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2020年12月

2020年12月31日 (木)

2020年ベストアルバム(暫定版)

新型コロナに全世界が覆われた2020年。音楽業界も大きな影響を受けました。コロナ禍だからこそ生まれた作品も少なくありません。ただ、そんな中でも確実に傑作アルバムは世にリリースされ続けてきました。そんな訳で毎年恒例の私的ベストアルバム暫定版。例のごとく、まだ聴いていないアルバムもなるので、正式版は2月はじめに発表予定です。

邦楽篇

まず上半期のベスト5です。

1位 Passport&Garcon/Moment Joon
2位 ボイコット/amazarashi
3位 操/岡村靖幸
4位 Devil/ビッケブランカ
5位 oar/角銅真実

これに続く下期のベスト盤候補は・・・

STRAY SHEEP/米津玄師
民謡クンビエロ(フロム・トーキョー・トゥ・ボドタ)/民謡クルセイダーズ&フレンテ・クンビエロ
THE THIRD SUMMER OF LOVE/ラブリーサマーちゃん
ROVO/ROVO
You need the Tank-top/ヤバイTシャツ屋さん
23歳/KAN

下半期のベスト盤候補をピックアップしたのですが・・・・・・うーん、思った以上に少ない。コロナ禍が影響しているのかどうかはわかりません。年末近辺にリリースされたアルバムは未聴なので、まだ傑作アルバムを聴き切れずに残っている可能性も高いのですが・・・ちょっと今年の邦楽シーンは不作気味だったかも。

洋楽篇

上半期のベスト5です。

1位 Melee/Dogleg
2位 The Slow Rush/Tame Impala
3位 RINGO DEATHSTARR/Ringo Deathstarr
4位 Hotspot/PET SHOP BOYS
5位 Set My Heart On Fire Immediately/Perfume Genius

これに続く下期のベスト盤候補は・・・

Rough And Rowdy Ways/Bob Dylan
Punisher/Phoebe Bridgers
MORDECHAI/Khruangbin
folklore/Taylor Swift
A Hero's Death/Fontatines D.C.
Songs For The General Public/The Lemon Twigs
Mama,You Can Bet!/JYOTI
Shore/Fleet Foxes
ULTRA MONO/IDLES
Fake It Flowers/beabadoobee
Song Machine:Season One-Strange Timez/Gorillaz
LIVE/Angle Bat Dawid

逆に洋楽は傑作アルバムがかなり豊富だったようにも思います。特に、上期1位だったDoglegもそうなのですが、ここに来て、ロック勢の活躍が目立つようになっていたようにも思います。こちらも、まだ今年の傑作アルバムと評価されつつ聴いていないアルバムも少なくないので、ベスト10を選ぶのにかなり迷いそうな予感も。

それでは、みなさん、よいお年を!

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2020年12月30日 (水)

2020年ライブまとめ

今年もあと2日。恒例のライブまとめです・・・といっても、今年はご存じの通り、コロナ禍によりライブが軒並み中止になってしまいました。非常事態宣言解除後は徐々に人を入れたライブも戻ってきたのですが、ここに来ての第3波到来で、再びライブが中止となるケースが増えてきています。私は、というと、実はついに今年、普通の「ライブ」には1度も行けずじまいでした。そんな訳で今回紹介するのはすべてオンライン開催でのライブとなります。

5/15(金) 森、道、市場をお茶の間で(お茶の間(オンライン))
5/29(金) 弾き語りツアー風"柴田聡子のインターネットひとりぼっち'20"(京都風(オンライン))
6/6(土) THA BLUE HERB「CAN YOU SEE THE FUTURE?」(札幌すすきの(オンライン))
6/6(土) カクバリズムの家祭り(オンライン)
6/8(月) インターネットのクレイジーケンバンド(オンライン)
6/11(木) 弾き語りツアー風"柴田聡子のインターネットひとりぼっち'20"(大阪風(オンライン))
6/25(木) サザンオールスターズ特別ライブ2020「Keep Smilin'~皆さま、ありがとうございます!!」(横浜アリーナ(オンライン))
7/11(土) THE BAWDIES「DON'T STOP ROLLIN'」(新宿red cloth(オンライン))
7/26(日) ドキッ!丸ごとベッド・イン ナマ配信おギグVol.1(オンライン)
7/29(水) ヤバイTシャツ屋さん 無観客ワンマンライブ「無料だから許して!低画質!低音質!5曲だけライブ!!」(オンライン)
8/31(月) Cocco 生配信ライブ2020 みなみのしまのはなのいろ(オンライン)
9/20(日) 京都音楽博覧会2020(京都拾得(オンライン))
10/18(日) LIVE MAGIC! 2020 ONLINE(オンライン)
11/7(土) B'z SHOWCASE 2020 -5 ERAS 8820-Day2(Zepp Haneda(オンライン))
12/31(木) サザンオールスターズ ほぼほぼ年越しライブ2020「Keep Smilin'~皆さん、お疲れ様でした!! 嵐を呼ぶマンピー!!~」(横浜アリーナ(オンライン))

すいません、率直に言わせてください。オンラインライブ、つまらん(苦笑)。最初のうちは、ミュージシャンと同じ時間を過ごしつつ、事実上、ライブを最前列で見た感じが味わえる!ということでワクワクしていた部分もあります。ただ、やはりダメです。ライブは、やはりミュージシャンと客席のファンがみんなで作り出す独特の空気感が魅力で、無観客のライブ映像を見ていても、正直、テレビの音楽番組を見ているのとそう変わりません。5月から7月まではかなりのペースでオンラインライブを見ていながら、8月以降、急激に見ている本数が少なくなったのはそういう理由。あと、5月、6月あたりは1,000円程度だったオンラインライブのチケット代が、なぜか8月あたりから高騰しはじめたんですよね・・・普通の「テレビの音楽番組」に3,000円くらい出したいとは、ある程度好きなミュージシャンのライブ以外は思えなくなりました・・・。コロナ禍で、まだなかなかライブに足を運べない中、おそらく、来年もオンラインライブは見続けるのでしょうが・・・早く、何の憂いもなくライブに行きたい!!!

そんな中でのベスト3です。

3位 ヤバイTシャツ屋さん@無観客ワンマンライブ「無料だから許して!低画質!低音質!5曲だけライブ!!」

タイトル通りの無料ライブ。「低画質、低音質」と唄うように、当日は、おそらく民生用のカメラ1台だけ使用した、非常に安上がりのステージ・・・なのですが、低画質だからこそ、逆に、「その時間をミュージシャンと共有している」というリアリティーが出て、「ライブに参加している」という気分を味わうことが出来ました。高い機材をつかって、凝った映像を流して、それなりのチケット代をもらうよりも、こういうスタイルの方がオンラインに向いているのでは??

2位 B'z@B'z SHOWCASE 2020-5 ERAS 8820-Day2

今回、5週連続でオンラインライブを開催。彼らの活動期を5つに区切って、それぞれの期間の曲を演奏するというオンラインライブならではの試み。私が見たのはそのうちの2日目のライブでした。他の日を見なかったのは、いろいろと事情があって見れなかっただけなのですが・・・。以前見たB'zのライブも非常に楽しかったのですが、この日のライブもオンラインながらも非常に見せ方が上手いパフォーマンスで、エンターテイナーとしての本領が発揮されたステージに。オンラインという環境の中でしたが、素直に非常に楽しいパフォーマンスでした。

1位 THA BLUE HERB@「CAN YOU SEE THE FUTURE?」

非常事態宣言明け直後に行われたオンラインライブ。今回、数多くオンラインライブを見てきましたが、その中でもコロナの中でのメッセージ性が最も強く、強い印象に残ったのがこの日のライブでした。楽曲も、コロナの中でのエールを送るようなメッセージ性の強い曲が多く、MCでも、コロナの中で苦しんでいる人たちへのメッセージを込めたもの。彼ららしいといえば彼ららしいのですが、コロナの中だからこそ生まれた、非常にインパクトの強いステージでした。

まだ、この状況は続きそうなだけに、来年になって通常のライブに足を運べるのか、まだ不透明なのですが・・・1日も早くこの状態が終わり、かつての日常に戻れますように!

(追記:2021/1/12)

12月31日のサザンオールスターズライブについて追記しました。

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2020年12月29日 (火)

伝説のロックバンドの初のベスト盤

Title:The White Stripes Greatest Hits
Musician:The White Stripes

ロックンロールリバイバルの代表的なバンドとして2001年頃から話題となり、2003年にリリースされたアルバム「Elephant」が大ヒット。一躍人気バンドの仲間入りを果たしたジャック・ホワイトとメグ・ホワイトの「姉妹」バンド、The White Stripes。その後も2005年に「Get Behind Me Satan」、2007年に「Icky Thump」とアルバムをリリース。いずれも大ヒットを記録しただけではなく、グラミー賞を受賞するなど、大活躍をつづけましたが、2011年、人気絶頂の最中に突然解散してしまいました。

そんな彼らが活動を終えてから約9年。彼らのベストアルバムがリリースされました。ちょっと意外な点なのですが、ベストアルバムのリリースは本作が初。彼らの解散から9年の月日が流れましたが、いまだに「伝説的」なバンドとして語られることも少なくない彼ら。全26曲入り80分弱というボリュームのベスト盤ですが、CDでは1枚でのリリースですし、The White Stripes初心者にとっても、最初に手に取るアルバムとしては最適な1枚ではないでしょうか。

そして今回のベスト盤は、これが初のThe White Stripesというリスナーにもピッタリな構成に仕上がっていました。まず1曲目は彼らのデビューシングルであり、アルバム未収録となっている「Let's Shake Hands」からスタートするのですが、最初の1音、ギャンとなるギターの音がまず震えるほどカッコいい!それから奏でられるサウンドは、ノイジーなギターと力強いドラムスのみが鳴り響くサウンドなのですが、非常に力強いグルーヴ感を作り出しており、ギター+ドラムスというシンプルな構成であることが信じられないほど。デビュー作でありつつ、既にThe White Stripesとしてのスタイルが完成していたんだな、と驚かされる楽曲になっています。

前半は、続く「The Big Three Killed My Baby」「Fell In Love Wiht a Girl」「Hello Operator」などなど、ギターサウンドとドラムスだけで力強いサウンドを作り出すガレージロックという、The White Stripesのコアな部分を表に出しているロックチューンが並びます。このシンプルなサウンドながら大迫力のグルーヴを作り出している楽曲は、ロック好きなら心が震えるほどカッコよさを感じる楽曲ではないでしょうか。今回、久しぶりにThe White Stripesの曲を聴いたのですが、自分が覚えていた以上に素晴らしい曲の連続に思わず聴き入ってしまいました。

一方、中盤以降は、そんな「ロック」な側面だけではない彼らの魅力を感じさせる曲が並んでいます。まず今回のアルバムであらためて感じたのは、意外ともいえるメロディーラインの良さ。ギターを爪弾きながらメランコリックなメロを聴かせる「We're Going to Be Friends」や、泣きメロとも言っていいようなメロディーラインが魅力的な「Jolene」など(こちらはカバー曲ですが)、メロディーの良さを聴かせる曲も少なくないことに再認識させられました。こちらもカバーになるのですが、「Conquest」に至っては、こぶしを利かせたボーカルで哀愁感たっぷりに聴かせており、「え・・・演歌?」なんてことを感じてしまう部分もあったりして(笑)。

また、必ずしもギター+ドラムスのみというシンプルな構成のガレージロックだけに拘ることなく、中盤以降はバラエティーに富んだ作風の曲を聴かせてくれています。「The Denial Twist」ではピアノやシェイカーなどもサウンドに加えて、彼らにしてみれば賑やかなサウンドを聴かせてくれますし、「Hotel Yorba」ではアコギを軽快にかきならすフォーキーな作風に仕上げています。「My Doorbell」もピアノを軽快に聴かせる、ロックというよりも「ポップ」に近い作風が魅力的。バラエティー富んだ作風を楽しむことが出来ました。

そしてラストは彼らの代表作ともいえる「Seven Nation Army」で締めくくるあたりもにくいところ。こちらも彼らの王道ともいえるガレージナンバーを最後に配して、最後はあらためてThe White Stripesはカッコいい!と感じながらアルバムを締めくくるあたりも、なかなかよく出来たアルバム構成に感じます。

The White Stripesの魅力を存分に感じることが出来るベスト盤。楽曲の構成も凝ったものを感じるし、初心者が最初の1枚として聴くにもピッタリではないでしょうか。あらためて彼らの存在が唯一無二であることを感じさせました。もし、彼らの音にまだ触れたことがないのなら、是非とも聴いてみてください。ロック好きならば間違いなくはまるでしょう。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Live in Maui/JIMI HENDRIX

映画「レインボウ・ブリッジ」撮影のため、1970年7月30日にハワイ・マウイ島で行われたライブの模様を収録したライブ盤。いままでブートレグの形で流通していましたが、このたびはじめて、公式アルバムでのリリースとなりました。映画「レインボウ・ブリッジ」の方は、かなり悪評の高い映画のようですが、ライブアルバムの方は、ジミヘンのギターがこれでもかというほどさく裂する、迫力満点の内容に。終始、テンションの高いパフォーマンスを楽しむことが出来ます。「ロックを聴いたなぁ」という満足度の非常に高いアルバムになっていました。

評価:★★★★★

Jimi Hendrix 過去の作品
VALLEYS OF NEPTUNE
People,Hell And Angels
MIAMI POP FESTIVAL(THE JIMI HENDRIX EXPERIENCE)
BOTH SIDES OF THE SKY

Odin's Raven Magic/Sigur Ros

現在、事実上、活動休止中となっているアイスランドのロックバンド、Sigur Rosの今回のアルバムは、彼らにオーケストラ・プロジェクトによるアルバム。もともと、2002年のレイキャビク・アーツ・フェスティバルで演奏されたもので、今回のアルバムは同じく2002年にパリのラ・グランデ・ハレ・ド・ラ・ヴィレットで行われた、レイキャビクのスコラ・カントルム(聖歌学校)とパリ国立高等音楽学校のオーケストラとの共演公演の模様を収録したライブ録音となっています。全編、荘厳なオーケストラアレンジが繰り広げられる美しいアルバムで、メランコリックに歌い上げるオペラ的なボーカルも印象的。この手のロックバンド、ポップミュージシャンによるオーケストラアレンジのアルバムというのは珍しくなく、そういう意味での目新しさはありませんし、サウンド的にもSigur Rosらしい実験性は少なかったのですが、ただ、聴いていて美しいサウンドに圧倒される、そんなアルバムに仕上がっていました。

評価:★★★★

Sigur Ros 過去の作品
Með Suð Í Eyrum Við Spilum Endalaust(残響)
valtari(ヴァルタリ~遠い鼓動)
KVEIKUR


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2020年12月28日 (月)

円熟味の増した傑作アルバム

Title:tokyo -30th Anniversary Edition-
Musician:渡辺美里

「eyes」「Lovin'you」「ribbon」に続く、渡辺美里の全盛期のアルバムをリマスタリングしてリリースした30周年記念アルバムの第4弾は1990年にリリースされた彼女の6枚目となるオリジナルアルバム「tokyo」。当時はチャート1位を記録し、年間ランキングでも4位にランクインしてくる大ヒットアルバムとなりました。ただ一方で、いままで30周年記念盤としてリリースされた3枚に比べると、その立ち位置的には若干地味かな、という印象もあります。正直、私も「tokyo」を聴いたのは何年振りか・・・かなり久しぶりという印象を受けます。

ただ、久しぶりに本作を聴いてみて、「やはり渡辺美里はいいなぁ」という久しぶりにファン心がうずきました(笑)。まず感じたのは、作家陣の脂ののり方が半端ないということ。彼女の黄金期を支えた小室哲哉、岡村靖幸、伊秩弘将らが参加しているのですが、どのミュージシャンも全く外れ曲がありません。小室哲哉の「Power-明日の子供-」は「悲しいね」「ムーンライトダンス」「卒業」と並ぶメランコリック路線の傑作。小室哲哉らしい転調メロにゾクゾクときます。一方、表題曲「tokyo」は、あまりベスト盤などに収録されることもないので、久々に聴きました。アップテンポの、これまたいかにも小室メロディーらしい曲なのですが、非常にカッコいい!まさに隠れた名曲といった感じでしょうか。

さらに素晴らしいのが岡村靖幸の「虹をみたかい」で、まさに岡村ちゃん節炸裂のファンキーでロッキンなこの曲。非常にメロディー展開が複雑で、リズム感と声量がないとなかなか歌いきれない難曲を、渡辺美里がいとも簡単に歌いきっています。個人的には彼女の楽曲のうちベスト3に入るような名曲。そして伊秩弘将の「Boys Kiss Girl」「バースデイ」も文句ない傑作。「バースデイ」は爽やかな曲調から、途中、切ない曲調への変化する展開が聴かせ、切ない歌詞を含めて涙腺がゆるんでしまう名曲だと思います。

そしてこのアルバムで特徴的なのが渡辺美里作曲の曲が5曲もある点(うち1曲は佐橋佳幸との共作)。シングルにもなった「サマータイムブルース」や切ないバラード曲「遅れてきた夏休み」など、ほかの作家陣に勝るとも劣らない傑作が並んでいます。そのままシンガーソングライターとして作曲家としての才能も伸ばすのか・・・残念ながら、正直なところ「作曲家」といては今まで大成することはできませんでした。

前々作「ribbon」は参加メンバーがいずれも全盛期を迎えた作品だったのですが、「tokyo」はさらに作家陣の円熟味が増し、それにつられるように渡辺美里本人も作曲家としての才能を発揮した傑作アルバムになっていました。今、聴いても外れ曲が皆無で、まさに脂ののりまくった時期のアルバムになっています。久しぶりに聴いたのですが、「ribbon」に負けず劣らず、本作も傑作だったなぁ、と感じました。

ただ、「tokyo」本体は文句なしの傑作なのですが、相変わらずちょっと微妙なのが「30th Anniversary Edition」の追加要素。まずCDのボーナストラックが、アルバム未収録のカップリング曲「Love is magic」はいいのですが、あと2曲が「虹をみたかい」と「バースデイ」のライブ音源なのですが、なぜか最新のライブツアーの音源。そりゃあ、今の渡辺美里のボーカルで、というのも悪くないけど、それよりも過去の貴重音源の方が・・・。初回盤についてくるDVDも過去にリリースされた「born V」に特典映像を付けた程度。70分超えのボリュームという点では悪くないのですが、これも過去にリリース済の映像でありレア度は低め。なんか、本作に限らず、他の30th Anniversary Editionや今年リリースされたベスト盤も含め、なんで渡辺美里のCD特典って、どれも「今一つ」なんでしょうか?もうちょっと貴重な映像や音源などがあっても言いと思うのですが・・・そういう音源や映像があまりないのでしょうか??

