« 2020年4月 | トップページ | 2020年6月 »

2020年5月

2020年5月31日 (日)

御年91歳(!)のブルースギタリスト

Title:Every Day Of Your Life
Musician:Jimmy Johnson

ここ最近、ポピュラーミュージックシーンが成熟した影響か、それとも医療技術の発展で健康寿命が延びたせいか、高齢のポピュラーミュージシャンが多数、誕生しています。例えばローリング・ストーンズのチャーリー・ワッツはもう78歳ですし、日本で言えば小田和正は72歳ですが、まだまだ元気に活動を続けています。しかし、そんな中でも今回紹介するミュージシャンはさらに異例でしょう。著名なソウルミュージシャン、シル・ジョンスンの兄としても知られている、シカゴを拠点として活動するブルースギタリスト、ジミー・ジョンソン。なんと今年、御年91歳(!)。昨年はシカゴのブルース・フェスティバルに出演し、元気な姿を見せていましたが、さらにこのたび、齢90歳を超えて、ニューアルバムのリリースとなりました。

90歳を超えていまだに現役で、第一線で活躍し続けるという点も驚かされるのですが、さらに驚かされるのはアルバムを聴いても、その年齢をほとんど感じさせないこと。ジャケット写真を見ても、高齢のおじいちゃんという印象は受けるものの、まさか90歳を超えているとは信じられないくらい元気な姿ですし、例えばギタープレイも全く衰えはありません。タイトルチューンである1曲目「Every Day of Your Life」でも力強いギタープレイを聴かせてくれますし、例えば「Better When It's Wet」などはギターインストなのですが、年齢を言い訳にするようなところは一切なく、しっかりギタリストとしての腕前を披露してくれています。

さらにそれ以上に驚かされるのはおそらくその歌声でしょう。前述の1曲目「Every Day of Your Life」ではいきなり力強い歌声を聴かせてくれていますし、メロウなミディアムチューンである「My Ring」では、色っぽさすら感じることが出来ます。この「声」というのは、特に年齢による影響が出やすい部分。ましてや彼の場合、本職はギタリストでありボーカリストではないはず。それにも関わらず、90歳を超えても、聴いていて全く違和感を覚えない艶のあるボーカルを維持できるのは、驚きを覚えてしまいます。

楽曲的にはコンテンポラリーなブルースナンバーがメインであって、特に新鮮味はありません。それでもブルージーなギターをしっかり聴かせる表題曲からスタートし、ピアノと絡めて軽快なブルースナンバーを聴かせる「I Need You so Bad」、メロウなミディアムチューン「My Ring」、メランコリックなバラードナンバー「Somebody Loan Me a Dime」、ピアノとギターで感情たっぷりに聴かせる「Strange Things Happening」など、バラエティー富んで聴かせどころたっぷり。特に感情たっぷりに歌うように奏でるギターのサウンドがアルバムを通じて非常に印象に残る内容になっており、ギタリストとしての実力をたっぷりと味わうことが出来ました。

さすがに大ベテランだけあって「勢い」みたいなものはないのですが、ただ一方でしっかりと現役感を覚える内容になっており、これが90歳を過ぎてからの作品というのは本当に信じられません!これだけ元気なら、まだまだその活動は続けられそう。これは目指せ、史上初の100歳超え現役ミュージシャンか??元気なおじいちゃんのアルバム…なのですが、年齢という話題性を差し引いても、十分に楽しめる現役ブルースギタリストの新作でした。

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

Heaven To A Tortured Mind/Yves Tumor

Warpレーベル所属、アメリカ出身イタリア在住というミュージシャンの新作。「エクスペリメンタル・ソウル」「ゴシック・ポップ」などと表現され、ジャズやソウルを主軸に、サイケやノイズなどの要素を加味した独特の音世界が特徴的。前作「Safe In The Hands of Love」は歌モノが目立ちつつ、基本的に実験的な要素を主軸としたインストがメインとなっており、挑戦的な作風だった反面、若干取っつきにくさが目立ちました。今回はグッと歌モノメインにシフト。今回もサイケやノイズなど取っつきにくさはあるものの、基本、メロウな歌が耳に残るポップソングがメインとなっており、いい意味で聴きやすさがグッと増した印象が。前作に比べて、面白さも増した感のある作品でした。

評価:★★★★★

Yves Tumor 過去の作品
Safe In The Hands of Love

The New Abnormal/The Strokes

実に7年ぶりとなるThe Strokesのニューアルバム。The Strokesといえば、ロックンロールリバイバルの立役者として、特に2001年のデビューアルバム「Is This It」ではエッジの効いたロックンロールサウンドでシーンに大きな衝撃を与えましたが、今回のアルバムはそんなデビュー作からは隔世の感のある、メランコリックなメロディーを主軸に据えた聴かせる楽曲が並ぶナンバー。これはこれで、といった感もなくはないのですが、かつての勢いは全くなく、悪く言えば丸く収まってしまった感は否めません。正直、かなり物足りなさを感じてしまった1枚でした。

評価:★★★

THE STROKES 過去の作品
ANGELS

| | コメント (0)

2020年5月30日 (土)

ユニークだけど考えさせられる歌詞

Title:あたりまえつこのうた
Musician:やくしまるえつこ

ご存じ相対性理論のボーカリスト、やくしまるえつこのソロ名義での最新作。その清涼感ある声から、数多くのミュージシャンの作品にゲストとして参加したり、あるいはナレーションなどでのソロの活動も盛んな彼女ですが、今回のアルバムは非常にユニークな企画モノのアルバム。NHK Eテレの科学教育番組「カガクノミカタ」で制作・歌唱を担当したオリジナルソング「あたりまえつこのうた」を1枚にまとめたアルバムになっています。

この「あたりまえつこのうた」は全部で10番まであるのですが、全部おなじメロディー。それが全10曲分並ぶアルバムなのですが、サビの部分、「あたりま~え、あたりま~え、あたりませつこは知っている~♪」というフレーズが非常に人懐っこく、それが何度も繰り返されるのでいつのまにか頭から離れなくなり、知らず知らずのうちに口ずさんでしまいます。

また非常にユニークかつミュージシャンとしての矜持を感じるのが全10番まであるこの曲、1つ1つアレンジが異なるという点。エレクトロサウンドの「いちばん」からスタートし、ホーンセッションが入って楽しい「にばん」、スペーシーな「さんばん」など、基本的にはエレクトロサウンドが主軸になっているのですが、楽曲によって雰囲気が微妙に異なってきます。特にピコピコサウンドで軽快な「はちばん」やメロウな雰囲気の「きゅうばん」などが並んでいます。

ただ、このアルバムの最大の聴きどころは歌詞でしょう。「あたりまえ」と言われていること、言われている事象を、あらためて考察する内容の歌詞。例えば「いちばん」では男の子と女の子が違うという「あたりまえ」が何で「あたりまえ」なのか、というテーマになっていますし、「ごばん」ではプレゼントの中身はあけないとわからないという「あたりまえ」にあらためて疑問をなげかけています。ある意味、非常に科学的でもあり、哲学的でもある内容。基本的に子供向けの科学教育番組の中での曲なのですが、子供だけではなく大人でも歌詞を読んでみると、深く考えさせられる歌詞になっています。

ちなみにNHKのサイトでは、この曲にあわせた子育て世代にはおなじみ絵本作家ヨシタケシンスケによるかわいらしい絵がついたアニメーションが公開されています。このアニメも併せて聴いてみるのがお勧め。アニメと一緒に聴くことにより、あらためて歌詞の世界について考えさせられるような内容になっています。

しかしNHKのEテレって、こういう音楽的にもおもしろい企画をよく作り出すから見逃せません。この企画についても音楽的な側面からも、化学・哲学的な側面からも実によく出来た企画で、基本、子供向けであり子供にもわかりやすいような内容でありながらも、一方では大人にとっても実は考えさせられる内容であるという、非常によく出来た内容になっています。やくしまるえつこを知らない方でも是非お勧めしたい作品。とりあえずは上のNHKのサイトから動画を観れるので、まずはそちらをチェックしてみてください。子供向きとあなどるべからず。

評価:★★★★★

やくしまるえつこ 過去の作品
RADIO ONSEN EUTOPIA
Flying Tentacles(Yakushimaru Experiment)


ほかに聴いたアルバム

THE PERFECT DAY E.P./カジヒデキ

配信限定でリリースされたカジヒデキ4曲入りのEP。もともとは2018年のツアー時にカセットテープにて300本限定でリリースされたもの。この新型コロナ蔓延で鬱々とした雰囲気の中、彼らしい陽気なポップソングが並びます。さらにスチールギターなどを用いて、ちょっとカリビアンな雰囲気となっているのも特徴的。ただでさえ陽気な彼のポップスにピッタリとマッチした明るいサウンドで、今の鬱々とした気分を吹き飛ばしてくれそうな、そんな作品です。

評価:★★★★

カジヒデキ 過去の作品
LOLIPOP
STRAWBERRIES AND CREAM
TEENS FILM(カジヒデキとリディムサウンター)
BLUE HEART
Sweet Swedish Winter
The Blue Boy
秋のオリーブ
GOTH ROMANCE

真っ黒/tricot

本作がメジャーからのリリースとしては初のフルアルバムとなる女性3人+男性1人というスタイルのロックバンドtricot。タイトルもそうですが、黒を基調としたジャケットもカッコよく、アルバムがスタートするといきなりスタートするエッジの効いたギターサウンドにとにかく惹かれます。これでもかというほどヘヴィーなガレージサウンドを主体としたバンドで、バンドサウンドという側面では文句なしにカッコいいのですが…ただ、これは以前からなのですが、それに載るメロディーラインと歌詞のインパクトは弱いのが残念。バンドサウンドに載るボーカルも端正なのが耳に残るのですが、ただガレージサウンドに上手くマッチしていない部分も。サウンドはすごくカッコいいんだけどなぁ…。ライブも良さそうなのですが、CDで聴くとちょっと残念な部分も目立ってしまうアルバムでした。

評価:★★★★

tricot 過去の作品
A.N.D.
3

| | コメント (0)

2020年5月29日 (金)

新進気鋭のSSWが1位獲得

すいません。昨晩は所用のため更新できず、1日遅れの更新です。

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週は、なんと新進気鋭のシンガーソングライターのデビューアルバムが1位獲得です。

今週、初登場で1位を獲得したのは藤井風「HELP EVER HURT NEVER」。You Tubeへのピアノカバー動画などの投稿で話題を呼んだ男性シンガーソングライター。いままで配信限定でEPをリリースしたことはあったものの本作が初のフルアルバムかつCDでのリリースは本作がはじめてとなります。CD販売数で2位を獲得したほか、ダウンロード数2位、PCによるCD読取数5位で総合順位で見事1位獲得となりました。You Tubeへの投稿動画、というとボカロPや「歌ってみた」系ミュージシャンを想像するのですが、彼はそのようなタイプではない正統派のSSW。シティポップ的な洒落た雰囲気のポップミュージックを奏でるシンガーなだけに、今後、さらなるブレイクも期待できそう。ちなみにオリコン週間アルバムランキングでは初動売上2万枚で2位初登場です。

2位は韓国の男性アイドルグループTOMORROW×TOGETHER「The Dream Chapter:ETERNITY」。2つのグループの合同企画かと思いつつ、TOMORROW×TOGETHERという名前のひとつのグループのようです。CD販売数は1位を獲得したものの、ダウンロード数10位、PCによるCD読取数は97位に留まり、総合順位も2位に。一方、オリコンでは初動売上2万9千枚で本作が1位獲得となりました。

3位にはGirls2「チュワパネ!」が初登場。CD販売数3位、PCによるCD読取数47位。CD販売数3位、PCによるCD読取数47位。テレビ東京系で放送中の女児向けドラマ「アイドル×戦士 ミラクルちゅーんず!」、「魔法×戦士 マジマジョピュアーズ!」、「ひみつ×戦士 ファントミラージュ!」の出演メンバーからセレクトされた女性アイドルグループ。オリコンでは初動売上1万9千枚で3位初登場。前作「恋するカモ」の2万枚(7位)より若干のダウンとなっています。

続いて4位以下の初登場盤です。まず4位に湘南乃風「湘南乃風~四方戦風~」がランクイン。約2年ぶりとなるオリジナルアルバム。CD販売数4位、ダウンロード数6位、PCによるCD読取数26位。オリコンでは初動売上1万2千枚で4位初登場。前作「湘南乃風~一五一会~」の1万3千枚(4位)から若干のダウンとなっています。

5位初登場はロックバンドflumpool「Real」。CD販売数5位、ダウンロード数12位、PCによるCD読取数9位。2008年11月にリリースしたデビューミニアルバム「Unreal」の対となるようなアルバムで、ジャケットは「Unreal」と同じくメンバーが全裸で後ろを向いた姿に。同じスタジオ、同じカメラマンによって撮影されたそうで、デビュー以来12年間の経験が詰め込んだアルバムになっているようです。オリコンでは初動売上1万1千枚で5位初登場。前作「EGG」の2万枚(2位)からダウン。

6位にはさだまさし「存在理由~Raison d'etre~」が入ってきました。CD販売数6位、ダウンロード数17位、PCによるCD読取数31位。オリコンでは初動売上1万枚で6位にランクイン。前作「Reborn~生まれたてのさだまさし~」の1万1千枚(5位)から若干のダウンです。

7位初登場はAgust D「D-2」。韓国の男性アイドルグループBTSのメンバー、SUGAによるソロアルバムで、配信オンリーのミックステープという扱いになるそうです。Agust Dは、そのSUGAのソロ活動での名義で、彼の出身地、大邱(Daegu)とTownの頭文字に自分の名前を足した「DT suga」を逆さにしたものだそうです。ダウンロード数で1位を獲得。配信オンリーながらベスト10入りを果たしました。

8位には韓国の男性アイドルバンドFTISLAND「10th Anniversary ALL TIME BEST/Yellow[2010-2020]」がランクインです。タイトル通り、日本デビュー10周年を記念してリリースされたベストアルバム。CD販売数は7位でしたが、ダウンロード数62位、PCによるCD読取数84位で総合順位は8位に。オリコンでは初動売上8千枚で7位初登場。直近のオリジナルアルバム「EVERLASTING」の2万2千枚(3位)からダウンしています。

今週の初登場盤は以上。一方、ロングヒットですが、新譜勢に押されてちょっと失速気味。Official髭男dism「Traveler」は7位から9位にダウン。後がなくなってきました。とはいえ、PCによるCD読取数1位はキープしていますし、CD販売数もまだ9位にランクイン。強さを見せつけています。

さらにJUJUのベストアルバム「YOUR STORY」が今週10位にランクイン。7週目のベスト10入りとなりました。ただ、先々週の1位から5位→10位と急落しており、完全に新譜に押し出された形に。ここで今一歩ふんばるか、それとも・・・?

そして今週、長らくベスト10入りを続けていたKing Gnuの「CEREMONY」が11位とついにベスト10陥落。連続ベスト10記録は今年の1月27日付チャートから連続18週でストップしました。ただ、ダウンロード数は今週も9位。PCによるCD読取数は2位にランクインしているだけに、まだまだ巻き返しも期待できます。

今週のHot Albumsは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

| | コメント (0)

2020年5月28日 (木)

今年最大の音楽ニュース?

