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2020年8月11日 (火)

2020年上半期 洋楽ベスト5

例年より若干遅くなってしまいましたが、毎年恒例、私的ベストアルバム上半期。まずは洋楽編のベスト5です。

5位 Set My Heart On Fire Immediately/Perfume Genius

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アメリカはシアトルに拠点を置くシンガーソングライター、マイク・ハドレアスのソロプロジェクトPerfume Geniusによる約3年ぶりのニューアルバム。毎回、アルバムが大きな評判を呼ぶ彼ですが、実は彼のアルバムを聴くのは今回がはじめて。しかし、ファルセット気味のボーカルで美しく聴かせるメロディーラインにすっかり魅了されてしまいました。さらに美しいだけの歌声のみならず、所々で入るダイナミックなサウンドも魅力的。まさに静と動を見事バランスさせた傑作アルバムに仕上がっていました。

4位 Hotspot/PET SHOP BOYS

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ベテランエレクトロポップミュージシャンによる約3年9ヶ月ぶりの新作。前々作「ELECTRIC」、前作「SUPER」から続く3部作の最終章と位置付けられた本作。毎回、魅力的なポップチューンを楽しませてくれる彼ですが、前々作と前作は悪いアルバムではなかったものの、以前の彼らの作品と比べると、若干物足りなさを感じてしまうアルバムでした。しかし本作はダンスチューンをメインにPSBの本領がいかんなく発揮された、とにかく聴いていて楽しくなるポップスの連続。メロディーメイカーとしての彼らの実力を存分に楽しめた傑作でした。

3位 RINGO DEATHSTARR/Ringo Deathstarr

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正直、各種メディアなどではほとんど話題にのぼらないような作品かもしれませんが…いわゆる「ニューゲイザー」と言われるムーブメントの中で誕生したバンドの一組で、とにかくマイブラをはじめとしたシューゲイザー系バンドへのストレートな愛情が、これでもかというほど感じられるアルバム。率直な話、愛情があふれだしすぎて、ある意味、「そのまま」といった点も否定できないのですが、逆に変なひねりがない分、素直にフィードバックノイズの身をゆだねられる、シューゲイザー好きにはたまらない1作。ちなみに1曲目のタイトルがなぜか「Nagoya」なのもポイント高し(笑)。

2位 The Slow Rush/Tame Impala

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前作「Currents」も大きな評判を得たオーストラリアのミュージシャン、ケヴィン・パーカーによるソロプロジェクト、Tame Impalaの新作。その前作から5年というインターバルを経ての新作となるのですが、ドリーミーなAOR風のサウンドとメロディーがとにかく心地よい傑作アルバムに。どこか哀愁感も覚えるメロディーラインは人なつっこく、ある意味、日本人にとっても琴線に触れそうなメロディーラインとなっており、終始、そのメロに聴き入ってしまいます。かなり久々の新作となりましたが、待ちに待ったかいのあった傑作アルバムに仕上がっていました。

1位 Melee/Dogleg

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これはかなりはまりました!アメリカはデトロイトで結成された4人組バンドDogleg。いわゆるエモコアに属するバンドなのですが、その一方、どこか感じるシューゲイザー系からの影響も心地よく、かつ、メロディーラインは至ってポップにまとまっているのが特徴的。エモーショナルなバンドサウンドながらも意外とポップなメロはいい意味で敷居も低く、eastern youthやNUMBER GIRLあたりが好きなら間違いなくはまりそうなバンド。フルアルバムは本作が初らしいのですが、今後に注目したい、ロック好きなら必聴の傑作アルバムです。

ほかのベスト盤候補としては…

Miss Anthropocene/Grimes
R.Y.C./Mura Masa
EVERY BAD/Porridge Radio
It Is What It Is/Thundercat
Fetch The Bolt Cutters/Fiona Apple
græ/Moses Sumney
Notes On A Conditional Form(邦題 仮定形に関する注釈)/The1975
RTJ4/Run the Jewels

正直言うと、この上半期、良作は少なくなかったものの、ずば抜けた傑作も少なかったかな、という印象を受けます。今回紹介した5枚と、ほかのベスト盤候補としてあげたアルバムは、どれも「どんぐりの背比べ」程度の違いしかなかったように思います。それだけに、どのアルバムも十分、ベスト盤になりえたアルバムでした。逆に言うと、「これは!」といったアルバムもなかったようにも思えてしまいます。

あらためて上半期のベスト5を並べると…

1位 Melee/Dogleg
2位 The Slow Rush/Tame Impala
3位 RINGO DEATHSTARR/Ringo Deathstarr
4位 Hotspot/PET SHOP BOYS
5位 Set My Heart On Fire Immediately/Perfume Genius

コロナ禍で音楽業界も厳しい状況が続いていますが、そんな中でも、下期も少しでも私たちを楽しませてくれる音楽に出会えますように…。

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