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2020年11月 3日 (火)

キュートでポップ

Title:Fake It Flowers
Musician:beabadoobee

昨年、若干18歳の女性シンガーソングライターが大きな話題となりました。ビリー・アイリッシュ。アメリカ出身の彼女はティーンエイジャーの本音を綴った歌詞が大きな話題となり、今年のグラミー賞で主要4部門を含む5部門を受賞し大きな話題に。その後、グラミー賞受賞でようやく日本でも話題となり、ヒットを記録しました。

そのアメリカのビリー・アイリッシュに対抗…したわけではないと思うのですが、イギリスからすい星のごとく現れ、一気に大きな話題となった女性シンガーソングライターが彼女。名前は「ビーバドゥービー」と呼ぶらしく、本名はBeatrice Laus。もともとフィリピンのイロイロ市出身で、3歳の時にロンドンに移り住んだそうです。このジャケット写真だとちょっとわかりにくいのですが、ルックス的には完全にアジア系なので、日本人にとっても親しみが持てそうです。

もともと彼女のファンが動画サイトにアップした「Coffee」という楽曲が、数日で30万回以上再生されるなど話題となり注目を集め、2019年にはNMEアワードの新人賞を受賞。さらにイギリスの新人ミュージシャンの登竜門ともいえる「BBC Sound of 2020」にもノミネートされて話題となりました。さらに本作ではイギリスのナショナルチャートで8位を獲得。名実ともにブレイクしています。

そんな話題の彼女ですが、もともとスマパンやソニックユース、マイブラなどからの影響を公言しているそうで、ある意味、典型的な90年代のオルタナ系ギターロック路線が、これまた耳なじみやすい印象を受けます。1曲目「Care」から、まさに90年代のギターロックを彷彿とさせるようなギターロックにポップなメロディーラインがインパクトのあるナンバー。さらに「Dye It Red」などはギターをバックに静かに入るイントロからして、完全にNIRVANA。ある意味、サウンド的には非常に「わかりやすい」とも言えるかもしれません。

その後もヘヴィーなバンドサウンドとシャウトするボーカルでダイナミックに聴かせる「Charlie Brown」やある意味、典型的なノイジーなオルタナ系ギターロックでポップなメロを聴かせる「Together」、分厚いギターサウンドを聴かせつつ、ポップなメロがインパクトのある「Yoshimi,Forest,Megdaiene」など、ポップなギターロックという典型的な楽曲が並びます。

ポップなメロディーラインやキュートなボーカルを含めて、イメージ的には完全にthe brilliant green。個人的にはブリグリが好きなら絶対気に入りそうなミュージシャンだと思います。そういう意味ではサウンド的に正直目新しさはほとんどありません。ただ、彼女のキュートなボーカルを含めて、ポップでキュートなメロディーラインといい、ほどよくノイジーでダイナミックなバンドサウンドといい、特に90年代のUK系のギターロックが好きなら間違いなく壺にはまるミュージシャンだと思います。本作が話題になるというのは非常によく理解できます。

おそらく日本でも今後、より話題になりその名前を聴く機会が増えそうなミュージシャン。というよりも、ルックス的な親しみやすさも含めて、日本ではビリー・アイリッシュより人気が出る可能性も高いような。今後に要注目のミュージシャン。個人的にもかなりはまってしまったミュージシャンでした。

評価:★★★★★

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