックを聴かせるというスタイルの曲が並びます。

アルバム全体として良くも悪くも若干「大いなるマンネリ」気味な打首獄門同好会らしいアルバムなのですが、新型コロナに対する思いをズバッと歌にしたことについては、大きな拍手を送りたい、そんなアルバムだったと思います。繰り返しになりますが、1日も早く、新型コロナが終息し、以前の暮らしに戻れますように。心から願っています。

評価:★★★★

打首獄門同好会 過去の作品
そろそろ中堅
獄至十五

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