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2020年11月15日 (日)

様々なミュージシャンが参加(CHAIも!)した自由度の高いアルバム

Title:Song Machine: Season One – Strange Timez
Musician:Gorillaz

blueのデーモン・アルバーンと、イギリスの漫画家・イラストレイターのジェイミー・ヒューレットによる架空のバンドプロジェクトGorillaz。当初は企画モノ的なプロジェクトとみられてきたGorillazですが、当初の結成から22年目に突入。ともすればblur以上の成功すらおさめており、すっかり「ベテランバンド」の仲間入りをした彼ら(?)。そんなGorillazは今年の初頭から「Song Machine」というプロジェクトをスタート。これはGorillazが様々なミュージシャンと組んで楽曲政策を行うプロジェクトで、そんなプロジェクトの中で発表されたアルバムを今回まとめた、約2年ぶりのニューアルバムが本作となります。

そんなGorillazのニュープロジェクトに集まったメンバーはとにかく豪華で、The Cureのロバート・スミスにエルトンジョン、Beckなどといったベテラン勢から、St Vincentやslowthaiのような注目の若手ミュージシャンまで、ロックやポップス、ソウルやHIP HOPなど、実に多彩な音楽性を持ったミュージシャンが並んでいます。

また、それに従い、収録されている楽曲も実にバラエティー富んだ作品が並んでいます。テンポよく疾走感あるロックチューンの「Strange Timez」からスタートし、Beckが参加した「The Valley of The Pagans」は、Beckらしいともいえる軽快なポップチューン。日本人にとってなじみ深いゲームを題材とした「Pac-Man」はダウナーなラップを入れた、ちょっとコミカルな感のあるポップチューンですし、エルトン・ジョンの参加した「The Pink Phantom」はメロウなソウルチューンとなっています。

その後も、ちょっと80年代的な打ち込みが入ったエレクトロポップの「Aries」、マリのシンガー、Fatoumata Diawaraが参加した「Désolé」は、まさにデーモン・アルバーンの趣味性も反映されたトライバルな雰囲気を兼ね備えた楽曲になっていますし、本編ラストを飾る「Momentary Bliss」はblurの楽曲に似たような要素も感じる、パンキッシュなギターロックチューンで締めくくり。どこかコミカルな雰囲気も感じられる点もGorillazらしいと言えるかもしれません。

デーモン・アルバーンの興味に取り入れつつも、参加ミュージシャンの音楽性に沿ったバラエティー富んだ作品に仕上がっています。もともとGorillazの楽曲は非常に自由度の高い曲が並んでいるのですが、今回のアルバムはそんな中でも特に自由度の高いアルバムに仕上がっていたと思います。これだけ自由度がありつつ「バンド」として破綻していないのは、Gorillazがバーチャルバンドであるが所以でしょうし、またこの自由度があるからこそ、20年以上という長い期間、このプロジェクトは維持できたのでしょう。また一方、どの楽曲もデーモン・アルバーンが持っているポップスセンスあふれるメロディーラインが流れており、それが自由度の高いアルバムの中でひとつの統一感となっています。この点もGorillazの大きな魅力に感じました。

そして今回のアルバムで一番の注目は、ここでも何度か紹介している日本人ミュージシャンCHAIが参加していることでしょう。本編ではなくデラックスエディションに収録されている「MLS」での参加なのですが、「日本人ミュージシャンが参加」といってよくありがちな、日本盤のボーナストラックに参加している、という感じではなく、全世界向けのアルバムの中で参加しています。楽曲はCHAIらしいダウナーな雰囲気のまったりとしたミディアムチューンなのですが、日本語も登場。ボーカルといいCHAIらしいメロディーラインといい、しっかりとCHAIらしさが出ている楽曲になっていました。

ちなみに本作、Season Oneというタイトルがついていますが、このプロジェクトはまだまだ続く、ということなのでしょうか?それだったら、これからも様々なミュージシャンとのコラボが期待できそう・・・。もっとも、この手のプロジェクト、Season Oneなどと名付けながら、いつまでたってもSeason Twoに続かないケースは多々あるので(笑)、過剰な期待をしないで待っていたいと思います。さてさて。

評価:★★★★★

GORILLAZ 過去の作品
D-Sides
Plastic Beach
THE FALL
The Singles Collection 2001-2011
Humanz
The Now Now

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