楽しいポップソングが7曲
Title:Lost Songs(Found)
Musician:TWO DOOR CINEMA CLUB
突如、配信限定でリリースされたTWO DOOR CINEMA CLUBの7曲入りのEP。今回のアルバムは初期の未発表曲やBサイド曲といったレア音源を集めた作品。突然のリリースだったのですが、ファンにとってはちょっとうれしいプレゼント的なEP盤となっています。
作品的には全7曲21分というあっさりとした短さ。そういう意味でも聴きやすい内容だったのですが、一方で収録された7曲、それぞれ軽快で聴いていて楽しくなってくる明るいポップチューンが並んでいました。まず非常に強いインパクトを受けるのが1曲目「Not In This Town」。疾走感あるシンセを入れたバンドサウンド。マイナーコード主体のメランコリックなメロディーは強いインパクトを受けますし、なによりもわかりやすいキャッチ―なサビが展開されるという、わかりやすく、インパクトのある楽曲。大サビまで登場して、ある意味J-POP的な構成になっている曲なのですが、それゆえに心に強く残る1曲となっています。
ちょっと軽快なリズムにエレクトロビートが心地よい「Tiptoes」も印象的。もともとアルバム「Tourist History」に収録される予定だった曲だそうですが、なぜ収録されなかったのか不思議になるほど、軽快で楽しくポップな楽曲に仕上がっています。続く「19」もメロディアスなギターサウンドが印象的なポップチューン。優しくメロディアスな曲調が印象に残ります。こちらも日本人にとってはわかりやすさを感じるはっきりとしたサビを持つ構造の楽曲になっており、強いインパクトを持ったポップチューンとなっています。
「Hands Off My Cash Monty」もトライバルな雰囲気を持った軽快なリズムとギターサウンドが印象的。サウンド的には若干Vampire Weekendあたりを彷彿とさせつつ、メランコリックなメロディーラインが後に残る彼ららしいポップチューンに仕上げられています。また、最後を締めくくる「Too Much Coffee」も、やはりトライバルなビートに、ちょっとチープさを感じるエレクトロサウンドが心地よいポップチューンに。こちらも軽快で楽しいポップチューンになっています。
基本的には初期の彼ららしいドラムレスのエレクトロサウンドに、比較的スカスカなサウンドが印象的な楽曲。ただ、初期の彼らの楽曲は典型的なインディーポップらしいあか抜けなさを感じたのですが、今回収録されている楽曲に関しては、ポップソングとしてもインパクト十分でかなり魅力的な作品になっており、逆になぜ未発表だったのか不思議に感じてしまいます。
わずか21分という短さもあり、ポップで楽しい曲をワクワクしながら一気に聴けてしまう内容になっている今回のアルバム。本当に彼らからのうれしいプレゼントといった感じのEPでした。昨年リリースされたアルバムも素晴らしい傑作アルバムでしたし、次のアルバムも今から楽しみです。
評価:★★★★★
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