ジョンの曲が今によみがえる
Title:GIMME SOME TRUTH.
Musician:John Lennon
今年、生誕80年を迎えるジョン・レノン。説明するまでもないと思いますが、伝説的なバンドThe Beatlesの一員であり、かつメインのソングライターの一人であった彼。The Beatles解散後も妻であるオノ・ヨーコと共に平和活動を続け、今では一種の平和活動のアイコン的な存在にもなっています。1980年にわずか40歳という若さで凶弾に倒れ、その短い生涯を終えましたが、いまでも彼がつくった曲の多くは歌い継がれ、彼の存在は音楽シーンに限らず、大きな存在となっています。
本作はそんな彼のベストアルバム。生誕80年目の記念すべきベストアルバムとして、相当力が入ったベストアルバムになっているようで、彼の実の息子、ショーン・レノンがプロデュース、さらにはオノ・ヨーコがエクゼクティヴ・プロデューサーとして参加。まさに家族総出(?)のベストアルバムとなっています。ちなみにその力強さを感じさせる横顔が印象的なジャケット写真は、彼がMBE勲章を返還に行った日に撮影された、彼としては珍しい横顔の白黒写真だそうです。
まずは今回のセレクション、彼のソロ時代の代表曲をまとめて聴いて強く思うのは、ソロ時代の曲でも、今なお歌い継がれている曲が多いな・・・というより、なんとなくのイメージなのですが、CMソングとしてよく耳に入る曲が多いような印象も受けます。ソロ時代の代表曲として取り上げられることが多い「Imagine」をはじめ、「Power To The People」(「Gatorade」のCM曲)だったり、「Woman」(三菱「ekワゴン」CM曲)だったり、「Stand by me」(キリンフリーCM曲)だったり、「Beautiful Boy(Darling Boy)」(資生堂CM曲)だったりと、ともすればThe Beatles曲以上に多いないか??とすら思うほど、CMによく使われているような印象も受けます。
おそらく要因のひとつとして、The Beatles時代の曲みたいに有名すぎない一方、平和活動家というジョン・レノンのイメージは企業が採用するCMソングとしてもピッタリという点もあるのでしょう。またちょっとうがった見方をすると、既にこの世にいない彼の曲を使用すれば、いわゆるスキャンダルなどとは無縁、という読みもあるのかもしれません。いろいろな意味で使い勝手がいい、という点があるのでしょう。
もっとも、やはりそういう要因もあるのでしょうが、最大の理由は曲の良さである点は言うまでもありません。実際、今回のベスト盤であらためて彼の代表曲を聴くと、やはり心に染み入ってくるような名曲ばかり。40年以上前の曲ばかりなのですが、今、普通に聴いても全く違和感ない、普遍的なメロディーラインを楽曲から感じることが出来ます。
また、そんなメロディーラインの普遍性を強く感じたのは、今回のアルバムのリミックスによる部分も大きいようにも感じました。今回のリミックスによって、グッと音がよくなったように感じます。サウンドもよりクリアになり、音もクリアに。楽曲のバランスも、今の耳で聴いて全く違和感のないように調整されているように感じました。結果として、彼の名曲の数々が、2020年の今の音楽として生まれ変わり、そのためメロディーラインの持つ普遍性がより明確になったようにも感じました。
あらためてJohn Lennonというミュージシャンの魅力、そしてすごさを感じたベスト盤。2枚組というボリューム感もちょうどいい感じ。文句なしにJohn Lennonの「入門」としてもお勧めできるベストアルバムです。
評価:★★★★★
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