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2020年10月24日 (土)

バンドとしての安定感も覚える新作

Title:You need the Tank-top
Musician:ヤバイTシャツ屋さん

相変わらず人気上昇中のロックバンド、ヤバTことヤバイTシャツ屋さんの、約2年10ヶ月ぶりとなるニューアルバム。この間、サンリオピューロランドでのワンマンライブを実施したり、コロナの影響で中止になってしまったのですが、志摩スペイン村でのライブが計画されたりと、相変わらず、ユーモラスかつ奇抜なアイディアでの活動が続いています。さらに本作では見事、自身初となるチャート1位を記録。その人気っぷりを見せつける結果となりました。

ヤバTは、もともとギターボーカルのこやまたくやがマキシマム ザ ホルモンを好きになったことからギターを独学ではじめたところからスタートしているのですが、そのこともありデス声も入れたハードコア風なサウンドながらも、ハードコアな部分以外は意外とポップなメロディーラインという、ホルモンの系統を引き継いだような音楽性が大きな特徴でした。ただ、前作「Tank-top Festival in JAPAN」ではそんなハードコア路線がちょっと後ろに下がり、パンクやギターロック路線がより前面に出てきた作風になっていました。

今回のアルバムに関してもハードコア色は後ろに下がり、パンクロック、ギターロック路線が目立つような構成になっています。「泡Our Music」のAメロの部分や「はやく返してDVD」のデス声のようなハードコア路線もしっかり残っているものの、全体的にはパンクロック路線がメイン。「NO MONEY DANCE」など、ダンサナブルなメロディーラインは、マキシマム ザ ホルモンの影響を強く感じるものの、サビの部分でハードコア路線にシフトすることなく、最後までリズミカルなギターロック路線に終始しています。

楽曲的にはどちらかというと10-FEETからの影響を強く感じるメロディアスパンクチューンの「sweet memories」やトランスのサウンドを入れた「日本の首都、そこは東京」など、バリエーションはさらに広がった感じ。基本的にはシンプルで疾走感あるギターロック路線がメインなのですが、ポップなメロとこの楽曲のバリエーション、さらには40分弱というアルバムの長さもあって、最後まで一気に聴いてしまうような構成になっていました。

歌詞も以前のような内輪受けや学生ノリのような作品が消えて、いい意味で広い層に支持されるように練られてきた感もあります。「珪藻土マットが僕に教えてくれたこと」やメンバーのもりもりもとをいじった「げんきもりもり!モーリーファンタジー」のような、正直、どーでもいいようなネタでユーモラスに聴かせる曲は相変わらずですが、これはこれで彼ららしいユーモアセンスが楽しい感じ。「NO MONEY DANCE」のような歌詞は、ちょっと今の若い世代の哀しい現実を垣間見れる感じもしました。

前作の路線を維持しつつ、いい意味でバンドとしての安定感も感じられる作品になっていたと思います。バンドとして、今後、この路線を維持していくのか、新たな一歩を踏み出すのか、そろそろちょっと分岐点のような感じもするのですが、ファンにとっては間違いなく、安心して楽しめる傑作アルバムだったと思います。今後も彼らの人気はまだ続きそうです。

評価:★★★★★

ヤバイTシャツ屋さん 過去の作品
We love Tank-top
Galaxy of the Tank-top
Tank-top Festival in JAPAN


ほかに聴いたアルバム

夏のせいep/RADWIMPS

全6曲入りのEP盤となったRADWIMPSの新作。伸びやかな歌声で愛を歌う、タイトルチューンである「夏のせい」をはじめとして、スケール感のあるミディアムチューンがメイン。コロナ禍の中で苦しむ人への応援歌として作成された「Light The Light」など、非常に特殊な状況となってしまった、この2020年だからこそリリースされたEP盤といった感のある作品に。基本的にはゆっくりと歌を聴かせるアルバムになっており、サウンド的には目新しさはなかったもののRADWIMPSらしいアルバムには仕上がっていました。

評価:★★★★

RADWIMPS 過去の作品
アルトコロニーの定理
絶対絶命
×と○と罰と
ME SO SHE LOOSE(味噌汁's)
君の名は。
人間開花
Human Bloom Tour 2017
ANTI ANTI GENERATION
天気の子
天気の子 complete version

Contrast/STUTS

前作「Eutopia」がMusic Magazine誌の「日本のラップ/HIP HOP」部門で年間1位を獲得するなど、高い評価を受けたトラックメイカーによるミニアルバム。ラップ・・・というよりも基本的にはトラックメイカーとしての活動がメインの彼。本作も前作同様、ラップの作品も収録されていますが、基本的にはメロウなトラックを聴かせるような作品が並ぶアルバムに。メロウで温度感の低い、比較的静かなトラックに惹かれるような作品が並びます。様々な音楽的な要素を取り込んだ前作と比べると、本作は比較的シンプルな作風になっているのですが、しっかりと聴かせるアルバムになっていました。

評価:★★★★★

STUTS 過去の作品
Eutopia

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