Title:ニュース
Musician:東京事変

新型コロナの影響ですっかり沈滞してしまっている音楽シーンですが、ただ2020年の元旦に飛び込んできた最も大きなニュースは東京事変復活のニュースでしょう。2012年2月29日の日本武道館ライブを最後に解散した彼女たちですが、それからちょうど8年後になる今年、突然の復活を遂げました。その後、解散ライブからちょうど8年後、同じ閏日となる2月29日にライブを決行。ちょうど新型コロナウイルス感染が話題となっており、数多くのライブが中止となる中での実施だったために批判を浴びるなど若干ケチがついた感も出てしまったのは残念ですが、ただ、その後、EP盤である本作がリリース。オリジナルアルバムとしては2012年の「color bars」以来、実に約8年3ヶ月ぶりの新譜となります。

まず今回、目を引くのがそのジャケット。タイトルからイメージされるニュース番組をモチーフとしたコンセプシャルなジャケットとなっています。前作「color bars」もテレビ映像のテストパターンから取られたものですし、その後リリースされたカップリングアルバム「深夜枠」もテレビをモチーフとしたタイトルですから、その路線が続いている形となります。特に今回のジャケット、スーツをピシっと決めた椎名林檎のカッコ良さが目立ちます。一方、他のバンドメンバーはいまひとつスーツが似合っていなくて、浮いてしまっているのですが・・・。

そんな新作は前5曲入りのミニアルバムなのですが、5曲が5曲とも、メンバーそれぞれが1曲ずつ作曲としている点が大きな特徴となっています。特に1曲目の「選ばれざる国民」の冒頭に流れてくるのは、いきなり浮雲の歌声。この点からもあくまでも東京事変が椎名林檎+バックバンドという形ではなく、メンバー5人が対等であり、「椎名林檎のバンド」ではない、という強い主張が伝わってきます。

また、椎名林檎のボーカルよりもバンドサウンドを前に押し出したような曲が多いという点も大きな特徴ではないでしょうか。1曲目の「選ばれざる国民」も、今どきなエレクトリックジャズの楽曲になっているのですが、歌よりもエレクトリックピアノをはじめとするバンドサウンドが前に押し出されている構成になっています。

続く「うるうるうるう」もピアノや力強いドラムが目立つ作品になっていますし、ユニークなタイトルの「猫の手は借りて」も、椎名林檎のボーカルを生かした作品ではあるのですが、ノイジーなギターサウンドも同じように主張している楽曲に仕上がっています。椎名林檎のボーカルも非常に特徴的でインパクトがあるのですが、東京事変のメンバーはそれぞれ個性派揃い。ギターもベースもドラムもピアノも、それぞれ非常に個性的なサウンドで主張している点が大きな特徴でもあり魅力。それがバンドとしてバラバラになっておらず、絶妙なバランスでまとまっているのも大きな魅力に感じます。

椎名林檎ではなく、東京事変としてバンドとしての再出発を高らかに歌いあげる、バンドとしての特色、メンバーそれぞれの個性をしっかりと出すことが出来た傑作アルバムだったと思います。ただ、一方正直なところ、楽曲自体、一番よく出来ていたのはやはりラストに収録されている椎名林檎作曲による「永遠の存在証明」だった点、少々バンドの苦しい面が垣間見れる感じ。特に椎名林檎は、東京事変が解散してからのオリジナルアルバム「日出処」「三毒史」がいずれも傑作だっただけに、そういう意味では東京事変より椎名林檎としての活動を…と若干思ってしまう部分も否定できません。

もっとも亀田誠治作曲の「現役プレイヤー」のような、明るくシンプルでポップなギターロックは椎名林檎作曲の曲ではまず出会えないようなタイプの曲で、そういう意味では椎名林檎の音楽的な幅を広げているという点で東京事変の活動も魅力的なのは間違いありません。本格的活動再開直後に新型コロナの影響でライブツアーが中止になったり、おそらく東京五輪に合わせての再結成だったものの、その東京五輪が延期になったりと、ちょっとタイミングが悪かった感も否めませんが、それでもやはり東京事変としてのこれからの活躍にも期待したいところ。ただ、個人的には椎名林檎のソロも同時並行で続けてほしいのですが。

評価:★★★★★

東京事変 過去の作品
娯楽
スポーツ
大発見
color bars
東京コレクション
深夜枠


ほかに聴いたアルバム

映画ドラえもん うたの大全集

映画ドラえもん40作目及びドラえもん連載開始50周年を記念してリリースされた、過去の映画主題歌や挿入歌を網羅したオムニバスアルバム。2010年、2015年に同企画のアルバムがリリースされており、そういう意味で目新しさはあまりないのですが、2015年以降の映画主題歌が収録。特に個人的には星野源の「ドラえもん」目当てで聴いたのですが、この曲は、特にJ-POP系ミュージシャンが提供してからの曲の中ではドラえもんとの世界観とのマッチや曲の良さ、またドラえもんに対する敬愛度いずれをとってもずば抜けていますね。特に昨年10月からはテレビアニメのオープニングにも起用されており、それはそれで賛否を呼んだようですが、個人的にはかなり納得感があります。個人的にはDisc1は非常に懐かしさを感じつつ聴くことが出来、Disc2以降は少々蛇足だったのですが、そんな中でも星野源が断トツによかった、そう感じたアルバムでした。

評価:★★★★

| | コメント (0)

2020年5月27日 (水)

相変わらずロングヒット曲主導のチャート

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

新型コロナの影響でCDの販売が極端に落ち込む中、今週もまた、ベスト10のうちCD販売数でベスト10に入っている曲が1曲のみという、配信主導のチャートとなっています。またさらに今週は初登場曲がゼロという結果に。ロングヒット曲が目立つチャートとなりました。

そんな中で見事1位を獲得したのがYOASOBI「夜に駆ける」。先週の2位からアップし、ベスト10入り5週目にして1位獲得となりました。特にストリーミング数とYou Tube再生回数は見事1位を獲得。今後、どこまでヒットを伸ばすか注目されます。ちなみに先週ベスト10に初登場した「ハルジオン」は今週も10位をキープ。ダウンロード数は6位から10位にダウンしましたが、ストリーミング数が14位から8位へとアップしてベスト10入り。2週連続2曲同時ランクインという結果になっています。

2位はLiSA「紅蓮華」が先週の4位からランクアップ。2週ぶりの2位返り咲きとなっています。You Tube再生回数が12位から8位へと再びアップ。CD販売数も7位にランクインしているほか、ダウンロード数2位、ストリーミング数5位、PCによるCD読取数1位といずれも上位にランクインしています。またラジオオンエア数も24位から12位に大幅アップ。「鬼滅の刃」の原作漫画が最終回を迎え、ちょっとしたニュースになったのですが、それに伴って、アニメ主題歌だったこの曲もランクアップしてきたといった感じでしょうか。

そして3位には、YOASOBIと並び今後のロングヒットが期待される瑛人「香水」。今週は1位から3位にダウン。先週1位だったストリーミング数は2位にダウン。今週は「夜に駆ける」の後塵を拝する結果となっています。ただYou Tube再生回数は5位から3位にアップ。こちらも「夜に駆ける」には負けたものの、You Tube再生回数から考えるとさらに人気を伸ばしてきている結果になっています。「夜に駆ける」と「香水」が今後、どのようにデッドヒートを繰り広げるのか、注目されます。

続いては4位以下の楽曲なのですが、いずれもロングヒット曲。まず、YOASOBIと瑛人のヒットで若干失速気味のOfficial髭男dismですが、今週「I LOVE...」が3位から4位にダウン。ついにベスト3からヒゲダンが姿を消しました。長らくベスト3にランクインし続けたヒゲダンですが、ベスト3から彼らの曲が消えるのは2月3日付チャート以来18週ぶりとなります。

ただし、「Pretender」は今週も先週から変わらず5位をキープ。ストリーミング数及びYou Tube再生回数は先週から変わらず4位をキープしていますし、ダウンロード数は13位から11位へとアップ。「I Love...」もストリーミング数3位は先週から変わりませんし、一時期のような勢いはなくなってきたとはいえ、まだまだ彼らのロングヒットは続きそう。

さらに今週「宿命」が先週の11位からランクアップし8位に返り咲き。ベスト10記録を累計43週に伸ばしています。特にダウンロード数が32位から18位に大幅アップ。ストリーミング数は7位、You Tube再生回数は9位と、まだベスト10を継続しており、まだまだヒットは続きそうです。

一方、King Gnu「白日」は6位から7位にダウン。ストリーミング数は5位から6位、You Tube再生回数は6位から7位とまだまだ強さを見せるものの少しずつダウンしています。

そして今週、あいみょん「マリーゴールド」が11位から9位にランクアップ。2週ぶりにベスト10返り咲きとなっています。ダウンロード数、ストリーミング数12位、You Tube再生回数13位、ほか、CD販売数87位、ラジオオンエア数80位、PCによるCD読取数62位、Twitterつぶやき数87位と、いずれもベスト10入りしていないのですが、幅広くランクインし、総合順位では見事ベスト10入り。ベスト10入り累計52週に伸ばしています。

そんな訳で今週も、CDの販売数とはかけ離れたチャートとなっています。ただ今週の対象週は5月18日から24日で、非常事態宣言も一部地域を除いて解除され、CDショップの営業も開始されてきた週。実際、明日紹介するHot Albumsでは多くの新譜もランクインしてきています。もともと新型コロナ関係なく、シングルがほぼ一部アイドルやアニメファンのファングッズと化してきた傾向があったのですが、新型コロナの影響で、本格的にCDシングルという形態がなくなってしまいそうな感があります。新型コロナの影響で、ライブやイベントなどが中止になって久しく、今後、いつになればライブやイベントが行えるのか心配する向きは大きいのですが、ただおそらく、ライブがなくなることはないでしょう。ただ、この新型コロナの影響でCDシングルは本格的に消滅してしまう可能性が出てきたように思います。非常事態宣言が全国的に解除されましたが、今後の動向に注目されます。

| | コメント (0)

2020年5月26日 (火)

あれ、この音は…oasis??

Title:
Musician:中村一義

最近、寡作気味な中村一義の、途中、セルフカバーアルバムを挟みつつもオリジナルアルバムとしては約4年ぶりとなるニューアルバム。中村一義としては7枚目のオリジナルアルバムとなるのですが、100s名義で3枚のアルバムをリリースしているため、100sとしてのアルバムを含んで10枚目のアルバムとなる計算のようです。

さて、そんな彼のニューアルバムですが、今回のアルバムは基本的にバンドサウンドをメインとしたロックなサウンドが大きな特徴となっています。そしてそんな中で聴いていてまずは思いつくのが「これ、oasis……??」という点。oasisをはじめとする90年代後半あたりのイギリスギターロックバンドの影響を露骨に受けているようなサウンドが目立ちます。つーか、中村一義ってそんな音楽的嗜好あったっけ??と思ってしまったアルバムになっています。

タイトルチューンの「十」などもストリングスとピアノにアコギを重ねて分厚く聴かせるスタイルはoasisっぽいですし、メロディーラインに関してはむしろ「The Bends」時代のRADIOHEADの影響すら感じるほど。「イロトーリドーリ」のギターサウンドなんかも露骨にoasisですし、一番顕著なのが「スターズ」。イントロのアコギのストロークといい、中村一義の歌い出しといい、作曲はノエル・ギャラガーと言われても違和感ないほど(笑)になっています。

さらに「すべてのバカき野郎ども」もギターでダウナーに聴かせるサウンドが完全にoasisなのですが、「ファッキン・メン」やら「兄弟」やら、どこかoasisを彷彿とさせるような単語が歌詞の中に登場してきたりして・・・。アルバム全編にまんまoasis路線のサウンドが目立ち、おそらく90年代のイギリスギターロックが好きならかなり壺にはまりそうな路線かも。いい意味でもバンドサウンドに聴きやすさを感じます。

もちろん、歌詞カードをみなければわからないような、英語みたいに歌われる独特の言語感覚による歌詞の世界はあいかわらず。特に「それでいいのだ!」はアカペラとバスドラの音色ではじまるスタートといい、名曲「犬と猫」を彷彿とさせる中村一義らしいポップチューンになっており、そういう意味でもしっかりと中村一義らしさはアルバム全編に流れている作品になっていました。

また、「叶しみの道」のような

「流行り歌で聴いた『明るい未来』ってなぁ、ここにはねぇが。
だが、どうしたって、ド地獄から、塗り替えりゃあ、いい。」
(「叶しみの道」より 作詞 中村一義)

という歌詞だったり、「十」で歌われる

「孤独の旅路は、闇の中に光射すんで、バカに暗いんだね。」
(「十」より 作詞 中村一義)

という歌詞だったり、祝祭色すら感じる明るくポップなメロやサウンドと反して、どこか影の部分を感じさせる歌詞も健在。もちろんその向こうの希望も同時に歌っており、ここらへんの世界観は中村一義らしさを感じます。

そんな訳で、いつもの中村一義らしさは貫きつつ、露骨にoasisっぽいギターサウンドは個人的には壺。ポップな側面だけではなくロックな側面でも十分楽しめるアルバムに仕上がっていました。

評価:★★★★★

中村一義 過去の作品
最高宝
6 REMIX'N BIRDS
対音楽
海賊盤
最高築


ほかに聴いたアルバム

Complete Singles 2000-2019/LOVE PSYCHEDELICO

デビュー以来、全シングル曲をカップリングも含めて収録した4枚組となるシングルコレクション。2015年にオールタイムベストをリリースしており、それ以来のベスト盤となりますが、途中、アルバム1枚リリースしたのみですので、正直、またか的な感もあります。また、ベスト盤では楽曲のバリエーションをしっかり出していた彼女たちですが、シングルに関しては似たような曲が多く、特にデビュー直後にヒットした曲の焼き直しのような曲もチラホラ。4枚というフルボリュームもあり、1曲1曲取り出せば、もちろんいい曲ばかりなのですが、最初から最後まで聴くとさすがに飽きてしまいました・・・。

評価:★★★★

LOVE PSYCHEDELICO 過去の作品
This Is LOVE PSYCHEDELICO~U.S.Best
ABBOT KINNEY
IN THIS BEAUTIFUL WORLD
LOVE PSYCHEDELICO THE BEST I
LOVE PSYCHEDELICO THE BEST Ⅱ

15th ANNIVERSARY TOUR-THE BEST-LIVE
LOVE YOUR LOVE
LOVE PSYCHEDELICO Live Tour 2017 LOVE YOUR LOVE at THE NAKANO SUNPLAZA
"TWO OF US"Acoutsic Session Recording at VICTOR STUDIO 302

| | コメント (0)

2020年5月25日 (月)

新メンバー加入で新たな一歩

Title:第七作品集「無題」
Musician:downy

独特の音像で圧倒的な世界観を構築し続けるポストロックバンドdownyの、タイトル通り7作目となる新作。本作は前作から約3年半ぶりと、少々久しぶりとなってしまった作品でしたが、その間にバンドにとって非常にショッキングなニュースが起こったことはご存じの方も多いでしょう。バンドのギタリスト、青木裕が急性白血病のため、わずか48歳という若さでこの世を去りました。その後、サンプラー/シンセサイザーとしてSUNNOVAがバンドに参加。本作はその新たなメンバーによる最初のアルバムとなっています。

そんな新メンバーによるdownyの最初の曲「コントラポスト」はいきなり悲しげなピアノの音色からサンプリング音でスタート。いきなり新メンバーSUNNOVAが奏でる音が全面に押し出された楽曲からスタートし、downyの新たな一歩を感じさせる曲になっています。

この曲を手始めとして、今回のアルバムはSUNNOVAが奏でる音をdownyのサウンドの中に新たに取り込もうとする試みを感じさせるアルバムになっていたと思います。例えば「角砂糖」でもループするノイズにピアノの音色がメランコリックに鳴り響きますし、「ゼラニウム」でも力強いドラムとギターノイズの中にシンセの音色も組み込まれています。全体的には以前のようにヘヴィーなギターノイズで楽曲を埋め尽くす圧巻的な曲というよりも、複雑な音を組み立てつつ、サウンドのソリッドな感触が以前より増したサウンドに仕上がっている、そんな印象を受けました。

もっともだからといって以前のdownyのサウンドをガラッと変えてしまった訳ではありません。実際、今回のアルバムではギター青木裕の奏でるサウンドも用いられているようで、特に1曲目「コントラポスト」に続く「視界不良」では圧巻のダイナミックなドラムスとそれに重なるギターサウンドは実にdownyらしいという印象。「good news」もヘヴィーなバンドサウンドにギターが鳴り響くハードコアなナンバーになってり、ダウナーな青木ロビンのボーカルも相まって、まさにdownyらしい圧巻の音世界を作り上げています。

また、そもそもバンドとしての前作「第六作品集『無題』」ではエレクトロサウンドを積極的に取り入れた作品になっていましたし、既にギターノイズで楽曲を埋め尽くす、ようなタイプの曲は少なくなってきていました。そういう意味では今回のアルバム、SUNNOVAが起用されて新しい方向性にシフトした、というよりもdownyのいままでの活動の延長線上にあるタイプのサウンドとみることも出来ます。

そういう意味では今回、新メンバーとしてSUNNOVAを迎えたことは、逆にdownyの向かう方向性に彼がピッタリマッチしたからこそ新メンバーとして加入させた、とみることができるように思います。実際、新メンバーが加入したものの、ここで鳴っている音は間違いなくdownyの音。バンドとして確固たる個性を今回のアルバムでも間違いなく感じることが出来る傑作アルバムに仕上がっていました。

downyがこれからどんな歩みを見せて行くのか、今の段階ではまだ何とも言えません。ただ、間違いなくこのメンバーでこれからも傑作アルバムをリリースしていくだろう、そんな予感のするアルバムでした。バンドとして不幸な出来事のあった彼らですが、その歩みは続いていくようです。これからも彼らの活動に注目していきたいです。

評価:★★★★★

downy 過去の作品
第五作品集「無題」
第五作品集「無題」Remix Album
第六作品集「無題」


ほかに聴いたアルバム

あの人が歌うのをきいたことがない/堀込高樹

KIRINJIの堀込高樹による書下ろし絵本「あの人が歌うのをきいたことがない」。今回紹介するのは、その絵本に付随する形でリリースされたアルバム。肝心の絵本の方は残念ながらまだ読めていないのですが、こちらは配信などでチェックできるため聴いてみました。ピアノを中心にシンプルに聴かせる作品となっており、ジャジーな雰囲気が強い楽曲が並びます。歌詞はおそらく絵本の内容をそのまま綴っているのでしょう。比較的インパクトが強く、歌詞を聴かせることを主眼とするような作品に仕上がっていました。やはり絵本を読みながら味わいたい作品でしょうか。ただ、音楽だけでも十分に魅力的な作品に仕上がっていました。