そんな残念な点もあるのですが、ただ「tokyo」が傑作アルバムである点は間違いありません。久しぶりに渡辺美里にはまってしまいました。ちなみにこの「30th Anniversary Edition」はまだ続くのでしょうか?個人的には、次の「Lucky」は、私がはじめて聴いた渡辺美里のアルバムという意味で思い入れがあるだけに「30th Anniversary Edition」で聴いてみたいのですが。

評価:★★★★★

渡辺美里 過去の作品
Dear My Songs
Song is Beautiful
Serendipity
My Favorite Songs~うたの木シネマ~
美里うたGolden BEST
Live Love Life 2013 at 日比谷野音~美里祭り 春のハッピーアワー~

オーディナリー・ライフ
eyes-30th Anniversary Edition-
Lovin'you -30th Anniversary Edition-
ribbon-30th Anniversary Edition-
ID
harvest


ほかに聴いたアルバム

HYSTERIA/鬼束ちひろ

鬼束ちひろの約3年ぶりとなるニューアルバム。前作「シンドローム」も往年の彼女の王道路線を引き継いだようなピアノバラード曲が目立ったのですが、本作も冒頭の「憂鬱な太陽 退屈な月」をはじめとして、メランコリックなボーカルでダイナミックに歌い上げるタイプのバラード曲が目立ちます。ただその結果、前作でも大いなるマンネリ色が目立ったのですが、今回のアルバムは、はっきり言って完全にマンネリ気味。特に過去のヒット曲に比べて、メロディーラインの弱さが目立ってしまって、ほとんど印象に残らず。タイプ的にも似たような曲が並んでいて、正直、ちょっと厳しい内容に・・・。楽曲的にはこういうスタイルがやはり彼女には一番似合っているとは思うのですが・・・。

評価:★★★

鬼束ちひろ 過去の作品
LAS VEGAS
DOROTHY
ONE OF PILLARS~BEST OF CHIHIRO ONITSUKA 2000-2010
剣と楓
FAMOUS MICROPHONE
GOOD BYE TRAIN~ALL TIME BEST 2000-2013
シンドローム
Tiny Screams
REQUIEM AND SILENCE

Soul to Soul/布袋寅泰

「Soul Sessions」から約14年ぶりとなるコラボレーションアルバム。吉井和哉、コブクロ、氷川きよしといった、様々なジャンルのミュージシャンとコラボ。日本のみならず、アメリカ、イギリス、フランスにイタリア、ブラジル、中国のミュージシャンとコラボし、まさにワールドワイドなコラボとなっています。ただ、その挑戦心は買いたいのですが、正直なところ、このコラボ、いまひとつおもしろくない・・・。フュージョン的なギターサウンドは無難に縮こまっている感じですし、日本のミュージシャンとのコラボは妙にJ-POP的でロック的な要素は皆無。海外とのコラボにしても、どうもお互いに遠慮したような中途半端なコラボに留まってしまっている感が。ちょっと残念に感じる1枚でした。

評価:★★★

布袋寅泰 過去の作品
51 Emotions -the best for the future-
Paradox
GUITARHYTHM VI

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2020年12月27日 (日)

自由度の高い音楽性

Title:KIRINJI 20132020
Musician:KIRINJI

もともと堀込高樹、泰行兄弟によるユニットだったキリンジ。長らくこの2人で活動を続け、人気を得ていた彼らですが、堀込泰行脱退という衝撃のニュースが飛び込んできたのが2013年。そしてまさかのバンド化。いままで2人組ユニットだったKIRINJIがメンバー5人を加えて6人組バンドになる、と知った時はかなり驚きました。それから7年。アルバムもコンスタントにリリースし、バンドとしてすっかり軌道に乗った彼ら。しかし、さらに突如、バンド終了を宣言したのが、いまからちょうど1年くらい前の今年1月。2020年いっぱいでバンドとしてのKIRINJIは終了し、来年からは、堀込高樹を中心とした流動的なメンバーによる変動的な「音楽集団」として活動するとか。まさかの変態を遂げ続けています。

本作はそんなKIRINJIのバンド時代の7年間をまとめたベストアルバム。今回のこのアルバムであらためてKIRINJIのバンドとしての活動を振り返ると、あらためてバンドKIRINJIの音楽性の自由度の高さに、あらためて気が付かされます。新生KIRINJIの第1弾アルバム「11」の1曲目となる、まさにKIRINJIの出発点ともいえる「進水式」からアルバムはスタートするのですが、この曲自体は、堀込高樹がメロウなボーカルで歌い上げる、2人組KIRINJIの音楽性をそのまま引き継いだようなミディアムテンポのシティポップ。これはまず、新生KIRINJIとしてのご挨拶程度といった感じなのでしょう。ただグッと変わるのが2曲目「雲吞ガール」。かなりユーモラスな歌詞も印象的なのですが、何よりも耳を惹くのがエレクトロサウンドの軽快なポップという点。メロディーラインや、妙に角ばったような言葉の使い方は、まさに昔ながらの堀込高樹なのですが、軽快なシンセポップというスタイルは、まさに新生KIRINJIにふさわしい、新しい音楽性といえるでしょう。

その後も「futigive」は、以前のキリンジ風のポップスなのですが、ボーカルを女性にすることで、グッと雰囲気が異なりますし、ホーンセッションも入って賑やかなサウンドでスケール感を増した「真夏のサーガ」などは、まさにバンドならではといった感じでしょうか。「The Great Journey」はRHYMESTERが参加し、HIP HOPチューンに。むしろKIRINJIというよりはRHYMESTER色が強い作品になっていますし、「Mr.BOOGIE MAN」は軽快なガールズポップと、かつてのキリンジのイメージからすると、かなりかけ離れた雰囲気のポップスに仕上がっています。

さらにエレクトロなダンスチューン「AIの逃避行」や鎮座DOPENESSが参加したHIP HOPチューン「Almond Eyes」、さらにはディスコ風のダンスチューン「『あの娘は誰?』とか言わせたい」など、後半は比較的エレクトロサウンドのナンバーが増えてくるのですが、実に自由度の高い音楽をきままに楽しんでいる姿を、バンドKIRINJIからは感じることが出来ます。

ただ、非常に自由度の高い音楽性ゆえに、聴いていくと、あることをひとつ、感じざるを得ません。それは

「これって、バンドじゃなくてもよくない??」

ということ。おそらく、メンバーそれぞれが音楽的アイディアを出し合っているからこそ、これだけバリエーション富んだアルバムに仕上がっているのでしょうし、それがバンドであることの意義といえば意義なのかもしれません。ただ、バンドとして音を出し合って、同じ方向性の一体感のある音を作り上げる、といった意味では、このベスト盤、特にここ最近のエレクトロ路線に関しては「バンドらしさ」ということをあまり感じません。このベスト盤を聴くと、そんなKIRINJIの方向性がよりクリアになっていたように感じます。

そしてだからこそ、堀込高樹は7年というバンドの活動に幕を下ろして、「音楽集団」という形で第3期KIRINJIをスタートさせるのではないでしょうか。おそらく、決まったメンバーのいないこれからのKIRINJIの音楽性は、さらに広がっていくようにも感じますし、おそらくそれが堀込高樹の狙いなのでしょう。今回のベスト盤を聴くと、堀込高樹の今、目指している方向性の意味が、強くわかるような気がします。そして、逆にKIRINJIがバンドから堀込高樹を中心とした「音楽集団」に変化することにより、音楽性がどのように発展されるのか、非常に楽しみになってきます。第2期KIRINJIの集大成であると同時に、第3期KIRINJIを占う、そして新たな挑戦が楽しみになってくる、そんなベスト盤でした。

評価:★★★★★

キリンジ(KIRINJI) 過去の作品
KIRINJI 19982008 10th Anniversary Celebration
7-seven-
BUOYANCY
SONGBOOK
SUPERVIEW
Ten
フリーソウル・キリンジ
11
EXTRA11
ネオ
愛をあるだけ、すべて
Melancholy Mellow-甘い憂鬱-19982002
Melancholy Mellow II -甘い憂鬱- 20032013
cherish

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2020年12月26日 (土)

いつもの彼女とは異なるサウンド

Title:アダンの風
Musician:青葉市子

シンガーソングライター青葉市子の7枚目となるニューアルバムは、いつもの彼女のアルバムとは少々異なるコンセプチュアルなアルバム。まず、いつもの淡い色、一色で塗りつぶされただけのジャケットとは異なり、全裸の女性が泳いでいるジャケット写真にまずは驚かされるのですが、今回のアルバムは、架空の映画のサウンドトラックというコンセプトで作成された作品。彼女が1月に長期滞在した沖縄の島々で着想された作品になっているそうで、今回は作編曲に、梅林太郎が共同制作者として参加しています。

そんなこともあって、今回のアルバム、いつもの青葉市子の楽曲とは、特にサウンドの面で大きく異なります。いままでの彼女のアルバムは、基本的にシンプルなアコースティックギターの演奏のみで彼女の歌を静かに聴かせるスタイルなのですが、今回はイントロ的な1曲目「Prologue」から、まずはストリングスの音色を分厚く展開させ、バックには海の音を入れ、非常に幻想的な作風に。いかにも映画のサントラらしい、ちょっと重々しい雰囲気からアルバムはスタートします。続く「Pilgrimage」も、室内楽的な編成のサウンドを聴かせる楽曲に。いつもの彼女の曲とは異なる分厚いサウンドが耳を惹きます。

さらに「Porcelain」はストリングスや笛の音色を入れたさわやかなサウンドをバックに、青葉市子が静かに歌い上げる楽曲。基本的にはアコースティックな楽器ばかりなのですが、ただいままでの彼女の作品ではあまり見られなかった鮮やかさのある曲に仕上がっています。「Hagupit」もストリングスの音色をゆっくりメランコリックに聴かせる作品。のびやかなストリングスの悲しげな音色が印象に残る楽曲になっていますし、「Dawn in the Adan」も軽快なアコギの音色をバックにストリングスの音色が彩りを添えています。

また、中盤には「Parfum d'etoiles」のような、ピアノの音色に鳥の声など自然の音をサンプリングさせたインストチューンや「霧鳴島」のようなハミングのみを美しく幻想的に聴かせる曲も登場。いずれもある意味、映画のサントラをイメージしているアルバムらしい劇伴曲らしい雰囲気の曲といえるのですが、サウンド的にはバリエーションを感じさせる曲になっています。特に前半はほぼアカペラの「帆衣」などを含めて、バリエーション豊かな作風の曲が展開している構成になっており、いつもの青葉市子のアルバムとは大きく異なるイメージを受ける展開になっています。

もちろん一方では、いままでの彼女の曲と同様に、静かなアコースティックギターの音色のみで美しい彼女の歌声を聴かせるような楽曲も少なくありません。「Sagu Palm's Song」「血の風」など、いつも通りアコギ1本で聴かせる楽曲も並んでおり、ここらへんはいつもの彼女らしい楽曲ということを感じさせる曲になっているのではないでしょうか。

そんな訳で、室内楽的なサウンドを多く取り入れ、いつもの青葉市子のアルバムとは雰囲気の異なるサウンド構成となった今回のアルバム。とはいえ、様々なサウンドを取り入れたとはいえ、基本的にはアコースティックなサウンドには変わりありませんし、また、彼女の静かなウィスパー気味の歌声を中心に構成された楽曲という点ではいままでと変わらず。「架空の映画のサントラ」というコンセプトなのか、いつもよりは幻想的な作風になっているのですが、そこらへんを差し引いても、彼女のいままでのアルバムを気に入っていたファンが今回のアルバムで抵抗感を覚えるか、と言われると、彼女のイメージをガラリと変えてしまうほどの大きな変化ではありませんでした。そういう意味では、いい意味で青葉市子のミュージシャン性を広げる結果となったアルバムともいえるのではないでしょうか。彼女の新しい魅力も感じさせる1枚でした。

評価:★★★★★

青葉市子 過去の作品
うたびこ
ラヂヲ(青葉市子と妖精たち)
0
マホロボシヤ
qp
"gift" at Sogetsu Hall


ほかに聴いたアルバム

Applause/ストレイテナー

約2年7か月ぶりとなるストレイテナーのニューアルバム。もともとバンドサウンドを全面に押し出しつつ、メロディーラインのポップスさも光っていた彼らですが、今回のアルバムは、よりポップなストレイテナーという側面を前面に押し出したアルバムに。全体的にもいつものアルバム以上に爽やかさが増した印象を受けるアルバムで、素直にポップスアルバムとして聴いていて心地よさを感じました。相変わらず楽曲の出来不出来が曲によって差があり、そういう意味で傑作アルバムというには惜しいアルバムではあるのですが・・・ここ最近のアルバムの中では一番の出来だった作品でした。

評価:★★★★

ストレイテナー過去の作品
Immortal
Nexus
CREATURES
STOUT
STRAIGHTENER
21st CENTURY ROCK BAND
Resplendent
Behind The Scene
Behind The Tokyo
COLD DISC
Future Soundtrack
BEST of U -side DAY-
BEST of U -side NIGHT-
Black Map

深海の街/松任谷由実

ユーミンの約4年ぶりとなるニューアルバム。哀愁感の強いメロディーの曲が多く、全体的に「和風」な雰囲気を強く感じました。楽曲的にはいつものユーミンといった感じの作品で、「大いなるマンネリ」気味なのは否定できず。ただ、ところどころにフレーズにしろ歌詞にしろ「おっ!」と耳を惹きつけられる瞬間がある点は、さすがの実力を感じさせます。もっとも今回のアルバムで大きく気になったのはボーカル。もともと決して上手いボーカリストではありませんが、今回は特に声が出ておらず、正直なところ、寄る年波を感じてしまいました。ここはちょっと辛いなぁ。今後、このボーカルの衰えをどのようにしていくのかが、かなり気になってしまったアルバムでした。

評価:★★★★

松任谷由実 過去の作品
そしてもう一度夢見るだろう
Road Show
日本の恋と、ユーミンと。
POP CLASSICO
宇宙図書館
ユーミンからの、恋のうた。

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2020年12月25日 (金)

Gotchの才が発揮されたソロ3枚目

Title:Lives By The Sea
Musician:Gotch

ASIAN KANG-FU GENERATIONのギターボーカルであり、メインライターである後藤正文が、Gotch名義でリリースしたソロアルバム。ソロアルバムとしては約4年半ぶりとなる3枚目のアルバムとなります。ただ、3作目となるのですが、何気に私が彼のソロアルバムを聴くのは今回がはじめて。なんとなく、アジカンのパワーポップ路線とは異なる、「音楽的偏差値」の高いアルバムになっているのかなぁ、という漠然の予想があったのですが、まさに彼のソロアルバムは、そんな私の予想がドンピシャでマッチするようなアルバムになっていました。

まず全体的な影響を強く感じるのがHIP HOP。1曲目「The End Of The Day」はラッパーの唾奇がフューチャーされているのですが、Gotchのボーカルもどこかラップ的。「The Age」もラップが取り入れられていますし、トラックもどこかHIP HOP的。Achicoとmabnuaが参加した「Stay Inside」も、楽曲自体はメロウなGotchの歌が乗ったポップなのですが、シンプルながらもビート感の強いトラックにはHIP HOPの影響を感じさせます。

また、ソウルの要素を感じる楽曲も多く、ここらへんもアジカンの方向性とは異なるGotchの趣味性を感じさせます。「Nothing But Love」などもまさにそんなエレピを使ったメロウでフィーリーなトラックが印象的。コーラスからはゴスペルの要素も感じます。「White Boxes」もメロウなエレピでしんみり聴かせるソウルバラードに仕上がっています。

ほかにもギターサウンドでファンキーなリズムを刻む、爽快な「Eddie」も彼の幅広い音楽性を感じさせますし、また「Endless Summer」は、アジカンにも通じるような爽快なギターポップになっており、ここらへんはGotchのロックに対する愛情もしっかりと感じることが出来ます。

さらには、アジカンの曲でも覗かさせていた、彼の社会派な側面を感じさせる曲もあり、それが、「The Age」。

「『ポリティクスには興味はねえ』って
いい歳こいて そんなことまだ言ってんの?」
(「The Age」より 作詞 Masafumi Gotoh・BASI)

というのは、彼なりのかなり強烈な社会に対するメッセージに感じさせます。

そんな彼の音楽に対する素養や「音楽的偏差値の高さ」を感じさせつつ、また社会に対するメッセージを織り込ませつつ、ただ、一方ではアルバム全体としてはポップでメロディアスなアルバムになっており、アジカンでも感じる彼のメロディーメイカーとしての才をしっかりと感じさせるアルバムになっています。アルバムの最後を飾るタイトルチューン「Lives By The Sea」も温かさを感じる曲調と前向きなメッセージが魅力的な楽曲となっており、アルバムを聴き終わった後に、とても気持ち良い気分の後味を感じさせる構成になっていました。

アジカンの曲調とは少々異なるため、アジカンファン全員が即、気にいるアルバム・・・ではないかもしれませんが、おそらく何度か聴けば間違いなく好きになれる魅力的なアルバムだと思います。逆に、普段アジカンのようなロックを聴かないようなリスナー層も楽しめるアルバムかも。Gotchの才がしっかりと発揮された、ある意味、ソロアルバムらしいソロアルバムでした。

評価:★★★★★

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2020年12月24日 (木)

ジャニーズ系が1位3位

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

Hot100はアイドル系が目立ちましたが、Hot Albumsもベスト3のうち2枚がジャニーズ系という結果となっています。

まず1位初登場がジャニーズ系アイドルグループHey!Say!JUMP「Fab! -Music speaks.-」。CD販売数及びPCによるCD読取数で1位を獲得。彼ら8枚目になるニューアルバム。オリコン週間アルバムチャートでも初動売上24万9千枚で1位獲得。前作「PARADE」の18万9千枚(1位)よりアップしています。

2位はMr.Children「SOUNDTRACKS」が先週と同順位をキープ。CD販売数は先週と変わらず2位。PCによるCD読取数は先週の1位からワンランクダウンの2位となっています。

そして3位もジャニーズ系。「This is 嵐」がこちらも先週から変わらず3位をキープ。先週、ダウンロード(&サブスクリプション)解禁によりベスト3に返り咲きましたが、今週もダウンロード数で1位をキープし、2週連続のベスト3となっています。

続いて4位以下の初登場盤です。まず4位にはamazarashi「令和二年、雨天決行」が初登場。前5曲(初回限定版は8曲)入りのミニアルバムで、今年起きた出来事が歌われた作品だそうです。アルバムレビューでも書きましたが、今年は「2020」というタイトルのアルバムが多くリリースされましたが、このアルバムも和暦ではありますが、そんな「2020」と名乗るアルバムと同じ仲間のアルバムと言えるでしょうか。CD販売数4位、ダウンロード数5位、PCによるCD読取数16位。オリコンでは初動売上1万3千枚で6位初登場。前作「ボイコット」の1万8千枚(2位)からダウンしています。

5位はロックバンドポルカドットスティングレイのニューアルバム「何者」がランクイン。フルアルバムとしては3枚目となる新作です。CD販売数6位、ダウンロード数2位、PCによるCD読取数20位。オリコンでは初動売上1万1千枚で8位初登場。前作「新世界」から初動売上は横バイ(6位)です。

