かなりのボリューム感
正直、いままで何度もベスト盤をリリースしているだけに、「またか」といった感も多いのですが、それでもついついチェックしてしまうTM NETWORKのベストアルバム。今回は彼らのデビュー35周年を記念して、全3枚組のアルバムを2組同時リリースという、かなりのボリュームのあるベスト盤となっています。
Title:Gift from Fanks T
Musician:TM NETWORK
TItle:Gift from Fanks M
Musician:TM NETWORK
今回のアルバムの特徴は、ソニーとavexが共同でファン向けの人気投票を実施。その上位70曲を収録したのが今回のアルバム。かなりの収録曲数となっているベスト盤なだけに、いままでリリースされたベスト盤とは少々違った傾向の選曲となっています。まず1点目が、いままでのベスト盤にほとんど収録されることがなかった1999年の再活動後の楽曲が収録されているという点。いままでリリースされたベスト盤のほとんどが、かつて所属していたエピックレコード(エピックソニー)からのリリースだったこともあり、再活動後の楽曲は収録されていませんでした。今回は人気投票の上位にランクインしてきた楽曲の中に、活動再開後の楽曲も何曲かあり、それが収録されています。正直、再結成後の楽曲は当初の活動時期の曲と比べるといまひとつ…というイメージがあっただけに、順位的に決して高くはないものの、意外とランクインしていたのは意外。そんな中で「I am」はファン投票6位だったのはかなり意外。確かに、活動再開後の楽曲でどの曲か、と言われると、この曲が一番良かったように思うのは間違いないのですが。特にPVの中でメンバー3人がソファーに並んで座るシーンがあるのですが、そこはやはり、あの3人が並んで座っている!とゾクゾクするくらいうれしくなってしまいましたし。
もう1点が、彼らの当初の活動の際のラストアルバムとなった「EXPO」の曲が比較的多く収録されている点。比較的バラエティー色が豊かとなったため、TM=デジタルロックというイメージで聴くと、少々拍子抜けしてしまうこのアルバム。いままでアルバム収録曲がベスト盤に収録されているケースはほとんどなかったように思うのですが、今回は2曲(といっても2曲だけなのですが・・・)収録されています。うち1曲「Crazy For You」は、宇都宮隆と恋人の女の子の会話という形態をとっている異色のナンバー。リアルタイムで聴いた時も、かなり異様な楽曲でビックリしたのですが、その分、かなりインパクトある曲。久しぶりに聴いて、やはりいろいろな意味で面白い曲だな、とあらためて感じました。しかし、聴いていてふと感じたのですが、「恋人の女の子」役の女性は、いかにも(当時としては)「今時の」若い女の子といった雰囲気なのですが、どう計算しても、いまやもう50歳を過ぎている「おばちゃん」なんですよね・・・時代の流れを感じてしまいます。もっとも、宇都宮隆ももう還暦を過ぎてしまったんですけどね・・・。
さて、この大ボリュームのアルバムでみっちりとTM NETWORKの曲をあらためて聴いたのですが、うーん、なんだかんだ言ってもやはり私はTMが好きだなぁ・・・とあらためて感じました。ほどよく未来的なエレクトロサウンドに、ほどよくへヴィーなロックチューン。なんといっても楽曲全体に「明るさ」があり、「未来への希望」も感じられる作風は、80年代という時代を反映しているように感じます。
ただ、そんな中でも今聴いてもTM NETWORKの曲が非常に魅力的に感じる大きな要因は、やはりなんといってもメランコリックなメロディーラインが胸に響くような曲が多いからではないでしょうか。個人的に、TM NETWORKで一番好きな曲は何か、と言われれば、迷うことなく「STILL LOVE HER(失われた風景)」を選ぶのですが、まさに胸をかきむしられるようなメロディーが魅力的なナンバー。この曲、今回のファン投票で1位を獲得したそうですが、その事実は納得です。また個人的には「Time Passed Me By (夜の芝生)」も大好きで、キネバラの最高峰だと思っているのですが、今回のファン投票では22位。うーん、高い順位といえば高い順位なのですが、ベスト10入りしてきても不思議ではない名曲だと思うのですが・・・。
そんな訳で、何回目かわからないTM NETWORKのベスト盤ですが、今回もなんだかんだいっても非常に楽しむことが出来ました。現在、TM NETWORKは宇都宮隆と木根尚登は精力的に活動を続けているものの、ご存じの通り、小室先生が引退状態で、再活動は望めません。でも正直言って、小室先生に高潔な人格なんてファンは誰も求めてないから(笑)、是非、早く復活して、この3人でまた活動してほしいなぁ。いつの日か、というか出来るだけ早く、そういう日が来ることを願って。また40周年あたりでベスト盤をリリースするのかな?TM復活もその頃までには!(追伸→といっていたら乃木坂46への楽曲提供という形で復活だそうです。予想以上に早くないか?という感じもするのですが、個人的にはやはりうれしい!次は是非、TM復活を!)
評価:どちらも★★★★★
TM NETWORK 過去の作品
SPEEDWAY
TM NETWORK THE SINGLES 1
TM NETWORK THE SINGLES 2
TM NETWORK ORIGINAL SINGLES 1984-1999
DRESS2
QUIT30
GET WILD SONG MAFIA
GET WILD 30th Anniversary Collection - avex Edition
ほかに聴いたアルバム
Texture Web/Koji Nakamura
ナカコーこと中村弘二(Koji Nakamura)が2014年からスタートさせていたTextureシリーズ。CDRのみのリリースということもあり、知る人ぞ知る的アルバムだったのですが、その全20作235曲にも及ぶTextureシリーズの中から20曲をピックアップしてアルバムとしてリリースしたのが本作。20枚のCDR作品からそれぞれ1曲ずつをピックアップしたこともあり、それぞれ曲調はバラバラ。スペーシーな作品、AOR風なメロウな曲、トライバルなビート、ダイナミックなエレクトロなどなど、それぞれ彼のアイディアがつまった作品が並んでおりユニーク。これだけでも76分にも及ぶボリューミーな作品になっているのですが、ついつい聴き入ってしまいます。TextureシリーズのCDR、次回作が出たら買ってみようかなぁ。
評価:★★★★★
Koji Nakamura 過去の作品
Masterpeace
Epitaph
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コメント
ゆういちさん、こんばんは。
小室先生ですが、今度出る乃木坂46の新曲を作曲しますよ(まあ、ゆういちさん的にはビミョーな復活でしょうが)。でも、復活の下地はこれで出来たのであとはTMを本格的に再開してくれれば嬉しいですよね!
投稿: 通りすがりの読者 | 2020年7月19日 (日) 00時33分
>通りすがりの読者さん
乃木坂の新曲、小室哲哉作曲でしたね。ちょっとあまりにも早い復活で批判も少なくないみたいですが、個人的には素直にうれしいです。次はTMが活動再開しないかなぁ・・・。
投稿: ゆういち | 2020年10月13日 (火) 00時21分