評価:★★★★★

"gift" at Sogetsu Hall/青葉市子

今年1月に、東京赤坂の草月ホールで行われた10周年記念ライブの模様を収録した配信オンリーでのライブ盤。基本的にアコーステックギター1本のみのステージで、非常に静かな雰囲気の中、彼女の美しい透き通った歌声が響き渡るライブ。緊迫感はあるものの、同時に優しさを感じさせるステージで、その雰囲気が伝わってくるよう。決してバリエーションは多くない、シンプルな曲の構成ながらも、彼女の歌声に終始惹かれるライブ盤になっていました。

評価:★★★★★

青葉市子 過去の作品
うたびこ
ラヂヲ(青葉市子と妖精たち)
0
マホロボシヤ
qp

| | コメント (0)

2020年5月24日 (日)

基本的には前作を踏襲

Title:It Is What It Is
Musician:Thundercat

もともとFlying LotusやKendrick Lamarといったミュージシャンのアルバムへの参加で大きな注目を集めたベーシスト、Thundercat。そんな彼が2017年にリリースしたアルバム「Drunk」は80年代のAORやフィリーソウルの影響を色濃く受けた、メロディアスでかつ懐かしさを感じさせるアルバムとなっており、各所で高い評価を受けました。かくいう私もこのアルバムにすっかり魅了され、2017年の私的ベストアルバムで1位に選んだほど。それだけ素晴らしい傑作アルバムとなっていました。

それから3年。それだけに否応なしに今回のニューアルバムも高い期待の元にアルバムを聴き始めました。そんなアルバムは1曲目「Lost In Space/Great Scott/22-26」はイントロ的なナンバー。ハイトーンボイスのメロウな歌声を聴かせてくれ、まずはアルバムへの期待が高まります。その1曲目からそのまま続く2曲目「Innerstellar Love」は複雑なリズムを奏でるジャジーなドラムとベースが奏でるグルーヴが非常にカッコいいナンバー。ただハイトーンボイスで聴かせるメロウなAORとなっており、基本的に前作「Drunk」を踏襲するような楽曲となっており、「Drunk」ではじめてThundercatというミュージシャンの魅力に触れたリスナーも安心させる楽曲となっています。

その後も基本的にアルバムは前作「Drunk」の路線を踏襲する形で続いていきます。特に80年代の要素を強く感じさせる、どこか懐かしい楽曲が魅力的。例えば「Black Qualls」などは、まさに80年代を彷彿とさせるファンクチューン。「King Of The Hill」なんかも80年代、というよりもむしろもっと前の時代を感じさせるような、どこかレトロな雰囲気が大きな魅力になっています。

また、いい意味でポップで聴きやすいのも本作の大きな魅力。例えば「Funny Thing」は軽快でリズミカルなポップチューンになっていますし、「Overseas」なんかも80年代AORの要素の強い、懐かしさを感じつつも、ポップなメロディーラインはインパクトも強く、とても聴きやすい楽曲に仕上がっています。

ただ一方で懐かしさを感じさせつつも、流れてくるエレクトロサウンドやファンキーなリズムやベースラインは間違いなく2020年代の現代のもの。楽曲としては80年代的な懐かしさを感じさせつつも、決して懐古趣味的な「古さ」を感じさせず、サウンド的にはしっかりと今時の音にアップデートされている点も本作の大きな魅力だったように感じます。間違いなく2020年の今だからこそ生まれたアルバムと言えるでしょう。

そんな訳で、基本的には「Drunk」の路線を踏襲しているため、前作にはまった人は間違いなく気に入るであろう本作。その反面、基本的には「Drunk」から大きく新しいことを実施した訳ではないため、そういう意味での目新しさはあまりなかったようにも思います。そういう意味では前作に引き続き傑作アルバムであることには間違いないのですが「Drunk」と比べると、「Drunk」は超えられなかったかな、といった感じ。いいアルバムなのは間違いないのですが、その点はちょっと残念でした。

評価:★★★★★

Thundercat 過去の作品
Drunk
Drank

| | コメント (0)

2020年5月23日 (土)

久々のフェス参加(ただしオンラインで)

森、道、市場をお茶の間で

会場 お茶の間(オンライン) 日時 2020年5月15日(金)

新型コロナウイルスが蔓延する中、ライブやイベントが一切中止になるなど、音楽業界に大きな影響を与えています。そんな中、オンラインの「ライブイベント」も次々と行われています。今回、私が参加したのはそんな「ライブイベント」のひとつ。もともと5月15日から17日の3日間予定されていたフェス「森、道、市場」。そのイベントが新型コロナの影響で残念ながら中止になりましたが、「森、道、市場をお茶の間で」ということでオンラインでの開催が決定。私はといえば、逆にオンラインになったからこそ参加が可能となり、5月15日の1日だけですが、久々に「森、道、市場」に参加してきました。

「森、道、市場」は一般的な音楽フェスとは異なり、音楽だけではなく、数多くのレストランや雑貨店が参加しており、「市場」というタイトルの通り、そういった様々な店舗の出店もメインとなっているイベント。オンラインのイベントでも、有料配信となった音楽ライブ以外に、You Tubeやインスタグラムのライブ機能をつかったオンラインショッピング的な様々な番組が配信されており、オンラインながらも音楽以外の様々な番組を楽しむことが出来る、まさに「フェス」的な内容になっていました。そんな中、まずこの日は朝の11時より、ライブ配信がスタートしました。

眉村ちあき

まず第1弾は眉村ちあきという「弾き語りトラックメーカーアイドル」を自称する「アイドル」。最初はおそらくライブハウスの片隅でアコギ弾き語りでスタート。途中からライブハウスのステージに立ち、打ち込み+エレキギターでのスタイルでライブをスタートしました。アイドルという立て付けだが、楽曲自体はシンプルなポップ。今回の事態をテーマにして作ったという「手を取り合うからね」は明るいポップに仕上がっており、また「できない」というメロウなポップの新曲も披露。最後は「開国だ」ではサビではこぶしを利かせた力強いボーカルも披露。楽曲的にはアイドルポップっぽさはあまりなく、あくまでも女性シンガーソングライターというイメージ。アイドルを自称しているだけあって、とてもキュートでかわいい方でしたが、「アイドル」と言ってしまうと、若干微妙な気はしないでもないような………。

Campanella

続いては、12時からNAGAN SERVERというミュージシャンのライブ配信だったのですが、昼食を取っていたためパス。13時からのCampanellaのライブ配信から再度参加です。Campanellaはスタジオの録音ブースからの配信。エフェクトをかけた打ち込みのトラックをバックにドリーミーな雰囲気に。最初は「YUME no NAKA」からスタート。新曲も披露してくれました。ドリーミーなトラックにエフェクトをかけてドリーミーな雰囲気のラップも心地よい雰囲気に。Campanellaはビールをのみながら、全体的にまったりした「ライブ」となっていました。

VenueVincent

14時からはVenueVincentというバンドのライブ配信。最初かメンバーそれぞれ個々人の部屋から挨拶。その後は以前行ったライブ映像を配信する形となりました。ラテンフレーバーのギターとパーカッションがちょっとじとっとして心地よい感じのオーガニックなインストバンド。ボーカルみたいな人がずっと踊っているなぁ、と思ったけど、タップダンサーだったのね…。本人たちは「ライブに来てほしい」と盛んに言っていましたが、確かにライブハウスが似合いそうなグループ。彼らについては、音源はもちろん、名前もはじめて聴くグループだったのですが、リズミカルなサウンドが心地よく、思わずパソコンの前で踊ってしまいました。生で見たら気持ちよさそう。コロナ騒動が終わったら、是非、ライブで見てみたい、そう思った配信でした。

bird

続く15時からはbirdの登場。最初は挨拶でスタート。彼女もコロナ騒動の前に行われた、群馬県桐生市で行ったライブの模様をそのまま配信する形に。彼女のボーカルとサポートギタリストによるアコギ1本。「LIFE」「SOULS」の2曲をアコギでしんみり感情的に。内容はよかったけどわずか2曲のみで過去のライブ映像の使いまわし・・・無料配信なら問題ないと思うのですが・・・うーん・・・。

高橋創

16時からは高橋創というミュージシャンのライブ配信。彼も音源はもちろん、名前もはじめて聴くミュージシャンでした。ブロック塀の前で、外での演奏。アコギでの弾き語りのステージ。山下達郎ばりの長髪が印象的なルックスで、暖かい雰囲気のインストナンバーを聴かせてくれました。なんでも、アイルランドの曲だとか。The Beatlsの「Here Comes The Sun」のカバーも。外からマイク一本での配信のため声が聴こえにくかったのですが、それもまたリアリティあって逆によい感じ。途中、ヒキダカオリという女性シンガーも参加「Swan LK243」という曲をアイルランドの曲の日本語カバーをしんみり聴かせてくれました。心地よい風がふいてくる感じのステージで、なかなか心地よいひと時を過ごすことができました。

坂本美雨

17時からはご存じ、坂本美雨のライブ配信。そういえば、彼女の「ライブ」を見るのはおそらくはじめてなのですが、まず感じたのは坂本龍一にそっくり…(笑)。この日は自宅から、キーボードをかかえてのライブ。最初は猫と一緒にまったりトーク。アカペラで「Over The Rainbow」を披露してくれましたが、非常に美しい澄んだ歌声が印象的。その後はシンセでクランベリーズのカバー。こちらも伸びやかな歌声を美しく聴かせてくれました。ライブはまったりトークを挟みながら、自宅からの配信らしくのんびりとした雰囲気で続きます。途中には「猫のうた」というユニークな曲も披露。この曲は作詞作曲が彼女ですが、非常に矢野顕子っぽい曲になっており、こちらも血は争えない感じ(笑)。その後は「I Can't Help Falling in Love With You」をアカペラで披露。最後は「喜び合うことは」で締めくくり。最後には彼女の子供も登場し、幕をおろしました。そういえば彼女はもともと高校生の頃、Sister Mとして美声を聴かせる謎の女性シンガーとしてデビューしたんですよね。その美声は今となっても全く衰えていない、そうあらためて認識できたライブでした。

カジヒデキ

18時からはカジヒデキのライブ配信。配信はおそらく彼の自宅と思われ、バックにはレコード棚にレコードいっぱいつまっていました。ボーダーの半そでシャツに麦わら帽子というスタイルで登場し、昔から全く変わらないスタイルが印象的。この日はアコギ1本での弾き語りを披露してくれます。最初は「甘い恋人」からスタート。ちょっと懐かしいナンバーでうれしくなってしまいます。さらに「きみはちから」、そして「シヴィラはある日突然に」というこれまた非常に懐かしい曲を…。軽快な楽曲で、パソコンの前で思わず身体ものってしまいました。その後は「ユーモアが行方不明」、「Have a Lovely Day」と次々と披露。特に「Have a Lovely Day」はこのコロナの中でのエールのような選曲になっていました。そして最後は「ラ・ブーム~だってMY BOOM IS ME~」!彼の代表曲とも言うべきナンバーで、個人的にも大好きな曲だけに、これはうれしかったです。ポップな曲の連続で、思った以上に楽しいライブにくぎ付けとなりました。個人的に、カジヒデキというと、線が細くて、ボーカリストとしてはあまり歌が上手いという印象はなかったのですが、ライブで聴くと、非常に失礼ながら結構歌が上手いんですね…。これはちょっと意外。とても良いステージでした。コロナが終息したら、是非ライブも行きたいなぁ。

The Worthless

19時からは、こちらも初耳のThe Worthlessというグループ。まずはメンバーそれぞれ別の場所からリモートで。「うたうヒゲとおどるマリオネットのジャグバンド」といううたい文句のグループなのですが、メンバー全員が付け髭をつけていて、さらになぜかマリオネットも参加。1つの絵本から1曲をつくるスタイルだそうで、「音源」も「絵本」という形でリリースしているそう。絵本の中にQRコードが隠れていて、QRコードを読み取ると、ダウンロードで音源が聴けるスタイル。これはかなりユニークですね。この日はオンラインでの絵本の読み聞かせからスタートしました。その後は途中からはかつてのライブ映像。ジャグバンドらしく軽快で楽しそう。盛んに「ライブを見てほしい」と言っていたけど、確かにライブは楽しそう。「I'm crazy for cats more than lover」「Hambarger」「深呼吸」「うまうま う・う・う!」という4曲を披露。ちなみにこの日の配信は見ている人がコメントを寄せれるのですが、メンバー本人の書き込みもあったりして、ちょっとうれしくなりました。彼らもいつか、ライブで見てみたいなぁ。

畳野彩加(Homecomings)

さて、次はMONO NO AWAREの玉置周啓のライブだったのですが、夕食を取ったためパス。21時からのHomecomingsから畳野彩加のライブ配信を見てみました。レコーディングスタジオからギター1本での弾き語り。フォーキーに聴かせるほっこり暖かい感じのライブ配信となっていました。特にMCもなく淡々と進む感じで、途中のトークは最後の曲の前に「ありがとうございました」くらい。淡々としているが、意外と耳に残るメロが印象的でした。次は、Homecomingsとしても見てみたいなぁ。

君島大空

有料のライブ配信最後となるのは22時から君島大空という男性ミュージシャンの配信。彼も名前を聴くのもはじめてのミュージシャン。この日は自宅のようなところからの配信となっていました。アコギアルペジオとウイスパー気味のハイトーンボイスで聴かせる。アコギアルペジオとファルセットボイスが美しく印象的。MCもウイスパー気味で静かで、ちょっと緊張している感じでした。この日は自粛期間に出来たという「扉の夏」や「向こう髪」を披露。また、吉澤嘉代子の「東京絶景」のカバーも聴かせてくれました。非常に美しい歌声が印象的なシンガーソングライターで、最近、折坂悠太や小袋成彬といった男性シンガーソングライターが注目されていますが、その流れで登場してきそうなシンガー。これから徐々に名前を聴く機会も増えそう。予想外に素晴らしいライブでした。

N F in MORI MICHI ICHIBA 2020

そしてこの日、24時からサカナクション山口一郎が主催するクラブイベントN Fが、ライブ配信という形で実施されました。ライブ配信がスタートすると山口一郎が登場。さらにサカナクションのドラマーの江島啓一、さらにN Fでおなじみらしい青山翔太郎がゲストで登場。インスタのライブ機能なので音は途切れがちだったのは残念・・・。最初は山口一郎のDJでスタート。1時ちょっと前に江島啓一が登場いs。お互い、曲をかけあう「Back To Back」というスタイルでDJを披露してくれました。明け方の5時6時くらいまでやるみたいだったけれど、さすがに寝ないといけないので1時過ぎに後ろ髪を引かれつつ終了しました。

そんな訳で、ほぼ1日中、パソコンの前で「森、道、市場」を楽しんだこの日。正直、リアルタイムでの映像ではなく、以前収録した映像の配信がほとんど(だったと思う)のがちょっと残念にも感じたのですが、ただ一方、自宅からのライブという、ある意味、コロナのこの時期しか見ることの出来ない貴重なライブ映像も楽しむことが出来ました。今年に入ってから、1度もライブに足を運ぶことが出来ず、残念な思いを抱えていましたが、こうやってライブ配信というスタイルでも、あらためてライブの良さを実感することが出来た1日。この日はじめて名前を聴くミュージシャンも予想外に素晴らしいライブを聴くことが出来、意外な出会いもあったのも、ある意味「フェス」らしい感じでした。
早くコロナ騒動が終息して、憂いなくライブを楽しむことが出来るようになればいいのですが・・・。早くその日が来ることを願いつつ、次のライブはいつになるのかなぁ・・・。

| | コメント (0)

2020年5月22日 (金)

「ヒゲダン」に続くか?

