地球の真逆同士の音楽ながらも相性抜群
Title:民謡クンビエロ(フロム・トーキョー・トゥ・ボゴタ)
Musician:民謡クルセイダーズ&フレンテ・クンビエロ
「民謡しなけりゃ意味ないね!!」をキャッチフレーズに、福生在住のギタリスト、田中克海と民謡歌手、フレディ塚本を中心として結成されたバンド、民謡クルセイダーズ。日本の民謡を、カリブ、ラテン、アフリカ音楽などを融合させた独特の音楽性は大きな話題を呼び、2017年にリリースされたアルバム「エコーズ・オブ・ジャパン」は各所で大絶賛。一気にその知名度を上げる結果となりました。
今回のアルバムはコロンビア出身のミュージシャン、マリオ・ガレアーノによるクンビア・プロジェクト、フレンテ・クンビエロとのコラボによるアルバム。クンビアといえば南米コロンビアを代表する音楽のジャンルで、10年くらい前、エレクトロサウンドの要素を取り入れたデジタル・クンビアがクラブシーンを中心に、ちょっとしたブームになった記憶があります。今回のアルバムでは、日本の民謡と南米のクンビアを融合させた、彼らにしか出来ない音楽を展開しています。
クンビアといえば、前作「エコーズ・オブ・ジャパン」でも、「串本節」をクンビアでアレンジして聴かせてくれましたが、これが想像以上にピッタリとマッチしていた絶妙なアレンジとなっていました。今回のアルバムも日本の民謡と南米のクンビア、まさに地球の真逆の位置する地域の音楽ながらも不思議に相性のよさを感じさせる楽曲が並びます。
その相性の良さを感じさせるのがまさに冒頭を飾る「虎女さま/TORA JOE」でホーンセッションが軽快に響くラテンのリズムが終始鳴り響くナンバーながらも、張りのあるこぶしの利いた歌声で聴かせる日本の民謡のフレーズとピッタリマッチ。まったく異質な音楽であるはずなのに、その相性の良さを感じさせます。
続く「クンビア・デルモンテ・富士/CUMBIA DEL MONTE FUJI」は哀愁感たっぷりのダンスチューン。こちらは完全にクンビアに寄ったナンバーになっており、ちょっとエキゾチックな雰囲気のメランコリックなメロは歌謡曲テイストを感じさせるものの民謡的な部分はあまり濃くはありません。ただ、軽快なリズムには日本の音頭にも通じる部分があり、やはり日本とコロンビアが上手くブレンドされた楽曲になっています。
軽快なマンボのリズムを聴かせる「マンボネグロ大作戦/MAMBONEGRO DAISAKUSEN」も楽しい雰囲気の楽曲ですし、ダビーなサウンドで湿度の高い雰囲気を醸し出しつつ、どこかコミカルな節回しが楽しい「オッペケペー節/ OPEKEPE」も、民謡とクンビアのリズムが見事に融合させた作品。「クンビア・デルモンテ・デ・東京/CUMBIA DEL MONTE DE TOKYO」は、手拍子と簡単なパーカッションのみをバックにみんなで歌っている楽曲。みんなで集まり音楽を心から楽しんでいる、そう感じさせるようなナンバーになっていました。
どの曲も、本当に日本の民謡とクンビアの相性の良さを感じさせるナンバーばかり。こういうアレンジが出来る民謡クルセイダーズとフレンテ・クンビエロのセンスの良さも光るアルバムなのですが、やはり地球の真逆に位置する人たちの音楽とはいえやはり人間。心地よく感じる節回しやリズムにはどこか共通するものがあるのでしょう。だからこそ、距離の離れた2つの音楽が、ここまで相性よく混ざりあうことが出来た・・・前作「エコーズ・オブ・ジャパン」でも感じたのですが、今回のアルバムでもまた、同じようなことを感じました。
言うまでもなく前作に引き続きの傑作アルバム。日本人が昔からなじんできた民謡の素晴らしさ、そして世界の音楽の素晴らしさをあらためて認識させてくれるアルバムでもありました。しかし、このアルバムもライブで聴いたら気持ちいいだろうなぁ。コロナ禍でなかなかライブにも足を運べませんが・・・コロナがおさまったら、彼らのライブ、是非、足を運んでみたいです。
評価:★★★★★
民謡クルセイダーズ 過去の作品
エコーズ・オブ・ジャパン
ほかに聴いたアルバム
HELLO EP/Official髭男dism
飛ぶ鳥落とす勢いのヒゲダンの新作は4曲入りのEP。4曲いずれもシングルカットされても不思議ではないインパクトある楽曲が並びます。表題曲「HELLO」はフジテレビ系「めざましテレビ」のテーマ曲に起用されているのですが、いかにも同番組で流れていそうな爽やかなナンバー。ほかの3曲も、いずれも大物然としたスケール感と、ある種の余裕を感じられる、しっかりと壺を抑えた完成度の高い楽曲が並びます。まさに脂がのりまくっている彼らの状況を反映された作品。いまだにアルバム「Traveler」がヒットを続ける彼らですが、来るべく次のアルバムもすごい作品になりそうな予感が…。
評価:★★★★★
Official髭男dism 過去の作品
エスカパレード
Traveler
TSUTAYA RENTAL SELECTION 2015-2018
Official髭男dism one-man tour 2019@日本武道館
Traveler-Instrumentals-
LIVE : live/AK-69
「AK-69の本質である「LIVE」(ライブ)と人生を表す「live」(リブ)をコンセプト」としたアルバムだそうです、AK-69の約1年半ぶりのニューアルバム。ただ、とはいえライブ志向の作品が並んだアルバム、といった感じではなく、良くも悪いもいつも通り、AK-69らしい作品が並びます。今時のトラップなリズムをほどよく取り入れつつ、メロウなラップや哀愁感ある歌モノを聴かせる内容。ちゃんとリスナーが期待するAK-69の壺を抑えたような作品になっており、こういうところが人気の秘訣なんだろうなぁ・・・と思ったりしたりして。
評価:★★★★
AK-69 過去の作品
THE CARTEL FROM STREETS
THE RED MAGIC
The Independent King
Road to The Independent King
THE THRONE
DAWN
無双Collaborations -The undefeated-
THE ANTHEM
ハレルヤ-The Final Season-
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コメント
民謡クルセイダーズのライブ、来月オンラインで見られますよ。
https://www.livemagic.jp/
投稿: よし | 2020年9月27日 (日) 22時26分
>よしさん
情報ありがとうございます。これは是非、見てみたい!!が、時間が合わないかも。アーカイブで後でみれないかなぁ。
投稿: ゆういち | 2020年10月13日 (火) 12時15分