6位には「ガルパ ボカロカバーコレクション」が初登場。スマホ向けゲーム「バンドリ! ガールズバンドパーティ! 」において、ゲーム内で歌われたボーカロイド楽曲のカバー曲を集めたコンピレーションアルバム。CD販売数3位、PCによるCD読取数10位。オリコンでは初動売上1万4千枚で4位初登場。

スマホゲームのキャラソン+ボカロ曲という、アラフォー世代以上はついていけないような構成のアルバムがランクインした一方、アラフォーどころかアラカン世代あたりがターゲットとなりそうなのが7位に初登場のPaul McCartney「McCartney III」。CD販売数5位、ダウンロード数11位、PCによるCD読取数21位。言わずと知れた元The BeatlesのPaul McCartneyによるソロアルバム。1970年にリリースした「McCartney」、80年リリースの「McCartneyII」の続編となる、約40年(!)ぶりとなる「McCartney」シリーズの第3弾となります。オリコンでは初動売上1万4千枚で5位初登場。前作「EGYPT STATION」の1万3千枚(6位)より若干ですがアップしています。

今週の初登場盤は以上。一方、ロングヒット盤は米津玄師「STRAY SHEEP」が先週の6位からダウンしているものの9位をキープ。これで通算ベスト10記録を19週に伸ばしています。

今週のHot Albumsは以上。チャート評はまた来週?(・・・の水曜日は12月30日ですが、通常通り、チャートは公表されるのでしょうか?)。

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2020年12月23日 (水)

今週も目立つアイドル系

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

先週に引き続き、今週もアイドル系が目立つチャートとなっています。

まず1位にランクインしたのがジャニーズ系。King&Prince「I promise」が初登場で1位獲得です。セブンイレブン2020年クリスマスCMソング。CD販売数、PCによるCD読取数、Twitterつぶやき数で1位獲得。ラジオオンエア数37位、You Tube再生回数は47位。オリコン週間シングルランキングでは初動売上56万7千枚で1位初登場。前作「Mazy Night」の51万8千枚(1位)よりアップしています。

2位はLiSA「炎」が先週から同順位をキープ。ダウンロード数、カラオケ歌唱回数の1位、ストリーミング数、You Tube再生回数の2位は先週から変わらず。これでベスト10&ベスト3ヒットは10週連続となっています。ちなみに「紅蓮華」は今週8位から10位にダウン。ベスト10ヒットを、ついに通算50週としましたが、さすがに後がなくなってきました。

3位も男性アイドルグループ。BTS「Dynamite」がこちらも先週と同順位をキープ。ストリーミング数及びYou Tube再生回数1位は先週から変わらず。こちらも18週連続のベスト10入りとなっています。

そんな訳で先週と同様、ベスト3中2曲がアイドルソングとなった今週。4位以下でも女性アイドルグループ、モーニング娘。'20「純情エビデンス」が初登場。CD販売数2位、ダウンロード数14位、ストリーミング数17位、PCによるCD読取数20位、Twitterつぶやき数34位で総合順位は4位にランクインしています。オリコンでは初動売上11万2千枚で2位初登場。前作「KOKORO&KARADA」の初動12万6千枚(2位)からダウンしています。

ほかにもNiziU「Step and a step」が7位にランクインするなど、アイドル系が目立つ今週のチャート。ただ、先週1位の櫻坂46「Nobody's fault」は今週19位まで一気にダウン。またNiziU「Make you happy」は今週10位から12位にダウンし、ベスト10ヒットは24週連続で途切れてしまいました。

一方、もう1曲の初登場曲がSEKAI NO OWARI「silent」。CDリリースに合わせて、先週の11位からランクアップし、5位にランクイン。ベスト10初登場となりました。TBS系ドラマ「この恋あたためますか」主題歌。この時期にピッタリのクリスマスソング。以前ならクリスマスソングというと、クリスマス以降は販売数が極端に減るため、11月中に販売し、クリスマスまで余裕を持たせるのですが、本作はCDではクリスマス時期ギリギリのリリース。ただし、10月21日より先行配信が行われているため、売上はそちらで立てるということでしょう。CDシングルとしてリリースしているものの、既にCDが商材の中心ではないということを物語るリリース時期となっていました。オリコンでは初動売上3万7千枚で4位初登場。前作「umbrella」の3万3千枚(3位)よりアップしています。

今週の初登場曲は以上。一方、ロングヒット曲としてはYOASOBI「夜に駆ける」が先週の7位から9位にランクダウン。ストリーミング数5位、You Tube再生回数8位とまだ上位を維持していますが、厳しい状況となってきています。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums!

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2020年12月22日 (火)

今の時代を描いたミニアルバム

Title:2020
Musician:THA BLUE HERB

ここ最近、コロナ禍に大きな影響を受けたアルバムの紹介が続いてきました。今回紹介するアルバムも、タイトルからもわかるように、コロナ禍に襲われた、この2020年をストレートにテーマとしたミニアルバム。まずジャケット写真から象徴的。路上に落ちているゴミの中に、マスクが落ちているというところ、今年という年を象徴している写真となっています。「2020」というタイトルのアルバムも今年数多くリリースされていますが、本作もそんな1作に名前を連ねる作品。ただ、THA BLUE HERBが刻む2020年をテーマにしたHIP HOPである以上、このコロナ禍の現状に対して、非常に力強いメッセージを与えているアルバムになっています。

全5曲入りのミニアルバムですが、まず前半はさほどストレートに今年を描いたような作品とはなっていません。1曲目の「IF」は前向きなメッセージソングですが、特にコロナとは直接関係ないリリック。ただ、前に進もうとしている人に対するメッセージソングとなっており、コロナ禍の中で不安を感じる人たちへの強いメッセージを感じさせます。また、続く「STRONGER THAN PRIDE」では、まず最初にサンプリングされている、おそらくライブのMCが印象的。「静かにたたずんでいる人もちゃんと見ているから」というMCのメッセージは、おそらくコロナでこんな状態になる前のライブで発せられたMCだとは思うのですが、例えライブを実施しても、大きな声を出すことが出来ない、今の状況に力強く響いてくるメッセージになっています。

3曲目「PRISONER」もコロナ禍に直結する歌詞ではありません。何かの罪を犯して収監される友人に対するメッセージを歌った曲。薬物犯罪か何かでしょうか?その罪の詳しい内容はわかりません。こちらもコロナ禍に直結するような曲ではないのですが、ただ、罪を犯した有名人に対するバッシングが激しさを増しているような現在の状況に対するアンチとしてのメッセージ性を感じさせる曲になっています。

そして、後半の2曲、まさにこのコロナ禍の中でのメッセージソングとなっており、強い印象を受ける曲となっています。まずはタイトルそのまま「2020」。トランプ大統領や東京オリンピックまで登場し、現在の社会情勢を描いたこの曲。そこに登場し、静かに語られる出来事は、2020年という今年を振り返ると、複雑な思いでとして心によみがえってくるのではないでしょうか。不安な思いも渦巻くようなリリックなのですが、「ここが峠」「反転攻勢」と、そんな中でも前に向かおうとするメッセージが強く心に響いてきます。

さらに印象的なのが最後を締めくくる「バラッドを俺等に」でしょう。ミディアムテンポのメロウなトラックにのせて綴られるリリックは、人と会うことがはばかられる今だからこそ、逆に人との出会いを描いた内容。こちらも前向きなメッセージが印象に残る作品で、聴き終わった後、BOSSの力強いメッセージを聴いたという充実感を覚えるような作品になっていました。

もともとメッセージ性が強い彼らの作品ですが、今回のアルバムに関しては、そのメッセージがより強くなった作品だったように感じます。逆に、メッセージ性が強く、かつ2020年の今年にリリースすることを主眼としたアルバムだったため、トラックに関しての印象は控えめ。もちろん、O.N.Oの作るトラックは、比較的シンプルで、BOSSのラップをしっかりと下支えしています。ただ、メッセージをいつも以上に強く伝えるため、あくまでも脇役に準じているような印象も受けました。

まさにTHA BLUE HERBらしい力強いメッセージ性を感じる、2020年という特殊な1年だからこそ生みえたアルバム。年末が迫る中、来年は1日も早く、このコロナの状況が終わり、以前の日常が戻ることを強く祈らずにいられないのですが・・・。間違いなく傑作アルバムなのですが、ただ、このようなアルバムはこれが最後であることを強く祈りたいです。

評価:★★★★★

THA BLUE HERB 過去の作品
TOTAL
THA BLUE HERB

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2020年12月21日 (月)

10曲10ジャンルのノン・フェイドアウト・アルバム

Title:23歳
Musician:KAN

KANちゃんの待望のニューアルバムがリリースされました!約4年9ヶ月ぶりのニューアルバム。タイトルは「23歳」。現在、58歳のKAN。デビュー23周年・・・という訳ではなく、彼が大学5年生だった23歳の思い出を今と結び付けた表題曲「23歳」が収録されていますが、それだけ思いのある年齢ということのようです。ちなみに「23」という数字が彼が大好きな素数であることは言うまでもありません。

今回のアルバムのコンセプトは「10曲10ジャンルのノン・フェイドアウト・アルバム」。「ノン・フェイドアウト」というのは偶然そうなっただけらしいのですが、曲の終わりを安易にフェイドアウトにすることなく、曲の終わりをしっかり作る点、KANのポップス職人としてのこだわりを感じます。そして、それ以上に大きな特徴なのが「10曲10ジャンル」という点。もともと、ポップス職人の彼は、いろいろなミュージシャンの曲調を真似て曲をつくったり、様々な曲のジャンルに挑戦していたりします。今回のアルバムはその上で、1曲1曲が音楽性が違うという、まさに彼の実力がフルに発揮されたアルバムになっています。

とにかくマージ―ビート調の「る~る~る~」からスタートし、シティポップ風の表題曲「23歳」、シンプルなポップチューン「ふたり」に、TRICERATOPSがバンドとして全面的に参加したハードロックチューン「君のマスクをはずしたい」、ピアノとストリングスでスケール感あるバラードナンバーとなっている「キセキ」(途中のギターソロに秦基博が参加!)に、またまた登場した中田ヤスタカ風エレクトロポップ「メモトキレナガール」と、1曲たりとも同じジャンルの曲はありません。

後半の「コタツ」は2019年に急逝したシンガーソングライターヨースケ@HOMEとの共演曲。以前、彼と組んでいたバンドCabrellsの曲として用意していた曲だそうで、このたび、初音源化。ヨースケ@HOMEとの共演曲ということで、ちょっとKANの曲とは異なる感じのあるカントリー風のナンバーになっています。その後も「ほっぺたにオリオン」はジャジーなベースラインにドゥーワップの要素を入れた楽曲。そして先行シングルになった「ポップミュージック」はアップテンポで懐かしさを感じさせるディスコチューン。アイドルグループJuice=Juiceが直後にカバーし、こちらはヒットを記録しているのですが、やはりちょっとメタ視点が入りつつ、ディスコチューン全盛期の80年代を懐かしがる歌詞はKANが歌った方がやはりピッタリとマッチしているなぁ。そしてラストは彼の王道とも言えるピアノバラード「エキストラ」で締めくくられます。

そんな訳で、まさに10曲10ジャンルというコンセプトがピッタリな、タイプが見事バラバラな10曲が並ぶアルバム。ただ、それにも関わらず、全体的にバラバラという印象が全くないのは、どの曲もKANらしさがあふれているからなのでしょう。まさにポップス職人KANの魅力が満載のアルバムになっています。

ただ一方、それだけサウンド面で凝ったアルバムだったためか、一方、歌詞については彼のアルバムとしては若干印象が薄かったようにも感じてしまいました。もちろん、タイトル通り、昔を思い起こす表題曲の「23歳」や前述の通り、メタ視点も入ってユニークな「ポップミュージック」、さらには、いかにもこのコロナの状況を反映した「君のマスクをはずしたい」など、ユニークな曲は今回も目立ちます。特に、先日も紹介した熊木杏里しかり、チャラン・ポ・ランタンしかり、コロナの状況を描いた歌詞の曲が目立つ中、ある意味、ユニークに身も蓋もない男性の女性に対する感情をストレートにうたった「君のマスクをはずしたい」はまさにKANらしい歌詞だと言えるでしょう。

またラストの「エキストラ」はしんみり聴かせるラブバラードですが、歌詞が女性視点というのが新鮮。KANの楽曲では女性視点の曲ははじめてだそうですが、そういう意味では彼の挑戦を感じる曲になっています。そんな感じで歌詞についても、もちろん魅力的な曲が並んでいるのですが、ただそれでも、いままで彼の書いてきた魅力的な歌詞の数々の中には埋もれてしまうかな、といった印象を受けてしまいました。

もっとも、アルバム全体としては今回の作品も申し分ない傑作アルバム。ちなみにDVDには今回もレコーディング風景を映しているのですが、今回もまた、ただ漫然とレコーディング風景を映している訳ではなく、しっかり彼の拘ったポイントを編集して、曲の聴きどころを収録したDVDになっています。TRAICERATOPS和田唱のロックおたくぶりを感じる映像もあったりして(笑)なにげにトライセラファンも要チェックかも。

評価:★★★★★

KAN 過去の作品
IDEAS~the very best of KAN~
LIVE弾き語りばったり#7~ウルトラタブン~
カンチガイもハナハダしい私の人生
Songs Out of Bounds
何の変哲もないLove Songs(木村和)
Think Your Cool Kick Yell Demo!
6×9=53
弾き語りばったり #19 今ここでエンジンさえ掛かれば
la RINASCENTE
la RiSCOPERTA


ほかに聴いたアルバム

Q.E.D/BLUE ENCOUNT

これが4枚目となる4人組ロックバンドの新作。基本的にはアップテンポなバンドサウンドで押しまくる、いかにも今風なフェス仕様のロックバンドといった感じ。メロディーラインはメランコリックに聴かせる曲も多く、ここらへんは耳を惹くところでしょうか。ただ、ポップなメロは平凡なJ-POPといった印象も強く、もうちょっとインパクトある個性が欲しい感じか。ただ、ラストの「喝采」は力強い歌詞とメロディーラインで強い印象に残る曲にはなかっていたのですが。

評価:★★★

BLUE ENCOUNT 過去の作品

THE END
VECTOR
SICK(S)

PORTAS/中田裕二

このコロナ禍の自粛期間を利用してか、前作からわずか半年というインターバルでリリースされた中田裕二のニューアルバム。ただ、作品的には歌謡曲の要素も入った哀愁感たっぷりのメロディーを聴かせるミディアムテンポのムーディーなナンバーの連続で、良くも悪くもいつもの彼らしい楽曲ばかり。まあ、正直なところ「大いなるマンネリ」といった感じで、目新しさはありません。その一方で、安心して聴けるアルバムではありますが。

評価:★★★★

中田裕二 過去の作品
ecole de romantisme
SONG COMPOSITE
BACK TO MELLOW
LIBERTY
thickness
NOBODY KNOWS
Sanctuary
DOUBLE STANDARD

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2020年12月20日 (日)

コロナ禍を強く反映されたアルバム

Title:なにが心にあればいい?
Musician:熊木杏里

シンガーソングライター、熊木杏里の12枚目となるフルアルバム。新型コロナの蔓延が続いており、特にここ最近は第3波として再び感染者数が増加する傾向にあります。そんな中、コロナ禍の最中に楽曲制作を行ったアルバムのリリースが増えてきており、例えば「2020」というそのものズバリなタイトルのアルバムも少なくありませんし、先日紹介したチャラン・ポ・ランタンの「こもりうた」のような、コロナ禍をストレートに反映させたアルバムも出てきています。

今回の熊木杏里のニューアルバムも、コロナ禍での自粛期間に作成されたアルバム。そして、今回のアルバムは強くその影響が反映されたアルバムになっていました。まず顕著だったのが、その歌詞の内容。新型コロナの中での不安な状況の中で、それでも明日への希望を感じさせるような曲が目立ちます。「『また明日』を信じて/笑顔でいたいから」と歌う「幸せの塗り方」もそうですし、

「ことあるごとに
私たちは強くなるのでしょう
先が見えなくて
優しさを少し失いかけた あの日も」
(「ことあるごとに」より 作詞 熊木杏里)

と歌う「ことあるごとに」の歌詞も現在の状況を彷彿とさせます。また、「光のループ」

「行こう 初めての明日になる
そのための悲しみだ」
(「光のループ」より 作詞 熊木杏里)

という歌詞にも強いメッセージ性を感じます。また、ほかにもふるさとの両親を思って書かれた「ノスタルジア」も非常に歌詞が染み入る楽曲なのですが、コロナ禍だからこそ、会えない親を思って書かれたと言えるでしょうし、また「青葉吹く」も高校時代の友人とのリモート飲み会をきっかけに誕生した曲だそうで、そういう点でも、今だからこそ生まれた曲になっています。

さらに今回のアルバムの楽曲は、この状況だからこそ、あえてライブを意識した作品になったそうです。どちらかというとアコースティックベースの楽曲がメインの聴かせるタイプのSSWの彼女がライブを意識して、というのもちょっと意外な感もあります。ただ、バンドのメンバーですら直接会うことがはばかられ、リモートの状況で、むしろアコースティックや宅録的な楽曲が増えがちな中、あえてライブを意識した作品を作るというあたり、彼女のミュージシャンとしての矜持やこだわりのようなものを感じます。

まあ、だからといって急に音が分厚くなったり、だとか、ロックな作品が出てきたり、という訳ではなく、基本的にアコースティックベースでのサウンドという点は変わりありません。ただ、前々作「群青の日々」や前作「人と時」は比較的アコースティック寄りの作品だったのに対して、本作では「ことあるごとに」ではバンドサウンドを取り入れたり、「一輪」ではストリングスを入れてきたりと、ライブをより意識したようなサウンドになっていました。

比較的、素朴なスタイルのSSWといった印象もある彼女ですが、あえてコロナの状況を意識してメッセージを込めた楽曲を作り上げるあたり、意外に骨太な側面を感じさせるアルバムでした。まあ、以前から、意外と社会派な歌詞も登場したりと、骨太な側面は感じられたのですが。もっともメロディーラインやサウンドはいつもながらの彼女といった感じで、安定感もあり、安心して聴ける作品ではあると思います。ただ個人的には、いつもの彼女のアルバムの中では、より聴き応えがあり、楽曲のインパクトもあったように感じました。個人的にはもっと注目されるべきSSWだと思うのですが・・・コロナ禍だからこそ生まれた良作でした。

評価:★★★★★

熊木杏里 過去の作品
ひとヒナタ
はなよりほかに
風と凪
and...life
光の通り道

飾りのない明日
群青の日々
殺風景~15th Anniversary Edition~
人と時
熊木杏里 LIVE “ホントのライブベスト版 15th篇" ~An's Choice~