Title:hope
Musician:マカロニえんぴつ

最近のヒットチャートを見ると、いわゆるシンプルな良曲のロングヒットが目立ちます。2016年のRADWIMPS「前前前世」からスタートし、星野源「恋」、米津玄師「Lemon」、あいみょん「マリーゴールド」とロングヒット曲が続き、今現時点でロングヒットを続けているのがKing Gnu「白日」、LiSA「紅蓮華」などもありますが、なんといってもOfficial髭男dism「Pretender」でしょう。既にランクインから1年以上が経過しながら、驚異的なロングヒットを続けています。

これらの曲は映画やドラマ、アニメのヒットに紐づけられた曲もありますが、どの曲にも共通するのはシンプルないい意味でわかりやすさを持ったポップソングであるという点。ある意味、奇をてらわないポップソングであるからこそ多くのリスナー層に受け入れられたのではないでしょうか。ちょっと前までは握手券需要で水増しされり、必要以上に奇抜さを狙ったようなアイドルポップが表面的には「CDが売れている」ということでヒットチャートの上位に名前を連ねていましたが、多くのリスナーはやはりシンプルなポップソングを欲していたということなのでしょう。ようやく音楽シーンに本当の意味で「ヒットしている」曲が戻って来たように思います。

そんな中、今のヒットチャートで人気を伸ばしているのが彼ら、マカロニえんぴつ。昨年リリースしたミニアルバム「season」がベスト10ヒットを記録。続く本作もベスト10ヒットを記録し、その人気を確固たるものとしています。正直言って、彼らの楽曲も決して目新しいわけではありません。あくまでもシンプルなギターポップが特徴的。ただ、歌詞にしてもメロディーラインにしても、いい意味でわかりやすく、いわばポップソングの王道を行きつつ、しっかりインパクトを持った彼らの曲は、個人的にはヒゲダンに続く、次のロングヒット候補ではないのかな、とも思っています。

今回のアルバムも、冒頭、いきなり爽やかなピアノのフレーズからスタートして心躍らされますし、そして歌われる「レモンパイ」は爽快で軽快なポップなのですが、歌詞はシンプルな片思いの、ちょっとキュンとするラブソング。歌詞にしろメロにしろポップソングの王道を行くような楽曲なのですが、しっかりと耳に残るポップソングとなっています。続く「遠心」も軽快なギターロックチューンなのですが、わかりやすくインパクトあるフレーズをサビに持ってきているため、メロディーラインがしっかりと耳に残ります。そのインパクトに残るサビのフレーズをイントロに持ってきて、リスナーの耳をまず惹きつけるセンスの良さも素晴らしい感じ。この勘の良さも彼らが注目される大きな要因のように思います。

その後もちょっと切ないフレーズが印象に残る「ブルーベリー・ナイツ」、ストリングスが入ってスケール感を覚えるタイトルチューンの「hope」、アコギでしんみり聴かせる「嘘なき」と楽曲的にもバラエティー豊富に展開していきます。特に切なさ満載の歌詞にAメロから疾走感あるテンポよいメロディーラインが印象に残る「ヤングアダルト」は今後の彼らの代表曲になりそう。どの曲も比較的シンプルなラブソングが多く、そういう意味でもヒットポテンシャルある曲が並んでいます。

一方ではそんな中、「この度の恥は掻き捨て」「Mr.ウォーター」のようなノベルティー的要素も強い曲もあったりして、ここらへんのユーモアセンスも楽しいところ。この手の余裕も重要ですし、人気のあるミュージシャンというのは、しばしば肩の力の抜けたノベルティーソングもアルバムの中に入れてきており、こういう曲を自然に演れてしまうあたりも、彼らの人気ミュージシャンとしての可能性を感じます。

前作「season」は正直なところ、平凡なポップソングという印象も強く、なぜこれだけ売れるのか不思議でしたが、今回のアルバムは間違いなくそんな彼らが一回りも二回りも成長し、これは売れる、と間違いなく言うことの出来るアルバムになっていました。まだまだ若手バンドの彼らにこういう言い方は違和感あるかもしれませんが「貫禄が出てきた」とも感じられる作品。次のシングルあたり、ヒゲダンクラスのロングヒットをたたき出しても不思議ではないかも。2020年の紅白出演もありうるか???

評価:★★★★★

マカロニえんぴつ 過去の作品
season

| | コメント (0)

2020年5月21日 (木)

コロナの中でも新譜は多め

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

GWが終わったからでしょうか。新型コロナウイルスの影響で新譜リリースの延期が相次いでいる中ですが、それでも今週は新譜が比較的多いチャートとなりました。

そんな中で1位を獲得したのはRain Drops「シナスタジア」でした。バーチャルライバーグループ「にじさんじ」から派生したユニットだそうで、これがデビュー作となるミニアルバム。ちなみに「ライバー」とは動画サイトなどでライブ配信を行っている人だそうです。CD販売数は2位でしたが、ダウンロード数で1位獲得。PCによるCD読取数10位で、総合順位では1位獲得となりました。ちなみにオリコン週間アルバムランキングでは初動売上1万6千枚で2位初登場となっています。

2位はMAN WITH A MISSION「MAN WITH A"REMIX"MISSION」が獲得。ご存じ、身体は人間、頭は狼という設定のロックバンドによる結成10周年記念アルバムの第2弾。彼らの楽曲をAA=の上田剛士やケンイシイ、石野卓球などといった豪華な面子がリミックスしたアルバムとなっています。CD販売数は1位だったのですが、ダウンロード数は5位、PCによるCD読取数も6位に留まり、総合順位は2位となっています。オリコンでは初動売上1万7千枚で1位初登場。前作「MAN WITH A "B-SIDES&COVERS" MISSION」の1万9千枚(1位)より若干のダウンとなっています。コロナで外出規制がかかり数多くのCD店が閉店し、かつ、リミックスアルバムという形態ながら、かなり健闘した結果ではないでしょうか。

3位初登場は絢香「遊音倶楽部~2nd grade~」。女性シンガーソングライター絢香によるカバーアルバムで、2013年にリリースした作品に続く第2弾となります。今回は五輪真弓「恋人よ」やレベッカ「フレンズ」、Mr.Children「everybody goes~秩序のない現代にドロップキック~」など、30代前半の彼女がリアルタイムで聴いていないような、ちょっと古いナンバーがメインとなっています。CD販売数4位、ダウンロード数3位、PCによるCD読取数29位。オリコンでは初動売上7千枚で5位初登場。前作「30 y/o」の1万2千枚(9位)からダウンしています。

続いて4位以下の初登場盤です。まず4位に角松敏生「EARPLAY~REBIRTH 2~」がランクイン。セルフカバーベストの第2弾。CD販売数は3位だったものの、ダウンロード数21位、PCによるCD読取数9位にとどまり、総合順位もこの位置に。オリコンでは初動売上9千枚で4位初登場。直近のオリジナルアルバム「東京少年少女」の8千枚(6位)からアップしています。ちなみにこのアルバム、ジャケット写真が印象的。

AORの名盤として名高いAIRPLAYの「ロマンティック」のジャケットの、かなりわかりやすいパロディーになっています。↓

しかしこうやって並べてみると、服の袖のまくり方までそっくりで、かなり凝ったパロディーになっていますね。ちなみにAIRPLAYの「Cryin' All Night」のカバーも収録されています。

6位には家入レオ「Answer」がランクイン。彼女初となるEP盤。CD販売数5位、ダウンロード数9位、PCによるCD読取数53位で総合順位はこの位置に。オリコンでは初動売上5千枚で8位初登場。前作「DUO」の1万3千枚(6位)からダウンしています。

初登場盤最後は10位の諏訪ななか「So Sweet Dolce」。CD販売数7位、その他は圏外となり総合順位はこの位置に。Aqoursにも参加していた人気女性声優。これが諏訪ななか単独名義では初のアルバムとなります。オリコンでは初動売上5千枚で6位初登場。

一方、ロングヒット盤ですが、今週は初登場に押し出される形で大きくダウン。Official髭男dism「Traveler」は4位から7位にダウン。ただし、PCによるCD読取数は1位をキープしています。また、King Gnu「CEREMONY」も3位から8位にダウン。さらに先週まで8週連続のベスト10ヒットを続けていたUru「オリオンブルー」ですが、今週は残念ながら11位にランクダウンしてしまいました。

今週のHot Albumsは以上。チャート評は来週の水曜日に!

| | コメント (0)

2020年5月20日 (水)

新たなロングヒットの兆し

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

新型コロナウイルスの影響でCDでリリースされる新譜が少ない中、ロングヒット曲の躍進が目立ちますが、その中でおそらく次のロングヒットとなりそうな曲が、今週のチャートでは上位を占めました。

1位に瑛人「香水」が先週の3位からランクアップ。ベスト10入り3週目にして1位獲得となりました。ストリーミング数1位、You Tube再生回数で5位。もともと2019年4月にリリースされた楽曲。当初はほとんど話題にならなかったものの、Tik Tokで徐々に話題を集め、ここに来て一気にブレイク。ついに1位獲得となりました。ストリーミングやYou Tube中心のヒットとなっており、今後のロングヒットも期待できそうです。

一方、2位もYOASOBI「夜に駆ける」がランクアップでベスト3入り。こちらもストリーミング数2位、You Tube再生回数2位で徐々にランクアップし、ベスト10入りから4週目にしてベスト3入りとなりました。ボカロPのAyaseとシンガーソングライターとしても活動しているikuraによるユニット。こちらももともとは昨年12月にリリースされた楽曲が徐々に人気を集めてきたもの。こちらも今後のロングヒットが期待されます。

ある意味、ヒゲダンやKing Gnu、LiSAに続くロングヒットとなりそうなこの2曲ですが、瑛人はアレンジがアコギ1本という武骨なスタイル。歌詞もシンプルで具体的。一切深読みできないような、良くも悪くもそのまんまな歌詞になっています。一方、YOASOBIはピアノや打ち込みを入れたサウンドに、歌詞も少々「中2病的」な側面も含めて、深読みを意図するようなラブソング。2020年代後半を代表するロングヒットになりそうな予感もある2曲ですが、楽曲的には非常に対極的と言える感じがします。今後、この2曲がどのようなデッドヒートを繰り広げるのか、注目されそうです。

YOASOBIは今週もう1曲「ハルジオン」が10位に初登場。これで2曲同時ランクインになりました。ただ、こちらはダウンロード数は6位ながらもストリーミング数は14位、You Tube再生回数は58位とロングヒットの兆しはありません。ただ、こちらも「夜に駆ける」のヒットに引っ張られる形で今後、伸びて行くのでしょうか。

そしてこの新たなロングヒット候補に押し出される形で若干失速気味なのが3位Official髭男dism「I LOVE...」。先週の1位からランクダウン。ストリーミング数、You Tube再生回数も共に3位にダウンしてしまいました。さらに今週「Pretender」も4位から5位にランクダウンし、若干失速気味。こちらもストリーミング数、You Tube再生回数共に4位にダウンです。

そして今週、あの「宿命」が11位にダウンし、ついにベスト10から陥落。昨年8月12日以降続いていたベスト10ヒットは連続41週でストップ。ベスト10入りも累計42週でひとまずのストップとなりました。今後、盛り返しもあるのでしょうか、それとも…。

続いて4位以下の初登場曲ですが、まず7位に嵐「Love so sweet:Reborn」が初登場でランクイン。2007年にリリースされたシングル「Love so sweet」をリメイクした配信限定のシングル。ダウンロード数で2位を獲得。一方、ストリーミング数は83位、Twitterつぶやき数11位、You Tube再生回数は33位に留まっています。

9位にはGReeeeN「星影のエール」が初登場。こちらはダウンロード数で1位を獲得。ラジオオンエア数も4位となっていますが、ストリーミング数58位、Twitterつぶやき数45位にとどまり、総合順位は9位に。NHK朝の連続テレビ小説「エール」主題歌で6月リリース予定のCDからの先行配信です。「エール」といえば日本ポップス史を代表する作曲家古関裕而とその妻・金子をモデルとした小説。それだけに、古関裕而の曲を主題歌にした方がよかったのでは?とも思ってしまうのですが。ただ、GReeeeNの出身地は古関裕而と同じ福島県ということで、今回の起用に繋がったのでしょう。

ロングヒット勢ではLiSA「紅蓮華」が2位から4位にランクダウン。瑛人、YOASOBIのヒットに押し出される形となっています。「紅蓮華」といえば、アニメ「鬼滅の刃」の主題歌ということでアニメ人気につられる形でのロングヒットとなっていますが、この「鬼滅の刃」、原作の漫画が最終回を迎えたことで話題となっています。この最終回が、本作の動向にも何らかの影響を与えるのでしょうか。

一方でKing Gnu「白日」は先週の6位から同順位をキープ。ダウンロード数は5位から10位、ストリーミング数も4位から5位にダウンしていますがYou Tube再生回数は先週と変わらず6位を維持しています。

また今週、先週まで2週連続ベスト10に返り咲きていたあいみょん「マリーゴールド」は11位にダウンし、ベスト10返り咲きは2週でとりあえずはストップ。ベスト10記録は合計51週となりました。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums!

| | コメント (0)

2020年5月19日 (火)

アンビエント作の続編

新型コロナがこれだけ大問題になるちょっと前の3月26日。NINE INCH NAILSが突如、新作をサプライズリリースし話題となりました。それがこの2作

Title:Ghosts V:Together
Musician:NINE INCH NAILS

Title:Ghosts VI:Locusts
Musician:NINE INCH NAILS

タイトルからもわかる通り、本作は2008年にリリースされたアルバム「Ghosts I-IV」の続編的な内容のアルバム。「Ghosts I-IV」がリリースされた時は、一部を抜粋した無料ダウンロードのほか、5ドルでの全編ダウンロードや10ドルでのCD販売など様々な形態でのリリースが話題となりました。当時はまだ、無料ダウンロードというリリース形態が珍しかったこともあり、話題となったのを記憶しています。一方本作は現時点では無料ダウンロード(またはストリーミング)のみでのリリース。もっとも今となっては定額制によるストリーミングで聴く方法がメインとなってしまったため、逆に無料ダウンロードでもほとんどインパクトがなくなってしまいました。そういう意味では、10年という月日なのですが、隔世の感が否めません。

さて今回のアルバムは2枚同時リリースとなりましたが、「Ghosts V」は全8曲入り1時間10分という長さ。一方「Ghosts VI」は15曲入り1時間23分という長尺。全編聴くと2時間半以上というボリューム感ある作品となっています。ただ、この長尺のアルバムながらも全編アンビエントな作品になっており、淡々と続いていく展開が特徴的。特に「Ghosts V」ではアンビエントの色合いが強く、静かであまり抑揚のないサウンドが淡々と続くような、そんな構成になっています。もっともその中でも、ピアノも入って優しくメロディアスに聴かせてくれる曲もあり、例えば「Together」や「Your Touch」など、ピアノを用いたメロディアスなメロディーを聴くことが出来ます。

とはいえアルバム全体として「Ghosts V」は淡々と続いていくような内容となっており、しっかりと音源の前で正座して聴く、というよりは、部屋のBGM的に流しながら、時折あらわれる美しいサウンドやメロディーにはっと耳を傾けるような感じ。そのため、NINE INCH NAILSの最初の作品としては少々適さない感じもあるのですが…これはこれで彼らの魅力を感じることが出来るアルバムだったように感じます。

ただ淡々と静かなサウンドが続く「Ghosts V」に比べると、「Ghosts VI」はサウンド的にも様々なタイプの曲があり、アンビエントという方向性は一緒とはいえ、より聴きどころの多い作品になっていました。序盤「The Cursed Clock」「Around Every Corner」そして「The Worriment Waltz」では不協和音的なピアノが奏でる不気味な雰囲気が妙に耳に残る楽曲に。さらに「Run Like hell」ではトライバルな要素も取り入れたパーカッションのリズムも印象に。途中、ダイナミックなドラムの音も大きなインパクトになっています。

この不協和音的なピアノの音色を取り入れ不気味に展開していく構成はアルバム全体で共通しており、特に13分弱の「Turn This Off Please」では、その不気味な雰囲気が楽曲全体を覆いつくすヘヴィーな曲調になっていました。後半にはインダストリアルな展開が待っており、ここらへんはある意味、NINE INCH NAILSらしさを感じる楽曲に。最後を締めくくる「Almost Dawn」も哀しげなメロディーが胸に残る曲調となっており、アルバム全体としてはヘヴィーで不気味さを感じつつ、どこか残る哀しげな要素が魅力的なアルバムに仕上がっていたと思います。

ただ、どちらもアンビエントな作品であることは間違いないだけに、NINE INCH NAILSの最初の1枚としてはおすすめできる作品かと言われると少々微妙。もっとも良作ではあると思うので、NINE INCH NAILSを気に入っている方であればチェックしてみて損はないアルバムかもしれません。このシリーズ、「VII」「VIII」と続いていくのでしょうか。次は純然たるオリジナルアルバムを聴きたい、かな。

評価:どちらも★★★★

NINE INCH NAILS 過去の作品
GhostI-IV
THE SLIP
Hesitation Marks
Not The Actual Events
Add Violence
Bad Witch


ほかに聴いたアルバム

Gigaton/Pearl Jam

約6年半ぶりとなるPearl Jamの新作。いい意味で変なひねりのないシンプルなギターロックの作品で、冒頭「Who Ever Said」で、静かなストリングスの音色を切り裂くように入ってくるギターサウンドはロック好きなら胸が高まるのでは。先行シングルとなった「Dance Of The Clairvoyants」ではシンセも取り入れたダンスチューンになっているものの、ヘヴィーなバンドサウンドがやはり主軸となっていますし、最後を締めくくるスケール感あるサウンドが特徴的な「River Corss」まで、シンプルでPearl Jamらしさをしっかり追及しつつ、懐古的になるわけではなく、現役感を出したサウンドが楽しめるアルバムになっています。2020年にはバンド結成30周年を迎え、すっかりベテランの仲間入りを果たしている彼らですが、まだまだ第一線での活躍は続きそうです。

評価:★★★★

Pearl Jam 過去の作品
Backspacer
Lightning Bolt

| | コメント (0)

