« 優しい歌声で「より大きな愛」を歌う | トップページ | 紆余曲折の10年間 »

2020年8月 9日 (日)

その魅力は変わらず

Title:Translation
Musician:Black Eyed Peas

いままでグラミー賞を6度授賞。2003年にリリースされたアルバム「Elephunk」から2009年にリリースされたアルバム「The E.N.D.」まで3作連続、全米で300万枚を超える売上をたたき出すなど、文字通り、一世を風靡したHIP HOPグループ、Black Eyed Peas。ただ、その後、2011年に無期限の活動休止。2015年に活動再開を宣言したものの、2018年にリリースした8年ぶりとなるアルバム「Masters of the Sun Vol.1」では、全米チャートで、なんとチャート圏外になるなど、人気面ではかなり厳しい結果となるアルバムとなってしまいました。

本作は、そんな前作から2年ぶりにリリースされる、活動再開後2作目となるアルバム。チャート圏外に終わった前作に比べると、本作はビルボードチャートで52位にランクイン。かつての勢いと比べるとかなり寂しい結果だったものの、それなりの結果を残すアルバムとなりました。ただ、前作「Masters of the Sun Vol.1」でも軽快なポップチューンを聴かせてくれており、その訴求力という面では全盛期に劣らない結果を見せてくれました。今回のアルバムに関しても、前作同様、聴いていてワクワクするような軽快なポップチューンが並んでおり、全盛期に比べて、彼らが決して衰えていないことを感じさせます。

今回のアルバムに関しては、レゲエ、特にレゲトンからの影響が顕著であり、先行シングルともなった「RITMO」からスタートし、強いビートでリズミカルな「FEEL THE BEAT」に、同じくレゲトンのナンバー「MAMACITA」とリズミカルなナンバーが続きます。ここらへん、徐々にテンションがあがってきたあたりで、打ち込みのリズムでBPMも早めな「GIRL LIKE ME」という展開となり、テンションはさらにあがります。さらにスペイン語?での「3,2,1」というカウントが入り、ダンサナブルなチューンが繰り広げられる「VIDA LOCA」へと続いていきます。この展開でリスナーの耳を一気に鷲づかみ。ここらへんのインパクトの作り方には非常に上手いなぁ、と感じさせます。

さらに「TONTA LOVE」でも女性ボーカルのJ.Rey Soulが力強くメランコリックな歌声を聴かせてくれており、これがまた中盤の大きなインパクトに。ちなみに、この新ボーカルのJ.Rey Soul、日本でのアルバム紹介によると新メンバー、みたいに書いてあるのですが、アメリカのWikipediaではメンバーではないような書かれ方をしており、いまひとつ立ち位置が不明…。アメリカの公式サイトのアルバムのクレジットを見る限りだとゲストボーカルみたいな扱いになっています。

その後も80年代な雰囲気を感じる「CELEBRATE」やレゲトンのビートで力強いラップを聴かせる「GET LOOSE NOW」、強いビートがロッキンな「ACTION」など魅力的なチューンの連続。終始レゲトンの軽快なリズムにワクワクさせてくれるようなポップチューンの連続となっていました。

ジャンルについて説明するとレゲエ、HIP HOP、ポップの要素をほどよくミクスチャーしている、という説明になるのでしょうか。ただ、聴いていて非常に敷居の低い、いい意味でのわかりやすさを強く感じます。序盤の楽曲の展開といい、その後のほどよい楽曲のバリエーションといい、彼らの卓越した天性のポップスセンスを感じさせます。普段、HIP HOPやレゲエを聴かない方でも難なく楽しむことが出来る1枚。これだけの作品を作れるのなら、かつてのような大ヒットに再び巡り合うことも難しくないように思います。ちょっと「過去のグループ」みたいなイメージもついてしまっている彼らですが、その健在ぶりを存分に感じることが出来るアルバムでした。

評価:★★★★★

THE BLACK EYED PEAS 過去の作品
THE E.N.D.
THE BEGINNING
MASTERS OF THE SUN VOL.1

|

« 優しい歌声で「より大きな愛」を歌う | トップページ | 紆余曲折の10年間 »

アルバムレビュー(洋楽)2020年」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 優しい歌声で「より大きな愛」を歌う | トップページ | 紆余曲折の10年間 »