ほかに聴いたアルバム

BRAND NEW CARAVAN/T字路s

男女ブルースデゥオによる3枚目のオリジナルアルバム。とにかく伊東妙子のパワフルなボーカルが強く印象に残るグループで、彼女のしゃがれ声に、これでもかというほどの声量のあるボーカルがド迫力。音楽的には「ブルースデゥオ」という呼び名のグループながらも、ムーディーな昭和歌謡曲的な要素が強く、そこにガレージロックやカントリー、フォークの要素を取り込んで、哀愁感たっぷりの音楽性を醸し出しています。私がこれを聴くのはこれが2枚目。その伊東妙子のボーカルは文句なしに迫力満載、なのですが、前作も感じたのですが、メロディーや歌詞のインパクトがボーカルに追い付いていない感じも。そういう意味で惜しさは感じつつ、ボーカル含めてバンドとしての個性は十分すぎるほど感じるため、これからの活躍にも注目したいグループです。

評価:★★★★

T字路s 過去の作品
PIT VIPER BLUES

In the Fairlife/浜田省吾

ハマショーの新作は、もともと、浜田省吾と彼の長年のパートナーであるアレンジャーの水谷公生、そして水谷公生夫人であり、小川糸名義で小説家としても活動している春嵐の3人によるユニット、Fairlife名義で発表された楽曲を、浜田省吾の歌唱によりカバーした8曲入りのミニアルバム。そのため、全体的にはミディアムテンポで聴かせるポップソングがメインで、いかにもハマショーといった感じの曲はあまりありません。それ以上に普段のハマショーと異なるのが歌詞の世界で、明らかに普段の彼の書く歌詞とは異なる、やわらかさの感じる、女性的な歌詞の世界は若干異質。正直言うと、ハマショーのボーカルとマッチしていないような印象もあり、違和感もありました。決して悪いアルバムではありませんが、浜田省吾を聴きたい!と思って聴くと、肩透かしにくらうかも。

評価:★★★

浜田省吾 過去の作品
the best of shogo hamada vol.3 The Last Weekend
Dream Catcher
Journey of a Songwriter~旅するソングライター
The Moonlight Cats Radio Show Vol.1(Shogo Hamada & The J.S.Inspirations)
The Moonlight Cats Radio Show Vol.2(Shogo Hamada & The J.S.Inspirations)

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2020年12月19日 (土)

サニーデイの「挑戦」的な側面

Title:もっといいね!
Musician:サニーデイ・サービス

新メンバー大工原幹雄が加入後、再び3人組バンドとなったサニーデイ・サービス。今年3月には、新生サニーデイとしての第1弾アルバム「いいね!」がリリースされました。それから約8か月、新進気鋭のミュージシャンたちが参加したリミックスアルバムが完成しました。tofubeatsや田島ハルコ、Young-G、岸田繁といった様々なミュージシャンたちが、「いいね!」+シングル曲「雨が降りそう」を、それぞれの解釈によりカバーしています。

そんな直近のオリジナルアルバム「いいね!」は、新生サニーデイの第1歩にふさわしく、いわば初期サニーデイに回帰したようなシンプルなポップアルバムに仕上がっていました。一方、ここ最近のサニーデイの流れとしては、特に前々作「the CITY」が顕著だったように、曽我部恵一の様々な音楽的な挑戦を感じらさせる刺激的なアルバムが多くリリースされました。そんな中リリースされた今回の「いいね!」のリミックス盤。その前々作「the CITY」もその後にリミックスアルバム「the SEA」がリリースされていたので、それと同じ流れといっていいかもしれません。また、「いいね!」ではちょっと果たせなかった音楽的な挑戦を、今回のリミックスアルバムで果たした、といえるのかもしれません。

そんな今回のリミックスアルバム、様々なミュージシャンたちがそれぞれの個性を発揮しているため、非常にバラエティーに富んだ作風に仕上がっています。ノイジーなサウンドと強いビートのエレクトロチューン「春の風」のHiro"BINGO"Watanabe Remixからスタート。田島ハルコのリミックスによるトランシーな「コンビニのコーヒー」、tofubeatsらしい洒落たエレクトロリミックス「エントリピー・ラブ」など、まずはエレクトロアレンジの楽曲が目立ちます。

そんな雰囲気がガラリと変わるのが「春の風」のどついたるねんRemix。かなりヘヴィーでパンキッシュなバンドサウンドをバックとしたロックアレンジに仕上がっており、序盤のHiro"BINGO"Watanabeのリミックスとの違いも際立ち、同じ曲でありつつ、アレンジによってガラリと雰囲気が変わるあたり、非常にユニークに感じます。さらにこの「春の風」はHi,how are you?によるカバーも収録されているのですが、こちらはアコギ1本でのカバーで、これまたグッと雰囲気が変わります。ここらへんの聴き比べも楽しいところです。

終盤は「センチメンタル」のインダストリアルなリミックスが耳を惹くのですが、今回のアルバムで一番秀逸さを感じたのは「日傘をさして」の曽我部瑚夏によるカバー。清涼感がある魅力的な女性ボーカリストが、アコギ1本で静かに弾き語るカバーになっているのですが、ちょっとかすれたような彼女のボーカルに、原曲の切ないメロディーがピッタリマッチした絶妙なカバーに仕上がっています。ちなみに曽我部瑚夏という女性ボーカリスト、今回はじめてその名前を知ったのですが、別に曽我部恵一と血縁はないみたいです・・・最初、娘かと思った(って、そんな年の娘がいるのか知りませんが)。

そしてラストは「雨が降りそう」の岸田繁によるリミックス。様々な音をサンプリングしつつ、実験的なエレクトロサウンドになっており、これはこれで岸田繁がくるりや自身のソロではなかなか演れないスタイルでのリミックスに挑戦していました。

エレクトロサウンドを主軸にしつつも全体的な音楽性はバラバラ。ただ、様々なミュージシャンによるサニーデイの曲の様々な解釈が非常に楽しいアルバムでした。今後は、こういう形でオリジナルと、その後のリミックスというスタイルが続いていくのでしょうか。ちなみに12月25日には曽我部恵一のニューアルバムのリリースも予定しているとか。そちらも楽しみです!

評価:★★★★★

サニーデイ・サービス 過去の作品
本日は晴天なり
サニーディ・サービス BEST 1995-2000
Sunny
DANCE TO YOU
桜 super love

Popcorn Ballads
Popcorn Ballads(完全版)
the CITY
DANCE TO THE POPCORN CITY
the SEA
サニーデイ・サービスBEST 1995-2018
いいね!


ほかに聴いたアルバム

NEW!/the telephones

2015年に活動を休止したthe telephonesが、このたび活動を再開。そして約5年ぶりにリリースされたニューアルバムが本作です。「NEW!」というタイトルからして、新生the telephonesというイメージなのでしょうか。ただ、楽曲的には以前と変わらず、シンセのサウンドにバンドサウンドが加わり、パンキッシュな楽曲を陽気に聴かせるというスタイルは変わらず。一本調子的な部分もあるのですが、楽曲によってはメランコリックなメロディーラインを聴かせ、メロディーセンスの良さも感じる部分も。復活した彼らが、今後どのような活動を見せてくれるのか、楽しみです。

評価:★★★★

the telephones 過去の作品
DANCE FLOOR MONSTER
A.B.C.D.e.p.
Oh My Telephones!!! e.p.

We Love Telephones!!!
100% DISCO HITS! SUMMER PACK
Rock Kingdom
D.E.N.W.A.e.p.
Laugh,Cry,Sing...And Dance!!!
SUPER HIGH TENSION!!!
BEST HIT the telephones
Bye Bye Hello

Chameleon/End of the World

2013年により世界展開に向けて活動をはじめたSEKAI NO OWARI。今回紹介するEnd of the World(=世界の終わり)は、そのミュージシャン名通り、セカオワの世界展開の際に名乗っているバンド名。このたびようやくEnd of the World名義でのデビューアルバムがリリースされました。ただ、楽曲的にはセカオワの曲というよりは、完全な世界展開仕様。その結果、欧米のSSW系ポップスでよくありがちな、R&B的な要素も入った今どきのポップスになっており、セカオワ的な個性は皆無。ポップスとしての出来はメロディーにしろサウンドにしろ決して悪くなく、というよりもむしろよく出来ているくらいなのですが、ただ、こういうポップスを聴くんなら、エド・シーランやBruno Marsで十分だよなぁ、と思ってしまうようなありふれたポップスになっていました。これで無理に世界進出する必要性ある?

評価:★★★

SEKAI NO OWARI 過去の作品
EARTH
ENTERTAINMENT
Tree
Lip
Eye

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2020年12月18日 (金)

新生スマパンの第2弾だが。

Title:CYR
Musician:The Smashing Pumpkins

2005年の再結成後、断続的な活動が続くThe Smashing Pumpkins。しかし前作「SHINY AND OH SO BRIGHT,VOL.1/LP:NO PAST.NO FUTURE.NO SUN.」リリース時にはオリジナルメンバーのジェームス・イハとジミー・チェンバレンがバンドに復帰。4人中3人がオリジナルメンバーという、胸をはって「これぞスマパンだ」と言える体制でのニューアルバムリリースとなりました。それで調子に乗ったのでしょうか、今回のアルバムは前作から約2年という、ここ最近の彼らにとってみては比較的短いスパンでのニューアルバムリリース。2005年の再結成以降、メンバーが入れ替わりが続きましたが、今回は2作連続、同一のメンバーによるアルバムとなっています。

もともとメランコリックなメロディーラインが大きな魅力の彼らですが、今回のアルバムに関して言っても、そのメロディーラインの良さが非常に魅力的な作品に仕上がっていました。先行シングルでもあった1曲目を飾る「The Colour Of Love」は疾走感リズムに、女性コーラスも上手く絡んだメランコリックなメロディーがまずは耳を惹き、アルバムへの期待感を否応なくたかめますし、タイトルチューンでもある「Cyr」もダンサナブルな打ち込みが耳を惹きつつ、ちょっと物憂いげなメロディーが非常に魅力的な楽曲に仕上がっています。「Wrath」の胸をかきむしりたくなるようなメランコリックなメロディーも魅力的。ラストの「Minerva」こそ爽やかなメロディーラインで締めくくり、アルバム全体の後味を爽快なものとしていますが、アルバム全体としては、実にスマパンらしさを感じる、メランコリーあふれるメロディーの曲が並びます。そういう意味では、メロディーラインのタイプとしては多少、似たようなタイプの曲が多いのですが、それでもアルバム1枚、ダレることなく聴かせてしまうのは、そのビリー・コーガンのメロディーメイカーとしての才能が光っている、と言えるのではないでしょうか。

ただその一方、今回のアルバム、サウンドの側面では少々厳しい感のある作品に仕上がっていました。せっかくオリジナルメンバーが多く参画した今回のアルバムなのですが、サウンドは全面、シンセを中心とした作風になっています。正直、コロナ禍の中でのアルバムなので、バンドメンバーが集まれなかったのか・・・とも思ったのですが、そうではないようで・・・。「Wyttch」のようなダイナミックなバンドサウンドが心地よいような楽曲はありますし、ほかにも「Purple Blood」などヘヴィーなギターサウンドを押し出したような作品もあるのですが、あまりバンドとしての妙味が出ている曲は少なかったように思います。

また、このシンセのサウンドも、どうにもチープさを感じてしまう点が否めず・・・。挑戦的なエレクトロサウンドを聴かせるといった感じでもなく、なぜバンドメンバーがそろっているのに、これだけシンセに拘るのか、いまひとつ不明。「Save Your Tears」のような、分厚いシンセの音色で心地よく聴かせてくれる曲もあるにはあるのですが、ただ、全体的には、これならバンドサウンドを主軸にした方がよかったのでは?と思うような曲が大半でした。

スマパンの、というよりもビリー・コーガンのワンマン色も目立ってしまったようなアルバムで、ひょっとしたらバンドで演るよりもソロで演った方が気楽でよかった、ということでしょうか?そう考えると、現メンバーでのアルバムもこれが最後になってしまう・・・だったら嫌だなぁ。メロディーにはビリーの才を感じさせるアルバムなのですが、全体的にはもうちょっとバンドとしてのアルバムを聴きたかった、そう感じてしまう作品でした。

評価:★★★★

The Smashing Pumpkins 過去の作品
Teargarden by Kaleidyscope
OCEANIA
(邦題 オセアニア~海洋の彼方)
Monuments to an Elegy
SHINY AND OH SO BRIGHT,VOL.1/LP:NO PAST.NO FUTURE.NO SUN.


ほかに聴いたアルバム

Delta Tour EP/Mumford&Sons

2018年にリリースされたアルバム「Delta」のリリースに伴うライブツアーの模様を収録したミニアルバム。「Delta」は非常にダイナミックでスケール感を覚えるアルバムでしたが、本作もそんなアルバムをそのまま体現化した、スケール感あふれるライブの模様を感じることが出来ます。というか「Delta」のようなアルバムは、このような大人数で大規模なライブだからこそ映えるのでしょう。コロナ禍でなかなかこれだけ大規模なライブの実施も難しい現在ですが、早くこのようなスケール感あふれるライブを何の気兼ねなく実施できる日が来ればよいのですが。

評価:★★★★

Mumford&Sons 過去の作品
Sigh No More
Babel
Wilder Mind
Delta

Trans Am/The Network

いきなり登場の謎のバンドですが・・・GREEN DAYのメンバーを中心に結成された覆面バンド。2003年に1枚アルバムをリリースしているのですが、この度復活。12月にアルバムがリリースされたのですが、本作はそれに先立ちリリースされたEPとなります。楽曲はとても懐かしさを感じるニューウェーヴ風の楽曲4曲が収録。80年代の匂いを感じさせる楽曲は、懐かしさと同時にどこか新しさも。12月にリリースされたアルバムも近いうちにチェックする予定ですが、こちらも楽しみです。

評価:★★★★★

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2020年12月17日 (木)

コロナ禍という時代を反映

Title:こもりうた
Musician:チャラン・ポ・ランタン

チャラン:ポ・ランタンの新作は全8曲入りの新曲に、ボーナストラック2曲を加えたミニアルバム。まずは、このジャケット写真にドキリとさせられる人も多いのではないでしょうか。マスクにフェイスシールドをつけたそのスタイルは、コロナ禍の今という時代を象徴させるスタイル。今の時代、おなじみともいえるスタイルなのですが、ここまでストレートに、コロナ禍の象徴ともいえるマスク姿とフェイスシールドを前に出したジャケットもはじめてかもしれません。

そんな今回の作品は、コロナ禍での自粛期間中に「8週連続宅録配信シングル」としてリリースされた楽曲を収録された曲。まさにコロナ禍という状況により、自粛を余儀なくされた中で制作された作品なだけに、非常にこのコロナ禍の時代を反映された曲になっています。1曲目の「空が晴れたら」などはまさにその象徴。

「空が晴れたらどこに行こうかな
あのお店はその時やってるかな」

「しばらく会うのは
やめておくよ
誰かの苦しむ
顔を見たくないよ」
(「空が晴れたら」より 作詞 小春)

この曲がリリースされたのは5月27日という、非常事態宣言解除直後の時期。おそらく曲が作成されたのが非常事態宣言の最中だったのでしょう。アコーディオン1本のみというシンプルなアレンジも宅録ならではといった感じなのですが、非常に悲しいメロディーラインも、非常事態宣言下の空気を彷彿とさせます。そしてこの歌詞。まさにコロナ禍という時代を反映させた楽曲となっています。

その後も

「独りの部屋から抜け出して
あなたに逢える日がくるの」
(「透明な恋」より 作詞 小春)

と非常事態宣言明けを状況を彷彿とさせる「透明な恋」や、こちらも7月9日リリースですので、徐々に様々な活動が再開される中での状況が彷彿とさせられる「新宿で映画を観る」など、おそらく何年か先にこのアルバムを聴いたら、「ああ、こういう時代だったな」ということを強く感じさせられるような曲が並んでいます。

ただ一方、コロナ禍という憂鬱な状況を反映してか、楽曲の雰囲気といては比較的暗く、悲しげな曲が多く、そういう意味ではちょっと憂鬱な雰囲気を感じてしまうアルバムに。「おとなの螺旋階段マーチ」などは比較的アップテンポでコミカルなのですが、こういったチャラン・ポ・ランタンらしいコミカルさを感じる曲は少なめ。アレンジ的にも宅録ということもありシンプルで、なおかつ比較的チープな作品が多く、そういう歌詞のみならずメロディーやサウンドの面も、時代を反映させた曲になっています。

本編ラストの「あの丘の向こう」

「さあ 行こう 知らない世界へ」

「思い出はポケットにあるから
また会えるその日まで
私は泣かない」
(「あの丘の向こう」より 作詞 小春)

と、前向きな歌詞でありつつ、どこかこのコロナの状況が終わっていないことを彷彿とさせるような歌詞で締めくくられています。

正直言うと、時代を反映しすぎている部分もあり、いつものチャラン・ポ・ランタンの作品のように、何も考えずに楽曲を楽しむ・・・というにはちょっと重い面もあるアルバムだったようにも感じます。ただ、シンプルなサウンドで今の時代をストレートに反映した作品を作ってくるあたりは、彼女たちらしいとも言えるのかもしれません。前述のとおり、何年かしたら、「こんな時代もあったね」と懐かしく感じて聴いてしまいそうな作品。まあ、1日も早く、このアルバムを聴きながら「コロナの頃は大変だったね」と笑い飛ばせるような日が来ることを切に願っているのですが・・・。

評価:★★★★

チャラン・ポ・ランタン 過去の作品
テアトル・テアトル
女の46分
女たちの残像
借り物協奏
トリトメモナシ
ミラージュ・コラージュ
過去レクション
ドロン・ド・ロンド
いい過去どり

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2020年12月16日 (水)

今週もアイドル系が目立つチャート

今週は、Hot100、Hot Albumともに初登場が少なかったので、同時更新です。

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週も韓国系を中心に、Hot100では珍しくアイドル系が目立つチャートとなっています。

まず1位を獲得したのが櫻坂46「Nobody's fault」が獲得。CD販売数及びPC販売数1位、ダウンロード数10位、ラジオオンエア数21位、Twitterつぶやき数19位。以前は「欅坂46」という名前で活動していたグループでしたが、このたび「櫻坂46」という名前に改名。本作は、改名後第1弾のアルバムとなっています。オリコン週間シングルランキングでも初動売上40万8千枚で1位初登場。欅坂46名義のラストシングル「黒い羊」の75万枚(1位)からは大きくダウン。少々厳しい滑り出しとなっています。

2位はLiSA「炎」が先週から変わらず同順位をキープ。今週もダウンロード数、カラオケ歌唱回数の1位、You Tube再生回数の2位は同順位をキープしましたが、ストリーミング数は1位から2位にダウンしています。ただこれでベスト10ヒット&ベスト3ヒットは9週連続となっています。一方、「紅蓮華」も今週8位と先週から同順位をキープ。これでベスト10ヒットを通算49週に伸ばしています。

3位はK-POPの男性アイドルグループBTS「Dynamite」が5位から3位にアップ。2週ぶりにベスト3に返り咲いたほか、ストリーミング数も8週ぶりに1位に返り咲き。ミニアルバムリリースの影響もあるのでしょうが、ここに来て、しぶとい人気を見せつけました。これでベスト10ヒットは連続17週となっています。

