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2020年7月20日 (月)

ちょっと懐かしいギタポが印象的

Title:DOOR
Musician:Czecho No Republic

Czecho No Republicの約2年3ヶ月ぶりとなるニューアルバム。武井優心とタカハシマイという男女ツインボーカルをうまく生かした楽曲が特徴的な彼らですが、2019年7月に、この2人が結婚を発表。公私ともにパートナーとなった両者。一方、前作リリース後にシンセサイザーを担当していた八木類が脱退。また、メジャーレーベルからインディーレーベルに移籍し、4人組Czecho No Republicの第1弾となるニューアルバムとなりました。

そんな今回のアルバム、間違いなくシンセサイザーの八木類の脱退がかなり大きな影響を与えています。以前の彼らの楽曲は、シンセによる打ち込みのサウンドを前面に押し出したシンセポップの色合いの強い楽曲がメインだったのですが、今回のアルバムに関しては明らかにギターポップがメイン。いままでの楽曲は80年代90年代のちょっと懐かしい雰囲気を醸し出す楽曲がメインだったのですが、今回のアルバムで言えば、あきらかに渋谷系やそれに連なるギターポップ、いわゆる「ネオアコ」と呼ばれたジャンルからの影響を強く感じる楽曲が目立ちます。

例えば「Forever Summer」などはギターサウンドなどはまさに渋谷系のギターポップの雰囲気を感じますし、「Dong Dong」も同様に、ちょっと懐かしさを感じるギターポップに仕上がっています。「Bye Bye Summer」なども、その歌詞も含めて、完全にネオアコ系のそれ。個人的にはストレートな渋谷系というよりも、ポスト渋谷系と呼ばれたCymbalsやadvantage Lucyといったバンドを思い起こさせるような楽曲になっていたようにも感じます。

ただ一方、その結果として、バラエティーの増した前作に比べると、全体的に楽曲のバリエーションは少なくなってしまったようにも感じます。トラッド的な要素も感じる、リズミカルな「摩訶不思議」や、シンプルで軽快なピアノポップの「Hi Ho」、さらにはサイケロックの要素を入れた「土曜日」のような楽曲もあり、音楽的な懐の深さを感じる部分もあるのですが、全体的にはシンプルなギターポップがメインの作風になっています。

また、ギターポップの色合いが強くなったことよるのですが、前作までのあか抜けた雰囲気はなくなり、楽曲的には「インディーポップ」という表現がピッタリと来るような作品になっていました。それはそれで好き嫌い別れそうな感じなのですが、個人的には前作まででせっかく彼らが獲得した楽曲のインパクトが弱くなってしまったかな、といった印象を受けてしまいました。

一方、以前から彼らの大きな特徴だった男女ボーカルの特質をうまく生かした楽曲構成は本作でも健在。公私ともにパートナーとなった2人なだけに、例えば「Hello New World」でも息の合ったデゥオを聴かせてくれていますし、「Baby Baby Baby Baby」でも同様、男女のボーカルをうまくいたしたポップチューンに仕上げています。

良くも悪くも新生Czecho No Republicの第1弾となった今回の新作。前作までバンドとして勢いがあっただけに、メンバー脱退によるシフトチェンジはちょっと残念な感じもします。ただ、魅力的でポップなメロディーラインは要所要所聴かせてくれますし、男女デゥオを生かした作風も健在。インディーに戻ってしまった彼らですが、新たな編成でのさらなる成長を期待したいところです。

評価:★★★★

Czecho No Republic 過去の作品
MANTLE
Santa Fe
DREAMS
旅に出る準備

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