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2020年10月19日 (月)

初のセルフタイトル

Title:ROVO
Musician:ROVO

ご存じ勝井祐二、山本精一ら、いずれもそれぞれがソロとしても目覚ましい活躍を続けるミュージシャンたちが結成し、活動を続けるバンド、ROVO。特にその圧巻のライブパフォーマンスには定評があり、フジロックをはじめとする数々のロックフェスへも参加。さらに毎年ゴールデンウイークには「MDT FESTIVAL」と名付けたイベントを開催し、多くの音楽ファンを魅了しています。

そんな彼らもさすがにこの新型コロナの影響で数多くのライブは中止に。「MDT FESTIVAL」も残念ながら中止となってしまいました。しかし、そんなコロナ禍の中で届けられたのは、なんと結成24年目にして初となるセルフタイトルのアルバム。「結成24年目にしてバンドの意思と楽曲と演奏が完全に一体化した最高傑作」と自ら評するような、自信作となっています。

そしてアルバムを聴き進めると、その自信の理由も納得の内容に仕上がっています。確かにこれは、セルフタイトルにふさわしい傑作アルバムに仕上がっていました。その最大の理由としては、いままでのアルバムに比べても圧倒するほどの楽曲のバリエーション。全6曲入りのアルバムに仕上がっているのですが、その6曲の要所要所に彼らの様々なアイディアがつまっており、聴くものを終始惹きつけてやみません。

まず1曲目「SINO RHIZOME」は、まるで心臓のリズムのような静かな音とシンバルに音色からスタート。この緊迫感ある序盤も耳を惹きますが、途中からはベースラインをファンキーに聴かせるグルーヴィーでちょっと黒さを感じるトランスナンバーへと展開していきます。続く「KAMARA」もヴァイオリンの奏でるメランコリックなメロがまずは耳に残ります。終始ダイナミックなバンドサウンドが重なりつつ、リズムと同時にメロディーも聴かせる楽曲に仕上がっています。

さらに驚かされるのは3曲目「ARCA」で、いきなりアコギの音色で静かにスタート。その後はROVOらしいエキゾチックなバイオリンの音色を聴かせつつ、ダイナミックなバンドサウンドが入ってくるのですが、後半につれて、狂乱度合が増していく展開に惹きつけられます。「AXETO」もメランコリックなバイオリンのメロが印象的なのですが、終始響く軽快でリズミカルなパーカッションのリズムが特徴的。バイオリンの音色と合わせて、どこかエキゾチックな異世界感を覚える楽曲が印象に残ります。

後半の「NOVOS」は郷愁感のあるメロの流れるサウンドに、どこかAOR的な雰囲気すら感じられる、ROVOとしての楽曲の振れ幅の広さを印象付けられる楽曲。さらにラストに流れる「SAI」も郷愁感漂いメロディーがとにかく印象的な楽曲となっており、とても心地よい気持ちを味わうことが出来ます。ただ締めくくりは重厚なサウンドでサイケな締めくくりになっているのがROVOらしいところ。全6曲1時間強。様々に変化する音の世界を楽しめるアルバムになっていました。

いままでのROVOの作品は、圧巻的なサウンドで攻めてくるような作品が多く、ライブを意識した作品が多かったように感じます。ただ、今回のアルバムに関しても、ライブを意識している一方で、それ以上にCD音源でリスナーに聴かせるというスタイルを意識しているような作品のようにも感じました。今回のアルバムが、もともとコロナの前から制作されたものか、それともコロナの最中に制作されたものかは不明なのですが、もし制作を開始したのがコロナ後であった場合は、ひょっとしたらライブをあまり意識しなかったからこそ、もっと「音」自体に純粋に向き合った結果なのかもしれません。

これまでもROVOの作品は傑作続きだったのですが、個人的に今回の作品は、そんな中でもさらに段違いの傑作アルバムだったと思います。彼らの言う通り、本作は彼らの最高傑作と言えるアルバムでしょう。非常にバリエーションの多い作風に、いままでの作品では感じられなかったROVOのメンバーの、奥深い実力を感じることが出来ました。年間ベストクラスの傑作アルバムです。

評価:★★★★★

ROVO 過去の作品
NUOU
ROVO Selected 2001-2004
RAVO
PHOENIX RISING
(ROVO×SYSTEM7)
PHOENIX RISING LIVE in KYOTO(ROVO×SYSTEM7)
PHASE
Phoenix Rising LP(ROVO and System7)
LIVE at MDT Festival 2015
XI


ほかに聴いたアルバム

今回は最近リリースされたtofubeatsの2作品をまとめて紹介。

TBEP/tofubeats

まずは全7曲入りの、タイトル通りのEP盤。基本的に配信限定のデジタルアルバムなのですが、一方、フィジカルではアナログ盤をリリース、というリリース形態が今風な感じ。今回はフロア志向の強いアルバムとなっており、テクノやハウス、ディスコなどの要素を多分に取り入れたアルバムになっています。そのためわかりやすいポップな歌モノこそありませんが、ダンスミュージックとはいえ根底にポップなメロディーは確実に流れており、ダンサナブルなビートと合わせて、非常に聴きやすい内容に。まさにtofubeats流のクラブ・ミュージックといった感の強い作品でした。

評価:★★★★★

RUN REMIXES/tofubeats

そしてこちらは2018年にリリースされたアルバム「RUN」の収録曲を、様々なミュージシャンがリミックスしたリミックスアルバム。こちらも配信オンリーのアルバムとなっています。基本的にはエレクトロ路線という点で共通していながらも、分厚いノイズを入れたり、キュートなポップチューンに仕上げたり、ボーカルにエフェクトをかけてくぐもった感じに仕上げたりとリミキサーに様々な作風に仕上げているのがユニーク。各リミキサーの個性を感じられるリミックスアルバムでした。

評価:★★★★

tofubeats 過去の作品
Don't Stop The Music
ディスコの神様
First Album
STAKEHOLDER
POSITIVE
POSITIVE instrumental

POSITIVE REMIXS
FANTASY CLUB
RUN

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