さて、上位には櫻坂46、BTSとアイドル系が並びましたが、4位以下で目立つのがNiziU。先週1位だった「Step and a step」は4位にランクダウンしてしまいましたが、ロングヒット中の「Make you happy」は先週からワンランクダウンながらも10位とベスト10をキープ。これで24週連続のベスト10ヒットとなっています。ただストリーミング数は7位から8位、You Tube再生回数も5位から6位と下落傾向になっており、来週、もうひと踏ん張りできるのか、それとも・・・注目されます。

今週、Hot100の初登場曲は1位の櫻坂46のみ。またロングヒットも、ほかにはYOASOBI「夜に駆ける」が先週から同順位の7位をキープし、ベスト10ヒットを34週連続に伸ばしたのみになります。一方、5位の菅田将暉「虹」、6位の優里「ドライフラワー」がロングヒットの兆しを見せており、今後の動向が気になるところです。


今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

先週は大物男性ボーカル勢がベスト3に並んでいます。

まず今週1位は福山雅治の約6年8ヶ月ぶりとなるオリジナルアルバム「AKIRA」が獲得。CD販売数1位、ダウンロード数及びPCによるCD読取数3位で総合順位は1位を獲得しています。ちなみに若干奇妙な今回のタイトル「AKIRA」とは、彼が17歳の時に亡くなった父親の名前だそうで、今回のアルバムのテーマにもなっているそうです。オリコン週間アルバムランキングでは初動売上13万3千枚で1位初登場。直近作はライブ盤の「DOUBLE ENCORE」で同作の初動4万9千枚(2位)からはアップ。オリジナルアルバムとしての前作「HUMAN」の21万3千枚(1位)からはダウンしています。

2位は先週1位のMr.Children「SOUNDTRACKS」がワンランクダウンながらもベスト3をキープ。CD販売数は2位となりましたが、PCによるCD読取数では今週も1位をキープしています。

そして3位には、「This is 嵐」が先週の11位からランクアップし2週ぶりのベスト10返り咲きでいきなりベスト3入り。これはチャート対象週にダウンロード(&サブスクリプション)が解禁となった影響で、ダウンロード数ではいきなりの1位獲得となっています。

続いて4位以下の初登場盤ですが、まず5位に少年隊「少年隊 35th Anniversary BEST」がランクイン。CD販売数は3位ながらもPCによるCD読取数は13位となり総合順位ではこの位置に。今年、歌手デビュー35周年を迎えるジャニーズ系の超大御所グループですが、今年いっぱいをもって、メンバーのうち植草克秀と錦織一清のジャニーズ事務所退所が決定。「少年隊」という名前は残るようですが、事実上の「解散」となってしまう彼らの、これが最後のベストアルバムとなります。オリコンでも初動売上1万8千枚で4位初登場。ちなみに直近作は1999年にリリースされたオリジナルアルバム「Prism」で、同作の初動1万7千枚(20位)より若干ですがアップしています。

8位には「うたの☆プリンスさまっ♪ Shining LiveドラマCD「饗宴の奏鳴曲(ソナタ)」がランクイン。スマートフォン向けゲーム「うたの☆プリンスさまっ♪Shining Live」の登場キャラクターによるドラマCD。CD販売数5位、PCによるCD読取数57位。オリコンでは初動売上1万4千枚で6位初登場。

初登場はもう1枚。10位に韓国の男性アイドルグループSF9「GOLDEN ECHO」がランクイン。CD販売数8位、その他のチャートは圏外となっています。オリコンでは初動売上1万枚で11位初登場。日本盤では前作「ILLUMINATE」の2万6千枚(3位)からダウンしています。

ロングヒット勢では米津玄師「STRAY SHEEP」が今週9位から6位に再度ランクアップ。ダウンロード数は7位から6位にアップ。PCによるCD読取数も先週と同じ2位をキープし、これで通算18週目のベスト10ヒットとなっています。

今週のHot Albumsは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2020年12月15日 (火)

相変わらずの脱力感

Title:25周年ベスト
Musician:栗コーダーカルテット

ヨシタケシンスケのかわいらしいジャケットが目を惹く本作は、リコーダーやピアニカなどの楽器で脱力感あるほんわかしたインスト曲を奏でるグループ、栗コーダーカルテットの結成25周年を記念してリリースされたベスト盤。今回は(通常盤は)2枚組のアルバムとなっており、Disc1が彼らのオリジナル曲、Disc2がカバー曲となっています。

「25周年ベスト」というシンプルなタイトルになっていますが、(下の「過去の作品」を見てもわかるかもしれませんが)彼ら、約5年毎にベスト盤をリリースしており、タイトルも同じ。10年前には「15周年ベスト」、5年前には「20周年ベスト」というタイトルでベスト盤をリリースしています。そういう意味では、ベテランミュージシャンによくありがちな「何作目のベストだよ?」的なアルバムとも言えるかもしれませんが、彼らが非常にユニークなのは、今回のベスト盤、過去の2枚のベスト盤と曲かぶりがほとんどありません。実は、過去の「15周年ベスト」と「20周年ベスト」も収録曲が大きく異なっており、そういう意味では彼らのアルバム、「ベスト」と名の付くアルバムだけ追っていけば、彼らの活動を網羅できる、と言えるのかもしれません。

ベスト盤でありながら曲かぶりがほとんどない・・・というのは、彼らの曲、シングルという形態でのリリースがほとんどなく、「代表曲」と言えるような曲が少ないという理由もあるのでしょう。また、彼らの活動は、栗コーダー名義のアルバムのみならず、サントラ盤やコンピレーションアルバムの参加、メンバーの楽曲提供など様々な形で多岐にわたっているため、そういった曲をピックアップするだけで曲かぶりがなくなる、という理由もあるのでしょう。また、アルバムに収録されている曲に「ハズレ」がなく、どれもベスト盤として収録できるだけのクオリティーを持っている、とも言えるのかもしれません。

実際、Disc1のオリジナル曲は、どの曲も聴いていてほっこりするような暖かさを感じさせるインストナンバーが並んでいます。リコーダーをベースにピアニカやウクレレ、パーカッションなど、アコースティックで素朴な楽器で演奏される彼らの曲は哀愁感もたっぷり。ただ、シンプルな楽器で演奏されつつも、「青空節」のような民謡風の作品やら「サーイ・ナームライ ~その流れはいつも優しい~」のようなちょっとエキゾチックな作品やら「キョロちゃんWALK-突撃!!」のようなマーチ調で賑やかな作品やらバラエティー豊富。幅広い音楽性とその演奏スキルに彼らの実力を感じさせます。

そしてやはり魅力的なのがDisc2のカバー。誰もが知っているような洋楽邦楽の有名曲、スタンダードナンバーをアコースティックな楽器によって脱力感たっぷりに演奏しています。冒頭を飾るアコースティックな「東風」も楽曲の持つメロディーラインの魅力が前に押し出されてた曲になっていますし、あの「カーマは気まぐれ」が驚きの郷愁感たっぷりのナンバーに仕上がっているのは驚くべき感も。意外性あるカバーといえば、話題となったアニメ「ポプテピピック」のテーマ曲「POP TEAM EPIC」のカバー。なるほど、彼らの手にかかると、こういう風にカバーされるのか・・・とうならせられるカバーになっています。そしてユニークなのが、かの「ボヘミアン・ラプソディ―」のカバー。重厚なサウンドの原曲に対して、アコースティックなサウンドを様々組み合わせて、非常にユニークなカバーに仕上がっていました。

栗コーダーカルテットの魅力がたっぷりと感じれるアルバム。上にも書いた通り、彼らの活動は多岐に及ぶため、栗コーダー名義のアルバムを聴くだけではなかなかフォローできないのですが、それだけに、こういう形のベスト盤で彼らの多気に及ぶ活動をフォローできるのはうれしい限りです。ただ一方、「ベスト盤」ですが、彼らの曲でおそらくかなりよく知られているであろう「ピタゴラスイッチのテーマ」や、昔、「やる気のないダースベイダーのテーマ」として話題となった「帝国のマーチ(ダース・ベイダーのテーマ)」は本作では未収録。ここらへんは過去のベスト盤をあさるしかないでしょうね。ただ、これが彼らを知るための最初の1枚としても最適。脱力感たっぷりの暖かいポップソングが存分に楽しめます。

評価:★★★★★

栗コーダーカルテット 過去の作品
15周年ベスト
夏から秋へ渡る橋
渋栗(川口義之with栗コーダーカルテット&渋さ知らズオーケストラ)

遠くの友達
生渋栗(川口義之with栗コーダーカルテット&渋さ知らズオーケストラ)
羊どろぼう
ウクレレ栗コーダー2~UNIVERSAL 100th Anniversary~
あの歌 この歌
20周年ベスト
ひろコーダー☆栗コーダー(谷山浩子と栗コーダーカルテット)
KURICORDER QUARTET ON AIR NHK RECORDINGS
平凡


ほかに聴いたアルバム

愛を知らずに魔法は使えない/マカロニえんぴつ

現在、人気上昇中でブレイク最右翼とも目されているポップバンド、マカロニえんぴつの最新作は全6曲入りのミニアルバム。うち冒頭の「生きるをする」及びラストの「mother」は、テレビ東京系アニメ「ドラゴンクエスト ダイの大冒険」のオープニング及びエンディングで、タイトルもドラクエを意識したタイトルになっています。そろそろヒゲダン並みの大ブレイクも期待される彼らですが、ただ今回のアルバム、前作、グッとよくなった良質なメロディーが後ろに下がってしまい、バンドサウンドが目立つような構成に。そのサウンドも正直言っていまひとつ大味で、面白みはありません。変に「売り」を狙った結果、平凡なJ-POPバンドに成り下がったような、そんな印象を受けてしまいました。前作「hope」が、今の彼らの勢いを表すような傑作だっただけに非常に残念。ちょっとプロダクションを間違えちゃったなぁ、と感じてしまったアルバムでした。

評価:★★★

マカロニえんぴつ 過去の作品
season
hope

eye/HUSKING BEE

コロナ禍で活動自粛中だった期間に書き溜めた曲からセレクトしたという、HUSKING BEE10枚目となるフルバム。前半はアップテンポでパンキッシュな側面が表に出たような楽曲が、後半はメロディーラインの良さが表に出たような楽曲が並ぶアルバム。英語詞と日本語詞のバランスも良く、いい意味でベテランらしい安定感のあるアルバムに仕上がっていました。

評価:★★★★

HUSKING BEE 過去の作品
Suolo
Stay In Touch
Lacrima
ALL TIME BEST 1994-2019

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2020年12月14日 (月)

魅力的な戦前ジャズの世界

Title:The LOST WORLD of JAZZ 戦前ジャズ歌謡全集・続タイヘイ篇

ここでも何度も取り上げたことがある、戦前のSP盤復刻専門レーベル「ぐらもくらぶ」。ただ単に戦前のSP盤を復刻するだけではなく、非常にユニークな視点からの企画盤も特徴的で、通常なら見向きもされないような珍盤・奇盤を集めた「レコード供養~復刻されない謎の音源たち」だの、夜店の屋台で売られていたようなマイナーレーベルからのレコードを集めた「へたジャズ! 昭和戦前インチキバンド1929-1940」だの、独特の観点からのひねった企画が少なくありません。しかし、今回の企画は、ある意味、「正統派」ともいえる復刻企画。戦前のレーベル、タイヘイ・レコードからリリースされた戦前歌謡ジャズのSP盤を収録したアルバムで、以前リリースされた「タイヘイ篇」の続編となります。ちなみにこのタイヘイ・レコード、戦後は「日本マーキュリー」と名前を変え、昭和30年代まで多くの歌手を輩出したようです。

戦前のジャズというと、今の耳からするとやはり演奏面でも歌手の力量の面でも、今の感覚からすると古さを感じる部分が少なくなく、正直なところ、無条件でお勧めしやすいか、と言われるとちょっと抵抗感を覚えてしまう面も少なくありません。ただし、そういったちょっと「古さ」を感じさせる作風に慣れてくると、逆に昔ながらのシンプルさゆえに楽しめる曲も少なくなく、徐々に魅力的に感じてきていまいます。さらに言うと、この「戦前ジャズ」というジャンル、情報量が少ない中、当時、西洋の先端的な音楽であったジャズを必死に自らのものにしようとする、その時代の日本人の挑戦、あるいは努力を感じることができ、結果として拙さや、ジャズとは異なる独自の解釈を感じる部分もあるのですが、それがまた魅力にも感じます。

例えば冒頭を飾るのはタイヘイジャズボーイズなるグループの「南京豆売り」。キューバの物売りをイメージして作られたようで、曲風としては確かにジャズというよりはキューバ音楽的なリズムを感じさせます。ただ、これはこのCDの解説にも書かれていたのですが、演奏はあまり合っていない部分があります。しかし、そのチグハグさに妙な魅力を感じたりします。

2曲目の「思ひ出の唄」は伊東千枝子名義になっているのですが、その正体は、かの「ブルースの女王」淡谷のり子。コロムビアと専属契約だったため、そのままでは録音できず、この変名を用いたそうです。ただ、のびやかで感情たっぷりに歌われるボーカルはやはり今聴いても魅力的で、その実力を感じることが出来ます。

続く「ダイナー」は最初、比較的長いイントロでまずはインストの演奏を聴かせるのですが、こちらは軽快なアンサンブルを聴かせてくれており、今の耳で聴いても「ジャズ」として魅力的。当時の演奏水準の高さを感じます。

その後も「戦前ジャズ」と一言で言っても、「アロハオエ(ブルース)」はハワイアン。「ブルース」と題されているのですが、ブルースの要素は皆無。「アマポーラ」はラテンテイスト。「木曾シャンソン」に至っては木曽節を西洋音楽風に無理やりアレンジしたという曲になっていたりと、こちらもシャンソン的な要素はほとんど感じられません。かと思えば、それに続く「浪花節ルムバ」は、こちらも浪花節をむりやり西洋風にアレンジしつつも、こちらはリズムにルンバの要素を感じることが出来ます。このように、「ジャズ」といってもその実は、様々な西洋音楽の要素を入れつつ、さらに時として日本の昔からの音楽と無理やり融合させたりするゴチャゴチャな音楽。この西洋音楽の様々な要素を取り入れつつ、日本の音楽と融合させ、ごった煮的な音楽を作り上げているあたり、戦後の歌謡曲、あるいはさらにその後のJ-POPに通じる部分を感じます。

ほかには聴きどころとしては、丸山和歌子の「私がお嫁に行ったなら」の可愛らしいボーカルと歌詞が魅力的ですし、「ピエロとお嬢さん」のコミカルで可愛らしい掛け合いも魅力的。また、「忘れらぬブルース」の澤雅子の力強く哀愁たっぷりのボーカルにも耳をひかれます。全22曲、魅力的な戦前ジャズの世界を存分に楽しむことが出来るオムニバスアルバムになっていました。

最初は古さを感じてとっつきにくい部分があるかもしれませんが、徐々にはまっていってしまう戦前ジャズの世界。その最初の1枚としても最適なアルバムかもしれません。そんな魅力的な曲がたくさん収録された好企画。この「戦前ジャズ歌謡全集」、そのタイトルの通り、ほかのレーベルも期待します!

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

So Special Christmas/MISIA

MISIAの最新作は「This Christmas」「White Christmas」などクリスマスのスタンダードナンバーのカバーや「THE GLORY DAY」「アイノカタチ」など自身の代表作のセルフカバーを収録したクリスマスアルバム。ちなみに本作では、知的障害のある人たちにオリンピック競技種目に準じた様々なスポーツトレーニングとその成果の発表の場である競技会を年間を通じ提供している国際的なスポーツ組織であるSpecial Olympicsの理念に共感して制作されたアルバムとなっており、タイトルの「SO」とは、「Special Olympics」の略称。また、「SO」の日本組織「公益財団法人スペシャルオリンピックス日本」に、収益の一部は寄付されるそうです。

そんな本作。伸びやかで力強い歌声で歌われるクリスマスのスタンダードナンバーのカバーも素晴らしいのですが、MISIAのオリジナル曲も、爽快さと荘厳さを兼ね備えたような曲が多く、クリスマスのイメージにもピッタリ。MISIAらしい、聴いていてクリスマスの気分になってきてワクワクさせられるアルバムになっていました。コロナ禍で、クリスマスのイベントもままならない状況ですが、そんな中で少しでもクリスマス気分を味わえる、そんな1枚です。

評価:★★★★★

MISIA 過去の作品
EIGHTH WORLD
JUST BALLADE
SOUL QUEST
MISIAの森-Forest Covers-
Super Best Records-15th Celebration-
NEW MORNING
MISIA 星空のライヴ SONG BOOK HISTORY OF HOSHIZORA LIVE
MISIA SOUL JAZZ SESSION
Life is going on and on
MISIA SOUL JAZZ BEST 2020

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2020年12月13日 (日)

日本が世界に誇るゲームのコンピレーション

Title:JOIN THE PAC - PAC-MAN 40th ANNIVERSARY ALBUM -

日本発のゲームの中で、日本以上に世界で圧倒的な人気を誇るゲーム「パックマン」。その生誕40周年を記念して「パックマン」とのコラボレーションアルバムがリリースされました。「パックマン」で使用されているゲームサウンドを、様々なミュージシャンがサンプリングしたり、アレンジしたりして、個性的な楽曲に仕上げている本作。「パックマン」へのトリビュートアルバムといった感の強い本作なのですが、なによりもその参加メンバーが豪華。KEN ISHIIにテイ・トウワ、スチャダラパー、Buffalo Daughterなど豪華なミュージシャンがズラリと並んでおり、「パックマン」に思い入れがなくても、音楽ファンなら断然興味が沸くようなメンバーによるアルバムになっています。

そして、それぞれの楽曲が、非常にクオリティーが高く思わず聴き入ってしまう曲が続いていました。まず冒頭を飾るKEN ISHIIによる公式テーマ曲「 JOIN THE PAC (Original Mix - Official Theme Song for PAC-MAN 40th Anniversary)」が素晴らしい。おそらくある一定の世代にとっては聴きなじみのある「パックマン」のゲーム音楽を上手くサンプリングしてテクノにまとめ上げているこの曲は、リズミカルなトラックに聴いていて楽しくなってくる楽曲。続くパソコン音楽クラブの「EAT&RUN」も秀逸。こちらもなじみの音をそのまま使用して軽快なエレクトロポップに仕上げています。

ホーンセッションを入れてジャジーな雰囲気を出した中塚武の「Ladies and PAC-MAN」もクールな仕上がりになっていますし、中国のテクノミュージシャン静電場朔も加わったグループDiANによる「饕餮 TAOTIE feat. 小老虎 (J-Fever)」「PAC-MAN Fever」も中国語が入ったりして、ちょっとエキゾチックな雰囲気が耳を惹きます。テイトウワによる「PAC IS BACK!」も彼らしい、コミカルさもあるエレクトロポップに仕上がっていますし、「ワープトンネル」も「パックマン」のゲーム音楽をバックにラップする、いつものスチャダラ節の楽曲になっています。

そんな中でも個人的にベストトラックにあげたいのがBuffalo Daughterの「Dots In The Maze」。「パックマン」のゲーム音楽をサンプリングしつつ、そこにベーストラックやリズムトラックを加えて、ただ、全体的には音を絞ることにより、空間を聴かせるようなエッジの効いた音作りが特徴的で、Buffalo Daughterらしい1つ1つの音が際立ち、個性的に仕上がっている名曲になっていました。

さらに「PAC-MAN (Original Full Version)」を演奏するPower-Pillは、かのAphex Twinの別名義!正直なところ、さほどAphex Twinらしさがあるような曲ではないのですが、リバーブを聴かせるリズムトラックが耳を惹くスペーシーさを感じるアレンジとなっており、独特な個性を感じることが出来ます。

ちなみにリマスタリングは砂原良徳が担当という、これまた非常に豪華な人選。「パックマン」に興味がなくても、この人選だけで興味惹かれる人がいたら間違いなく要チェックのアルバムですし、とにかくテクノ、エレクトロ好きなら間違いなくチェックしておきたいアルバム。ちなみにDISC2はアーケード版の「PAC-MAN」「SUPER PAC-MAN」「PAC&PAL」「PACMANIA」のオリジナル音源が82曲収録されているアルバムに。こちらは「パックマン」好きにはたまらない内容と言えるかもしれません。少なくとも、これを聴くうちに「パックマン」をやりたくなってきた・・・という方は、Googleで「パックマン」でググると、無料でブラウザゲームが出来るようですので、よろしければ(笑)。聴き応えあるコンピレーションアルバムでした。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

ROMANCE/宮本浩次

エレファントカシマシのボーカリスト、宮本浩次のソロアルバム第2弾は、なんとカバーアルバム。それも昭和歌謡曲の、女性ボーカル曲をメインにカバーした作品になっています。あの非常に癖の強い宮本浩次のボーカルで、歌謡曲を上手く歌いこなせるのか・・・そんな懸念を抱きつつアルバムを聴いたのですが、これが意外と歌としてはストレートな歌い方をしており、歌謡曲にも難なくマッチしていました。楽曲自体の良さもあって、評判は上々のようですが・・・ただ、個人的にはどうも違和感がぬぐえないカバーになっていました。確かに、上手く歌いこなせているのですが、ボーカルが楽曲に対して少々浮いてしまっている感も否めず、歌の上手い人のカラオケを聴かされているような感覚が最後まで抜けませんでした。チャート1位を獲得して、なんか第2弾第3弾もありそうな感もあるのですが、変な「カバーミュージシャン」にならないでほしいなぁ。次はエレカシとしての新作を!

