« SOFT BALLETのすべて | トップページ | 新生サニーデイの新作&曽我部恵一のライブ作 »

2020年5月 9日 (土)

今後が楽しみなエモコアバンドのデビュー作

Title:Melee
Musician:Dogleg

まだ日本での知名度は非常に低いのですが、かなり注目をしたいバンドが登場しました。アメリカはデトロイトで結成された4人組バンドDogleg。もともとはボーカルのAlex Stoitsiadisのソロプロジェクトとして2015年に活動をスタート。2016年にセルフタイトルのEPを、その後もう1枚のEPをリリース。ライブなどを中心に活動を行っていたのですが、2019年にアメリカのロック系のレーベル、Triple Crown Recordsと契約し、はじめてリリースすることになったフルアルバムが本作です。

そんな本作は、まずは非常に分厚くノイジーながらも物悲しさを感じるギターのインストからスタート。なぜか日本の地名が冠された「Kawasaki Backflip」からスタートするのですが、本作は、ノイジーなギターを中心としたアグレッシブな分厚いバンドサウンドにシャウト気味のボーカルがのったエモコアな楽曲。イメージとしては完全にNUMBER GIRLやeastern youthあたりを彷彿とするような楽曲になっており、この両者が好きなら間違いなく大ハマリしそうな楽曲になっています。

その後も、このような分厚いバンドサウンドを聴かせるエモコア路線の楽曲が続きます。ただ、ギターサウンドについては、楽曲を埋め尽くすようなホワイトノイズが大きな特徴となっており、この点では前述のNUMBER GIRLやeastern youthsのような路線よりも、むしろシューゲイザー系の影響すら垣間見れる感じも。ここらへん、個人的にもかなり壺をついたサウンドになっています。

さらにメロディーラインについては意外とメロディアスでポップという点も大きな特徴であり、かつバンドの大きな魅力となっていました。特に後半、「Wrist」などは疾走感ある分厚いサウンドのギターロックで、シャウト気味のボーカルのエモコアを聴かせつつ、メロディーラインについては意外と爽やかでメロディアスに仕上がっています。さらに「Cannonball」も同じく物悲しく、ポップにまとめあげたメロディーラインが特徴的な曲調になっています。シューゲイザー風のノイジーギターに意外とポップなメロディーラインのエモコア系という路線では、どこかASIAN KUNG-FU GENERATIONに近いものも感じました。

また「Wartortle」の中の"Let's Say "No""という歌詞の最後のシャウトあたりは、かなり向井秀徳のシャウトと重なるような部分も…。おそらく偶然だとは思うのですが、まさか実は影響を受けている、なんてオチがあったりして???ちなみにこの「Wartortle」はポケモンのカメールのことのようですし、「Kawasaki Backflip」なんて曲もあったりと、どこか日本への近い距離感を覚えます。試しにバンドの公式Twitterのフォローリストを見てみたのですが、残念ながらさすがにナンバガは確認できず。が、なんとthe pillowsをフォローしている事実を発見!実は日本のバンドもいろいろと聴いているのかも?

全10曲35分という短さなのですが、かなりはまってしまい、聴きながら最初から最後まで耳を離せなくなった本作。前述の通り、まだ日本ではほとんど無名のバンドですが、ナンバガやeastern youth、アジカンあたりが好きなら間違いなく大ハマリしそうなバンドで、今後、日本での注目度も高まりそう。サウンド的には決して今風ではありませんし、目新しいものではないかもしれませんが、非常にアグレッシヴなサウンドとポップなメロディーラインが癖になりそうな、ロック好きなら間違いなく大好物な音を奏でる彼ら。今年を代表する傑作アルバムのひとつ。今後がかなり楽しみなバンド。来日公演もしてくれないかなぁ。ライブも是非一度見てみたいです!

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Blue Moon Rising/Noel Gallagher's High Flying Birds

EPでの積極的な新曲リリースが続くNoel Gallagher's High Flying Birds。表題曲は打ち込みのリズムに哀愁感ありつつしっかりとインパクトもあるメロディーラインが魅力的な1曲。スペーシーなサウンドにスケール感も覚えます。2曲目「Wandaring Star」も、メロディーの良さをしっかりと感じられるミディアムチューン。ただどこか「Imagine」っぽい雰囲気も??3曲目「Come On Outside」はミディアムテンポながらも力強いリズムとメロが印象的で、どこか昔のoasisを彷彿とさせるような楽曲。どの曲のノエルのメロディーメイカーとしての才が映える楽曲になっており、来るニューアルバムも楽しみになるEPでした。

評価:★★★★★

NOEL GALLAGHER'S HIGH FLYING BIRDS 過去の作品
NOEL GALLAGHER'S HIGH FLYING BIRDS
CHASING YESTERDAY
Who Built the Moon?
Wait And Return EP
Black Star Dancing
This Is The Place

|

« SOFT BALLETのすべて | トップページ | 新生サニーデイの新作&曽我部恵一のライブ作 »

アルバムレビュー(洋楽)2020年」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« SOFT BALLETのすべて | トップページ | 新生サニーデイの新作&曽我部恵一のライブ作 »