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2020年7月25日 (土)

日本での話題となったチャリティーライブ

Title:One World: Together At Home

今なお、終息の気配すら見えない、全世界を覆う新型コロナウイルス。日本でも再拡大の様相を呈しており、本当に鬱々とした気持ちを感じてしまいます。そんな中…というよりもヨーロッパを中心に新型コロナが猛威を奮いはじめたころに開催され、日本でも話題になったオンラインライブイベント「One World:Together At Home」。世界保健機関を支援するためにGlobal Citizenが主催したこのイベントは、かのLady Gagaのキューレイトを基に実施。この手のイベントでは珍しく、日本でも地上波でテレビ放送されたこともあり大きな話題となりました。さらに、そのライブ音源が配信でもリリースされ、さらに多くのリスナーが音源でもその日のライブを楽しむことが出来ます。

しかしあらためて感じるのですが、「We Are The World」や「ライブエイド」などの例にもれず、欧米のミュージシャンたちは本当にこの手のチャリティーイベントが好きですし、またそれに対する行動力もすさまじいものがあります。今回のイベントに関しても、キューレイターのLady Gagaをはじめ、ポールマッカートニー、エルトン・ジョン、スティーヴィー・ワンダー、ローリングストーンズといったレジェンドたちをはじめ、ジェニファー・ロペス、GREEN DAYのビリー・ジョー・アームストロング、最近話題のビリー・アイリッシュ、テイラー・スウィフトなどといった豪華ミュージシャンたちがズラリと並んでいます。こういうイベントを開催するのは、寄付に対する文化の違いということもあるのですが、チャリティーであってもミュージシャンとしてリスナーを楽しませようとする姿勢も感じます。それと比べて日本は、正直言って、なぜかこの手のイベントが大物ミュージシャンから出てくることが残念ながらほとんどありません。正直、もうちょっと見習ってほしい感じもするのですが…。

今回のイベントはオンラインでの開催、かつコロナ禍いおいて「自宅からの参加」を求められていることもあり、基本的に宅録でのスタイルがベースとなっています。例えばポールマッカートニーはビートルズのおなじみのナンバー「Lady Madonna」をカバーしているのですが、自宅からエレピのみの演奏でのカバーとなっており、普段とはまた一風異なる演奏に。ローリングストーンズも「You Can't Always Get What You Want」のライブ演奏を披露しているのですが、メンバーそれぞれ自宅から、リモートでの演奏となっており、これもこれで現状だからこそのスタイル。おそらくこのようなスタイルは、現状だからこその貴重な演奏形態であり、コロナ禍が終わった後ではまずお目にかかれないスタイルでしょう。そういう意味では、非常に貴重なライブ音源と言えるかもしれません。以前、くるりのアルバムを紹介した時に、コロナだからこそ生まれた副産物という紹介をしましたが、このライブ音源も、ある意味、副産物のひとつと言えるかもしれません。

ほかにもこのライブアルバムではビリーアイリッシュとテイラースウィフトの音源が並んでおり、ある意味、「今、もっとも人気のある歌姫対決」になっていますし、ジェニファー・ハドソンのほぼアカペラのカバー「Memory」も印象的。また、南アフリカのラッパーSho Madjoziの未発表曲「Good Over Here」は自宅からの録音なのですが、祝祭色あふれる楽曲となっており、コロナ禍で鬱々とした気分をぶっ飛ばすような音源になっており、聴いていてウキウキしてきます。

あと、今回はじめて聴いて、楽曲自体が非常にユニークだったのがSofi Tukkerの「Drinkee」。今回はじめて聴いたのですが、ループするサウンドに淡々としつつリズミカルなラップのようなボーカルが非常に印象的。トラップ感のあるサウンドで、聴きながら思わず拍子を取ってしまうインパクトがありました。

最後を締めくくるジェニファー・ハドソンの「Hallelujah」も強く印象に残ります。その優しくも力強い歌声に涙腺が緩むほど。最後を締めくくるにふさわしい、素晴らしいパフォーマンスとなっています。

全79曲4時間強にも及ぶライブ音源なのですが、間違いなく聴く価値ありの作品。ちなみにYou Tubeでも動画がアップされていますので、そちらを追って行ってもいいかもしれません。このイベント自体、間違いなく音楽史に残るものでしょう。ただ、一日も早く、こういうオンラインではなく、実際のライブとしてこういうイベントが開催出来ればいいのですが…そんな日が少しでも早く訪れることを願っています。

評価:★★★★★

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