評価:★★★

宮本浩次 過去の作品
宮本、独歩

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2020年12月12日 (土)

新型コロナに翻弄された1年を総括

Title:2020
Musician:打首獄門同好会

今年1年のアルバムの傾向として非常に特徴的だったのが「2020」というタイトルのアルバムが多くリリースされたという点があります。eastern youtha flood of circle、現時点では未聴ですが、THA BLUE HERBも同タイトルのミニアルバムをリリースしていますし、海の向こうではBON JOVIの最新アルバムも「2020」というタイトルになっています。アルバムがリリースされた年をアルバムタイトルにするというのは、珍しい話ではないのですが、これだけの数がリリースされているのは異例中の異例。20という数字が2つ並んでいるという響きの良さももちろんアルバムでしょうが、何よりも今年2020年という1年が、おそらく後の歴史でも語り継がれそうな、異常な状況とも言える1年だったから、というのが大きな理由でしょう。

今年起きた大きな出来事、それは言わずもがな世界中を席巻した新型コロナウイルスに覆いつくされた1年だったという点。「2020」というアルバムは、いずれも異常事態となった今年1年を総括したようなアルバムになっています。そしてそんな中リリースされた打首獄門同好会のニューアルバム。彼ららしいといえば彼ららしいのですが、どのアルバムよりもストレートに2020年という1年を総括したアルバムになっています。

ジャケット写真からして、そのものズバリ、新型コロナウイルスが登場してくるのですが、1曲目のタイトルはそのものズバリ「新型コロナウイルスが憎い」。内容からしてそのままストレートに新型コロナウイルスへの恨みを綴った内容なのですが、非常に潔い内容ですし、新型コロナに対して誰もが言いたいメッセージをストレートに述べているあたり、非常に共感度の高い歌詞になっています。さらにこの曲と対になっているのがラストを飾る「明日の計画」。

「ガマンした分 めっちゃ美味しいものを食べたい
しんどかった分 めっちゃ楽しいことしたい
つらかった分 めっちゃ笑える日にしたい
つらかった分 めっちゃ幸せに過ごしたい」
(「明日の計画」より 作詞 大澤淳史)

とコロナ終息後を語るこの歌詞は、この窮屈な日々の中で非常に共感を覚えますし、胸が熱くなる思いもします。1日も早くコロナが終息し、以前と同じような日常を送れるように、そして満員のライブハウスで何の憂いなく音楽が楽しめる日々が戻るように、強く祈念します。

さて、そんな「2020」を総括した今回のアルバムですが、この2曲以外は(というかこの2曲もなのですが)彼ららしい曲が並んでいます。筋肉賛歌の「筋肉マイフレンド」、日本のアニメ賛歌の「サクガサク」、甘いものを無性に食べたくなる心境をつづった「ああ無性」、タイトル通りの「牛乳推奨月間」「足の筋肉の衰えヤバイ」「ニンニクは正義」と、ふとした日常の素朴な出来事を歌詞にしつつ、バックにはメタルばりのヘヴィーロックを聴かせるというスタイルの曲が並びます。

アルバム全体として良くも悪くも若干「大いなるマンネリ」気味な打首獄門同好会らしいアルバムなのですが、新型コロナに対する思いをズバッと歌にしたことについては、大きな拍手を送りたい、そんなアルバムだったと思います。繰り返しになりますが、1日も早く、新型コロナが終息し、以前の暮らしに戻れますように。心から願っています。

評価:★★★★

打首獄門同好会 過去の作品
そろそろ中堅
獄至十五

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2020年12月11日 (金)

ブルハの偉大さをより感じるベスト盤

Title:ALL TIME MEMORIALS II
Musician:THE BLUE HEARTS

1980年代後半から1990年代前半に活躍し、その当時の若者に絶大な支持を得たのみならず、音楽シーンにも絶大な影響を与え、ある意味、今の日本のパンクシーンの始祖的な存在ともいえる「伝説のバンド」THE BLUE HEARTS。今なお多くのファンを獲得し、数多くのミュージシャンへの影響を与え続ける彼ら。ただ、解散後もことあることにベスト盤がリリースされ続けており、正直若干食傷気味な部分もあるのですが・・・結成35周年を記念して新たなベスト盤がリリースされました。

ただ、今回のアルバムは、30周年の時にリリースされた「ALL TIME MEMORIALS~SUPER SELECTED SONGS~」に続くという形態のベストアルバム。また、25周年の時にリリースされた「ALL TIME SINGLES~SUPER PREMIUM BEST~」の再発と同時リリースという形になっております。そういうこともあり、彼らのシングル曲や代表曲などはそちらにゆずり、今回のベスト盤にセレクトされている曲は、どちらかというと知る人ぞ知る・・・というには知名度が高すぎるのですが、どちらかというと代表曲の次に聴くべき、セカンドベスト的なセレクションとなっています。

しかし、そんな楽曲が収録されているがゆえに、「これは!」とリスナーによっては代表曲以上に強いインパクトを受けるような曲も少なくありません。まず特に歌詞に関して非常に印象を受ける曲が数多く並びます。まずアルバムの冒頭に並ぶのが「パンクロック」。パンクロックを「やさしいから好き」と語るこの歌詞は、パンク=反逆の音楽と受け取るようなリスナー層にはある意味、衝撃的な歌詞になっています。ただ、ある意味、逆説的にパンクロックの本質をとらえてるとも言える本作は、非常に強いインパクトをリスナーに与えています。

「ラインを越えて」の歌詞も、すっかりアラフォーになった今だからこそかなり突き刺さる歌詞。「夕刊フジを読みながら/老いぼれてくのはゴメンだ」という固有名詞を上げた歌詞もかなりストレートなのですが、「机の前に座り/計画を練るだけで/一歩も動かないで/老いぼれてくのはゴメンだ」という歌詞もグサッと来る「大人」も多いのではないでしょうか。そんな彼ら、特にヒロト&マーシーはその後、ハイロウズ、ザ・クロマニヨンズの活動を経て現在に至るのはご存じの通り。彼らはすっかり「大人」になっても動くことは止めず今に至っています。歌詞の世界に至っては、このころよりもさらにシンプルになって今に至っているわけで・・・今の彼らの書く歌詞に比べると、ブルーハーツの歌詞はある意味、情報過多とも感じてしまうあたりに、シンプルを追求し、さらに歌詞の精鋭化を続けている彼らの今に対する驚きも感じてしまいます。

もう1点、今回のベスト盤を聴いて強く感じた点があります。それは彼らの演奏する楽曲のバリエーションの多さ。どうしても代表曲を並べたベスト盤だと、いかにもブルーハーツらしい、といった印象を受けるパンクロックがメインになってしまうのでしょうが、本作の収録曲を聴くと、ブルーハーツが決してパンク一本調子のバンドではなく、むしろ深い音楽性を感じさせるバンドであることに気が付きます。例えば「レストラン」はスカのリズムを取り入れていますし、「ながれもの」はカントリー、「真夜中のテレフォン」はモータウンからの影響を強く感じますし、「闘う男」のイントロはもろストーンズが入っています。こちらに関しても、最近になればなるほどシンプルなパンクロックがメインになってくるのですが、その実、彼ら、というかヒロト&マーシーには深い音楽的素養を感じられる点がこのベスト盤ではより明確になっていました。ここらへんが、並みのパンクロックバンドと彼らが大きく異なる点なのでしょう。

そんな訳で、代表曲こそありませんが、こちらのアルバムもブルーハーツというバンドをよく知るためには是非とも聴いておくべきベスト盤であることは間違いありません。むしろ誰もが知っている代表曲を並べたベスト盤以上に、このバンドの偉大さをより感じることが出来るアルバムと言えるかもしれません。とはいえ、ヒロト&マーシーはいつまでもブルハに留まらず、今なお歩み続けています。このベスト盤を聴いたら、次はクロマニヨンズのアルバムも、是非。

評価:★★★★★

THE BLUE HEARTS 過去の作品
ALL TIME SINGLES~SUPER PREMIUM BEST
THE BLUE HEARTS 30th ANNIVERSARY ALL TIME MEMORIALS ~SUPER SELECTED SONGS~

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2020年12月10日 (木)

ベテラン勢が目立つ

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

先週はK-POP勢や配信系、アニメ系アイドルが目立つ、いわば「今どき」のチャートとなっていました。今週は一転、ベテラン勢の初登場が目立つチャートとなっています。

まず1位からベテラン勢。Mr.Childrenの約2年2ヶ月ぶりのニューアルバム「SOUNDTRACKS」が1位獲得です。CD販売数及びダウンロード数1位。いまどき、ストリーミングはおろか、ダウンロード販売もなしというかなり強気な販売方針となっています。一方オリコン週間アルバムランキングでは初動売上27万8千枚で1位初登場。前作「重力と呼吸」の30万9千枚(1位)からダウンしています。

2位は韓国の男性アイドルグループENHYPEN「BORDER:DAY ONE」が獲得。CD販売数2位、ダウンロード数5位、PCによるCD読取数61位。オーディション番組「I-LAND」から誕生したグループだそうで、本作がデビュー作となります。オリコンでは初動売上7万1千枚で2位に初登場しています。

そしてミスチル以上の大御所が3位、4位に並んでランクイン。なんと今週、女性シンガーソングライターの両雄ともいえる、ユーミンと中島みゆきのアルバムが同時にランクインしています。まず3位には松任谷由実のニューアルバム「深海の街」がランクイン。CD販売数3位、ダウンロード数4位、PCによるCD読取数7位。約4年ぶりとなるオリジナルアルバムとなります。オリコンでは初動売上4万7千枚で3位初登場。直近作はベストアルバム「ユーミンからの、恋のうた。」で、同作の初動売上10万8千枚(1位)からはダウン。また、オリジナルアルバムとしての前作「宇宙図書館」の5万7千枚(1位)からもダウンしています。

一方、中島みゆき「ここにいるよ」が4位に初登場。CD販売数4位、ダウンロード数6位、PCによるCD読取数8位。こちらは「エール」「心に寄り添う」をテーマとした2枚組のセレクションアルバムになっています。オリコンでは初動売上4万6千枚。ユーミンとは惜しくもわずか1千枚の差でした。直近作のオリジナルアルバム「CONTRALTO」の1万7千枚(3位)からアップしています。

また7位にはザ・クロマニヨンズ「MUD SHAKES」が初登場。ザ・クロマニヨンズ自体は結成14年目の中堅バンドですが(・・・といっても、もう14年も経つんですか・・・)ご存じ、ヒロト&マーシー率いるバンドで、こちらも「ベテラン勢」と言えるでしょう。CD販売数6位、PCによるCD読取数13位。オリコンでは初動売上1万3千枚で7位初登場。直近作はライブ盤「 ザ・クロマニヨンズ ツアー PUNCH 2019-2020」で同作の初動9千枚(11位)からはアップ。オリジナルアルバムでの前作「PUNCH」の初動1万4千枚(6位)からは微減。

初登場組のもう1枚は若手シンガー。今年の紅白初出場も予定されている女性シンガーソングライターmiletのEP「Who I Am」が7位初登場。CD販売数8位、ダウンロード数2位、PCによるCD読取数35位。オリコンでは初動売上8千枚で10位初登場。前作「eyes」の2万7千枚(1位)からダウンしています。

さらに今週はベスト10返り咲き組も。先週、11位にランクダウンし、ベスト10から一度陥落した米津玄師「STRAY SHEEP」が今週、9位にランクアップ。CD販売数は19位までダウンしてしまっていますが、ダウンロード数は8位から7位にアップ。PCによるCD読取数も先週の1位からダウンしたものの2位をキープしています。これで通算17週目のベスト10ヒットとなりました。

今週のHot Albumsは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2020年12月 9日 (水)

話題のアイドルグループが1位獲得

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週は、LiSAのヒット曲を下して、話題のグループが1位獲得です。

今週1位を獲得したのはNiziU「Step and a step」。紅白出場も決定し話題のグループですが、日本のソニーミュージックと韓国のJYPエンターテイメントによる日韓合同オーディションプロジェクト「Nizi Project」により誕生した日本人による女性アイドルグループ。ある意味、和製K-POPとも言うグループで、6月にミニアルバム「Make you happy」でプレデビューという形でデビューしましたが、本作はCDもリリースされた正式なデビュー作となります。そのプレデビュー作「Make you happy」は、かなりK-POP寄りの作風でしたが本作はデビュー作だからでしょうか、どちらかというと日本のアイドル歌謡曲に寄ったような、J-POP色の強い作品になっていました。先週、4位に初登場しましたが、CDリリースにあわせてランクアップ。CD販売数、ラジオオンエア数及びPCによるCD読取数で1位獲得。ダウンロード数2位、ストリーミング数及びYou Tube再生回数は3位、Twitterつぶやき数23位という結果で、総合順位は1位を獲得。オリコン週間シングルランキングでも初動売上31万1千枚で1位初登場を記録しています。

ちなみに彼女たちは「Make you happy」も先週と変わらず9位をキープ。ダウンロード数は9位から11位にダウンしたものの、ストリーミング数は8位から7位にアップ。You Tube再生回数も5位をキープ。これでベスト10記録を23週連続に伸ばしています。

先週まで1位だったLiSA「炎」は今週2位にダウン。ただ、ダウンロード数、ストリーミング数、カラオケ歌唱回数の1位は変わらず。You Tube再生回数は2位にダウンしてしまったものの、まだまだヒットは続きそう。これで8週連続ベスト10&ベスト3入りとなっています。また「紅蓮華」は7位から8位にワンランクダウン。失速気味ではありますが、ベスト10ヒットを通算48週に伸ばしています。

3位は菅田将暉「虹」が先週からワンランクダウンしていますがベスト3をキープ。CD販売数は3位から11位に大幅ダウンしたものの、ダウンロード数3位、ストリーミング数5位、You Tube再生回数4位と上位をキープし、ベスト3ヒットをキープしています。

続いては4位以下の初登場曲ですが、今週初登場はあと1曲のみ。10位にSEKAI NO OWARI「silent」が先週の12位からランクアップしベスト10入り。TBS系ドラマ「この恋あたためますか」主題歌。今年もこの時期が来たなぁ・・・と思わせるようなクリスマスソング。分厚いサウンドのサビがメランコリックなメロで盛り上がるという、トレンディードラマ全盛期のドラマ主題歌を彷彿とさせるような典型的なJ-POPナンバーになっています。12月16日リリース予定のCDからの先行配信。ダウンロード数9位、ストリーミング数10位、ラジオオンエア数30位、You Tube再生回数17位で先行配信のみでベスト10入りを果たしました。

また今週はベスト10返り咲き組も。それが今週4位にランクインしたKing Gnu「三文小説」。日テレ系ドラマ「35歳の少女」主題歌」。先行配信でベスト10入りをしていましたが、今週、CDのリリース分が加味され、先週の14位からランクアップし、3週ぶりにベスト10返り咲きを果たしています。ちなみに大ヒットした「白日」を含む、彼がいままでメジャーでリリースしてきたシングルはいずれも配信オンリー。インディーズ時代にリリースした「Prayer X」以来、メジャーリリースとしては初のCDシングルとなります。なお、オリコンでは初動売上5万4千枚で2位初登場。その前作「Prayer X」の1千枚(31位)から大きくアップしています。

一方、ロングヒット曲では、まずBTS「Dynamite」。今週は3位から5位にダウン。ただし、ストリーミング数は先週から変わらず2位をキープ。ダウンロード数は8位から7位に、さらにYou Tube再生回数はなんと今週3位から1位にアップしています。これで16週連続のベスト10ヒットとなりました。

そしてYOASOBI「夜に駆ける」は先週の8位から7位にアップ。You Tube再生回数は9位から11位にダウンしたもののストリーミング数は先週から変わらず6位をキープ。ダウンロード数も14位から12位にアップ。先週は土俵際のきわどいチャートとなりましたが、今週はなんとか持ちこたえ、これで33週連続のベスト10ヒットとなっています。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums!

