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2020年6月 6日 (土)

50代半ばで全盛期再来

Title:
Musician:岡村靖幸

岡村靖幸約4年2ヶ月ぶりとなるニューアルバム。前作に引き続き会田誠によるジャケットも強く印象に残る作品なのですが、まずは無事、2010年後2枚目となるオリジナルアルバムがリリースされたことにほっとしています。思えば、覚せい剤所持による逮捕からもう12年が経ったんですね。今度こそ・・・とは思っているのですが、槇原敬之の一件があっただけに、正直不安は消えません・・・。

ただ一方、消えきれないそんな「不安」とは裏腹に、ミュージシャンとしてはもう50代半ば、すっかりベテランの領域に入った今にも関わらず、むしろ全盛期再びと思えるような勢いを感じさせる出来になっています。今回のアルバム、80年代あたりの彼の全盛期を彷彿させるような作風を感じさせつつ、一方では「今の時代」にもしっかりとアップデート。昔ながらの変わらない岡村靖幸と、令和の時代に入り変わっていく岡村靖幸をしっかりと両立させた傑作アルバムになっています。

まず基本的にアルバム全体を貫くのが、岡村靖幸らしいファンクチューン。これは時代を通じて全く変わりません。まずアルバムの冒頭を飾るのが小山田圭吾がギターで参加している「成功と挫折」はまさに岡村節とも言えるミディアムファンク。力強いファンキーなリズムは全く変わりません。続く「インテリア」は軽快なエレクトロサウンドにちょっとメランコリックなメロディーラインがどこか80年代を感じさせるポップチューンになって懐かしさを感じさせます。

「少年サタデー」なども、岡村靖幸らしさを感じるジュブナイル的な歌詞と爽やかなメロディーラインが印象的な、まさに初期岡村靖幸そのまんまな楽曲。サウンド的に、まさに90年代あたりのエピックソニーらしさを感じさせるのが「レーザービームガール」でしょう。軽快な打ち込みのリズムが、まさに90年代っぽさを感じるサウンドになっており、おそらくアラフォー、アラフィフ世代には懐かしさを感じさせる感涙モノの楽曲ではないでしょうか。

逆に現在の岡村靖幸を感じさせるのは、まずはなんといっても、新進気鋭の女性ラッパーDAOKOとコラボした「ステップアップLOVE」でしょう。学生時代の恋愛模様を読みこんだ歌詞は岡村ちゃんらしさを感じます(50代なのに・・・)が、一方、疾走感あるエレクトロサウンドやラップを取り入れたスタイルは今の時代にアップデートされた音作りといった感じ。DAOKOとコラボすることにより、今の若い世代にも訴求できるような若々しさを感じます。

そういう意味ではRhymesterとコラボを行った「マクガフィン」もHIP HOPの要素を取り込んだ新しい岡村靖幸と言えるかもしれません。ただ、もともとファンクの要素の強いRhymesterのサウンドと岡村靖幸の相性は抜群。逆に、これがはじめてのコラボというのはかなり意外にも感じてしまいます。「ステップアップLOVE」「マクガフィン」の2曲はHIP HOPと岡村靖幸の曲の相性の良さを感じますし、また、様々なミュージシャンとのコラボは、彼のこれからの音楽活動に対する強い意欲を感じさせます。

そんな懐かしさと新しさを同居させた傑作アルバムだった本作。前作「幸福」同様、本作も間違いなく今年を代表する最高傑作と言える出来だったと思います。覚せい剤と決別し、心身ともに健康になって、本当の意味でミュージシャンとして脂がのってきた・・・そう思わせるここ最近の岡村ちゃんの充実ぶりがうかがわせる作品。これからの活躍ぶりも本当に楽しみです。

評価:★★★★★

岡村靖幸 過去の作品
Me-imi~Premium Edition~
エチケット(パープルジャケット)
エチケット(ピンクジャケット)

幸福

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