2020年5月18日 (月)

サウンドへの自信を感じる

Title:BL
Musician:女王蜂

前作「十」からわずか10ヶ月というスパンでリリースされた女王蜂のニューアルバム。前作「十」はバンドとしての勢いを感じる傑作アルバムに仕上がっていましたし、売上の面でもアルバムでは初となるベスト10ヒットを記録するなど、勢いを感じさせる結果となっていました。そしてそこから1年に満たないリリーススパンでの新作発売というのは、彼らの今の勢いを感じさせます。

今回のアルバムの一番の特徴といえば、その非常に凝ったサウンドでしょう。「ロックバンド」というカテゴライズされる彼らですが、今回のアルバムではロックサウンドを聴かせる、というスタイルの曲はほとんどありません。1曲目「HBD」は静かでダークなサウンドなのですが、そのサウンドは完全に最近流行のトラップを取り入れたもの。続く「BL」もバンドサウンドを取り入れつつ、そのリズムからはトラップの影響を強く感じます。トラップのサウンドは哀愁感を漂わせており、女王蜂のその妖艶な世界観ともピッタリとマッチしています。

「心中デイト」も軽快なピコピコサウンドのエレクトロポップ。タイトル通りのかなり重く暗いテーマ性を持った歌詞と軽快なエレクトロサウンドとのミスマッチがユニークさを感じるナンバーになっています。最後を締めくくる「PRIDE」もエレクトロサウンドを全面的に取り入れた楽曲となっており、アルバム全体としてエレクトロ寄りが目立つ構成になっています。

ただその一方で「虻と蜂」ではアコギのアルペジオで悲しげな音色を聴かせる和風なサウンドとなっていますし、「CRY」もピアノとアコギで爽快感がありつつ、切なさを兼ね備えたようなサウンドに。全8曲入りのアルバムながら1曲1曲タイプの異なるサウンドが収録されており、本作でのサウンド面での力の入れようがわかる内容になっています。

この彼らのサウンドに対する力の入れようは、今回通常盤では8曲の後にオフボーカルバージョンが入っていることからもわかります。ボーカルや歌なしでも十分、聴くことが出来るだけのサウンドになっているという、彼らの自負を感じることが出来ますし、実際にオフボーカルバージョンも彼らの作品として十分に楽しむことの出来る内容になっていました。

しかしその反面、今回のアルバムでちょっと厳しく感じてしまったのは肝心のメロディーラインのインパクト。この点については彼ら、以前のアルバムからその妖艶な雰囲気のインパクトと反して、メロディーラインのインパクトの弱さが課題に感じていました。前作「十」ではメロディーにしっかりとインパクトを持たせており、そのため「傑作」となりえたアルバムでしたが、今回のアルバムでは、その妖艶な雰囲気ばかりが後に残ってしまい、肝心のメロディーがちょっと薄味になってしまった、そんな印象を受けてしまいました。

結果、女王蜂としての勢いを感じる部分はある反面、「十」でクリアしたと思われた以前からの課題は戻ってきてしまったかな、と思うようなアルバムになっていたと思います。もっとも「十」で聴かせてくれたようなインパクトあるメロディーに、本作のようなサウンドを重ねれば…とんでもない傑作がリリースされそうな予感も。これからも彼らの活動からは目が離せなさそうです。

評価:★★★★

女王蜂 過去の作品
孔雀
蛇姫様
奇麗
失神
Q

| | コメント (0)

2020年5月17日 (日)

結成21年目のまさかの初アルバム

Title:echo
Musician:Chara+YUKI

まさかのデビューアルバムです。それぞれが非常に個性的なボーカリストとして活躍しているCharaとYUKI。その2人がかつてユニットを組んでいた…といっても、リアルタイムに聴いていた世代やファンにとっても「ああ、そういえば」的な認識ではないでしょうか。1999年に、まだJUDY AND MARYのボーカリストとして活動していたYUKIがCharaとユニットを結成し、シングル「愛の火 3つ オレンジ」をリリースしました。CharaとYUKIのコンビは、その後もバンドMean Machineの活動につながるのですが、Chara+YUKI名義での活動はシングル1枚でストップ。Mean Machineとしての活動もアルバム1枚のリリースで終わってしまいました。

1999年はJUDY AND MARYは活動を休止していた頃。YUKIはソロボーカリストとして活動を模索している最中でした。ただ、このCharaとのユニットなどが典型的なのですが、売れ線J-POPバンドのボーカリストというイメージが強かったYUKIが、既にサブカルシーンで絶大な支持を得ていたCharaにすり寄って、「サブカル界隈」での人気を確保しようとしている…そういう印象を強く受けていました。特にその当時は今より「ヒットチャート王道系としてのJ-POP」と「サブカル系」との距離が大きかっただけに、急速にサブカル系ミュージシャンに近寄るYUKIは、正直言って少々露骨といった印象すら受けていました。

さらにその当時、「ロリータボイス」として既に特徴的な声色を持っていたYUKIですが、やはりまだボーカリストとして成長途上という面は否めず。逆にCharaはボーカリストとして既に実力を確保していたミュージシャン。その差は歴然で、当時、Chara+YUKIのユニットはかなり違和感を覚えていました。結果、Mean Machineとしての活動はあったものの、Chara+YUKIとしてはシングル1枚で終わってしまったことから、おそらく本人たちもしっくりこなかったのでしょう。いつの間にかChara+YUKIは「忘れ去られた」ユニットとなっていました。

それから21年。特にYUKIはジュディマリも解散しソロボーカリストとして独り立ち。既にYUKIを語る場合に「元ジュディマリの」という枕詞が不要になるほどボーカリストとして一定以上の地位を築きました。そんな中、なんと21年ぶりの結成となりリリースされたアルバムが本作。まさかの再結成に驚かされたのですが、ただ21年という月日を経て、YUKIがボーカリストとしてその地位を確立したからこそ、再結成という話になったのではないでしょうか。

実際にボーカリストとしての差を感じた21年前と比べて、あきらかに2人の立場は対等なものとなり、CharaとYUKIの2人の実力あるボーカリストがそれぞれの本領を発揮した作品となっています。特に2020年バージョンとして再録された「愛の火 3つ オレンジ」は、21年前のバージョンでは明らかにCharaのボーカルだけが際立ち、YUKIのボーカルの単調さが目立つ内容になっていたのですが、今回のバージョンではしっかりとYUKIも感情たっぷりに力強く色っぽさを感じるボーカルを聴かせてくれており、ちゃんとCharaとYUKIのデゥオとして成り立っています。

声色としては同じロリータ系でありつつ、鼻にかかった歌い方が特徴的なCharaとかわいらしさを感じるYUKIのボーカルは微妙にベクトルが異なっており、そのベクトルの違い故に2人のボーカルの相性の良さも感じます。特に先行シングルとなったシティポップ風のエレクトロチューン「楽しい蹴伸び」ではその2人のボーカルの相性の良さを特に感じることの出来る楽曲になっていました。

全体的にはエレクトロサウンドをベースとしたドリーミーなポップチューンがメイン。これはCharaとYUKIの声質にもマッチしているように感じます。一方、ドリーミーなサウンドとねちっこいボーカルを前に出した前半と比べて、後半「鳥のブローチ」は爽快でスケール感もある、ポップチューンになっていますし、ミディアムチューンの「Night Track」は横ノリのナンバーながらも分厚いサウンドで祝祭色を感じさせるナンバー、さらに最後の「echo」はギターポップとバリエーションを感じつつ、Chara+YUKIとしてのスタイルの模索も感じさせる展開で締めくくられています。ここらへんの曲も含めて、CharaとYUKIのボーカリストとしての相性の良さを強く感じます。

ある意味、今となってこそリリースすることが出来るアルバムのようにも感じます。なによりもYUKIのボーカリストとしての著しい成長を強く感じさせるアルバム。昔は違和感の強かった組み合わせでしたが、今となっては全く違和感を覚えません。21年前はシングル1枚で終わってしまいましたが、今後はコンスタントに活動してほしいなぁ。ツアーも予定されていましたが、こちらは新型コロナの影響で中止になってしまった模様…それだけに、これが最後ではなく、次も是非、期待したいところです。

評価:★★★★★

CHARA 過去の作品
honey
kiss
CAROL
Very Special
Dark Candy
うたかた
Cocoon
JEWEL
Secret Garden
Naked&Sweet
Sympathy
Baby Bump

YUKI 過去の作品
five-star
うれしくって抱きあうよ
megaphonic
POWERS OF TEN
BETWEEN THE TEN
FLY
まばたき
YUKI RENTAL SELECTION
すてきな15才
forme


ほかに聴いたアルバム

BE MY ONE/及川光博

ほぼ毎年、コンスタントにアルバムリリースを続けている彼にしては珍しく、2年ぶりとなるニューアルバム。ただ久しぶりということもあってか、「ミッチーらしい」と感じる、王道を行くような楽曲が並んでおり、特にエレクトロサウンドやホーンセッションを入れて軽快感もましたファンクチューンが目立つアルバムになっていました。新型コロナの影響で来年以降に延期になってしまったようですが、ライブで盛り上がりそうなナンバーが目立ちます。ただ、久々の新譜の割りには、9曲のみでうち1曲がセルフカバーという点はちょっと気になるところ。プライベートでは離婚という出来事があったり、逆にドラマで忙しかったりと、いろいろな意味で忙しいのでしょうか。

評価:★★★★

及川光博 過去の作品
RAINBOW-MAN
美しき僕らの世界
喝采
銀河伝説
ファンタスティック城の怪人
さらば!!青春のファンタスティックス
男心DANCIN'
20 -TWENTY-
パンチドランク・ラヴ
FUNK A LA MODE
BEAT&ROSES

| | コメント (0)

2020年5月16日 (土)

暖かいフォーキーなメロが魅力的

Title:Saint Cloud
Musician:Waxahatchee

ちょっと奇妙な名前のミュージシャンですが、これで「ワクサハッチー」と読むそうです。これが5枚目のアルバムとなる女性シンガーソングライター、ケイティ・クラッチフィールドのソロプロジェクト。この妙な名前はアメリカはアラバマ州にある「ワクサハッチー川」からとられているそうです。

今回、彼女のアルバムを聴くのはこれがはじめてとなります。前作まではノイジーなギターサウンドが主軸となったロックなアルバムだったそうです。しかし、今回のアルバムはそんなロックチューンをイメージして聴きはじめると、非常に異なる印象の楽曲からスタートすることになります。1曲目の「Oxbow」はゆっくりと聴かせるピアノをバックに、彼女ののびやかな歌声を聴かせるフォーキーな楽曲に。ファルセット気味のボーカルもちょっと幻想的で心地よさを感じさせる楽曲となっています。

続く「Can't Do Much」もギターを鳴らしながらメロディアスに聴かせるフォーキーでカントリー風の楽曲。「Fire」もファルセット気味のボーカルとコーラスラインで美しく聴かせるメロディアスなナンバーと、いい意味でシンプルなポップチューンが続いていきます。何よりも暖かい雰囲気のメロディーラインとサウンド、そしてそんな楽曲にピッタリとマッチした彼女の暖かい歌声が大きな魅力のポップソングが目立ちます。

その後もアコギメインにメロディアスに聴かせる「Hell」やハイトーンボイスで美しくメロディアスに聴かせる「War」など、基本的には同じようなタイプのフォーキーな楽曲が並ぶのですが、シンプルなサウンドとインパクトあるポップなメロディーラインを主軸に聴かせる歌モノであるため、全く飽きが来ることなく、アルバムを聴き進めることが出来ます。

後半では「Arkadelphia」のちょっと切なさを感じるメロディーラインが胸に響いてきますし、最後の「St.Cloud」では、静かなエレピをバックに聴かせる力強くも優しい彼女の歌声も大きな魅力。最後の最後までシンプルなメロながらも、とてもやさしさを感じさせるポップチューンが並ぶアルバムになっていました。

非常にシンプルでフォーキーなサウンドが魅力的なアルバム。インパクト十分なポップなメロなだけに多くのリスナー層に受け入れられそうな1枚。まあ、以前はもっとロックよりな音だったみたいなので、今後もこの方向性が続くかはわからないのですが…ポップ好きにはシンプルにおすすめしたい傑作アルバムでした。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Fountain/Lyra Pramuk

ベルリンを拠点に活動する女性ボーカリストのデビューアルバム。自らのボーカルにエフェクトをかけ、荘厳にまとめあげた実験的な音楽が続きます。非常に分厚いサウンドが強く印象に残るアルバムなのですが、わかりやすいメロディーラインもなく、実験的な要素の強い作風は聴く人を選びそう。ただ、自らの音をどのように構築できるのかを模索したような7曲が並ぶため、それぞれの曲の方向性は実にユニーク。はまる人にははまりそうな1枚ですが。

評価:★★★★

| | コメント (0)

2020年5月15日 (金)

ズラリと並んだ歌モノ曲が魅力的

Title:TOKYO SKA TREASURES ~ベスト・オブ・東京スカパラダイスオーケストラ~
Musician:東京スカパラダイスオーケストラ

デビュー30周年を記念してリリースされたスカパラの3枚組となるベストアルバム。スカパラはいままで何枚もベスト盤をリリースしており、これでベスト盤としては5枚目。特に前回リリースした「The Last」からはまだ5年しか経過しておらず、「さすがにリリースしすぎでは?」という感もあります。さらに今回のベスト盤は1998年にavexに移籍した後の音源のみを収録したベスト盤。特に近年の作品に関しては、良くも悪くもポップ路線にシフトした、ということで賛否両論な面もあり、初期スカパラのような、くすんだ色合いの曲調でやばさを感じさせる作品が好きな方にはスルーするようなベスト盤かもしれません。

ただ今回のベスト盤で大きな特徴となっているのは間違いなくDisc1、2。2001年よりスタートさせた、ゲストミュージシャンをボーカルとして起用してスカパラの曲を演奏する歌モノ路線。2001年の田島貴男をゲストに迎えた「めくれたオレンジ」、第2弾のチバユウスケがゲストの「カナリヤ鳴く空」、そして第3弾となる奥田民生を迎えた「美しく燃える森」を含め、歌モノの曲がズラリと並んでいます。ある意味、この歌モノシリーズはスカパラのポップ路線を決定づけることになった特徴的な企画なのですが、ただ豪華なゲスト陣はまさに圧巻。ミスチル桜井和寿や甲本ヒロト、斉藤和義、ASIAN KUNG-FU GENERATIONなどなど、様々なタイプのミュージシャンがズラリと並んでいます。

そんな豪華ゲストを迎えた歌モノシリーズですが、今回、並べて聴いてみてひとつ非常に興味深い点に気が付きました。それは声を聴けば一発で誰が歌っているかわかるような個性的なボーカリストでも、人によって、あくまでも「スカパラの曲」という印象に留まるか、スカパラの曲ではなく、まるでゲストミュージシャン自身の曲かのような印象を受けるか、大きく異なるという点でした。

後者の代表は間違いなく今回、ベスト盤リリースにあたったの新曲「Good Morning~ブルー・デイジー」に参加したaikoでしょう。楽曲としては間違いなくスカパラの曲のはずなのですが、ボーカルの独特の節回しもあり、スカパラの曲というよりは完全にaikoの曲になっています。また、同じく甲本ヒロトの「星降る夜に」も、軽快なスカの曲調で、完全にスカパラらしい曲のはずなのですが、甲本ヒロトが歌うとなぜか甲本ヒロトの曲になってしまうから不思議です。

逆に前者の代表としてはミスチル桜井和寿が参加した「リボン」。言うまでもなく桜井和寿も声を聴けば一発で彼だとわかる個性的な声の持ち主のボーカリスト。この曲も聴けば一発で桜井がボーカルだとわかるのですが、楽曲としてはあくまでもスカパラの曲に桜井のボーカルが載っている、という印象以上でも以下でもありません。宮本浩次が参加した「明日以外すべて燃やせ」も同様。彼も非常に個性的なボーカリストで間違いないはずなのですが、この曲に関しても聴いていて、エレカシの曲っぽい、みたいに感じることは一切なく、あくまでもスカパラの曲という印象以外は受けません。

もちろん、作り手側の意図として、スカパラ色をより出したプロデュースにするのか、ボーカルの個性をより生かしたプロデュースにするのか、という違いもあるのでしょう。また、もちろんこの両者のどちらがボーカリストとして優れている、という話でもありません。ただひとつ感じるのは、aikoや甲本ヒロトのような完全に自分の曲としてしまっているボーカリストは、おそらくその歌い方自体にその人独特の節回しがあるんだろう、ということを感じます。一方、桜井和寿や宮本浩次のようなタイプは声色には非常に特徴はある反面、歌い方としては比較的シンプルでストレートな歌い方をしている、ということかもしれません。確かに桜井和寿なんかは、比較的ボーカルのスタイルとしてストレートだからこそ、多くのリスナーをひきつけるメガヒットを連発してきた、とも言えるかもしれませんが。

