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2020年10月 9日 (金)

いかにもなインディーロックながらも

Title:Hannah
Musician:Lomelda

アメリカはテキサス州シルスビー出身のシンガー・ソングライター、ハンナ・リードのソロ・プロジェクト。これがフルアルバムとしては4枚目のアルバムとなるそうです。タイトルのハンナは言わずもがな、彼女の本名から取られたと思われますので、事実上のセルフタイトルと言えるアルバムとなっています。

楽曲は「Kisses」という曲からスタート。アコースティックギターとピアノを中心に静かに聴かせるフォーキーな楽曲。続く「Hannah Sun」も基本的にはアコースティックなサウンドでフォーキーに聴かせるタイプの楽曲になっており、楽曲の方向性的には、完全にメロディーラインを聴かせるフォークロックというスタイル。ちょっとラフな感じのボーカルスタイルも、ある種歌い手のリアリティーを感じさせるようなスタイルとなっており、いかにもフォーキーな印象を受ける構成となっています。

アコースティックメインのフォークロックというスタイルか…と思いつつアルバムを聴き進めて行くと、ちょっと違和感を覚えるのがインターリュードの「Sing for Stranger」で、ギターノイズが入ってきており、それまでのアコースティックな雰囲気をガラッと変える空気感を持つが間奏となっています。そのインターリュードから続く「Wonder」はフォーキーな様相を残しつつ、バンドサウンドを前に押し出した楽曲に。さらに「Reach」はノイジーなギターサウンドを前に押し出したロックナンバーに、さらに「It's Lomelda」は歪んだギターサウンドを前に押し出した構成の楽曲になっています。

ここらへんの楽曲に至っては、相変わらずミディアムテンポでしっかりと聴かせつつ、ラフでローファイな彼女のボーカルスタイルはそのままながらも、楽曲のタイプ的にはオルタナ系のインディーロックという印象が強いサウンドに。特にギターのエフェクトのかけ方やバンドサウンドのスタイルなどは、良くも悪くも80年代あたりから続く、ベタなインディーロック系のスタイルそのまま。そういう意味では良くも悪くもインディーロック好きには壺な、安心して聴けるスタイル、少々悪く言うと新鮮味にはちょっと欠けるスタイルと言えるかもしれません。

ただ、ローファイ気味に聴かせる彼女のボーカルはどこか人なつっこさもあり、ついつい聴いてしまいますし、フォーキーでメロディアスなメロディーラインは実に魅力的。アコギでフォーキーに聴かせる「Hannah Happiest」や、おなじくアコースティックサウンドを前に押し出した「Tommy Dread」は、実に魅力的なメロディーラインをしっかりと聴かせてくれる楽曲となっています。メロディーラインも全体的にローファイ気味で決して派手さはないのですが、知らず知らずにその魅力にはまってしまい、ついついアルバムを聴きすすめてしまう、そんな魅力を持ったアルバムとなっていました。

フォーキーなサウンドとバンドサウンドのバランスも実にユニークなアルバムとなっており、その点も大きな魅力に。非常にラフなジャケットも、インディーっぽいといえばインディーっぽい感じも。まだまだ知名度も低い彼女ですが、このアルバムは評価も高いみたいで、インディーロック好きには、まずは要チェックのアルバムと言えるのではないでしょうか。これから日本でも徐々にその名前を聴く機会が増えそうです。

評価:★★★★★

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