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2020年7月27日 (月)

B'zの間の箸休め的な?

Title:Maximum Huavo
Musician:INABA/SALAS

ご存じB'zのボーカリスト、稲葉浩志とアメリカのギタリスト、スティーヴィー・サラスによるユニット、INABA/SALAS。以前からお互いのアルバムに参加し合っていた旧知の仲だった2人ですが、2017年にその両者がコラボアルバム「CHUBBY GROOVE」をリリース。ハードロック志向のB'zと比べると、シンセの音色を入れたポップな作風は、初期のB'zを彷彿させる部分もあり、B'zと類似性を感じつつ、今のB'zでは出来ない、ある意味、ソロアルバムらしい作品になっており、非常によく出来た傑作に仕上がっていました。

それから約3年3ヶ月。やはりこの両者の相性はよかったのでしょうか。INABA/SALAS名義の第2弾アルバムがリリースされました。そんな新作も、前作と同様、ギターサウンドをメインにしつつ、シンセの音色やリズムを取り入れポップにまとめたアルバムとなっています。冒頭を飾る「Mujo Parade ~無情のパレード~」はリズミカルなチューンで若干ファンクの要素を取り入れ楽しいポップチューンに仕上げていますし、続く「U」などは疾走感あるギターサウンドに稲葉浩志のボーカルが載ると、まさに初期B'zを彷彿とさせる楽曲になっていました。

ただ今回のアルバムは、以前と比べるとよりポップに、かつ良くも悪くも「軽い」という印象が先に立つアルバムになっていたように感じます。「KYONETSU ~狂熱の子~」も稲葉浩志らしいシャウトを聴かせつつ、シンセを前に押し出したポップなサウンドが印象的ですし、「Demolition Girl」もエッジの効いたギターサウンドがのりつつも、それ以上に軽快なシンセの音が印象に残ります。「You Got Me So Wrong」にしても軽快なシンセとギターが印象的なポップなナンバーになっています。

その結果、ポップで聴きやすいアルバムではあるものの、全体的に薄味で、良く言えば、肩の力を抜いて、軽い気持ちで聴けるアルバム、ただ悪く言ってしまうと、印象が薄くてあまりにあっさりと聴けてしまうアルバムになっていたように感じます。ギタリストとのコラボで間違いなくギターサウンドが入っているのですが、聴き終わった後に、ギターの音色が恋しくなってしまうような、そんなアルバムだったようにも感じました。

出来としては決して悪くはありませんし、前作同様、初期B'zを彷彿とさせる部分もあり、いつものB'zと比べると格段にポップにまとまった作品は十分に楽しむことが出来ました。ただ、ポップな作風をとにかく楽しめた前作と比べると、ちょっと薄味な点が気になってしまったアルバムでした。もっともB'zの箸休め的に聴くにはピッタリなアルバムといった感じも。そういう意味では何年かに1度はアルバムを聴いてみたい、そんなユニットかもしれません。

評価:★★★★

稲葉浩志 過去の作品
Hadou
Singing Bird
CHERRY GROOVE(INABA/SALAS)

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