とにかく、このDisc1,2の歌モノ路線がズラリと並んでおり聴き比べが出来るという点が今回のベスト盤の最大の魅力。基本的にはスカパラらしい曲が並んでいるとはいえ、ボーカリストによって様々な色が出ておりバラエティーに富んだ展開となっています。Disc3についてはインスト曲が収録。比較的最近の(といっても1998年以降なので20年以上の歳月が経過していますが)曲なのでポップ路線の曲が多いのですが、「Perfect Future」などのように怪しげで「ヤバイ」雰囲気を漂わせた曲もしっかりと収録されており、危険なにおいというスカパラの魅力のひとつもしっかりと感じます。

デビューから30年を経過しても、まだまだ現役感バリバリに第一線で活動を続ける彼ら。歌モノシリーズもまだまだ豪華なゲストが参加して続きそうですし、これからもその活躍が期待できそう。まだまだこれからの彼らも楽しみになってくるような、そして次の歌モノシリーズのゲストも楽しみになってくるベスト盤でした。

評価:★★★★★

東京スカパラダイスオーケストラ 過去の作品
Perfect Future
PARADISE BLUE
WILD SKA SYMPHONY
Goldfingers
HEROES
Sunny Side of the Street
on the remix
Walkin'
欲望
Diamond In Your Heart
SKA ME FOREVER
The Last
TOKYO SKA Plays Disney
The Last~Live~
TOKYO SKA PARADISE ORCHESTRA~Selecao Brasileira~
Paradise Has NO BORDER
GLORIOUS
2018 Tour「SKANKING JAPAN」"スカフェス in 城ホール" 2018.12.24


ほかに聴いたアルバム

ストレンジピッチャー/ガガガSP

気が付けばメジャーデビューから20年が経過。すっかりベテランバンドの領域に突入したガガガSP。相変わらずなハイテンポのパンク路線を聴かせてくれつつ、さすがに歌詞の世界ではそれなりに「大人」になってきた印象も強く受けます。特にギルバート・オサリバンの名曲「Alone Again(Naturally)」を自己流にカバーした「ハロー40代」ではタイトルそのもの、40代に突入したコザック前田の心境を歌ったナンバーに。ベテランバンドとなった彼ららしい落ち着いた大人の部分を強く感じたアルバムになっていました。

評価:★★★★

ガガガSP 過去の作品
くだまき男の飽き足らん生活
自信満々良曲集

ガガガを聴いたらサヨウナラ
ミッドナイト in ジャパン
ガガガSPオールタイムベスト~勘違いで20年!~

ターゲット/FLOWER FLOWER

yui率いるロックバンドFLOWER FLOWERの約2年ぶりとなる新譜。ファンクチューンの「蜜」からスタートし、ディスコチューンやピアノバラード、ギターロックにアコースティックなナンバーなど、実にバラエティー豊かな音楽性が特徴的。結果、アルバムとしての統一感に欠けてしまっている部分は玉に瑕なのですが、バンドとしての幅を広げていこうという意欲は強く感じさせるアルバムになっていました。これを糧に、次にどうつなげていくか、次回作にも注目したいところです。

評価:★★★★

FLOWER FLOWER 過去の作品


スポットライト

| | コメント (0)

2020年5月14日 (木)

伝説のドラマーとトランぺッターの共演

Title:Rejoice
Musician:Tony Allen & Hugh Masekela

新型コロナの件…とは関係ないのですが…先日、ショッキングなニュースが飛び込んできました。かのアフロビートの創始者、フェラ・クティの右腕として活躍した伝説のドラマー、Tony Allenが4月30日に79歳で亡くなりました。数多くのミュージシャンたちに絶大な影響を与えたアフロビートの根幹のリズムを担ってきたという、まさに伝説的なドラマーだっただけに、その逝去のニュースは非常にショッキングでした。

本作は、そんな彼が、事実上、生前最後にリリースしたアルバムとなってしまった作品。ただ、純然たる「遺作」的な新作ではなく、2018年に亡くなった南アフリカの伝説的なトランぺッター、Hugh Masekelaとの共演作。もともとは共演を意図していた2人でしたが、2010年の英国ツアーが偶然重なったことからプロジェクトが始動。残念ながらその音源は未完のまま残されていたのですが、2018年からレコーディングが再開。ゲストミュージシャンによる演奏を加えて、昨年の夏、ようやく完成に至ったそうです。

そんな伝説的なミュージシャン同士の、まさに奇跡の、とでもいうべき共演作。ただ、こういう大物同士のコラボ作というのはいかんせん、個性の強いミュージシャンが自らの個性を主張し合った結果、チグハグな作品になってしまう、というケースが少なくありません。しかし、このアルバムに関しては、しっかりとTony AllenとHugh Masekelaの演奏がそれぞれの良さを十分に発揮し、ガッチリと組み合った、そんな傑作に仕上がっていました。

アルバムの冒頭を飾る「Robbers,Thugs and Muggers(O'Galajani)」などはまさにその典型例で、Hugh Masekelaの哀愁感のあるトランペットの音色がしっかりと流れる中、Tony Allenの力強くアグレッシブなドラムのリズムが楽曲を支えているという構成により、どちらのサウンドもなくてはならない楽曲に仕上がっています。続く「Agbada Bougou」も同様。ちょっと悲しげに、歌うように聴かせるトランペットのリズムと力強いドラムのリズムがしっかりと組み合わせって、独特のグルーヴ感を醸し出しています。

まさにドラムとトランペットがそれぞれの良さを最大限に発揮し合いつつ、楽曲を作り上げているという作品に。哀愁感や郷愁感を含んだメロディアスなトランペットの音色と、トライバルな要素を多分に含んだ力強いドラムのリズムのバランスが実に見事。どちらの演奏もしっかりと耳に残る、そんなアルバムに仕上がっていました。

特にアルバムのラストを飾る「We've Landed」はドラムの奏でるグルーヴィーなリズムとメロディアスに鳴り響くトランペットの音色がしっかりと相対し、ゾクゾクするようなスリリングな演奏を聴かせてくれる、実に魅力的な作品に。各々がそれぞれの個性を発揮しつつ対峙することにより緊迫感ある演奏を聴かせつつも、同時に2人で共に楽曲を作っていこうとする意志も強く感じられる楽曲に最後まで聴き入ってしまいます。

残念ながらこれが最初で最後となってしまったコラボレーションですが、それだけに貴重な録音となっている本作。伝説のミュージシャン同士ながらも相性の良さも感じさせる傑作アルバムでした。あらためてご両人のご冥福をお祈りしたいと思います。

評価:★★★★★

| | コメント (0)

2020年5月13日 (水)

新譜少な目のヒットチャート

先週は新譜のほとんどなかったチャート。GWの影響も大きいのですが、今週もその傾向が続きました。特にHot Albumsではベスト10圏内に新譜がゼロ(!)。そのため今週はHot100、Hot Albums同時更新です。

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週も新型コロナウイルスの影響で新譜は少なめながらも、ニューエントリー作も。

まず今週の1位は先週から引き続きOfficial髭男dism「I LOVE...」が獲得。CD販売数が14位から10位にランクアップし、販売初週以来のベスト10入りとなり、You Tube再生回数も1位を獲得した一方、ストリーミング数は2位にダウン。連続1位記録は12週でストップしました。また「Pretender」も今週は3位から4位にダウンし、残念ながらベスト3陥落という結果に。こちらもストリーミング数、You Tube再生回数共に先週の2位から3位にダウンしています。

またヒゲダンは「宿命」が7位から8位にワンランクダウンながらもベスト10をキープした一方、「パラボラ」は8位から12位にダウン。残念ながら連続ベスト10記録は4週に留まりました。今週はちょっとペースダウン気味のヒゲダン。とはいえ、今週も3曲同時ランクインという快挙を続けているのですが…。

逆に勢いが増しているのがLiSA「紅蓮華」。今週も先週から引き続き2位をキープ。CD販売数も12位から8位とベスト10入り。ただ一方、You Tube再生回数は10位から14位にダウンしています。

さて、その2曲に続いたのは瑛人「香水」。先週の4位からワンランクアップし3位にランクインし、見事ベスト3入りです。ストリーミング数でヒゲダンの1位を奪ったのはこの曲。You Tube再生回数も12位から7位にアップし、おそらく新たなロングヒット曲となりそう。2020年を象徴するようなヒット曲になりそうな予感もします。

続いて4位以下の初登場曲です。7位に宇多田ヒカル「Time」が初登場でランクイン。日テ系ドラマ「美食探偵 明智五郎」主題歌。シンプルなエレクトロのビートが今風でカッコいいナンバー。ダウンロード数は見事1位を獲得。ラジオオンエア数で5位でしたが、ダウンロード数は48位、Twitterつぶやき数は36位に留まり、総合順位はこの位置に。

また今週9位にはあいみょん「裸の心」が先週の20位からランクアップし、ベスト10入り。ダウンロード数4位、ストリーミング数13位、Twitterつぶやき数76位。また、ラジオオンエア数では見事1位を獲得しています。TBS系ドラマ「私の家政夫ナギサさん」主題歌。アコースティックテイストのシンプルなラブソングとなっています。ちなみにあいみょんは、先週9位にランクアップしてきた「マリーゴールド」が今週も10位をキープし、2週連続のベスト10入りとなっています。

一方、ロングヒット曲ではほかにKing Gnu「白日」が今週は4位から6位にダウン。ただストリーミング数4位、You Tube再生回数6位は先週から同順位をキープしています。


今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

1位に見事返り咲き。

まず今週1位はJUJUのベストアルバム「YOUR STORY」が獲得。先週の3位からランクアップし、4週ぶりの1位返り咲きとなりました。CD販売数も3位から1位、ダウンロード数も7位から4位にアップしており、ほかに強力盤がない影響もありますが、ロングヒットになりそうです。

さらに2位はOfficial髭男dism「Traveler」が4位から、3位はKing Gnu「CEREMONY」が5位からランクアップしベスト10入り。新譜がほとんどリリースされない中、ロングヒット盤がさらに人気を集める結果となりました。

そして今週はベスト10に3枚の返り咲き盤が。まず6位にあいみょん「瞬間的シックスセンス」が先週の15位からランクアップ。昨年の8月26日付チャート以来、39週ぶりのベスト10返り咲きとなっています。さらに7位には安室奈美恵のベストアルバム「Finally」が先週の26位からランクアップ。こちらも昨年の7月22日付チャート以来、44週ぶりのベスト10返り咲きに。そしてKing Gnu「Sympa」も先週の19位から9位にランクアップ。こちらは今年の3月9日付チャート以来、11週ぶりの返り咲きとなっています。

新型コロナの影響で新譜も発売されず、外出もできない中、やはりダウンロードやストリーミング数で、あらためて昔のヒット曲を聴こうという傾向が強いのでしょう。特に「Finally」はCD販売数は79位に留まっており、ダウンロードやストリーミングでより聴かれた傾向が顕著となっています。ちなみにOfficial髭男dismの前作「エスカパレード」も13位に、米津玄師の「BOOTLEG」も15位にランクインしており、こちらも来週以降の傾向が気に係ります。

またほかのロングヒット盤としてはUru「オリオンブルー」が先週の6位から5位にアップ。こちらはダウンロード数11位に対してCD販売数は4位と、CDで売れている傾向が強い模様です。

今週のヒットチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

| | コメント (0)

2020年5月12日 (火)

ブルースの「背景」を伝える

本日は最近読んだ音楽関連の書籍の紹介です。今回読んだのは、ブルース研究の第一人者、日暮泰文氏による「ブルース百歌一望」です。

本書の帯の紹介文にはブルースの「極上のプレイリスト」と書かれたこの本。その紹介の通り、日暮氏がブルースの曲を100曲(正確には101曲)を取り上げ、その曲にまつわる背景や物語を紹介していく、という一冊。タイトルの「百歌一望」というタイトル通り、ブルースの曲を通して見えてくる世界を描いた本となっています。

ただ、ここで注意しなくてはいけないのは、あくまでもブルースとそれをめぐる背景を描いた本であり、ブルースの有名曲を取り上げて紹介するディスクガイド的な書籍ではないという点。1ミュージシャンにつき原則として1曲ずつ紹介されているのですが、必ずしもそのミュージシャンの代表曲を取り上げている訳でもありませんし、必ずしもブルースを代表するような有名曲を取り上げている訳でもありません。

特にその傾向が強いのが序盤で、第1章の「ブルース近景」では、ブルース自体ではなく、ブルースの背景としてのアメリカの黒人社会によりスポットがあてられています。さらに第2章の「ブルース20曲から見た米国史」では、社会的な事象を歌に読み込んだブルースを紹介し、そのブルースを通じてアメリカの(特に黒人をめぐる)歴史を描いています。第3章の「ブルースとともに生きる」でも、タイトル通り、ブルースを通じて、アフリカン・アメリカンの生活風景を描いていますし、どちらかというと楽曲としてのブルースそのものというよりも、ブルースが伝えた時代や生活の匂いを伝えることに主眼が置かれたような本となっています。

そのため、この本を参考にブルースの世界に飛び込もう、というようなガイドブック的な意図をもって読みだすと、ちょっと辛い内容だったようにも思います。実際、私もそういうイメージで同書を読みだしたため、特に序盤は、この本の意図することがつかめずかなり戸惑いながら本を読み進めていきました。特に日暮氏の文体は論理的な展開よりもエッセイ調の文体が特徴的で、ブルースという音楽やブルース史を体系的に理解しようとするとかなり困難。後半の第4章「ヒストリカル・ブルース・レコード」や、第5章「ブルースの明日といま」では、タイトル通り、歴史に残るブルースの1曲を紹介したり、ブルースの現状を紹介したりと、プレイガイド的にも使える内容にはなっているのですが、この本全体としては、ブルースの完全な初心者にとっては、ちょっと厳しい内容だったように感じます。

ただ一方、プレイガイド的な読み方ではなくあくまでもブルースをめぐる「匂い」を伝える本だ、ということに気が付くと、非常に魅力的な1冊に感じはじめます。ブルースをめぐる背景をしっかり描写しているため、ブルースを聴く時の世界観がグッと広がりますし、また、どこかブルースが流れてくる世界にトリップしたような感覚を味わうことが出来ます。この本を読むと、ブルースというのは単なる音楽のジャンルではなく、アフリカン・アメリカンの生活や生き様を描いた文化であるこということに気が付かされます。

そういう意味では初心者によるガイドブックというよりは、ブルースをいろいろと聴き始めた人が、その音楽の奥深さをさらに知るために手にとるべき1冊と言えるかもしれません。ブルースという音楽の魅力にどっぷりとつかり込めることの出来る魅力的な1冊。まさに読みながらブルースの世界を旅できるような、そんな本でした。

| | コメント (0)

2020年5月11日 (月)

The Weekndの魅力たっぷりに

Title:After Hours
Musician:The Weeknd

約3年半ぶりとなるThe Weekndのニューアルバム。もともと、今時のサウンドとポップなメロディーラインを上手く融合させ、世界的な人気を確保してきた彼。ただ、そんな中でも前作「Starboy」はポップという路線に振り切って、いわば賛否両論を巻き起こしたアルバムになっていました。ただ、今回のアルバムでは再び、今時のサウンドを取り入れた非常に挑戦的な作品とポップなメロディーラインを上手くバランス良くアルバムの中に取り入れた、The Weekndらしいアルバムに仕上がっていました。

また今回の作品で言えば、「挑戦的な作風」と「ポップな路線」がアルバムの中で非常に明確に分けられていた作品にもなっていました。特に前半は様々なエレクトロサウンドで音色を構築した挑戦的な作品が続きます。スペーシーなサウンドに軽くエフェクトをかけたファルセットボイスを美しく聴かせる「Alone Again」からスタートし、ダブステップ的な要素を取り入れたリズミカルなエレクトロナンバー「Hardest To Love」に、アンビエント的に美しく聴かせる「Snowchild」など、彼のファルセット気味のハイトーンボイスにエレクトロサウンドを美しく絡めたような作品が続いていきます。

一方、その雰囲気がグッと変わり、ポップ寄りにシフトするのが後半戦。テンポのよいエレクトロポップで、どこか80年代的な懐かしさを感じさせる「Blinding Lights」に同じく軽快な80年代風のディスコを彷彿とさせるエレクトロチューン「In Your Eyes」、人懐っこいポップなメロディーラインが耳を惹く「Save Your Tears」など、現代風と感じさせる前半から一転、80年代的な要素も強い耳なじみやすいエレクトロサウンドに、メロディーメイカーとしての彼の才が光るポップチューンが続く構成となっていました。

ただ、前半と後半でグッと印象が異なるはずの本作なのですが、なぜかアルバムとしての一体感も覚えてしまうのが不思議なところ。それは前半も後半も、ファルセット気味のボーカルで聴かせるエレクトロサウンドという点で共通項があることも大きな要因でしょう。また終盤、タイトルチューンの「After Hours」「Until I Bleed Out」では前半のようなアンビエント路線に再び戻り、アルバムが幕を閉じる構成になっている点も、アルバム全体に統一感を覚える大きな要因なのかもしれません。

