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2020年11月24日 (火)

コロナ禍で中止になったツアーのライブ音源

Title:ザ・クロマニヨンズ ツアー PUNCH 2019-2020
Musician:ザ・クロマニヨンズ

コロナ禍の中、ライブの先行きが全く見えません。緊急事態宣言解除後は徐々にライブも再開。恐る恐るという状況ながらも、ライブは復活しつつあります。ただ、とはいえまだまだその開催は限定的。さらにここ最近の「第三波」到来により、今後の行く末も見渡せない状況となってしまっています。誰にも気兼ねなく、満員のライブ会場で、大きな声を出しながらライブを出来る日がいつになるのか・・・ともすれば悲観的な状況になってしまいます。

そんな状況の中リリースされたのが今回のザ・クロマニヨンズのライブアルバム。昨年リリースされたアルバム「PUNCH」からのライブツアーの模様を収録したライブ盤なのですが、ご多分に漏れず、このツアーも途中にコロナ禍によって中止という憂き目にあってしまいました。そんな「幻のツアー」(といううたい文句なのですが、中止になったとはいえ、ある程度は実施されているライブなだけに「幻」とはちょっと違う感じもするのですが)の模様を収録したライブアルバムとなっています。

結成から14年目。気が付いたらヒロト&マーシーのバンドとしてはもっとも長く活動しているバンドとなったクロマニヨンズ。もちろんそのライブにも定評のある彼らですが、ライブ盤は2013年にリリースされた「ザ・クロマニヨンズ ツアー 2013 イエティ 対 クロマニヨン」以来2作目ということになります。そう考えると、ライブバンドの彼らにしてみれば、決してライブ盤の数は多くありません。それにも関わらず、あえてライブアルバムをリリースするというのは、このコロナ禍の中で、ライブの実施もままならない中、少しでもライブの熱狂をファンに伝えたい、そんなクロマニヨンズの想いがあるのでしょう。

そしてその想いを反映するかのように、ライブの雰囲気をそのままパッケージしたライブアルバムに仕上がっていました。「PUNCH」直後のツアーということもあり、最初は「PUNCH」の曲をそのまま曲順に沿って演奏。A面曲を終了後、「旅立ちはネアンデルタール」などを挟んで、その後はB面曲に。こちらもアルバムのラスト曲「ロケッティア」こそ最後の方にまわされているものの、基本的に曲順に沿ってライブはすすんでいきます。そしてアルバム曲を一通り演奏した後は「エイトビート」「エルビス(仮)」「ナンバーワン野郎!」などが並び、さらには終盤は「タリホー」で盛り上がる・・・全23曲。アルバムの曲を中心に、しかし盛り上がる代表曲はしっかりと演奏して会場を盛り上げる、典型的といえば典型的な展開ながらも、理想的な構成のライブになっていました。

ライブ音源にはしっかりと観客からの歓声も入っています。基本的にMCは入っていないのですが、ファンの歓声を含め、その場の「音」をすべて収めるような録音になっていることもあり、ライブの臨場感がしっかりと伝わってきます。そして、あらためて感じるのですが、ザ・クロマニヨンズの曲は本当にライブ向きだな、ということを強く感じます。楽曲は非常にシンプル。もともとヒロト&マーシーのバンドの曲はシンプルなパンクロックがメインなのですが、このシンプルさがザ・クロマニヨンズの曲ではさらに拍車がかかっています。しかし、シンプルであるからこそバンドとしての実力が試されているのは間違いなく、そしてザ・クロマニヨンズはライブにおいて、そのバンドとしての実力をいかんなく発揮する演奏を聴かせてくれています。

そんな彼らのライブの魅力をしっかりと伝えてくれる、そんなライブアルバムになっていました。あらためて、素晴らしいライブを1日も早く聴きたい!そう感じる内容になっていました。満員のライブハウスでのザ・クロマニヨンズのライブが、次、いつになるかはわからないのですが・・・その日が1日でも早くくることを願って、今はこのライブアルバムで、疑似ライブを楽しみたいところです。

評価:★★★★★

ザ・クロマニヨンズ 過去の作品
CAVE PARTY
ファイヤーエイジ
MONDO ROCCIA
Oi! Um bobo
ACE ROCKER
YETI vs CROMAGNON
ザ・クロマニヨンズ ツアー2013 イエティ対クロマニヨン
13 PEBBLES~Single Collection~
20 FLAKES~Coupling Collection~
GUMBO INFERNO
JUNGLE9
BIMBOROLL
ラッキー&ヘブン
レインボーサンダー
PUNCH


ほかに聴いたアルバム

Bedroom Joule/[Alexandros]

[Alexandros]のニューアルバムは、「新型コロナウイルス「COVID-19」感染拡大の状況下、最前線で働く人や自宅で過ごす人が眠る前にベッドルームでリラックスして聴き、楽しんでもらえるように」という思いから作られたコンセプトアルバム。各メンバーの自宅からリモートで制作されたアルバムで、基本的に過去の作品のリアレンジが主となっています。6月に配信でリリースされた後、数曲加えた8月にCDでもリリースされました。アレンジは、本作のコンセプトに沿った、ゆっくりと聴かせるようなアレンジがメイン。そのため率直に言って「地味」な点は否めず、当初、配信で聴いた時はさほどピンと来ない作品でした。ただ、CDリリースに合わせてインスト曲などが入ることにより、アルバム全体として起伏が生じて、アルバム全体としてのインパクトもグッと増した印象が。エレクトロサウンドとアコースティックな音のバランスも絶妙で、コンセプト通り、ゆっくりと味わえるアルバムになっていました。

評価:★★★★★

[Alexandros] 過去の作品
Schwarzenegger([Champagne])
ALXD
EXIST!
Sleepless in Brooklyn

FRAGILE/LAMP IN TERREN

これがメジャー5作目となるギターロックバンドの約1年10ヶ月ぶりの新作。序盤はドリーミーでスケール感のあるミディアムテンポの楽曲で、正直、BUMP OF CHICKENからの影響…というか、そのままといった楽曲。ただ、基本的にはメロディーラインには聴かせる曲が少なくなく、アコギで切ないメロをしんみり聴かせる「チョコレート」は絶品。中盤あたりまでは彼ららしさも出ている傑作の様相を呈していたのですが、後半はどこにでもいるような平凡なギターロック路線に戻ってしまい、最後はちょっとダレてしまいました。バンプに似ているという点も含めて、それなりの良作ながらもどこか物足りない…というのは以前の彼らのアルバムと同様。ある意味、非常に惜しいバンドに感じます。ここらへん、あとひとつ壁を乗り越えたらブレイクしそうなのですが。

評価:★★★★

LAMP IN TERREN 過去の作品
silver lining
LIFE PROBE
fantasia
The Naked Blues

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