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2020年12月 8日 (火)

「2020年」を反映した2021年ブルースカレンダー

Title:2021-Classic Blues Artwork from the 1920s Calendar

Bluescalender2021

今年も出ました!毎年恒例となっていますブルースカレンダーの2021年版。このカレンダーを購入しはじめてもはや8年目。私の部屋の壁にはすっかりなじんでおり、もはやこれがないととしを越せない気分なのですが・・・(笑)。今年も無事、購入。年越しの準備も万全です。本作について説明あせていただくと、アメリカのブルース・イメージズ社が毎年発行しているカレンダー。毎月、戦前ブルースの広告イラストや戦前のブルースミュージシャンの貴重な写真を掲載したカレンダーとなっているのですが、毎年CDが付属。こちらは毎年、戦前ブルースの楽曲を収録しているほか、貴重な発掘音源も収録しており、貴重な戦前ブルースのオムニバスアルバムとなっています。

まず今年のカレンダーで印象的なのはこの「表紙」。こちらはBLIND LEMON JEFFERSONの「Pneumonia Blues」の広告イラストなのですが、「Pneumonia」とは「肺炎」のこと。1929年に録音したナンバーということで、いまから90年以上前の楽曲なのですが、本作を収録し、さらにカレンダーの表紙に起用したのは、言わずと知れた、いまなお世界中で猛威を振るう新型コロナウイルスを意識したからでしょう。2020年は、結果として新型コロナで終始する1年となっていまいましたが、今回のカレンダーはそんな2020年を反映したセレクトとなっています。

もちろんこの曲は本作にも収録されているのですが、アコースティックギターを爪弾きながら聴かせるBLIND LEMON JEFFERSONの力強いボーカルが印象に残る楽曲。こうやってオムニバスアルバムでいろいろな楽曲を並べて聴くと、余計、彼のボーカリストとしてのパワフルさとその力量を感じさせます。今回のアルバムの中でも印象に残る作品でした。

また、力強いボーカルということで今回のアルバムの中でも印象に残ったのが、REV D.C.RICE AND CONGREGATIONの「The Angles Rolled The Stone Away」。毎年、12月に相当する12曲目の楽曲には、ブルースというよりも説教師による説教のトラックが収録されることが多いのですが、とにかく血管が切れそうなほどの迫力で説教を繰り広げる内容が印象的。まあ、一歩間違えれば、昨今の新興宗教の宗教家みたいな・・・みたいにとらえられそうになるのですが、ただ、リズムを刻みながら、ソウルフルに繰り広げるそのボーカルは実に魅力的。教義の内容については英語なので聴き取れないのですが、それでもそのパワフルな説教に思わず耳を傾けてしまいます。

そして、今回のブルースカレンダーで最大の特徴は、13曲目以降に収録される未発表音源。今回はLOST JOHN HUNTERというブルースシンガーの未発表音源が13曲目以降23曲目まで全11曲収録されています。LOST JOHN HUNTER・・・・・・といっても、もちろん私も初耳のミュージシャンな訳ですが、1911年にテネシー州で生まれたとされる盲目のピアニストでありシンガーでもある彼。1950年頃に録音された音源4曲が、4スター・レコードから発売されたのみという知る人ぞ知る的なミュージシャンなのですが、そんな彼の未発表音源が一気に11曲、日の目を見ることになりました。

そんな彼の音源なのですが、まずはそのボーカルが耳をひきます。だみ声のボーカルがゆえに、非常に耳に残るボーカルが印象的。しかし、そんなインパクトあるボーカルとは裏腹に、楽曲自体はピアノを取り入れて軽快にポップにまとまっているのが特徴的で、例えば「Boogie For Me Baby」などはブギウギ調のピアノで軽快に聴かせるナンバー。「Mind Your Own Business」も軽快にポップに聴かせる楽曲となっています。かと思えば「You Gotta Heart Of Stone」はピアノをバックにしんみり聴かせる楽曲になっており、意外な繊細さも見せてくれたり・・・そんな荒々しいだみ声のボーカルとは裏腹な、軽快なピアノや意外に繊細さを見せる歌などのアンバランスさが逆に魅力的。ひょっとしたら、このアンバランスさ故に、「幻のミュージシャン」的な立場になってしまったのかもしれませんが、今となっては、それが彼の大きな魅力になっているようにも感じました。

全体的に1月から12月分に相当する1~12曲目よりも、13曲目以降の「未発表曲」が魅力的だった本作。戦前ブルースファンなら今回もたまらない選曲になっていたかと思います。あなたの部屋にも来年、このカレンダーを飾ってみてはいかがですか?お勧めです。

評価:★★★★★

2013-Classic Blues Artwork from the 1920s Calendar
2014-Classic Blues Artwork from the 1920s Calendar
2015-Classic Blues Artwork from the 1920s Calendar
2016-Classic Blues Artwork from the 1920s Calendar
2017-Classic Blues Artwork from the 1920s Calendar
2018-Classic Blues Artwork from the 1920s Calendar
2019-Classic Blues Artwork from the 1920s Calendar
2020-Classic Blues Artwork from the 1920s Calendar

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2020年12月 7日 (月)

キュートなボーカルが魅力的

Title:THE ANGEL YOU DON'T KNOW
Musician:Amaarae

本作がデビュー作となる、両親がガーナ人でアメリカ出身の女性シンガーソングライターAmaaraeのニューアルバム。日本ではまだほぼ無名といって言いミュージシャンで、まだ海外でも評判の・・・とまでは言っていないようですが、本作はPitchforkで高い評価を受け、徐々に注目度も高まっているようです。

アルバムは、いきなりパンキッシュなサウンドからスタート。え?ロック系??と思いきや、楽曲的にパンキッシュなのはこのわずか21秒のイントロ的な楽曲「D*A*N*G*E*R*O*U*S」のみ。それに続く「FANCY」はミディアム系のポップス。HIP HOP的なトラックが流れる中、ウィスパー気味のボーカルでかわいらしく聴かせるポップチューンとなっています。

その後の楽曲も、比較的ハイトーンのウィスパー気味のボーカルでかわいらしく聴かせる、HIP HOPの要素も取り入れたメロウなR&B寄りのポップチューンが並びます。「TRUST FUND BABY」などもそんな彼女のボーカリストとしての魅力を感じるかわいらしいポップチューン。それに続く「HELLZ ANGEL」も(刺激的なタイトルはともかく)HIP HOP系の楽曲なのですが、非常にキュートな歌声を聴かせてくれます。さらに「CELINE」もハイトーンのクリアボイスでキュートに聴かせるナンバー。ちょっと感じるエキゾチックな雰囲気も大きな魅力となっています。

そして終盤はメランコリックな楽曲が並び、そのキュートは歌声はそのままに、しんみりと聴かせてくれます。「SAD,U BROKE MY HEART」もタイトルからしてそのままなのですが、哀しげな楽曲。メロウな歌声でしんみり聴かせる「3AM」に、リズミカルな楽曲ながらも、悲しげなメロディーが印象的な「SAD GIRLZ LUV MONKEY」と続きます。ウィスパー気味のボーカルも相まって、胸がキュンと来てしまうそうなポップチューンが続きます。

ラストもメロウに聴かせる「PARTY SAD FACE/CRAZY WURLD」で締めくくり。こちらはメロウな歌声に色っぽさも感じるなど、ボーカリストとしての表現の幅も感じます。そしてラストは再びパンキッシュなサウンドがいきなり登場して締めくくり。アルバムの構成的にはスタートにそのままつながる感じになるのでしょうか。こういったアルバムの構成もまた非常に面白さを感じさせる作品になっていました。

ガーナ系アメリカ人ということでアフリカ的な要素も探してしまうのですが、正直言うと、アフリカ的な要素はこのアルバムではさほど感じません。数曲、トライバルなリズムを取り入れた楽曲がある程度でしょうか。ただ、トライバルなリズムも、アメリカのブラック系のミュージシャンがよく取り入れる要素であり、彼女特有といった感じではありません。そういう意味では、アフリカ音楽の要素を期待すると、若干方向性は違うのかもしれません。

もっとも、キュートなボーカルが非常に魅力的なポップシンガーで、広いリスナー層に波及していきそうなポピュラリティーを持ったミュージシャンであることは間違いなさそう。これから徐々に知名度も高くなり、日本でも注目が集まりそうな予感がします。これからが楽しみなミュージシャンです。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

POWER UP/AC/DC

オーストラリアのハードロックバンドAC/DCの約6年ぶりとなるニューアルバム。バンドメンバーのマルコム・ヤング逝去後初となるアルバムなのですが、軽快なギターリフを中心としたハードロック路線は相変わらず。ある意味、「大いなるマンネリ」ともいえるサウンドなのですが、「POWER UP」というタイトル通り、バンドサウンドにはいまなおある種の「若々しさ」すら感じる部分も。ただ、ブライアン・ジョンソンのボーカルは、さすがに寄る年波に勝てず、いまひとつ伸びがない感じも・・・。現役感があって十分楽しめるアルバムですが、いろいろと寄る年波も感じてしまう部分も否定できないアルバムでした。

評価:★★★★

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2020年12月 6日 (日)

自由さを感じる新進気鋭のSSW

Title:縫層
Musician:君島大空

今回紹介するのは、最近話題となっている新進気鋭の男性シンガーソングライター、君島大空のEP。以前、ここでも紹介したオンラインのライブフェス「森、道、市場をお茶の間で」ではじめて彼のことを知り、それ以降、気になる存在だったのですが、このたびEP盤がリリースされ、はじめて彼の音源に触れてみました。

ちょっと奇妙なタイトルは「ほうそう」と読むそうで、「内省のいつも雨が降っている場所、ひらかれた空の手前にある雲のようなもの、声や顔の塊、同音異義の包装や疱瘡という言葉の投影される場所、人がひとりの中で編み、勝手に育っていってしまう不安や喜びの渦を指す造語」だそうです。といっても、この説明だけだと何を言っているのか微妙に意味不明なのですが・・・。

その「森、道、市場をお茶の間で」ではアコギのアルペジオのみのシンプルなサウンドに、ハイトーンボイスで聴かせるボーカルが強い印象に残りました。まず今回、はじめて音源を聴いたのですが、まず感じたのは、非常に今時な感じのシンガーソングライターだな、という印象でした。

基本的にハイトーンボイスでポップで美しいメロディーラインを聴かせるというスタイルはオンラインライブで感じた印象と大きくは変わりません。ただ、今時の、と感じたのは音の使い方の自由さでした。1曲目「旅」はほぼボーカルのみで静かに聴かせるスタイルなのですが、続く「傘の中の手」ではピアノの音色にエレクトロサウンドを取り入れ、明るいポップソングに仕上げつつもサウンドにはアバンギャルドさも感じます。かと思えば「笑止」ではノイジーなギターサウンドが登場したり、「散瞳」ではむしろソフトロックといった様相のサウンドに仕上げつつ、途中からアバンギャルドなサウンドを入れてきています。

「火傷に雨」では非常に爽やかな歌を聴かせつつも、歪んだギターをヘヴィーに聴かせるサウンドとのアンバランスさがユニークですし、タイトルチューン「縫層」も様々な音を取り入れて、非常に自由なサウンドづくりを感じます。ラストの「花曇」もアコギでしんみり聴かせつつ、その中に歪んだギターノイズを放り込むなど、アバンギャルドさを感じさせる曲風が印象に残ります。

このポップでメロディアスな歌を主軸にしつつも、様々な音を取り入れ分厚く仕上げ、アバンギャルドさを感じるサウンドにまとめているのですが、このサウンドの使い方の自由さに、今時のミュージシャンっぽさを感じます。良い意味でのこだわりのなさといった感じでしょうか、次の展開が全く見えてこないサウンドは実にユニーク。にもかかわらず、しんみりとしっかり聴かせる清涼感ある歌が流れているというアンバランスさもユニークに感じました。

様々なミュージシャンへの楽曲提供なども行い、徐々に知名度も上がってきているようですが、今後、さらに注目を集めそうな予感のあるミュージシャン。その実力は間違いないと思います。これからも楽しみになってくるEP盤。次にリリースされるであろうフルアルバムも楽しみになってきます。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

period/清水翔太

前作「WHITE」以来、約2年半ぶりとなる新作となる5曲入りのミニアルバム。ここ数作、R&B/HIP HOP路線を突き進めた作品が続いていますが、本作も基本的にその路線を踏襲した作品。これはこれでポップスとして出来は悪くないとは思うのですが、ただ、以前から感じているのですが、清水翔太らしさがあまり出ておらず、よくありがちなR&Bに終始しているような印象が・・・。前作から2年半というインターバルにも関わらずミニアルバムという点も、やはりスランプ気味なのかなぁ。

評価:★★★

清水翔太 過去の作品
Umbrella
Journey
COLORS
NATURALLY
MELODY
ENCORE
ALL SINGLES BEST
PROUD
FLY
WHITE

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2020年12月 5日 (土)

差別への怒りをぶつけたライブ盤

Title:LIVE
Musician:Angel Bat Dawid

今回紹介するのは、新進気鋭のジャズミュージシャンとして注目を集めている、シカゴを拠点として活動するジャズミュージシャン、Angel Bat Dawidのライブアルバムです。作曲家、クラリネット奏者、ピアニストとしての顔を持つ彼女ですが、このジャケット写真からすると、むしろパワフルなソウルボーカルをイメージさせられるかもしれません。そして実際に、このライブアルバムを聴くと、ジャズというよりもむしろ個人的にはソウルのアルバムという印象すら抱く作品となっていました。

本作は2018年11月に行われたシカゴでのライブや、2019年11月にベルリンで行われたジャズフェスティバルの模様などを収録したライブアルバム。そんなアルバムの冒頭、いきなり「ever since I’ve been here y’all have treated me like shit!"(私はここに来てからずっとゴミみたいな扱いを受けてる!)」と叫びだし、バンドメンバーが落ち着かせようとするシーンからスタートし、ある意味、度肝を抜かれます。この言葉をわざわざライブアルバムに収録しているのは、どうもライブステージ自体(特にベルリンでのステージにおいて)現地での性差別・人種差別を目の当たりにした彼女が、差別への怒りを表現したパフォーマンスになっているそうで、ラストの「HELL」では、現地のジャズフェスティバルのパネルディスカッションの朗読を収録。ボーカルにエフェクトをかけられているため、私のつたない英語力では聴き取れないのですが、パワフルな彼女の叫びに、その怒りを強く感じるトラックになっています。

まさにそんな彼女の叫びを体現化したこのライブアルバムでは、(基本的にクラリネット奏者、ピアニストのはずなのですが)彼女のパワフルなボーカルに終始圧巻されるような内容に仕上がっています。冒頭の叫びが収録されている「Enlightenment」も自ら演奏するピアノと同化し、どんどんボーカルがパワフルに。バックに流れるフリーキーなサウンドを合わせて、リスナーを圧巻する内容になっていますし、タイトルを力強く連呼する「Black Family」も、彼女の主張をそのボーカルから強く感じることが出来ます。フリーキーなサウンドをバックに聴かせる「We Are Starzz」もメランコリックなメロに哀愁感たっぷりに力強く聴かせるボーカルが印象的ですし、事実上のラストとなる「Dr.Wattz n'em」は終始、彼女のパワフルなボーカルを前面に押し出した作品になっていました。

そんなパワフルでソウルフルなボーカルが前面に押し出された作品であるがゆえに、ジャズのアルバムというよりはソウルのアルバムという印象を受けてしまう本作。実際、ソウルやR&Bが好きな方なら、おそらく本作は気に入るのではないでしょうか。ただもちろん、ジャズの演奏もしっかりと魅力的に聴かせてくれます。基本的には、フリーキーな演奏がベースになっており、「We Hearby Declare the African」「Melo Deez from Heab'N」ではかなりダイナミックなプレイも聴かせてくれます。サイケ的な要素も強く、そういう意味ではロックリスナーも楽しめる内容かもしれません。さらに「The Wicked Shall Not Prevail」ではトライバルなパーカッションでアフリカ音楽の要素も押し出してきたりして、おそらく彼女の出自を主張しているのでしょうが、この点でもジャズにとらわれない幅広い音楽性を感じさせます。そのような様々な音楽の要素が一体となり、パワフルな演奏とともにリスナーの耳に襲いかかる本作。とにかく終始、圧倒されるライブアルバムになっていました。

聴き終わるとグッと疲れるようなライブアルバムになっているのですが、それだけ彼女のパワーがみなぎっているそんなアルバムだったように感じます。差別への怒りは、言葉の壁がある私たちにはストレートには伝わってはこないかもしれませんが、彼女の演奏を通じて、確実にリスナーの心に届いているのではないでしょうか。とにかく圧巻のライブアルバムで、生でも演奏も是非聴いてみたい、そう感じさせる内容でした。これは本当にすごいライブアルバム。是非一度、このパワーを体験してみてください。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

100 Years of Blues/Elvin Bishop&Charlie Musselwhite

ギタリストのエルヴィン・ビショップとブルース・ハープ奏者、チャーリー・マッスルホワイトの共演によるブルースアルバム。どちらも大ベテランのレジェンドとも言える彼ら。作品的には特に目新しさはない、昔ながらのブルースの作品といった感じなのですが、どちらも心の底からブルースの演奏を楽しんでいるような作品になっており、聴いていてこちらもハッピーな気分になれるようなアルバムになっていました。どちらもそろそろ80歳に近い年齢の彼ら。いつまでもお元気で!