さらにポップなメロディーラインは前半にもしっかりと流れており、例えば「Scared To Live」は分厚いエレクトロサウンドがバックに流れつつ、どこか懐かしさを感じさせるメロディーラインが大きな魅力に。サウンドの面では挑戦的な部分が目立つ「Hardest To Love」もメロディーラインに至ってはインパクトがあり、サウンド云々関係なく、広い層が楽しめそうなポップな仕上がりとなっています。アルバムでは終始、ポップなメロディーラインが流れているという点も、アルバム全体の一体感を覚える大きな要因のように感じます。

アルバム全体として、様々な側面からThe Weekndの魅力をたっぷりと伝えている作品となっており、個人的には彼の最高傑作と言える作品では?とも思ってしまいました。また、ミュージシャンとしても非常に脂ののっているようにも感じます。これからの彼にも断然期待の高まる、そんな傑作アルバムでした。

評価:★★★★★

The Weeknd 過去の作品
Kiss Land
Beauty Behind The Madness
STARBOY
My Dear Melancholy,
The Weeknd In Japan


A Written Testimony/Jay Electronics

以前からミックステープなどで話題となっていたもののなかなかアルバムがリリースされず、このほど、ようやくデビュー作がリリースされたJay Electronicaの待望のアルバム。「The Overwhelming Event」「Ghost Of Soulja Slim」ではネーション・オブ・イスラムの元最高幹部であるルイス・ファラカン師の演説をサンプリングしたり、広島に原爆が落とされたニュースをサンプリングした「Universal Soldier」などからわかるように社会的な要素も強い作品なのですが、一方、Travis Scottが参加しトラップの要素を取り込んだ「The Blinding」や、一方でThe Dreamが参加し、レトロなソウルの要素の強いトラックを聴かせる「Shiny Suit Theory」など楽曲的にはバラエティーが富んでおり、ポップにまとまっているのが印象的。大きな話題となっており、各所で絶賛を受けている作品ですが、その理由も納得です。

評価:★★★★★

| | コメント (0)

2020年5月10日 (日)

新生サニーデイの新作&曽我部恵一のライブ作

Title:いいね!
Musician:サニーデイ・サービス

2016年にリリースしたアルバム「DANCE TO YOU」が様々な場所で大絶賛を受けたサニーデイ・サービス。その後も「Popcorn Ballads」「the CITY」と傑作アルバムを次々とリリースし、デビューから20年以上が経過しながらも、まさに全盛期にょうな活躍を見せた彼ら。ただ一方、2016年から体調不良のため活動を離れていたメンバーの丸山晴茂が2018年にわずか47歳という若さで急逝するなど、非常にショッキングなニュースもありました。

そんな影響もあってか、あるいはこの3枚のアルバムでサニーデイとしてやりたいことをまずやり遂げた感もあったのか、2019年にはサニーデイとしての活動がほとんどなかったのですが、2020年には新メンバーとして大工原幹雄の加入が決定。そして3月にリリースされた待望の新譜が本作となります。本作は、新生サニーデイ・サービスのスタートとなる作品となっています。

ただ、楽曲的には新生サニーデイというイメージとは裏腹に、むしろ原点回帰をするような作風のアルバムに仕上がっています。2016年の「DANCE TO YOU」から続く3作では、フォークロックの色合いが強かった以前のサニーデイの雰囲気を踏襲しつつ、シティポップの方向性が強かった彼ら。その上で「the CITY」は挑戦的な作風の曲も多く、その結果、賛否両論が巻き起こる作品となりました。

しかし今回の作品に関しては、ちょっと切ない雰囲気のメロディーラインが特徴的な冒頭の「心に雲を持つ少年」から、かつてのサニーデイを彷彿とさせるようなフォークロックの作品からスタート。「エントロピー・ラブ」のような、シティポップの様相の強いメロウな楽曲もあったりするのですが、特に後半、「センチメンタル」「時間が止まって音楽が始まる」のようなフォークロックの色合いの強い曲が目立ちました。

歌詞の世界も「今夜でっかい車にぶつかって死んじゃおうかな」というショッキングな歌詞がインパクトの「春の風」のような曲もあるのですが、「コンビニのコーヒー」みたいなタイトル通り、日常を描写したようなシンプルな歌詞が目立ちます。フォーキーな楽曲も含めて、全体としてはほっこりとした暖かい雰囲気の世界観が特徴的になっているアルバム。比較的シンプルで、「歌」としての良さが前に出ているような作品となっており、感想を聴かれた時、タイトル通りシンプルに「いいね!」と言いたくなるようなアルバムになっていました。

新生サニーデイとなった彼ら。ただとりあえずはそのスタイルはまずはかつてのサニーデイを踏襲した活動になりそう。ただ、新たなメンバーになったからゆえの様々な展開も期待できます。これからの彼らにも期待です。

評価:★★★★★

サニーデイ・サービス 過去の作品
本日は晴天なり
サニーディ・サービス BEST 1995-2000
Sunny
DANCE TO YOU
桜 super love

Popcorn Ballads
Popcorn Ballads(完全版)
the CITY
DANCE TO THE POPCORN CITY
the SEA
サニーデイ・サービスBEST 1995-2018

サニーデイとしての活動を本格的に再開させた曽我部恵一ですが、自身のソロとしてのライブアルバムもリリースされています。

Title:純情LIVE
Musician:曽我部恵一と真黒毛ぼっくす

昨年10月に行われた真黒毛ぼっくすの34周年記念ライブ「酔いどれ東京ダンスミュージック」に曽我部恵一がゲストとして参加。その模様を収録したライブアルバムです。真黒毛ぼっくすは、現在は大槻泰永のソロユニットなのですが、1985年にバンドとして結成。かの「イカ天」に出場した経験もあるというベテランミュージシャンで、最近では「酔いどれ東京」と題したライブイベントで、数多くの豪華なゲストを呼んでライブを行っているようです。

楽曲は曽我部恵一やサニーデイの代表曲や真黒毛ぼっくすの曲を披露。特にホーンセッションを取り入れて賑やかなアレンジで聴かせるような曲調が特徴的で、特に比較的シンプルなアレンジの曽我部やサニーデイの作品が大きく生まれ変わっているのが印象的。もともとメロディーの良さで聴かせているような曲なだけにホーンセッションが入ってもしっかりと曲の魅力は残っており、新たな魅力も感じられるようなアレンジに仕上がっています。

ただ、真黒毛ぼっくすの大槻のボーカルは、いわゆる「ヘタウマ」という類に入る、音程もはずれていてかなりぶっくらぼうな荒々しさを感じる歌い方が特徴的。真黒毛ぼっくすの楽曲に関しては、この「ヘタウマ」な歌が、楽曲にリアリティーさを加えて、なにげに強い魅力を感じさせるのがおもしろいのですが、一方で繊細な曽我部/サニーデイの楽曲には正直言ってあまり合っておらず、下手したらファンにとっては不快さすら感じる人もいるかもしれません。これは正直、相性の問題というしかないので、ちょっと残念にも感じます。

そんな訳で、曽我部/サニーデイに入ってくる大槻の歌はマイナスポイントなのですが…それ以外の点は、真黒毛ぼっくすの曲も含めて魅力的だったライブ盤。そういう意味では曽我部恵一やサニーデイのファンはチェックしてみて損はないと思うのですが…曽我部/サニーデイ曲の大槻ボーカルにはちょっとビックリする方もいるかもしれないので、その点だけは要注意かも。

評価:★★★★

曽我部恵一 過去の作品
キラキラ!(曽我部恵一BAND)
ハピネス!(曽我部恵一BAND)
ソカバンのみんなのロック!(曽我部恵一BAND)
Sings
けいちゃん
LIVE LOVE
トーキョー・コーリング(曽我部恵一BAND)
曽我部恵一 BEST 2001-2013
My Friend Keiichi
ヘブン
There is no place like Tokyo today!
The Best Of Keiichi Sokabe -The Rose Years 2004-2019-

| | コメント (0)

2020年5月 9日 (土)

今後が楽しみなエモコアバンドのデビュー作

Title:Melee
Musician:Dogleg

まだ日本での知名度は非常に低いのですが、かなり注目をしたいバンドが登場しました。アメリカはデトロイトで結成された4人組バンドDogleg。もともとはボーカルのAlex Stoitsiadisのソロプロジェクトとして2015年に活動をスタート。2016年にセルフタイトルのEPを、その後もう1枚のEPをリリース。ライブなどを中心に活動を行っていたのですが、2019年にアメリカのロック系のレーベル、Triple Crown Recordsと契約し、はじめてリリースすることになったフルアルバムが本作です。

そんな本作は、まずは非常に分厚くノイジーながらも物悲しさを感じるギターのインストからスタート。なぜか日本の地名が冠された「Kawasaki Backflip」からスタートするのですが、本作は、ノイジーなギターを中心としたアグレッシブな分厚いバンドサウンドにシャウト気味のボーカルがのったエモコアな楽曲。イメージとしては完全にNUMBER GIRLやeastern youthあたりを彷彿とするような楽曲になっており、この両者が好きなら間違いなく大ハマリしそうな楽曲になっています。

その後も、このような分厚いバンドサウンドを聴かせるエモコア路線の楽曲が続きます。ただ、ギターサウンドについては、楽曲を埋め尽くすようなホワイトノイズが大きな特徴となっており、この点では前述のNUMBER GIRLやeastern youthsのような路線よりも、むしろシューゲイザー系の影響すら垣間見れる感じも。ここらへん、個人的にもかなり壺をついたサウンドになっています。

さらにメロディーラインについては意外とメロディアスでポップという点も大きな特徴であり、かつバンドの大きな魅力となっていました。特に後半、「Wrist」などは疾走感ある分厚いサウンドのギターロックで、シャウト気味のボーカルのエモコアを聴かせつつ、メロディーラインについては意外と爽やかでメロディアスに仕上がっています。さらに「Cannonball」も同じく物悲しく、ポップにまとめあげたメロディーラインが特徴的な曲調になっています。シューゲイザー風のノイジーギターに意外とポップなメロディーラインのエモコア系という路線では、どこかASIAN KUNG-FU GENERATIONに近いものも感じました。

また「Wartortle」の中の"Let's Say "No""という歌詞の最後のシャウトあたりは、かなり向井秀徳のシャウトと重なるような部分も…。おそらく偶然だとは思うのですが、まさか実は影響を受けている、なんてオチがあったりして???ちなみにこの「Wartortle」はポケモンのカメールのことのようですし、「Kawasaki Backflip」なんて曲もあったりと、どこか日本への近い距離感を覚えます。試しにバンドの公式Twitterのフォローリストを見てみたのですが、残念ながらさすがにナンバガは確認できず。が、なんとthe pillowsをフォローしている事実を発見!実は日本のバンドもいろいろと聴いているのかも?

全10曲35分という短さなのですが、かなりはまってしまい、聴きながら最初から最後まで耳を離せなくなった本作。前述の通り、まだ日本ではほとんど無名のバンドですが、ナンバガやeastern youth、アジカンあたりが好きなら間違いなく大ハマリしそうなバンドで、今後、日本での注目度も高まりそう。サウンド的には決して今風ではありませんし、目新しいものではないかもしれませんが、非常にアグレッシヴなサウンドとポップなメロディーラインが癖になりそうな、ロック好きなら間違いなく大好物な音を奏でる彼ら。今年を代表する傑作アルバムのひとつ。今後がかなり楽しみなバンド。来日公演もしてくれないかなぁ。ライブも是非一度見てみたいです!

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Blue Moon Rising/Noel Gallagher's High Flying Birds

EPでの積極的な新曲リリースが続くNoel Gallagher's High Flying Birds。表題曲は打ち込みのリズムに哀愁感ありつつしっかりとインパクトもあるメロディーラインが魅力的な1曲。スペーシーなサウンドにスケール感も覚えます。2曲目「Wandaring Star」も、メロディーの良さをしっかりと感じられるミディアムチューン。ただどこか「Imagine」っぽい雰囲気も??3曲目「Come On Outside」はミディアムテンポながらも力強いリズムとメロが印象的で、どこか昔のoasisを彷彿とさせるような楽曲。どの曲のノエルのメロディーメイカーとしての才が映える楽曲になっており、来るニューアルバムも楽しみになるEPでした。

評価:★★★★★

NOEL GALLAGHER'S HIGH FLYING BIRDS 過去の作品
NOEL GALLAGHER'S HIGH FLYING BIRDS
CHASING YESTERDAY
Who Built the Moon?
Wait And Return EP
Black Star Dancing
This Is The Place

| | コメント (0)

2020年5月 8日 (金)

SOFT BALLETのすべて

Title:relics
Musician:SOFT BALLET

今回紹介するのは、90年代初頭に活躍し、その先駆的なエレクトロサウンドで多くのファンを魅了した3人組エレクトロロックユニットSOFT BALLETの、メジャーデビュー30周年を記念してリリースされたボックス盤。彼らの作品が網羅的に収録され、SOFT BALLETというバンドの軌跡を知ることが出来るほか、なんと本作では未発表曲2曲が収録されて大きな話題となっています。

SOFT BALLETといえば、遠藤遼一、藤井麻輝、森岡賢という非常に個性的なメンバー3人を擁したバンド。90年代初頭の最初の活動の時はほとんど聴いていなかったのですが、2002年の再結成後にリリースされたオリジナルアルバム2枚や、その近辺でリリースされたベスト盤はしっかりとチェックしていました。ただ森岡賢が2016年にわずか49歳という若さで急逝。再び3人が揃うという機会は永久に失われてしまいました。

それだけにここに来て未発表曲2曲のリリースというのはファンにとっても非常にうれしいニュースのはず。その新曲「TOKYO BANG!(DEMO)」はアルファレコード期の音源というから最初期の作品。ちょっと時代を感じさせる軽快なエレクトロサウンドのポップチューンになっており、まだ若干方向性を模索中の初期らしい楽曲になっています。一方、2曲目「仮題:血管 (MILLION MIRRORS)」はビクター時代の作品ということですが、ミディアムテンポで妖艶さを感じさせるナンバー。SOFT BALLETらしさを確立した後の作品となっています。

さて、今回、SOFT BALLETの作品をあらためてまとめて聴いてみた訳ですが、まず強く感じたのはエレクトロサウンドを主軸にしつつ、時代により変化している幅広いその音楽性でした。デビュー作「BODY TO BODY」は打ち込みの音には時代を感じさせるもののインダストリアル風のへヴィーなナンバー。ただ、その後の「BACK LASH」では妖艶な雰囲気を前に押し出した、グループとしてのキャラクター性を前面に出したエレクトロチューンとなっています。

かと思えば「ESCAPE -2nd Mix」では、いわば「ピコピコ音」とでもいうべき軽快なエレクトロサウンドの入ったポップチューンに。「FINAL」ではトランス風のサウンドを取り入れた疾走感あるリズミカルな楽曲になっています。

この音楽性の変化はまだまだ続いていきます。Disc2に入り「MUCH OF MADNESS,MORE OF SIN」はハードコア風なナンバーで、THE MAD CAPSULE MARKETSを彷彿とさせるようなヘヴィーなエレクトロサウンドを聴かせてくれます。同じく「THRESHOLD」もヘヴィーなエレクトロサウンドが魅力的な作風。その一方で「PERFECTION」はアラビアンな雰囲気の妖艶なサウンドを聴かせてくれます。さらに「BIRD TIME」ではダイナミックな打ち込みのサウンドがビッグビートを彷彿とさせる楽曲になっていました。

続くDisc3では冒頭「MERCHENDIVER」でいきなりポップで爽やかな作風に驚かされます。さらに重厚なオーケストラアレンジの「PARADE」、ファンタジックな雰囲気の「FAIRY TALE」と作風も次々と変化。どちらかというとDisc3の作品はポップな作風の曲が目立ちました。

このように楽曲としては実にバラエティー豊かなのですが、どの楽曲もエレクトロサウンドがベースとなっている点で共通項がありますし、またなによりもメンバーのパーソナリティーを前面に押し出していることもあり、これだけバラバラな音楽性ながらも、全体的にはどこか統一感のある、どの曲もしっかりとSOFT BALLETの曲になっている点も大きな特徴だったと思います。しかし、こうやってあらためて彼らの曲を聴くと、そのたぐいまれなる個性にあらためて魅せられます。それだけに、彼らがもう2度と一緒に集うことはないだろうという事実は非常に残念で仕方ありません・・・。ボリュームはかなりあるのでファン向けアイテムの要素が強いので、初心者には過去にリリースされたベスト盤の方がお勧めなのかもしれませんが、是非一度SOFT BALLETの魅力に触れてほしい、そう感じたボックス盤でした。

評価:★★★★★

| | コメント (2)

2020年5月 7日 (木)

