早くライブに行きたいなぁ・・・
Title:Live at YOKOHAMA ARENA 20181222
Musician:Hi-STANDARD
新型コロナウイルスのライブイベントが軒並み中止になった現在。非常事態宣言が解除され、徐々に日常生活が戻りつつあるものの、大勢の人が一堂に会するライブについては、いまだに再開の目途も見えていません。そんな中、ハイスタからちょっとうれしいニュースが飛び込んできました。まずはPIZZA OF DEATH音源のサブスク解禁。いままで、サブスク配信には比較的否定的だったPIZZA OF DEATHレコーズでしたが、今の流れの中、ようやくサブスク解禁となりました。個人的には、PIZZA OF DEATHのようなパンクレーベルが、いつまでも旧来依然としたCDに拘るスタイルの方がかなり違和感があったのですが・・・もちろん賛否はあるかもしれませんが、ようやくサブスクの各サイトでPIZZA OF DEATHの各ミュージシャンの楽曲が聴けるようになりました。
そしてさらにその解禁日に飛び込んできたのがHi-STANDARD初となるライブアルバムを配信オンリーでリリースというニュース。それが今日紹介する本作。2018年に行われた「THE GIFT EXTRA TOUR」の横浜アリーナのライブをまるごとパッケージした本作なのですが、ちょっと意外なことに彼らのライブアルバムは本作がはじめて。活動休止期間が長く、その間にメンバー間の確執などもあり、音源がリリースできない状態だった、ということもあるのでしょうが、なによりもやはりライブに来てほしい、という気持ちが強かったのかもしれません。ただ、新型コロナの影響で次のライブがいつになるかわからないような状況の中、STAY HOMEの状態でライブの雰囲気を少しでも味わってほしい、今回のライブアルバムリリースには、そんなバンドの思いを感じます。
実際に、ライブの模様をそのままパッケージした本作には、当日のライブの雰囲気がそのままパッケージされた、そんな空気感も伝わってきます。観客の歓声もまるごとパッケージしてあり、楽曲の間の歓声や、彼らの代表曲が演奏された時の会場の高揚ぶりもそのままパッケージ。特にライブ後半に演奏された彼らの代表曲「STAY GOLD」では簡単なMCから曲がはじまると大歓声が起き、会場の熱気ぶりが伝わってきます。
この日のMCも収録。ただ、「Time To Crow」ではコミカルなMCなどもあったりするのですが、基本的には簡単な曲紹介などのみ。ハイスタのライブはまだ一度も見たことないので、MCはこの程度の短さなのか、それともMCに関してはフルではなくカットされているのか不明なのですが・・・。それでも時折入るMCでもライブの雰囲気をしっかり感じることが出来ます。ステージの息もピッタリなのですが、ライブMCを聴く限りだと、メンバーそれぞれの関係は、非常に良好のようで、一時期の険悪ぶりを知る身からすると、やはり感慨深いものがあります。
基本的には楽曲はメロディアスなハイテンポのパンクロックで最初から最後まで一気に畳みかけるようなスタイル。途中、「CAN'T HELP FALLING IN LOVE」のような、おなじみのカバー曲のパンクバージョンなども織り込みつつ、全27曲1時間20分という長さ、楽曲のバリエーションもなく、ほぼすべて似たようなタイプの曲が並んでいます。それにも関わらず、このアルバム、途中、飽きることなく一気に最後まで楽しむことが出来るのは、やはりバンドとして非常に勢いがあるのと、フックのきいた優れたメロディーラインを書いてきているからでしょう。今回のライブアルバムであらためてHi-STANDARDというバンドの魅力を感じることが出来たように感じます。
しかし聴けば聴くほど、早くライブに行きたい、そんな気持ちが募るようなアルバムになっていたと思います。この日の横浜アリーナのような大会場でのライブが、次、いつ開催できるのか、全くわからないのですが・・・1日も早くそのような日が来ることを祈って・・・とりあえずはこのライブアルバムで、ライブの疑似体験を楽しみたいところでしょう。ハイスタのライブの雰囲気が詰め込まれた、素晴らしいライブアルバムでした。
評価:★★★★★
Hi-STANDARD 過去の作品
The Gift
ほかに聴いたアルバム
アネモネEP/the peggies
3人組ガールズバンドによる、表題曲を含む5曲入りのEP盤。表題曲「アネモネ」はストリングスなども入れて音を分厚くした、J-POP寄りのナンバーになっており、聴きやすい反面、スリーピースバンドという特性はあまり生かされていない印象も。この曲を含め、全体的にはロックというよりもポップのテイストが強い曲が並んでいます。ただ、片思いの切なさを歌った「ロンリー」は疾走感あるギターロックチューンとなっており、バンドの良さがよく出ている感も。ラスト「いきてる-弾き語り-」も、タイトル通り、ギター1本の弾き語りに挑戦したナンバーで、ミュージシャンとして、しっかりとした土台を持っていることも感じます。個人的にはもうちょっとスリーピースバンドとしての特性を生かしたようなロックチューンを期待したいところなのですが、アルバム毎に徐々によくなっている印象もあるため、次のフルアルバムに期待です。
評価:★★★★
the peggies 過去の作品
super boy! super girl!!
なつめきサマーEP
Hell like Heaven
REQUIEM AND SILENCE/鬼束ちひろ
デビュー20周年を記念してリリースされたオールタイムベストアルバム・・・はいいんだけど、2013年にオールタイムベスト「GOOD BYE TRAIN 〜ALL TIME BEST 2000-2013」をリリースし、その後、オリジナルアルバムは1枚しかリリースしていないんだよなぁ・・・。通常盤は基本的にデビューシングルから配信シングルを含めた最新シングルまで、ただ順に並べただけ、という構成。基本的に静かに歌い上げるバラードナンバーばかり。それでも彼女に勢いのあったデビューアルバム「シャイン」から「私とワルツを」までは聴き入ってしまう名曲ぞろいなのですが、Disc2以降の曲に関しては、1曲1曲は悪くないのですが、通して聴くと、似たような曲ばかりで正直飽きる・・・。ここまで来ると、違う路線は難しいかもしれませんが(一度、「育つ雑草」みたいな違うベクトルの曲をリリースして失敗しているし・・・)もうちょっとなんとかしなければならない段階のような・・・。
評価:★★★★
鬼束ちひろ 過去の作品
LAS VEGAS
DOROTHY
ONE OF PILLARS~BEST OF CHIHIRO ONITSUKA 2000-2010
剣と楓
FAMOUS MICROPHONE
GOOD BYE TRAIN~ALL TIME BEST 2000-2013
シンドローム
Tiny Screams
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