エキゾチックで独特のグルーヴ感を醸し出す。
Title:MORDECHAI
Musician:Khruangbin
今回紹介するのは、アメリカはテキサス出身の3人組バンド。ミュージシャン名はちょっと読みにくいのですが、これで「クルアンビン」と読むそうです。2018年には日本ツアーも実施し、大きな評判を呼んだほか、その年にはフジロックにも出演。FIELD OF HEAVENのトリを飾り、大きな評判を呼んだそうです。
ミュージシャン名もちょっと奇妙なこのグループなのですが、その音楽性も非常に独特。ジャンルの説明として「タイ式ファンクグループ」という紹介をされているのですが、そのとおりのタイミュージックからの影響や、さらに東南アジアや中東の音楽に影響を受けたというエキゾチックな香りただようサウンドが大きな特徴となっています。
ただ、もともと「タイ式ファンクグループ」と言われても、じゃあ「タイ式ファンク」とはどのような音楽なのか、エキゾチックな印象を受けるものの、いまひとつ具体的なイメージがわきません。個人的にこのアルバムを聴いてまず感じたのは、80年代あたりのフィリーサウンドを取り入れつつ、60年代あたりのちょっとレトロさも感じるようなサイケデリックのサウンドを取り入れ、さらにはエキゾチックな要素を加味したサウンドといった感じでしょうか。アルバムの1曲目になる「First Class」では、まさにそのようなエキゾチックでサイケデリックなグルーヴィーサウンドが気だるく展開された曲になっています。
さらに先行シングルともなっている「Time(You and I)」は微妙にチープな打ち込みのサウンドが東南アジア的な雰囲気を感じさせつつ、軽快で気だるい感じのするファンクチューンとなっているのが特徴的。「Connaissais de Face」は男女の会話をベースにグルーヴィーなサウンドがバックを並ぶ、ちょっとレトロで、かつエロチックな雰囲気な楽曲に。「Pelota」はラテンな要素を感じる哀愁感たっぷりのメロディーラインに軽快なリズムが重なりますし、「Dearest Alfred」も女性ボーカルでねっとりとした湿度のあるサウンドが耳に残ります。
「So We Won't Forget」は爽快な女性ボーカルでメロディアスに聴かせるポップチューンに仕上がっていますし、そして最後を締めくくる「Shida」はメランコリックなメロディーラインが胸に響くインストチューン。どこかレトロな懐かしさを感じさせるメロもたまりません。
全体的にはレトロなグルーヴ感を醸し出しつつ、一方ではループするサウンド構成はどこか今風なものを感じさせ、決して懐古趣味一辺倒といった感じでもありません。ファンキーなサウンドもとても心地よく、そのねっちりとまとわりつくようなサウンドに、徐々に深みにはまっていってしまう、そんなグループでした。
かなり独特な個性を放つグループですが、個人的には独特の世界観にすっかりはまってしまいました。フジロックの「FIELD OF VIEW」でトリを飾ったということですが、確かに自然の中で、それも夜に聴くとかなり気持ちよさそうだなぁ。個人的には年間ベストクラスに気持ちよく聴けた傑作アルバムだったと思います。コロナ禍が明けたら、是非、これはライブも見てみたいです!
評価:★★★★★
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