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2020年10月25日 (日)

実はポップ??

Title:ULTRA MONO
Musician:IDLES

イギリスはブリストル出身のポストロックバンドIDLESによる3枚目のアルバム。まずはこのジャケット写真がかなりシュールで見ているだけで笑えてくるのですが・・・(笑)。前作「Joy as an Act of Resistance」が大きな話題を呼び、なんと本作は全英チャートで1位を獲得するなど、名実ともに大ブレイクを記録。今や、大注目のロックバンドの一組となっています。

本作も前作と同様、疾走感あるリズムをバックとした分厚くへヴィーなサウンドがメイン。圧倒的な音圧で、とにかく「ロックを聴いた」という満足感をまずは覚える作品になっています。まさにアルバムの冒頭を飾る「War」などはその典型例とも言える作風。非常に重いバンドサウンドとシャウト気味なボーカルがまずはリスナーの耳に襲いかかってきます。

基本的にはアルバム全体を通じてサウンドは同じようなスタンス。荒々しいサウンドがインディーっぽさを感じる「Grounds」に、疾走感あるヘヴィーなバンドサウンドが魅力的な「Grounds」「Mr.Motivator」と楽曲は続いていきます。

「Kill Them With Kindness」では静かなピアノの音色からスタートし、少々驚かされますが、続いて力強いドラムのリズムとへヴィーなギター、さらにはシャウトという彼ららしいスタイルにシフト。アップテンポで疾走感ある「Ne Touche Pas Moi」はパンクロック的な要素も強い印象。ボーカルは相変わらずシャウト気味ながらも、どこかメロディアスさを感じさせるのが不思議なところです。

後半に至るまで基本的な楽曲構成に大きな変化はなく、よりメタリックさを感じる「Reigns」に、本作の中では珍しく、あまりシャウトが登場せずダウナーに聴かせる「A Hymn」、そしてラストは力強いバンドサウンドにボーカルのシャウトが印象的な、実にIDLESらしいと言える「Danke」で締めくくり。終始、分厚いバンドサウンドで力強く聴かせる構成のアルバムになっていました。

全12曲42分というアルバムの長さもちょうどよく一気に聴き切れてしまうアルバム。なんといっても最初にも書いたのですが、非常にヘヴィーで分厚いバンドサウンドと疾走感あるリズムが心地よく、いい意味で「ロックを聴いた」という満足感に浸れる作品だったと思います。一方で、ボーカルは終始シャウト気味。ただ、それにも関わらず、意外とそのバックにはしっかりとしたメロディーラインが流れており、「ポップ」と感じることが出来るあたりも大きな特徴と言えるかもしれません。おそらく、似たようなタイプの楽曲が並んでいながらも、最後まで飽きることがなく聴くことが出来るというのは、分厚いバンドサウンドが心地よい、といった面もあるのですが、それ以上にポップなメロディーラインがしっかりと楽曲の根底に流れているというのが大きな要素のようにも感じました。

前作同様、非常に楽しめた傑作アルバム。本作もまた、年間ベストクラスの傑作だったと思います。ロックが好きならば、まずは聴いておきたい傑作と言えるでしょう。しかし、こういういかにも「ロック然」としたアルバムがチャート1位とは・・・HIP HOP勢の前に失速気味と思われたロックですが、実はこういうバンドが売れるあたり、やはりロックを求めるリスナー層が多いのでは?最近、ポストロックバンドで勢いのあるバンドが少なくありませんが、その傾向はまだまだ続きそうです。

評価:★★★★★

IDLES 過去の作品
Joy as an Act of Resistance

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