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2020年5月22日 (金)

「ヒゲダン」に続くか?

Title:hope
Musician:マカロニえんぴつ

最近のヒットチャートを見ると、いわゆるシンプルな良曲のロングヒットが目立ちます。2016年のRADWIMPS「前前前世」からスタートし、星野源「恋」、米津玄師「Lemon」、あいみょん「マリーゴールド」とロングヒット曲が続き、今現時点でロングヒットを続けているのがKing Gnu「白日」、LiSA「紅蓮華」などもありますが、なんといってもOfficial髭男dism「Pretender」でしょう。既にランクインから1年以上が経過しながら、驚異的なロングヒットを続けています。

これらの曲は映画やドラマ、アニメのヒットに紐づけられた曲もありますが、どの曲にも共通するのはシンプルないい意味でわかりやすさを持ったポップソングであるという点。ある意味、奇をてらわないポップソングであるからこそ多くのリスナー層に受け入れられたのではないでしょうか。ちょっと前までは握手券需要で水増しされり、必要以上に奇抜さを狙ったようなアイドルポップが表面的には「CDが売れている」ということでヒットチャートの上位に名前を連ねていましたが、多くのリスナーはやはりシンプルなポップソングを欲していたということなのでしょう。ようやく音楽シーンに本当の意味で「ヒットしている」曲が戻って来たように思います。

そんな中、今のヒットチャートで人気を伸ばしているのが彼ら、マカロニえんぴつ。昨年リリースしたミニアルバム「season」がベスト10ヒットを記録。続く本作もベスト10ヒットを記録し、その人気を確固たるものとしています。正直言って、彼らの楽曲も決して目新しいわけではありません。あくまでもシンプルなギターポップが特徴的。ただ、歌詞にしてもメロディーラインにしても、いい意味でわかりやすく、いわばポップソングの王道を行きつつ、しっかりインパクトを持った彼らの曲は、個人的にはヒゲダンに続く、次のロングヒット候補ではないのかな、とも思っています。

今回のアルバムも、冒頭、いきなり爽やかなピアノのフレーズからスタートして心躍らされますし、そして歌われる「レモンパイ」は爽快で軽快なポップなのですが、歌詞はシンプルな片思いの、ちょっとキュンとするラブソング。歌詞にしろメロにしろポップソングの王道を行くような楽曲なのですが、しっかりと耳に残るポップソングとなっています。続く「遠心」も軽快なギターロックチューンなのですが、わかりやすくインパクトあるフレーズをサビに持ってきているため、メロディーラインがしっかりと耳に残ります。そのインパクトに残るサビのフレーズをイントロに持ってきて、リスナーの耳をまず惹きつけるセンスの良さも素晴らしい感じ。この勘の良さも彼らが注目される大きな要因のように思います。

その後もちょっと切ないフレーズが印象に残る「ブルーベリー・ナイツ」、ストリングスが入ってスケール感を覚えるタイトルチューンの「hope」、アコギでしんみり聴かせる「嘘なき」と楽曲的にもバラエティー豊富に展開していきます。特に切なさ満載の歌詞にAメロから疾走感あるテンポよいメロディーラインが印象に残る「ヤングアダルト」は今後の彼らの代表曲になりそう。どの曲も比較的シンプルなラブソングが多く、そういう意味でもヒットポテンシャルある曲が並んでいます。

一方ではそんな中、「この度の恥は掻き捨て」「Mr.ウォーター」のようなノベルティー的要素も強い曲もあったりして、ここらへんのユーモアセンスも楽しいところ。この手の余裕も重要ですし、人気のあるミュージシャンというのは、しばしば肩の力の抜けたノベルティーソングもアルバムの中に入れてきており、こういう曲を自然に演れてしまうあたりも、彼らの人気ミュージシャンとしての可能性を感じます。

前作「season」は正直なところ、平凡なポップソングという印象も強く、なぜこれだけ売れるのか不思議でしたが、今回のアルバムは間違いなくそんな彼らが一回りも二回りも成長し、これは売れる、と間違いなく言うことの出来るアルバムになっていました。まだまだ若手バンドの彼らにこういう言い方は違和感あるかもしれませんが「貫禄が出てきた」とも感じられる作品。次のシングルあたり、ヒゲダンクラスのロングヒットをたたき出しても不思議ではないかも。2020年の紅白出演もありうるか???

評価:★★★★★

マカロニえんぴつ 過去の作品
season

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