悲しげなメロディーラインが大きな魅力
Title:EVERY BAD
Musician:Porridge Radio
今、最も注目を集めるイギリスのロックバンドのひとつ…だそうです。イギリスはブライトンを拠点に活動を続けるロックバンドPorridge Radio。フロントウーマンでありバンドのメインライターであるDana Margolinを中心に結成された4人組バンドで、本作はアメリカのインディーレーベルSecretly Canadianと契約後、はじめてリリースされたアルバムとなります。
そんな彼らのサウンドは、完全に80年代のインディーロックを彷彿とさせるような、ラフなテイストの強いオルタナ系のギターサウンド。"DIYバンド"という紹介のされ方をされているようですが、スカスカなローファイ気味のサウンドは、往年のPIXIESあたりを思い起こさせるようなサウンドでちょっと懐かしさすら感じてしまいます。特に序盤の「Sweet」などはかなり荒々しくへヴィーなサウンドに、ちょっと投げやり気味なボーカルがまた、いかにもインディーバンド然とした雰囲気で、インディーロックリスナーにはかなり惹きつけられる音になっているのではないでしょうか。
ほかにも「Nephews」でもグランジロックを彷彿とさせるようなヘヴィーな音を聴かせてくれたり、「Give/Take」で聴かせるギターサウンドも、いかにもオルタナ系のギターロックバンドが奏でるような心地よい音色を聴かせてくれたりとサウンドのスタイル的には正直真新しさはあまりなく、むしろ懐かしい感じすらするのですが、個人的に壺に入った音というのもあるのですが、それだけに比較的シンプルなギターサウンドがとても心地よさを感じる楽曲が並びます。
ただ、このバンドの大きな魅力はこの80年代インディーロック然としたバンドサウンドという以上に、物悲しさを強く感じてしまうメロディーラインでしょう。「Long」や「Nephews」、さらにタイトルそのまま「Pop Song」と、悲しい雰囲気のメロディーラインが流れるギターロックが続きます。ボーカルのDana Margolinの歌い方は自然体なスタイルのボーカリストなのですが、それだけにこの感傷的なメロディーラインにピッタリとマッチしているように感じます。そんなボーカリストがゆっくりと歌い上げるメロディーが強い印象に残るようなアルバムに仕上がっていました。
おそらくこの手のギターサウンドが好きなリスナーは少なくないと思いますし、メロディーをしっかりと聴かせるシンプルなサウンドが特徴的なバンドなゆえに、日本でも今後、さらに注目度は増しそうな予感がします。今後の動向に要チェックのバンド。これからも楽しみです。
評価:★★★★★
ほかに聴いたアルバム
Eternal Atake/Lil Uzi Vert
デビューアルバムに続いて本作でも全米ビルボードチャートで1位を獲得するなど高い人気を誇るアメリカのラッパーによる最新作。E.L.O.かよ!と思わせるようなスペーシーなジャケットが印象的なのですが、楽曲的にも前半は「Lo Mein」のような明るく軽快な曲や「You Better Move」のようなゲーム音を彷彿させるような音を取り入れた曲など明るい雰囲気の曲が目立ちます。ただ途中からは、流行のトラップで哀愁感たっぷりのラップが展開。これもこれで悪くはないのですが…個人的には序盤のような明るい曲調の方が好みだったような…。
評価:★★★★
| 固定リンク
「アルバムレビュー(洋楽)2020年」カテゴリの記事
- 注目の7人組大所帯バンド(2021.03.28)
- 伝説のロックバンドの初のベスト盤(2020.12.29)
- 新生スマパンの第2弾だが。(2020.12.18)
- 「2020年」を反映した2021年ブルースカレンダー(2020.12.08)
- キュートなボーカルが魅力的(2020.12.07)
コメント