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2020年10月 6日 (火)

ソウルフルなボーカルが魅力のジャズアルバム

Title:Mama,You Can Bet!
Musician:JYOTI

Joyit

今回紹介するのはカリフォルニア出身の女性ミュージシャン、JYOTIのニューアルバム。JYOTI…というよりは、もともとはGeorgia Anne Muldrowとして活動する女性ミュージシャン。詳しくはいまひとつわからなかったのですが、この「JYOTI」というのは、彼女がフリージャズを行う場合に名乗る名義…らしいです。2006年から活動を続ける、既にベテランの域に入るようなミュージシャンで、Erykah BaduやBlood Orangeの楽曲にもゲストで参加するなど活躍を続けています。

このJYOTI名義のアルバムは、基本的にはジャズ、それもフリージャズの要素を取り込んだアルバムということもあって、基本的にはジャズにカテゴライズされるインストナンバーが目立ちます。フリーキーなサウンドも目立ちつつ、トライバルなコーラスも魅力的な「Bop For Aneho」、エレクトロサウンドを取り入れつつ、その向こうにはメロウなジャズサウンドが流れる「Bemoanable Lady Geemix」、テンポのよいピアノとドラムでジャジーな演奏を聴かせる「Skippin and Trippin」など、アルバムの中で主軸になっているのはジャジーなインストナンバーになっています。

このジャズのサウンドもトライバルやソウルの要素を取り入れ、グルーヴィーに聴かせるサウンドが非常に魅力的。まず冒頭のタイトルチューン「Mama,You Can Bite!」からして、トライバルに絶妙にテンポをずらしているドラムスのリズムが非常にグルーヴィーで心地よい楽曲ですし、フリーキーなピアノを聴かせる「Swing,Kirikou,Swing!」もベースラインがファンキーで実にカッコいいグルーヴ感を作り出しています。ジャケット写真もかなり黒い雰囲気を醸し出していて魅力的なのですが、楽曲自体もうねるようなグルーヴ感がとにかくカッコいいアルバムになっていました。

そしてそんなサウンドも魅力的なのですが、何よりもカッコよかったのが彼女のボーカル。「Our Joy(Mercedes)」ではそのスモーキーなボーカルを実に魅力的に聴かせてくれていますし、シャウトもいれつつソウルフルに歌い上げる「Orgone」も彼女のボーカリストとしての魅力を存分に発揮した楽曲となっています。

今回はジャズのアルバムということもあって、ボーカルはあくまでも楽器のひとつであり、ギターやドラム、ベースといったリズム楽器と同列という扱い、となっており、例えば「Ra's Noise(Thukumbado)」にしても、歌い上げる彼女のボーカルが入りつつ、サックスやベースが前に押し出される構成となっていました。ただもちろん、そんな中でも彼女のボーカリストとしての魅力は存分に感じられますし、またグルーヴィーなサウンドも存分にカッコいいので、このような構成でも魅力十分。最後まで真っ黒なそのサウンドやボーカルに魅せられたアルバムになっていました。

このいかにも雰囲気ムンムンなジャケットに惹かれた方、間違いありません。サウンドにボーカルに実に魅力的。ジャジーながらもソウルフルでファンキーなそんな傑作アルバム。お勧めです。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Smile/Katy Perry

約3年ぶりになるKaty Perryのニューアルバム。「笑顔や元気、回復力、パワー、癒し」をテーマとしたアルバムだそうで、まさにこのコロナ禍の中にピッタリのアルバム…なのですが、このいかにも前向きなコンセプトはある意味、J-POP的な感じすら漂っており、アメリカのポップスでもこういう方向性を求められる傾向があるのか…と思ってしまったりもします。もちろん楽曲的には軽快で明るいポップスチューンがメインで素直に楽しめるアルバム、なのですが、楽曲によってはメランコリックな雰囲気の曲もあったりして、単純な「陽気路線」一本やりではない部分も感じます。ジャケットも、どこか彼女の表情は物憂げですしね。そういう意味ではやはり単調な前向きJ-POPとは一線を画しているのかもしれません。

評価:★★★★

Katy Perry 過去の作品
One Of The Boy
Teenage Dream
Prism

APOLLO/Fireboy DML

Apollo

ナイジェリア出身の男性シンガーソングライターによる2枚目のアルバム。メランコリックなメロディーラインをしっかりと聴かせる歌モノの楽曲が魅力的で、楽曲によってはトライバルなリズムやレゲエのリズムを入れてきているのも特徴的。ちなみに「ELI」のイントロはどこか「日本昔話」的な雰囲気なのですが、偶然?48分という短さながらも全17曲という構成となっており、1曲あたりが3分強という短さ。そのため、次々と展開されるメロディアスな楽曲の連続がテンポよく、アルバムのメリハリにもなっており、本作の魅力のひとつになっていました。

評価:★★★★★

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