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2020年11月 6日 (金)

往年のロックバンドらしいロックバンド

Title:Strange Days
Musician:The Struts

イギリスのロックバンド、The Strutsの3枚目となるニューアルバム。70年代、ともすれば60年代あたりのロックバンドを彷彿とさせるようなジャケット写真もそうですが、ある意味、いかにもロックバンドらしいといった表現がピッタリとくる彼ら。もともとイギリスでもライブを中心に徐々に人気をあげてきており、本作ではイギリス公式チャートで自身最高位となる11位を記録。確実に、ファン層を広げてきています。

そのジャケット写真もそうですが、彼らの楽曲はいかにもロック然としたロックといった感じ。ハードロックやグラムロックの影響をストレートに受けた楽曲が印象的で、特に70年代後半や80年代あたりの、ロックというジャンルが最も「ポップ」で、人気の高かった時代のサウンドをそのままこの時代に引き継いだような、そんな作風が印象的です。

タイトルチューンである1曲目「Strange Days」はかのロビー・ウイリアムズがゲストボーカルで参加。スケール感あるサウンドで、どちらかというとロックというよりもポップ寄りの作品になっているのですが、2曲目「All Dressed Up(With Nowhere To Go)」は、イントロのギターリフは、ストーンズからの影響を強く感じる一方、ボーカルのシャウトはいかにも80年代的で一種のなつかしさを感じます。

続く「Do You Love Me」や、デフ・レパードのジョー・エリオットとフィル・コリンが参加した「I Hate How Much I Want You」は完全に80年代の産業ロックを彷彿とさせるようなダイナミックなナンバー。ひょっとしたら、この曲を10年くらい前に聴いたら「ダサい」という印象すら受けていたかもしれません・・・。ただ、時代が一回りしたということもあるでしょうし、やはりダイナミックなバンドサウンドが魅力的という点もあるのでしょう。今聴くと、懐かしさと同時にカッコよさを感じさせる楽曲になっています。

しかし、このアルバムの中で文句なしにカッコよかったのはちょうど中盤、5曲目の「Wild Child」でしょう。この曲、あのトム・モレロがギターで参加。彼の奏でるヘヴィーなギターリフだけで楽曲がグッと引き締まる、文句なしにカッコいい楽曲。The Strutsが、というよりもトム・モレロの実力による部分も大きいのですが、アルバムの中でも断トツにカッコいいサウンドを聴かせてくれます。

後半も、いかにもハードロック然としたロックバラード「Burn It Down」や、AOR風の「Another Hit Of Showmanship」、さらにモータウンビートを取り入れて軽快なハードロックチューン「Can't Stop」など、80年代テイストをふんだんに盛り込んだ、懐かしさ満載のロックナンバーが続いていきます。アラフォー、アラフィフ世代には、感涙モノと言える楽曲ばかりようにも感じます。

そんな訳で往年のロックバンドらしい楽曲がならんだアルバム。ただ、今の時代となっては逆に新しさと、その突き抜けぶりからはむしろカッコよさすら感じさせる、そんなアルバムになっていました。正直なところ、上にも書いた通り、このアルバムを10年前に聴いたら、「ダサい」と感じてしまったかもしれません。もっとも、昔の産業ロックバンドみたいな大味な部分はあまりなく、ルーツロックをはじめ様々な音楽からの影響や楽曲のバリエーションも感じさせてくれます。間違いなく、ロック好き、それもひと昔前のハードロックが好きならはまってしまうアルバム。まだまだ人気が伸びそうな予感のする1枚でした。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Blue Note Re:Imagined

イギリスのデッカ・レコードとジャズの名門レーベル、ブルーノートがタッグを組んでリリースしたコンピレーションアルバム。Blue Noteの名曲の数々を現代のジャズミュージシャンがカバーしたアルバム。全体的に今風なアレンジでBlue Noteの名曲の数々を再解釈した曲が並んでいるのですが、大胆な再解釈というよりは、原曲を今風にリアレンジといった印象の楽曲が多かったような。全体的にはメロウなサウンドで幅広いジャズリスナーが楽しめそうなコンピレーションアルバムでした。

評価:★★★★

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