評価:★★★★

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2020年12月 4日 (金)

今も、昔も魅力的なロックシンガー

今年、デビュー40周年を迎えた佐野元春。その区切りの年に、彼の活動を網羅したベストアルバムが2組、同時にリリースされました。

Title:MOTOHARU SANO GREATEST SONGS COLLECTION 1980-2004
Musician:佐野元春

まずは2004年まで所属していたソニーミュージックの楽曲を集めたベストアルバム。「ガラスのジェネレーション」「SOMEDAY」「約束の橋」といった代表作とも言える作品が並んでいます。

Title:THE ESSENTIAL TRACKS MOTOHARU SANO & THE COYOTE BAND 2005 - 2020
Musician:佐野元春&THE COYOTE BAND

で、こちらは2005年以降、彼が所属している、彼が立ち上げた独立レーベル「Daisy Music」からリリースされた楽曲を集めたベスト盤。「GREATEST SONGS」が全3枚組48曲、「THE ESSENTIAL TRACKS」が全2枚組32曲、合わせると5枚組80曲というフルボリュームのベスト盤となっており、一気に佐野元春の世界を味わえるベスト盤となっています。

佐野元春というミュージシャンは、アルバムがリリースされれば一通りはチェックしているミュージシャンなのですが、いままであまり自分が好きなミュージシャンかどうか、ということを意識したことがありませんでした。ただ今回、こういう形で5枚というフルボリュームのベスト盤を聴いてみて、「あれ?佐野元春というミュージシャン、自分は結構好きなんだな」ということを認識することが出来ました。このベスト盤、聴いてみて素直にワクワクできましたし、かなりのボリュームでありながらも、途中でダレることなく、最後まで楽しみながら聴くことが出来たからです。

確かに佐野元春の曲をあらためて聴くと、爽快ながらもほどよくヘヴィーなギターサウンド、孤独さを感じる若者にそっと寄り添うような歌詞、意外とポップでキャッチーさも感じるメロディーラインといい、なにげに私が好んで聴くような90年代のオルタナ系ロックバンドに通じるような方向性も感じます。ちょうど先日、某所でのインタビューで、the pillowsの山中さわおが最も影響を受けたミュージシャンとして佐野元春の名前を挙げていたのですが、確かに、佐野元春の曲の方向性としてthe pillowsにも通じる部分を感じますし、そういう意味では、多かれ少なかれ、佐野元春というミュージシャンが90年代以降の日本のオルタナシーンに与えた影響は少なくないのかもしれません。

今回、佐野元春の楽曲を、ほぼ発表順に聴くことにより、彼の歩みを知ることが出来るベスト盤。全体を通じて、比較的初期の頃から佐野元春のサウンドというものがしっかりと確立されており、全体としては楽曲のバリエーションというよりも統一感を覚える内容になっています。ただ、そんな中でエポックメイキングな作品として知られているのが「GREATEST SONGS」の1枚目に収録されている「コンプリケイション・シェイクダウン」。一時期ニューヨークで生活していた彼が、まだアメリカでも生まれたばかりであったHIP HOPに刺激されて作ったという、日本での最初のラップともいわれているこの曲。今となってはラップも日本でもありふれたものになったため、特別感はないものの、当時はかなり違和感を持って迎え入れられたんだろうなぁ、ということを感じます。

ただ、このベスト盤を通じて、時代に沿って、サウンドはそれなりにアップデートされているものの、彼自体、決して奇抜な流行のサウンドに飛びつくようなタイプのミュージシャンではありません。例えば、80年代にディスコを取り入れたり、90年代にエレクトロを取り入れたり、あるいはレゲエを取り入れたり・・・という、ありがちな展開はありません。逆にそれだけニューヨークに住んでいた時のHIP HOPがあまりに彼にとって刺激的で衝撃的だったんだろうなぁ、ということを物語っています。

また、サウンド的に変化を感じるのは「THE ESSENTIAL TRACKS」の方で、やはりバンド名義だからでしょうか、音数は増え、歌以上にバンド全体で聴かせるような楽曲がグッと増えてきているようにも感じます。また、ブルースなどのルーツ志向も感じ、いい意味で円熟味が増してきているのも「THE ESSENTIAL TRACKS」に収録されている楽曲たち。「GREATEST SONGS」の初期の作品のような、若々しい勢いのある楽曲との聴き比べもまた、楽しかったりします。

もっとも、じゃあ「THE ESSENTIAL TRACKS」の曲が、「GREATEST SONGS」に比べて悪い意味でマンネリ化してしまい、悪い意味でのベテランミュージシャンらしい棺桶に片足を突っ込んだような曲になっている・・・という訳ではないのがおもしろいところ。実際、ここ最近の佐野元春のアルバムは傑作が続いていますし、サウンド的には円熟味は増し、若い時のような勢いは感じなくても、まだまだ現役感あふれる、ベテランの彼にとっては彼なりの「勢い」を感じさせる曲が並んでいます。多くの方が知っているヒット曲も多い「GREATEST SONGS」に比べると、楽曲的な知名度はあまり高くないかもしれませんが、「THE ESSENTIAL TRACKS」も文句なしにお勧めできる名曲が並んでいます。

全5枚にも及ぶCDで佐野元春の活動を俯瞰できるベストアルバム。そしてどの時期の彼も、実に魅力的でした。個人的には予想以上に楽しめた佐野元春のベストアルバム。日本の音楽シーンにおいて彼の存在の重要性はまだまだ高まっていきそう。彼の魅力を存分に感じられたベスト盤でした。

評価:どちらも★★★★★

佐野元春 過去の作品
ベリー・ベスト・オブ・佐野元春 ソウルボーイへの伝言
月と専制君主
ZOOEY
BLOOD MOON
MANIJU
自由の岸辺(佐野元春&THE HOBO KING BAND)
或る秋の日


ほかに聴いたアルバム

BURN THE SECRET/WANDS

90年代のビーイング系ブームの最中に数多くのヒットを飛ばして絶大な人気を博したバンドWANDS。メインボーカルの上杉昇とギターの柴崎浩が脱退した後、全く関係ないメンバーを入れて再始動するなど、悪い意味でビーイングらしい節操のなさも目立ったバンドですが、このたび再始動。ただ今回はボーカルこそ新メンバーなのですが、ギターは柴崎浩、キーボード木村真也という全盛期のメンバーが戻ってきており、そういう意味ではちゃんとWANDSを名乗ってしかるべきメンバーにはなっています。本作は往年のヒット曲もセルフカバー。懐かしさもあって、チェックしてみたのですが・・・・・・

率直な感想としては予想していたよりも厳しい・・・。サウンド的には90年代のJ-POPそのままなのですが、かなりスカスカかつチープなサウンドで、90年代J-POPのパロディとしてすら成立していないレベル。ボーカリストも端正なアイドルばりのボーカリストなのですが、如何せんボーカリストとしての表現力は上杉昇に対して大きく見劣っています。大ヒットした「もっと強く抱きしめたなら」もカバーしているのですが、「こんな感じの曲だったっけ?」と思ってオリジナルを久しぶりに聴いたら、ボーカルにしてもアレンジにしても断然オリジナルの方が上。昔のヒット曲をカバーしているあたり、(私もそうなのですが)リアルタイムでWANDSを聴いていたようなアラフォー世代を狙った再結成企画なのでしょうが、正直、あらゆる点が中途半端という印象を受けてしまいました。「WANDS、懐かしい・・・」という感じた私の同世代の方は、素直に90年代のオリジナルのベスト盤などをチェックした方がよいかと。

評価:★★

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2020年12月 3日 (木)

K-POP&配信発アイドル…いまどきのチャート(?)

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週の1位は大人気のK-POPアイドルのアルバムが1位獲得です。

今週1位を獲得したのはBTSのミニアルバム「BE」。CD販売数及びダウンロード数2位、PCによるCD読取数が3位に留まりましたが、総合順位では見事1位を獲得しました。基本的に韓国販売のアルバムで、輸入盤が基本的にCD販売数でカウントされないはずなのですが、なぜかCD販売数でもランクイン。UNIVERSAL MUSIC STOREなど国内のレコード会社経由でも販売されているからでしょうか?オリコン週間アルバムチャートでも初動売上19万1千枚で1位初登場。直近は国内リリースのアルバム「MAP OF THE SOUL:7~THE JOURNEY~」で、同作の56万4千枚(1位)よりダウン。韓国盤での前作「MAP OF THE SOUL:7」の初動37万6千枚(1位)からもダウンしています。

2位にランクインしたのはJO1「The STAR」。吉本興業と韓国のCJ ENMによる合弁会社LAPONEエンタテイメント所属の男性アイドルグループで、韓国で人気を博したオーディション番組「PRODUCE 101」の日本版「PRODUCE 101 JAPAN」の合格者によるグループ。そんな訳で、ある意味、NiziUや、あるいは「PROCUDE48」出身のIZ*ONEと並ぶような「和製K-POP」という感じのアイドルグループ。本作がデビュー作になります。CD販売数は1位を獲得しましたが、ダウンロード数で5位、PCによるCD読取数は6位に留まり、総合順位は2位に。オリコンでは初動売上15万8千枚で2位初登場となっています。

3位初登場は浦島坂田船「RAINBOW」。動画配信サイトで歌を披露していた「歌い手」4人が結成したユニット。CD販売数3位、ダウンロード数26位、PCによるCD読取数8位。オリコンでは初動売上5万8千枚で3位初登場。前作「$HUFFLE」の7万9千枚(2位)からはダウンしています。

そんな訳で今週のベスト3。1位2位はK-POP系アイドル、3位は配信サイト発のアイドルグループと、いずれも「今どき」といった感じのアルバムが並ぶチャートとなっています。今週、4位以下の初登場でも6位にスマートフォンアプリや配信動画サイトなどで活躍するバーチャルアイドルグループにじさんじの派生グループRain Drops「オントロジー」がランクインしています。CD販売数9位、ダウンロード数4位、PCによるCD読取数24位。オリコンでは初動売上1万4千枚で10位初登場。前作「シナスタジア」の初動1万6千枚(2位)からダウンしています。

さて、他の初登場盤としてはまず5位にZOOL「einsatZ」がランクイン。スマホアプリゲーム「アイドリッシュセブン」に登場する架空のアイドルグループで本作がデビュー作となります。CD販売数及びダウンロード数6位、PCによるCD読取数27位。オリコンでは初動売上1万7千枚で7位初登場。

そして7位にはEnd of the World「Chameleon」が初登場。CD販売数5位、ダウンロード数19位。End of the Worldを直訳すると「世界の終わり」。要するに、SEKAI NO OWARIの変名バンドなのですが、彼らが以前から行っている海外での活動の際に使用している名義。いままで配信限定のシングルはリリースされていたのですが、同名義でのアルバムリリースは初となります。オリコンでは初動売上1万8千枚で6位初登場。SEKAI NO OWARI名義の前作は2作同時リリースの「LIP」「EYE」でしたが、両作の初動7万7千枚(1位)、7万5千枚(2位)からは大きくダウンしています。ただ本作は、CDでのリリースはAmazon限定という形で限られた形でのリリースだったため、配信で聴いたファンが多いのかもしれません・・・という割にはダウンロード数は19位止まりなのですが・・・。

そして8位9位には山下達郎のアルバムが2作同時にランクイン。8位は「僕の中の少年(2020 Remaster)」、9位は「POCKET MUSIC(2020 Remaster)」。「僕の中の少年」は1988年、「POCKET MUSIC」は1986年にそれぞれリリースされたアルバムなのですが、それらのアルバムが今回、最新の技術でリマスタリングし、再発売されました。このような再発版がベスト10入りしてくるあたり、山下達郎の根強い人気を感じます。オリコンでは「僕の中の少年」が初動1万7千枚で8位、「POCKET MUSIC」が初動1万6千枚で9位初登場。直近作は企画盤「COME ALONG 3」で、同作の2万8千枚(4位)からはいずれもダウンしています。

今週の初登場盤は以上。一方、今週、長らくロングヒットを続けていた米津玄師「STRAY SHEEP」は5位から11位にダウン。連続ベスト10ヒットは16週で途切れてしまいました。また、先週ベスト10に返り咲いたあいみょん「おいしいパスタがあると聞いて」は一気に20位までダウン。こちらはさすがにベスト10ヒットは通算10週で終了でしょうか・・・。

今週のHot Albumsは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2020年12月 2日 (水)

珍しくアイドル系が目立つ

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週のHot100は、Hot100では珍しくアイドル系が目立つチャートとなっています。

ただ、そんな中でも相変わらず強いのがLiSA「炎」。ご存じ、大ヒット中の映画「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」主題歌として今週も2週連続の1位を獲得しています。ダウンロード数、ストリーミング数、You Tube再生回数、カラオケ歌唱回数の4部門で1位を獲得。さらに先週2位にダウンしていたPCによるCD読取数も1位に返り咲き、ラジオオンエア数も9位から7位にアップ。CD販売数も6位をキープとその強さは衰えていません。これで7週連続のベスト10&ベスト3入りとロングヒットとなっています。ただ一方で「紅蓮華」は6位から7位にダウン。ベスト10ヒットは通算47週に伸ばしていますが、若干失速気味です。

2位は菅田将暉「虹」が先週の7位からアップし、ランクイン3週目にしてベスト3入り。これはCDの売上が加味された結果で、CD販売数は今週3位にランクイン。ダウンロード数も3位から2位に、ラジオオンエア数は13位から1位にアップ。ストリーミング数も先週の5位をキープしています。オリコン週間シングルランキングでは初動売上1万9千枚で2位にランクイン。前作「ロングホープ・フィリア」の1万2千枚(12位)からアップしています。

そして3位はアイドル系。BTS「Dynamite」が先週の4位から3位にランクアップ。4週ぶりにベスト3に返り咲き、ベスト10ヒットを連続15週に伸ばしています。ストリーミング数2位、You Tube再生回数3位は先週から変わらず。さらにダウンロード数も19位から8位に一気にランクアップしています。

さらに今週、「Life Goes On」が先週の22位からランクアップし、ベスト10入りを果たしています。ダウンロード数は42位でしたが、ストリーミング数及びラジオオンエア数9位、You Tube再生回数5位、Twitterつぶやき数が16位にランクイン。今週、Hot Albumsにランクインしているミニアルバム「BE」の収録曲。これでBTSは2曲同時ベスト10入りとなっています。

続いて4位以下の初登場曲ですが、4位にNiziU「Step and a step」が初登場。12月2日リリースされた、彼女たちのCDデビュー曲ですが、ダウンロード数3位、ストリーミング数4位、ラジオオンエア数8位、Twitterつぶやき数6位、You Tube再生回数2位と軒並み上位にランクインし、先行配信でのベスト10入りになりました。来週はCD販売数が加味されるため、さらに上位にランクインされそうです。

さらにNiziUは「Make you happy」も先週から変わらず9位をキープ。ダウンロード数9位、ストリーミング数8位は先週から変わらず。You Tube再生回数は5位から4位にアップしています。これで22週目のベスト10ヒット。「Step and a step」のヒットに吊られて、再び上位返り咲きもあるのでしょうか。これでNiziUも2曲同時ランクインとなりました。

そして初登場もう1曲も声優と兼業による女性アイドルグループ=LOVE「青春"サブリミナル"」で、CD販売数は同作が1位獲得。ただ、ダウンロード数82位、ラジオオンエア数42位、PCによるCD読取数15位、Twitterつぶやき数29位と振るわず、総合順位は5位に留まりました。オリコンでは初動売上9万9千枚で同作が1位獲得。前作「CAMEO」の15万5千枚(2位)からダウンしています。

そんな訳でBTS2曲、NiziU2曲、=LOVE1曲と計5曲がアイドル系となった今回のチャート。特にK-POP系の強さが目立ちます。年末に向けて、BTSとNiziUはさらにヒットを伸ばしていくのでしょうか。

一方ロングヒット系ではYOASOBI「夜に駆ける」が5位から8位にダウン。連続ベスト10記録を32週連続に伸ばしているものの、ダウンロード数は9位から14位、ストリーミング数が3位から6位、You Tube再生回数が2位から9位に軒並み大きくダウンし、厳しい結果となっています。ここでもうひと踏ん張りするのか、それとも・・・。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums!

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2020年12月 1日 (火)

歌謡曲への愛情がストレートに伝わる

今回は、最近読んだ音楽関連の書籍の紹介。今回紹介するのは、当サイトでもたびたび紹介しているシンガーソングライター町あかりによる「町あかりの昭和歌謡曲ガイド」です。彼女は、もともと非常に歌謡曲への造詣が深いミュージシャン。彼女の歌う曲自体、昭和歌謡曲をそのまま今の時代によみがえらせたようなスタイルですし、2016年にリリースした「あかりの恩返し」というアルバムは、「町あかりが今まで影響を受けてきた歌手のみなさんに楽曲提供の依頼を受けたら」というコンセプトで曲を書き上げるという内容になっており、歌謡曲への愛情をストレートに感じるアルバムになっていました。

そんな彼女の書いた一冊。ただ、「昭和歌謡曲ガイド」と題していますが、昭和歌謡曲を知るためのガイドブックというよりも、どちらかというと彼女が好きな昭和歌謡曲について書いたエッセイ集という感じが強くなっています。1991年生まれの彼女は、完全に後追いで歌謡曲を聴いた世代。かく言う私もリアルタイムで歌謡曲を愛好していた世代ではないので、後追いで歌謡曲を聴いたりしたのですが、私の場合は「あの頃ヒットした曲」をまずは聴くという、ある意味「お勉強」的な聴き方をしました。しかし彼女の場合はYou Tubeなどで出会った気に入った曲を片っ端から聴いていくというスタイル。そのためここで紹介されている曲は決してメジャーな曲ではなく、むしろ「知る人ぞ知る」的な曲が少なくありません。また世代的にも彼女が好みという1978年近辺にデビューしたアイドルや歌手の曲がメインであり、昭和歌謡曲を網羅的に取り上げているものではありません。この曲をガイドブックとして歌謡曲を聴き進めても、おそらく「昭和歌謡曲」の全体像は見えてはこないように思います。

ただ、そんな「エッセイ集」であるからこそ、1曲1曲の紹介文がそれぞれ、実に彼女の思いのつまったような文章となっています。彼女とその曲との出会いや、惹かれた理由、彼女がその曲を愛した理由がこれでもかというほど書かれており、彼女の歌謡曲に対する愛情を深く感じることの出来る内容になっていました。文章は彼女の語り口そのままということもあってか非常に読みやすい文体になっており、各曲に関するエピソードもいろいろと述べられているのですが、若干29歳とは思えないような歌謡曲への詳しさに舌を巻くような内容になっており、本当に彼女は歌謡曲が好きなんだなぁ、と素直にほほえましくなるような内容になっています。

また、この手の昭和歌謡曲の紹介だと、よくあるパターンなのですが、歌謡曲を持ち上げるあまり、90年代以降のJ-POPや現在の音楽、時としては同世代のニューミュージック、フォーク系の楽曲を貶めるような文章が出てくるケースが多々あります(個人的に非常に苦々しく感じるので繰り返して強調しますが、本当に多々あります)。しかし、本書の中にはそんな記載は一切ありません。基本的にはただただ歌謡曲への愛情をつづっていますし、途中、星野源なども登場するのですが、何気に彼女も星野源の「恋」にはまったらしく、ポジティブな文脈として登場してきます。おそらく彼女は歌謡曲云々以前に、まずは「音楽」が好きなんでしょうね。そんな音楽自体への愛情も強く感じました。

ただちょっと残念に感じる部分もあって、まず1点目に、その曲が誕生した頃の音楽シーンや社会情勢のような、曲の背後についてほとんど触れられていない点に物足りなさも感じました。まあ、もっともこの点については、彼女は決して「研究家」ではなく、なによりも純粋に曲自体が好きなんでしょうから、無理に楽曲が誕生した背景にまで言及する必要はないのかもしれません。ただ、もう1点の方はかなり残念な点なのですが、曲紹介に、彼女のシンガーソングライターとしての視点がほとんどなかった点。歌詞についての言及はあるものの、メロディーラインやコード進行の妙、作る側の立場としておもしろさを感じる点、のようなシンガーソングライター的な視点がほとんどありませんでした。良くも悪くも歌謡曲のいちファンとしての立場で書かれたエッセイになっているのですが、彼女は間違いなくシンガーソングライターとして「プロ」なんだから、普通の「歌謡曲ファン」には出せない、プロとしての視点も聴いてみたかったな、という点は残念に感じました。

そんな残念な点はありつつも、全体といては歌謡曲への愛情が伝わる、そして取り上げられた楽曲について一度聴いてみたくなる、そんなエッセイ集でした。ただ純粋に、昭和歌謡曲全体について詳しく知りたい、という方にとっては若干拍子抜けしてしまう内容かもしれません。その点は注意かも。逆にこの1冊ではじめて町あかりを知ったのなら、次は彼女の曲も、是非チェックしてみてくださいね。

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