「残酷な天使のテーゼ」が頭の中で流れ続けています・・・。
Title:EVANGELION FINALLY
特に「エヴァンゲリオン」シリーズについて事細かに追いかけているわけでもないので、このアルバムについてもヒットチャートに顔を出した段階ではじめて知りました。「エヴァンゲリオン」シリーズ25周年アニバーサリー企画の第3弾としてリリースされた、いままで「エヴァンゲリオン」のアニメや劇場版なので使用されたヴォーカル楽曲を集めたセレクションアルバム。「事細かに追いかけている訳ではない」とは書いたのですが、「エヴァンゲリオン」が最初にブームになった、私が大学生の頃、友人に勧められて、テレビシリーズを一通り見て、劇場版のうち、最初の2作「シト新生」と「Air/まごころを、君に」を見に行った程度にははまってはいたので、今回のアルバムに懐かしさを感じて、アルバムもチェックしてみました。
そんなアルバムの冒頭を飾るのは、もちろん「エヴァンゲリオン」の曲といったらこれ。高橋洋子の「残酷な天使のテーゼ」。高橋洋子自体、失礼ながらもこの曲と、やはり「エヴァンゲリオン」の主題歌の「魂のルフラン」の、事実上の「2発屋」なのですが、この2曲だけでおそらく一生食いっぱぐれないだろうなぁ、と感じるほどの、アニソンのスタンダードナンバーとしてすっかり定着しています。ただ、あらためてこの曲を聴くと、楽曲としての強度が半端ありません。聴いた後、いまでも頭の中に、良くこの曲が流れ続けています(笑)。
もっともこの曲、この楽曲としての強度も含めて、確かにアニソンとしてもJ-POPとしても非常によく出来ている楽曲だなぁ、ということは今回、強く感じました。サビからはじまるスタートに、ほどよくインパクトのあるAメロ。そしてBメロから盛り上げて一気にサビに流れ込む展開はまさにJ-POPの典型例といった感じ。逆にマイナーコード主体で進行していくコード進行やダイナミックなサビの展開はいかにもアニソン的ですし、歌詞も「エヴァンゲリオン」の世界観に上手くマッチして、ちょっと謎めいたファンタジックな歌詞も強いインパクトがあります。
ただ、J-POPとしては良くも悪くも「様式化」されているという印象もあり、この「様式美」的な部分もなた、この楽曲の持つインパクトに一役買っているのかな、といった印象も受けます。こういう「様式美」的な部分も、ある種のアニソンには良く見られる要素で、良くも悪くも「アニソンっぽい」と感じさせる要因になっている感もあります。実際、今年、「鬼滅の刃」の主題歌として大ヒットしている「紅蓮華」も、マイナーコード主体のコード進行にダイナミックなサビという展開は、「アニソンとしての様式美」に準じた作風になっており、ある意味、20年以上前の作品から、根本的な部分があまり変わっていないという点は、「アニソン」が一部熱烈的な支持を受ける一方で、音楽的には一部の曲を除いて、あまり高い評価を受けない理由のようにも感じました。
もっとも、この曲で使用されている曲でいかにも「アニソン」的な曲は、「残酷な天使のテーゼ」と「魂のルフラン」くらいであり、その他の曲に関しては、ジャジーだったり、クラッシック音楽的だったりムーディーだったり、もうちょっと音楽的に「大人な雰囲気」を狙ったような感もあります。それはそれで、まだ、今よりも「子供が見るもの」と思われていた、20年以上前の「エヴァンゲリオン」の世界観に、もっと大人の雰囲気を与える要素として機能していた・・・ような記憶があります。
懐かしさを感じつつ聴くことが出来た本作ですが、一方で「残酷の天使のテーゼ」と「魂のルフラン」の2曲のインパクトがあまりにも強すぎて、聴いた後、他の曲の印象が薄くなってしまった感も・・・。また、アルバムの構成としては非常に残念なのですが、ボーカル曲がフル収録されていないという点で非常に中途半端。新劇場版の主題歌を歌った宇多田ヒカルの曲は未収録ですし、Finallyを名乗るにはかなり中途半端な感が。そういう意味ではちょっと残念な感のあるアルバムではありました。
評価:★★★
ほかに聴いたアルバム
PERSONALITY/高橋優
いままで所属していた事務所、アミューズを退所し、個人事務所に移籍した後の第1弾となるニューアルバム。そのタイトルといい、眼鏡をはずして白い壁をバックに白い服をきたジャケット写真といい、心機一転の新たな一歩といった感じになるのでしょうか。ただ、基本的には彼の曲はいつものスタイル。良くも悪くも力強さと暑苦しさがインパクトとなっている楽曲が並びます。それだけに基本的に歌詞のインパクトの有無が彼のアルバムの出来を左右するのですが・・・正直言って、今回のアルバムに関しては、「これ」といって耳に残るフレーズがなかったというのが事実。一番インパクトがあったのが、おそらく「東京うんこ哀歌」で、タイトル通りに「うんこ」について歌った曲なのですが・・・個人的には狙いすぎな感がして今一つ・・・というか、この曲、ブリーフ&トランクスが歌ったら、かなりピッタリくるように感じるのですが・・・。まあ、基本的にいつも通りなので、ファンには安心して聴けるような作品といった感じでしょうか。個人的には次回作に期待、かな。
評価:★★★
高橋優 過去の作品
リアルタイム・シンガーソングライター
この声
僕らの平成ロックンロール(2)
BREAK MY SILENCE
今、そこにある明滅と群生
高橋優 BEST 2009-2015 『笑う約束』
来し方行く末
STARTING OVER
年中模索/スターダストレビュー
デビュー40周年を迎えた彼らの、約2年ぶりとなるニューアルバム。基本的にはいつも通りの、非常に安定感あるポップスを聴かせてくれるのですが、そんな中でも本作は、かなりバラエティー豊富な作品が目立つ内容に。ロックンロールから大滝詠一風のスイートなポップス、シンセを取り入れたポップチューンやアコギでしんみり聴かせるナンバーなど。基本的には「卒なくこなしている」という印象も受けるのですが、ベテランバンドの彼ららしい、音楽的な素養の深さも感じさせるアルバムになっていました。
評価:★★★★
スターダストレビュー 過去の作品
31
ALWAYS
BLUE STARDUST
RED STARDUST
太陽のめぐみ
B.O.N.D
Stage Bright~A Cappella & Acoustic Live~
SHOUT
スタ☆レビ-LIVE&STUDIO-
還暦少年
STARDUST REVUE 楽園音楽祭 2018 in モリコロパーク
スターダスト☆レビュー ライブツアー「還暦少年」
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「アルバムレビュー(邦楽)2020年」カテゴリの記事
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