あれ、この音は…oasis??
Title:十
Musician:中村一義
最近、寡作気味な中村一義の、途中、セルフカバーアルバムを挟みつつもオリジナルアルバムとしては約4年ぶりとなるニューアルバム。中村一義としては7枚目のオリジナルアルバムとなるのですが、100s名義で3枚のアルバムをリリースしているため、100sとしてのアルバムを含んで10枚目のアルバムとなる計算のようです。
さて、そんな彼のニューアルバムですが、今回のアルバムは基本的にバンドサウンドをメインとしたロックなサウンドが大きな特徴となっています。そしてそんな中で聴いていてまずは思いつくのが「これ、oasis……??」という点。oasisをはじめとする90年代後半あたりのイギリスギターロックバンドの影響を露骨に受けているようなサウンドが目立ちます。つーか、中村一義ってそんな音楽的嗜好あったっけ??と思ってしまったアルバムになっています。
タイトルチューンの「十」などもストリングスとピアノにアコギを重ねて分厚く聴かせるスタイルはoasisっぽいですし、メロディーラインに関してはむしろ「The Bends」時代のRADIOHEADの影響すら感じるほど。「イロトーリドーリ」のギターサウンドなんかも露骨にoasisですし、一番顕著なのが「スターズ」。イントロのアコギのストロークといい、中村一義の歌い出しといい、作曲はノエル・ギャラガーと言われても違和感ないほど(笑)になっています。
さらに「すべてのバカき野郎ども」もギターでダウナーに聴かせるサウンドが完全にoasisなのですが、「ファッキン・メン」やら「兄弟」やら、どこかoasisを彷彿とさせるような単語が歌詞の中に登場してきたりして・・・。アルバム全編にまんまoasis路線のサウンドが目立ち、おそらく90年代のイギリスギターロックが好きならかなり壺にはまりそうな路線かも。いい意味でもバンドサウンドに聴きやすさを感じます。
もちろん、歌詞カードをみなければわからないような、英語みたいに歌われる独特の言語感覚による歌詞の世界はあいかわらず。特に「それでいいのだ!」はアカペラとバスドラの音色ではじまるスタートといい、名曲「犬と猫」を彷彿とさせる中村一義らしいポップチューンになっており、そういう意味でもしっかりと中村一義らしさはアルバム全編に流れている作品になっていました。
また、「叶しみの道」のような
「流行り歌で聴いた『明るい未来』ってなぁ、ここにはねぇが。
だが、どうしたって、ド地獄から、塗り替えりゃあ、いい。」
(「叶しみの道」より 作詞 中村一義)
という歌詞だったり、「十」で歌われる
「孤独の旅路は、闇の中に光射すんで、バカに暗いんだね。」
(「十」より 作詞 中村一義)
という歌詞だったり、祝祭色すら感じる明るくポップなメロやサウンドと反して、どこか影の部分を感じさせる歌詞も健在。もちろんその向こうの希望も同時に歌っており、ここらへんの世界観は中村一義らしさを感じます。
そんな訳で、いつもの中村一義らしさは貫きつつ、露骨にoasisっぽいギターサウンドは個人的には壺。ポップな側面だけではなくロックな側面でも十分楽しめるアルバムに仕上がっていました。
評価:★★★★★
中村一義 過去の作品
最高宝
6 REMIX'N BIRDS
対音楽
海賊盤
最高築
ほかに聴いたアルバム
Complete Singles 2000-2019/LOVE PSYCHEDELICO
デビュー以来、全シングル曲をカップリングも含めて収録した4枚組となるシングルコレクション。2015年にオールタイムベストをリリースしており、それ以来のベスト盤となりますが、途中、アルバム1枚リリースしたのみですので、正直、またか的な感もあります。また、ベスト盤では楽曲のバリエーションをしっかり出していた彼女たちですが、シングルに関しては似たような曲が多く、特にデビュー直後にヒットした曲の焼き直しのような曲もチラホラ。4枚というフルボリュームもあり、1曲1曲取り出せば、もちろんいい曲ばかりなのですが、最初から最後まで聴くとさすがに飽きてしまいました・・・。
評価:★★★★
LOVE PSYCHEDELICO 過去の作品
This Is LOVE PSYCHEDELICO~U.S.Best
ABBOT KINNEY
IN THIS BEAUTIFUL WORLD
LOVE PSYCHEDELICO THE BEST I
LOVE PSYCHEDELICO THE BEST Ⅱ
15th ANNIVERSARY TOUR-THE BEST-LIVE
LOVE YOUR LOVE
LOVE PSYCHEDELICO Live Tour 2017 LOVE YOUR LOVE at THE NAKANO SUNPLAZA
"TWO OF US"Acoutsic Session Recording at VICTOR STUDIO 302
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