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2020年5月16日 (土)

暖かいフォーキーなメロが魅力的

Title:Saint Cloud
Musician:Waxahatchee

ちょっと奇妙な名前のミュージシャンですが、これで「ワクサハッチー」と読むそうです。これが5枚目のアルバムとなる女性シンガーソングライター、ケイティ・クラッチフィールドのソロプロジェクト。この妙な名前はアメリカはアラバマ州にある「ワクサハッチー川」からとられているそうです。

今回、彼女のアルバムを聴くのはこれがはじめてとなります。前作まではノイジーなギターサウンドが主軸となったロックなアルバムだったそうです。しかし、今回のアルバムはそんなロックチューンをイメージして聴きはじめると、非常に異なる印象の楽曲からスタートすることになります。1曲目の「Oxbow」はゆっくりと聴かせるピアノをバックに、彼女ののびやかな歌声を聴かせるフォーキーな楽曲に。ファルセット気味のボーカルもちょっと幻想的で心地よさを感じさせる楽曲となっています。

続く「Can't Do Much」もギターを鳴らしながらメロディアスに聴かせるフォーキーでカントリー風の楽曲。「Fire」もファルセット気味のボーカルとコーラスラインで美しく聴かせるメロディアスなナンバーと、いい意味でシンプルなポップチューンが続いていきます。何よりも暖かい雰囲気のメロディーラインとサウンド、そしてそんな楽曲にピッタリとマッチした彼女の暖かい歌声が大きな魅力のポップソングが目立ちます。

その後もアコギメインにメロディアスに聴かせる「Hell」やハイトーンボイスで美しくメロディアスに聴かせる「War」など、基本的には同じようなタイプのフォーキーな楽曲が並ぶのですが、シンプルなサウンドとインパクトあるポップなメロディーラインを主軸に聴かせる歌モノであるため、全く飽きが来ることなく、アルバムを聴き進めることが出来ます。

後半では「Arkadelphia」のちょっと切なさを感じるメロディーラインが胸に響いてきますし、最後の「St.Cloud」では、静かなエレピをバックに聴かせる力強くも優しい彼女の歌声も大きな魅力。最後の最後までシンプルなメロながらも、とてもやさしさを感じさせるポップチューンが並ぶアルバムになっていました。

非常にシンプルでフォーキーなサウンドが魅力的なアルバム。インパクト十分なポップなメロなだけに多くのリスナー層に受け入れられそうな1枚。まあ、以前はもっとロックよりな音だったみたいなので、今後もこの方向性が続くかはわからないのですが…ポップ好きにはシンプルにおすすめしたい傑作アルバムでした。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Fountain/Lyra Pramuk

Fountain

ベルリンを拠点に活動する女性ボーカリストのデビューアルバム。自らのボーカルにエフェクトをかけ、荘厳にまとめあげた実験的な音楽が続きます。非常に分厚いサウンドが強く印象に残るアルバムなのですが、わかりやすいメロディーラインもなく、実験的な要素の強い作風は聴く人を選びそう。ただ、自らの音をどのように構築できるのかを模索したような7曲が並ぶため、それぞれの曲の方向性は実にユニーク。はまる人にははまりそうな1枚ですが。

評価:★★★★

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