日本が世界に誇るゲームのコンピレーション
Title:JOIN THE PAC - PAC-MAN 40th ANNIVERSARY ALBUM -
日本発のゲームの中で、日本以上に世界で圧倒的な人気を誇るゲーム「パックマン」。その生誕40周年を記念して「パックマン」とのコラボレーションアルバムがリリースされました。「パックマン」で使用されているゲームサウンドを、様々なミュージシャンがサンプリングしたり、アレンジしたりして、個性的な楽曲に仕上げている本作。「パックマン」へのトリビュートアルバムといった感の強い本作なのですが、なによりもその参加メンバーが豪華。KEN ISHIIにテイ・トウワ、スチャダラパー、Buffalo Daughterなど豪華なミュージシャンがズラリと並んでおり、「パックマン」に思い入れがなくても、音楽ファンなら断然興味が沸くようなメンバーによるアルバムになっています。
そして、それぞれの楽曲が、非常にクオリティーが高く思わず聴き入ってしまう曲が続いていました。まず冒頭を飾るKEN ISHIIによる公式テーマ曲「 JOIN THE PAC (Original Mix - Official Theme Song for PAC-MAN 40th Anniversary)」が素晴らしい。おそらくある一定の世代にとっては聴きなじみのある「パックマン」のゲーム音楽を上手くサンプリングしてテクノにまとめ上げているこの曲は、リズミカルなトラックに聴いていて楽しくなってくる楽曲。続くパソコン音楽クラブの「EAT&RUN」も秀逸。こちらもなじみの音をそのまま使用して軽快なエレクトロポップに仕上げています。
ホーンセッションを入れてジャジーな雰囲気を出した中塚武の「Ladies and PAC-MAN」もクールな仕上がりになっていますし、中国のテクノミュージシャン静電場朔も加わったグループDiANによる「饕餮 TAOTIE feat. 小老虎 (J-Fever)」「PAC-MAN Fever」も中国語が入ったりして、ちょっとエキゾチックな雰囲気が耳を惹きます。テイトウワによる「PAC IS BACK!」も彼らしい、コミカルさもあるエレクトロポップに仕上がっていますし、「ワープトンネル」も「パックマン」のゲーム音楽をバックにラップする、いつものスチャダラ節の楽曲になっています。
そんな中でも個人的にベストトラックにあげたいのがBuffalo Daughterの「Dots In The Maze」。「パックマン」のゲーム音楽をサンプリングしつつ、そこにベーストラックやリズムトラックを加えて、ただ、全体的には音を絞ることにより、空間を聴かせるようなエッジの効いた音作りが特徴的で、Buffalo Daughterらしい1つ1つの音が際立ち、個性的に仕上がっている名曲になっていました。
さらに「PAC-MAN (Original Full Version)」を演奏するPower-Pillは、かのAphex Twinの別名義!正直なところ、さほどAphex Twinらしさがあるような曲ではないのですが、リバーブを聴かせるリズムトラックが耳を惹くスペーシーさを感じるアレンジとなっており、独特な個性を感じることが出来ます。
ちなみにリマスタリングは砂原良徳が担当という、これまた非常に豪華な人選。「パックマン」に興味がなくても、この人選だけで興味惹かれる人がいたら間違いなく要チェックのアルバムですし、とにかくテクノ、エレクトロ好きなら間違いなくチェックしておきたいアルバム。ちなみにDISC2はアーケード版の「PAC-MAN」「SUPER PAC-MAN」「PAC&PAL」「PACMANIA」のオリジナル音源が82曲収録されているアルバムに。こちらは「パックマン」好きにはたまらない内容と言えるかもしれません。少なくとも、これを聴くうちに「パックマン」をやりたくなってきた・・・という方は、Googleで「パックマン」でググると、無料でブラウザゲームが出来るようですので、よろしければ(笑)。聴き応えあるコンピレーションアルバムでした。
評価:★★★★★
ほかに聴いたアルバム
ROMANCE/宮本浩次
エレファントカシマシのボーカリスト、宮本浩次のソロアルバム第2弾は、なんとカバーアルバム。それも昭和歌謡曲の、女性ボーカル曲をメインにカバーした作品になっています。あの非常に癖の強い宮本浩次のボーカルで、歌謡曲を上手く歌いこなせるのか・・・そんな懸念を抱きつつアルバムを聴いたのですが、これが意外と歌としてはストレートな歌い方をしており、歌謡曲にも難なくマッチしていました。楽曲自体の良さもあって、評判は上々のようですが・・・ただ、個人的にはどうも違和感がぬぐえないカバーになっていました。確かに、上手く歌いこなせているのですが、ボーカルが楽曲に対して少々浮いてしまっている感も否めず、歌の上手い人のカラオケを聴かされているような感覚が最後まで抜けませんでした。チャート1位を獲得して、なんか第2弾第3弾もありそうな感もあるのですが、変な「カバーミュージシャン」にならないでほしいなぁ。次はエレカシとしての新作を!
評価:★★★
宮本浩次 過去の作品
宮本、独歩
| 固定リンク
「アルバムレビュー(邦楽)2020年」カテゴリの記事
- 円熟味の増した傑作アルバム(2020.12.28)
- 自由度の高い音楽性(2020.12.27)
- いつもの彼女とは異なるサウンド(2020.12.26)
- Gotchの才が発揮されたソロ3枚目(2020.12.25)
- 今の時代を描いたミニアルバム(2020.12.22)
コメント