« 早くライブに行きたいなぁ・・・ | トップページ | 人気絶頂のバンドから、あえて「ソロ」 »

2020年6月 8日 (月)

デビュー40周年の意欲作

Title:ALL TIME ROCK'N'ROLL
Musician:鈴木雅之

シャネルズとして「ランナウェイ」でデビューしてから今年、40周年を迎える鈴木雅之。今回紹介するアルバムは、そんな彼のデビュー40周年を記念してリリースされた企画盤。通常盤3枚組、企画盤4枚組という非常にボリューミーな内容となったアルバムですが、内容もデビューから40年という、既に大ベテランの彼にも関わらず、非常に意欲的な内容となっている作品に仕上がっていました。

まずDisc1は「Mr.Black 2nd」と題された作品で、シャネルズ/ラッツ&スターと洋楽を、様々なミュージシャンたちとコラボしてカバーした内容になっています。タイトルはおそらくシャネルズのデビューアルバム「Mr.ブラック」に由来するもの。このアルバムも、A面にシャネルズのオリジナル、B面に洋楽のカバーが収録されていました。デビュー40年を迎えて、まさに原点回帰の意味を込めつつ、様々なミュージシャンとのコラボすることにより、あらたな一歩を踏み出そうとする挑戦心を感じさせる内容に。コラボ相手も、ラッツ&スターのメンバーだった佐藤善男が多くの曲で参加しているほか、スタレビやゴスペラーズといった、ラッツ&スターと同じルーツを持つグループ、さらには岡﨑体育やアニソンでおなじみのオーイシマサヨシこと大石昌良といった若手ミュージシャンたちとのコラボを行っているあたりに、彼の意欲的な挑戦を感じられます。

さらにDisc2には「the year of RATS best」と題して、シャネルズ、ラッツ&スター、さらにはゴスペラーズのメンバーと組んだゴスペラッツの楽曲が収録。「ランナウェイ」「街角トワイライト」「め組のひと」などといった代表曲がズラリと並んでいます。そしてDisc3は「Perfect Vision」として、新曲を収録。こちらも氣志團の綾小路翔、いきものがかりの水野良樹、大石昌良、アンジェラ・アキといった若手(・・・というか中堅どころもいますが、鈴木雅之から見れば「若手」ということで・・・)ミュージシャンたちがズラリと楽曲を提供し、こちらも彼の新たな挑戦と意欲を感じさせます。

ちなみに今回のアルバム、「ALL TIME ROCK'N'ROLL」と題されているように、ロックンロールをテーマとしたコンセプト作。そのため、特にDisc1ではQueenの「Crazy Little Thing Called Love」のようなロックンロールな曲のカバーが多く収録されているほか、洋楽カバーが多く収録されているため、比較的洋楽テイストの強い楽曲が多い印象に。シャネルズ/ラッツ&スターの曲ばかり収録され、鈴木雅之のソロ作が収録されていないのは、鈴木雅之のソロ作は比較的歌謡曲テイストが強いためでしょうか。

ただ、そんな意欲作である本作ですが、正直言うと、ちょっと残念な部分も目立ったアルバムだったようにも感じます。まず第1に、今回、シャネルズ/ラッツ&スターのベストが収録されていますが、たった5年前に、オールタイムベストとして鈴木雅之の全キャリアを網羅したアルバム「ALL TIME BEST 〜Martini Dictionary〜」がリリースされたばかり、ということ。正直、シャネルズ/ラッツ&スターズ時代に頼りすぎではないか?と感じてしまいます。

第2に、新曲を収録したDisc3ですが、全10曲入りなのですが、うち5曲はカラオケとなっており、実質5曲のみという点。新曲を収録した割りにはちょっとカラオケで水増しされた感も否めず、ちょっとボリューム不足さは否めません。さらにその新曲5曲についても、出来は悪くないものの、若手ミュージシャンを起用した意欲作としては、いつもの鈴木雅之の延長線上といったイメージで、新たな挑戦といった感じではなかった点もちょっと残念。綾小路翔による「息もできないくらい」はこのアルバムのコンセプトに沿ったロックンロールなナンバーで悪くなかったし、続く「Motivation」も80年代風のファンクチューンでカッコいいナンバーにはなっていたのですが、後半2曲「たとえ世界がそっぽを向いても」「ポラリス」は、いかにもベテランミュージシャン然としたムーディーな歌謡曲になっており、このアルバムを締めくくるナンバーとしてはちょっと保守的すぎるのではないか、と感じてしまいました。

そんな訳でアルバム全体としては、いまなお現役ミュージシャンとして前に進もうという彼の意欲を感じると共に、ちょっと残念な部分も感じてしまった企画盤になっていました。ともあれ、デビュー40年を迎えて、まだまだ力強く歌い続ける彼。そろそろ久しぶりのヒットも欲しい感じもするのですが・・・これからの彼の活躍にも注目したいところでしょう。

評価:★★★★

鈴木雅之 過去の作品
ALL TIME BEST 〜Martini Dictionary〜


ほかに聴いたアルバム

Holy Nights/MIYAVI

ギタリストMIYAVIの最新作・・・なのですが、ここ最近の傾向と同様、全編、打ち込みを用いたエレクトロ色の強いナンバー。正直、ギターが前に出たようなナンバーはほとんどなく、かつエレクトロサウンドに関しても目新しいかと言われたら微妙な感じ・・・。楽曲的にはそれなりにインパクトはあるものの、MIYAVIとしての顔が正直ほとんど見えてこないという印象を受けてしまいます。もっとロックな路線か、エレクトロサウンドを入れるにしても彼なりの色を出してほしい感が強いのですが。

評価:★★★

MIYAVI 過去の作品
WHAT'S MY NAME?(雅-MIYAVI-)
SAMURAI SESSIONS vol.1(雅-MIYAVI-)
MIYAVI
THE OTHERS
FIRE BIRD
ALL TIME BEST "DAY2"
SAMURAI SESSION vol.2
SAMURAI SESSIONS vol.3- Worlds Collide -
NO SLEEP TILL TOKYO

|

« 早くライブに行きたいなぁ・・・ | トップページ | 人気絶頂のバンドから、あえて「ソロ」 »

アルバムレビュー(邦楽)2020年」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 早くライブに行きたいなぁ・・・ | トップページ | 人気絶頂のバンドから、あえて「ソロ」 »