不気味なジャケが目を惹くが・・・
Title:Flower of Devtion
Musician:Dehd
今回紹介するのは、シカゴ出身の3ピースインディーロックバンドのニューアルバム。「Dehd」と書いて、これで「デフド」と読むそうです。本作が3作目となるアルバムなのですが、まず目を惹くのは非常に奇妙なジャケット。非常に不気味で、妙な印象を見る人に与えるようなジャケットになっており、このアルバムを聴こうとする人に対して、期待と同時にある種の不安を与えるようなジャケットになっています。
このジャケットが故に、最初聴く前はサイケポップ、ノイズ、あるいはドローンなどといった、ある種、ポップからはちょっとかけ離れたような、そんな音楽ではないか、と思いながら、まずはアルバムを聴いてみました…その予想はまず1曲目から完全に裏切られました。スカスカなビートからスタートした1曲目「Desire」は、シャウト気味のボーカルが加わりつつ、ミディアムテンポのポップチューン。続く2曲目「Loner」もそうなのですが、完全に80年代ニューウェーヴ路線のポップチューン。スカスカのビートと懐かしさを感じるギターサウンドが非常に人懐っこい、ポップチューンになっていました。
この80年代ニューウェーヴ路線を主軸にしつつ、アルバムの中で微妙に様々なスタイルに展開していくのがユニーク。前半はスカスカなサウンドで軽快に聴かせるポップナンバーが並ぶのですが、中盤からはダウナー気味なサウンドにポップなメロディーラインというスタイルが特徴的で、どこかシューゲイザー系の匂いも感じさせる楽曲が耳を惹きます。「Mouth」などはダウナー気味なサウンドながらも、メロはキュートなポップ、というのはある種のシューゲイザーの王道といった感もしますし、「Flood」もリバーブを利かせたギターサウンドをダウナーに響かせつつ、メロはポップというシューゲイザーっぽい作風になっています。
さらに後半は、女性ボーカルEmily Kempf を前面に押し出しつつ、よりポップなメロディーを聴かせる曲が並びます。軽快なポップチューン「Nobody」から、パンキッシュながらもしっかりとポップなメロを聴かせる「No Time」など、後半はよりメロディーラインを聴かつつ、80年代的な懐かしさを感じさせるポップな楽曲が並んでいました。
またこれらの曲はどれもインパクトのあるメロディーラインを聴かせる点が特徴的。比較的わかりやすく、いい意味で人なつっこいポップなメロディーラインが特徴的で、その不気味なジャケットと反して、非常に聴きやすいアルバムになっていました。シューゲイザー系、あるいはドリームポップなどと言われる楽曲にも近いものがあり、そのタイプのバンドが好きならば気に入りそうなアルバム。不気味なジャケットが良きにしろ悪しきにしろ目を惹きますが…音楽な一級のポップチューンです。
評価:★★★★★
ほかに聴いたアルバム
Healing Is A Miracle/Julianna Barwick
アメリカの女性シンガーソングライターによる新作。エレクトロサウンドをループさせることによる作曲が特徴的なミュージシャンだそうで、ジャンル的にはアンビエントフォーク。エレクトリックなサウンドを荘厳に聴かせつつ、ゆっくりと伸びやかなボーカルを聴かせるスタイルが特徴的。「In Light」ではシガーロスのヨンシーもゲストとして参加。終始、ゆっくりと聴かせる荘厳なサウンドに圧巻される作品でした。
評価:★★★★
Homegrown/Neil Young
ニール・ヤングが1975年に録音したものの、未発表となっており「幻のアルバム」と言われていた作品。ニール自身が管理する膨大なコレクションから掘り起こされるアーカイヴシリーズで、もともとマスターテープの損傷がひどく、リリースに耐えられないような内容だったものを、ニールのレコーディングエンジニアとしておなじみのジョン・ハンロンが、70年代当時のアナログなレストア/リマスター手法をとり、時間をかけてマスターを復元させたという作品。アコースティックなアレンジがメインとなる作品で、彼の歌声をしんみりと聴かせる作品。なぜ未発表だったか謎なほど完成度の高い作品が並んでいます。サウンド的にはさすがに70年代的でちょっと時代を感じさせる部分はあるものの、間違いなく傑作と言えるアルバムでした。
評価:★★★★★
Niel Young 過去の作品
Fork In The Road
Psychedelic Pill(Neil Young&Crazy Horse)
Storytone
The Monsanto Years(Neil Young+Promise Of The Real)
Peace Trail
The Visitor(Neil Young+Promise Of The Real)
Colorado(Neil Young&Crazy Horse)
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