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2020年11月 2日 (月)

メランコリックなメロが魅力のポストハードコアバンド

Title:Lament
Musician:Touche Amore

最近、ここで紹介する期待のロックバンドが増えてきているように思います。先日紹介したIDLESもそうですし、ロックバンドというよりもSSWですが、Bartees Strangeもロック寄りのミュージシャンですし、私的ベストアルバムで上半期1位としたDoglegもそうですし、ここ最近、ヒットシーンはすっかりHIP HOP勢に占拠され、ともすれば「脇役」的な位置づけになりつつあるロックですが、やはり分厚い爆音に圧倒されたいという欲求は強いのでしょうか、勢いのあるロックバンドが増えてきているように思います。

今回紹介するバンドもそんなバンドの一組、と言えるでしょうか。ロサンジェルスやカリフォルニアをベースに活動する「ポストハードコアバンド」Touche Amore。最近出ていた…といった感じではなく、結成は2007年。このアルバムは既に6枚目となるオリジナルアルバムになりますので、既に中堅、ともすれば「ベテラン」の領域に入るミュージシャンと言えるかもしれません。

基本的に彼らのスタイルは、分厚いバンドサウンドをこれでもかというほどの勢いで攻めてくるハードコアバンド。ボーカルは終始、シャウトしているスタイルがメインとなっており、疾走感あるリズムも魅力的になっています。特に前半は1曲目を飾る「Come Heroine」からスタートし、タイトルチューンである「Lament」「Feign」と分厚いサウンドで疾走感あるハードコアのナンバーが続いており、聴いていて、その音圧が非常に心地よい楽曲が並びます。

そのため、楽曲のタイプ的には先日紹介したIDLESに近いようなタイプのバンドと言えるかもしれません。ボーカルのスタイルがシャウトが基本なのも共通項。IDLESはイギリスのバンドですので、彼らはそれに対抗する(?)アメリカのポストハードコアバンド・・・・・・と言えるかもしれません。

ただ、圧倒的なサウンドの分厚さで攻めてくるIDLESに比べると、彼らのサウンドはもうちょっとあっさりとした印象もあります。また、IDLESも意外とポップなメロディーラインが大きな魅力なのですが、一方、彼らについても意外とポップで、そしてメランコリックさを感じるメロディーラインが大きな魅力。例えば前述のタイトルチューン「Lament」もボーカルがシャウトするメロディーは意外と哀愁感を覚えますし、ほかにも、例えば中盤の「Savoring」などもボーカルのスタイルは他の曲と同様にシャウトしているのですが、メロディーラインは非常にポップで、メロディアスという印象すら受ける曲になっています。

終盤の「Deflector」もメランコリックなメロディーラインが魅力になっていますし、最後を締めくくる「A Forecast」も中盤から分厚いバンドサウンドが入ってくるのですが、前半は静かなピアノの弾き語りに。こちらもメランコリックな歌が大きな魅力になっています。ここらへん、IDLESに比べると、よりメランコリックさが大きな魅力になっているように感じます。

おそらくIDLESあたりが気に入るのならば間違いなく気に入りそうな、そのハードコアなサウンドが大きな魅力のロックバンド。逆に、彼らが好きならIDLESなんかも好きなんだろうなぁ。まだまだ日本では無名のバンドですが、こちらも今後、徐々に人気が伸びてくるかもしれません。ロック好き要注目の1枚です。

評価:★★★★★

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