前作に続いて1位獲得

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

人気のロックバンドが1位獲得です。

今週1位を獲得したのはTHE ORAL CIGARETTES「SUCK MY WORLD」。途中、ベスト盤のリリースを挟み、約1年10か月ぶりとなるオリジナルアルバムです。CD販売数1位、ダウンロード数10位、PCによるCD読取数7位で総合1位。一方、オリコン週間アルバムランキングでも初動売上1万5千枚で1位獲得。もともとGW中のチャートで新譜が少な目だったうえに、新型コロナウイルスの影響で大物新譜の販売延期が相次いだ結果、初動売上1万5千枚という低水準ながらも1位獲得。これでオリジナルアルバムとしては前作「Kisses and Kills」に続く2作連続の1位獲得となりました。

ただ、その前作「Kisses and Kills」も大型新譜の谷間の週に偶然1位を獲得できたようなアルバムで、初動売上枚数も本作よりは多かったものの2万5千枚という低水準。そういう谷間の週をあえて狙ったのかどうかは定かではありませんが、リリースのタイミングの運の良さも感じます。もっともそういう「運の良さ」も実力のうちかもしれませんが。一方、直近のベスト盤「Before It's Too Late」の1万9千枚(5位)よりもダウン。CDショップが軒並み休業中の今の時期にリリースされたアルバムということを考えると、本作は健闘しているのかもしれませんが…。

2位初登場は男性5人組アイドルグループDa-iCE「FACE」がランクイン。CD販売数2位、ダウンロード数11位、PCによるCD読取数37位で総合順位は2位。オリコンでも初動売上1万4千枚で2位初登場。直近作はベスト盤「Da-iCE BEST」で、同作の初動売上3万5千枚(2位)からダウン。直近のオリジナルアルバム「BET」の3万8千枚(3位)からもダウンしています。

3位は先週2位のJUJU「YOUR STORY」がワンランクダウンでベスト3をキープ。これで4週連続のベスト3ヒットとなり、ロングヒットの様相を見せています。

続いて4位以下の初登場盤です。まず8位にゲスの極み乙女。「ストリーミング、CD、レコード」がランクイン。6月17日リリース予定の新譜の(おそらくはコロナの影響での)先行配信。ダウンロード数で1位を獲得し、総合順位でも8位に入ってきました。タイトルも奇抜な同作ですが、6月に予定しているリリース形態もかなりユニークで、なんと「賞味期限付きアルバム」ということで、CDの代わりに(代わりに、です。CDは入っていないらしい…)バームクーヘンの入った「アルバム」を、オリジナル歌詞ブックレット入りCDケースと共に販売。ブログで川谷絵音曰くCDショップでも商品の移り変わりが激しいため「いっそバームクーヘンを入れてアルバムに賞味期限を付けちゃっても良いでしょうって発想」で、このユニークなアルバム(?)のリリースとなった模様。本当のCDでのリリースは、DVD/Blu-ray付の定価9,000円/10,000円という限定盤+アナログでのリリースとなっており、熱心なファンじゃない人はバームクーヘンを食べながらストリーミングで聴いてね、ということのよう(笑)。かなりユニークで、ある意味「ふざけた」手法なのですが、川谷絵音曰く「僕はCDを売りたいんじゃなく音楽を売りたいわけで、面白い発想から音楽の価値観を少しでも変化させられたら良いなと思うわけです。」とかなり音楽を考えた結果のようです。なんだか俄然興味が沸いてしまったこのリリース方式。「賞味期限付きアルバム」買ってみようかなぁ(笑)。でもこれ、オリコンでの取り扱いはどうなるんだろうか?

初登場はあと1枚。10位にFrank Oceanとの共演でも話題となったラッパー、KOHH「worst-Complete Box-」がランクイン。今年1月のライブで、次の作品を持って活動を引退することを表明してた彼ですが、本作がその事実上、ラストとなるアルバムとなっています。CD販売数9位、ダウンロード数16位で総合順位もベスト10入り。オリコンでは初動売上2千枚で12位初登場。前作「untilted」の3千枚(18位)よりダウンしています。

今週の初登場盤は以上ですが、1枚、ベスト10返り咲き組があります。それが先週の17位から9位にランクアップした浜崎あゆみ「A COMPLETE~ALL SINGLES~」。もともと2008年にリリースされたベスト盤でしたが、彼女の活動を描いたノンフィクション「M 愛すべき人がいて」が4月からドラマとして放送されており、その影響でダウンロード数が3位にアップした影響。ベスト10入りは2016年10月30日付チャート以来、190週ぶりのベスト10返り咲きとなりました。

一方ロングヒット組はまずOfficial髭男dism「Traveler」。こちらは今週も4位をキープ。PCによるCD読取数が1位を維持しているほか、ダウンロード数は4位から2位、さらにはCD販売数も9位から4位にアップしています。King Gnu「CEREMONY」は7位から5位にアップ。PCによるCD読取数は2位から3位にダウンしましたが、ダウンロード数は6位から5位、CD販売数も17位から10位にアップし、その人気を見せつける結果となっています。

さらに今週、Uru「オリオンブルー」が先週の8位からアップし6位にランクイン。これで7週連続のベスト10ヒットとなっています。こちらもCD販売数は5位をキープ。新型コロナの影響で大型新譜が延期される中、まだまだロングヒットを続けそうです。

今週のHot Albumsは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

| | コメント (0)

2020年5月 6日 (水)

CD売上が全く影響を与えていないヒットチャート

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週のHot100は、なんと1位から10位まで、すべてオリコン週間シングルランキングの1位から10位までと一切かぶらないチャートとなりました。特に新型コロナウイルスの影響で多くのCDショップが休業となり、極端にCD売上が減ったことが今回のチャートに大きな影響を与えた模様です。もっとも一方、ゴールデンウィークと重なった今回のチャート対象週は、もともとCDのリリースが少なく、CDの売上が極端に減る週でもあったりします。実際、ちょうど1年前のHot100でも、オリコン週間シングルチャートと重なったのはわずか1曲のみという結果となっており、必ずしもコロナの影響だけ、とは言えないようです。

そんな中、今週1位を獲得したのはOfficial髭男dism「I LOVE...」。先週の2位からワンランクアップで2週ぶりの1位返り咲きとなりました。ストリーミング数はこれで12週連続、You Tube再生回数も10週連続の1位となっており、「Pretender」に続くロングヒットとなりそうです。そんな「Pretender」は先週と変わらず3位をキープ。今週もストリーミング数及びYou Tube再生回数2位をキープしており、ロングヒットを続けています。

ヒゲダンは今週、「宿命」も先週から変わらず7位をキープ。「パラボラ」も9位から8位にアップしています。一方、「イエスタデイ」は10位から11位にダウン。残念ながらベスト10返り咲きは1週に留まりました。

そんな2曲の間に今週割り込んできたのがLiSA「紅蓮華」。この曲、初のベスト10入りがちょうど1年前、5月6日付ランキングとなっており、それから1年で自己最高位を更新しました。特にPCによるCD読取数が3位から2位、CD販売数も20位から12位にアップしており、フィジカルの人気がアップした形となっています。

続いて4位以下の初登場曲は1曲のみ。5位には瑛人「香水」が先週の34位からランクアップしベスト10入り。特にストリーミング数が3位にランクインし、ヒットの主要因となっています。瑛人は横浜出身の22歳のシンガーソングライター。この曲はアコギ1本で聴かせるシンプルに聴かせるミディアムチューンのナンバー。TikTokで多く使用されたことから注目を集め、配信オンリーながらも今回のヒットとなりました。ダウンロード数27位、Twitterつぶやき数76位、You Tube再生回数12位。ストリーミング数とYou Tube再生回数主体のヒットであり、かつ、比較的多くの人に訴求しそうなシンプルなメロディーの曲なだけに、ロングヒットも期待できそうです。

さらに今週、なんとあいみょん「マリーゴールド」が先週の11位から9位にランクアップ。1月20日付チャート以来、17週ぶりのベスト10返り咲きとなりました。特にダウンロード数が11位から8位にアップ。コロナの影響で家にいる人が、あらためて彼女の曲を買ってみた、という傾向が強いのでしょうか。

ほかのロングヒット曲ではKing Gnu「白日」が5位から4位にランクアップ。ただストリーミング数は3位から4位、You Tube再生回数も4位から6位にダウンしています。

なお、今週、オリコン週間シングルランキングで1位を獲得したのはLUNA SEA「THE BEYOND GUNPLA 40th EDITION[THE BEYOND X MS-06LS ZAKUⅡ Ver.LUNA SEA]」。6千枚を売り上げての1位獲得となりましたが、「機動戦士ガンダム40周年プロジェクト」記念テーマ曲「THE BEYOND」をアルバム「CROSS」からシングルカットし、「LUNA SEA専用ザクⅡ」オリジナルガンプラ付パッケージとしてリリースしたという特殊形態だったため、Hot100ではランク圏外となっています。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums!

| | コメント (0)

2020年5月 5日 (火)

トリビュートアルバム第3弾

Title:PARADE III-RESPECTIVE TRACKS OF BUCK-TICK

1987年のメジャーデビュー以降、30年以上。一度もメンバーチェンジを行うこともなく、かつ途中にほぼ活動休止という状況もなく活動を続け、今なお現役のバンドとして第一線で活躍を続けるバンドBUCK-TICK。最近ではデビューから30年以上を経過するバンドも珍しくはなくなってきていますが、ただ、そんな中で、オリジナルメンバーで、途中、活動休止などなく継続的に活動を続けるバンドというのは驚異的ではないでしょうか。

本作は、そんな驚異のバンドに対するトリビュートアルバム。タイトルからもわかる通り、これが第3弾となるアルバムで、2005年に第1弾、2012年に第2弾がリリースされており、本作はそれに続く第3弾のアルバムとなります。トリビュートアルバムが3枚もリリースされるというミュージシャンも珍しく、彼らがそれだけ多くのミュージシャンに影響を与え、かつリスペクトを集めていることがわかります。

そしてこれは第1弾から本作に至るまでのBUCK-TICKのトリビュートアルバムの大きな特徴なのですが、参加ミュージシャンが実に多岐にわたっています。本作でも、ヴィジュアル系としての流れをくむようなDIR EN GREYやシドといったバンドが参加しているかと思えば、坂本美雨や藤巻亮太といったアコースティックな印象の強いポップス系のミュージシャンも参加。さらになんといっても椎名林檎も「唄」をカバーして参加して大きな話題となっています。

そんな本作ですが、アルバムを聴き始めていきなり飛び込んでくるのが警告音のようなギターと共にスタートするBRAHMANの「ICONOCLASM」。ハードコアな内容が実にカッコいい楽曲になっており、否応なくアルバムに期待がかかるようなスタートとなっています。

ただ正直なところ前半に関しては悪くはないけど…といった消極的な印象を受けてしまう展開に。GRANRODEOの「天使は誰だ」にしても、シドの「JUPITER」にしても、平凡なJ-POP的な内容。ピアノとアコーディオンで怪しげでムーディーな雰囲気を奏でる黒色すみれの「Lullaby-III」や、エレクトロアレンジに仕上げたCUBE JUICEの「LOVE ME」などバラエティー富んだ展開は楽しめるのですが。

一方で、圧倒的に良かったのは後半。特に椎名林檎の「唄」はBRAHMANと並んで個人的に今回のトリビュートアルバムの2トップ。BUCK-TICKの持つ妖艶さをしっかりと自分のものとして取り入れて、椎名林檎の曲として仕上げてしまっている「唄」は、ミュージシャンとしてある種の格の違いも感じさせます。続くDIR EN GREYの「NATIONAL MEDIA BOYS」もヘヴィーなサウンドが心地よく、こちらもバンドとしての底力を感じさせるカバーになっています。

さらにボーカリストとして魅力的な歌声を聴かせ、ピアノとストリングスで幻想的に聴かせる坂本美雨の「ミウ」も秀逸。BUCK-TICKのメロディーメイカーとしての優れた側面も感じさせるカバーになっています。おなじく藤巻亮太も、彼らの代表曲ともいえる「JUST ONE MORE KISS」をギターポップとして聴かせており、どのようなアレンジでも通用するという、この曲の強度を感じさせるカバーに仕上がっており、BUCK-TICKの魅力に気が付かされるカバーとなっていました。

カバーとしては玉石混合なところがあり、名カバーばかりが揃った、といった感じではなかったのですが、それでもチェックしておきたい良作も多く、なによりBUCK-TICKの楽曲の様々な魅力を感じることが出来るトリビュートアルバムに仕上がっていました。あらためて彼らのすごさを感じることの出来るトリビュートアルバム。ただ、いまなお現役の彼らはおそらくこれからも多くのミュージシャンたちに影響を与えていきそう。それだけに、このシリーズ、第4弾、第5弾も続きそうです。

評価:★★★★

| | コメント (0)

2020年5月 4日 (月)

陽気なギターロックを聴かせる

Title:KANA-BOON THE BEST
Musician:KANA-BOON

昨年は、ベースの飯田祐馬が行方不明となった上、精神的な理由から突然の脱退。音楽的な部分とは違った側面で話題となってしまったロックバンド、KANA-BOON。その結果、昨年は6月にリリースしたシングル「まっさら」以降、事実上の活動休止状態となってしまった彼ら。そして2020年に、3人組となった彼らの本格活動開始となったのがこのベスト盤。メンバー脱退を経て、バンドとしてのひとつの区切りをつけるためのベスト盤といった感じでしょうか。全2枚組となったアルバムで、彼らの歩みを知ることの出来る内容となっています。

さて、そんなKANA-BOONですが、個人的には以前から、バンドとして非常に薄味だな、という印象を受けていました。楽曲的にはシンプルで正直言って、これといった特色もないギターロックという感じで、メロディーもそれなりにポップでインパクトがあるものの、それだけで勝負するにはちょっと弱い…そんな印象を抱いていました。

で、今回の2枚組のベストアルバムであらためて彼らの曲をまとめて聴いたのですが、その印象はあまり変わりませんでした。裏打ちを取り入れたダンスチューン「なんでもねだり」や昔のヒーロー物の主題歌を思い出させるような「Fighter」、ストリングスを入れてダイナミックに聴かせる「ハグルマ」など、それなりにバリエーションのある曲調も聴かせてくれるのですが、全体的にはシンプルなギターロック路線がメイン。いい意味で変に過剰にならないシンプルなサウンドが魅力的ではあるのですが、これといったインパクトの薄さは否めません。

ただそのシンプルなギターサウンドに軽快なメロディーラインがのるサウンドは比較的、陽気な雰囲気のポップチューンがメイン。底抜けといった感じとはちょっと違うのですが、この明るい雰囲気のポップチューンが彼らの大きな魅力にも感じます。全体的にはカラッとした雰囲気のポップソングが多く、肩肘はらずに楽しめる楽曲になっているのも魅力。シンプルなギターサウンドが、彼らの楽曲をいい意味で気軽に聴けるポップチューンにするために寄与しているように感じます。

一方で歌詞の世界もそんな明るい陽気なJ-POP的なもの、かと思いきや、決して単純でわかりやすいJ-POP的な前向き応援歌的な歌詞ではなく、聴かせどころも多く、しっかりと歌詞を聴かせるような内容になっています。また「盛者必衰の理、お断り」のようにユニークな語感を上手くサウンドにのせているような曲もあり、ボーカル谷口鮪の書く歌詞が、彼らの大きな魅力になっているようにも感じました。陽気なギターポップチューンながらも、歌詞はしっかりと読ませるあたりに、単純なポップバンドとの違いは感じることが出来ます。

とはいえ全体的にはやはりちょっと個性は弱いように感じてしまったこのベスト盤。それなりにバンドとして売れながらも、いまひとつ大ブレイクしきれない理由はそんなインパクトの弱さにあるようにも感じました。3人組となった彼らが今後、どのように活動を進めて行くのか注目されますが…もう一皮むけてほしいかな、そうも感じてしまうベスト盤でした。

評価:★★★★

KANA-BOON 過去の作品
DOPPEL
TIME
Origin
NAMiDA
KBB vol.1
アスター
KBB vol.2
ネリネ

| | コメント (0)

2020年5月 3日 (日)

悲しげなメロディーラインが大きな魅力

Title:EVERY BAD
Musician:Porridge Radio

今、最も注目を集めるイギリスのロックバンドのひとつ…だそうです。イギリスはブライトンを拠点に活動を続けるロックバンドPorridge Radio。フロントウーマンでありバンドのメインライターであるDana Margolinを中心に結成された4人組バンドで、本作はアメリカのインディーレーベルSecretly Canadianと契約後、はじめてリリースされたアルバムとなります。

そんな彼らのサウンドは、完全に80年代のインディーロックを彷彿とさせるような、ラフなテイストの強いオルタナ系のギターサウンド。"DIYバンド"という紹介のされ方をされているようですが、スカスカなローファイ気味のサウンドは、往年のPIXIESあたりを思い起こさせるようなサウンドでちょっと懐かしさすら感じてしまいます。特に序盤の「Sweet」などはかなり荒々しくへヴィーなサウンドに、ちょっと投げやり気味なボーカルがまた、いかにもインディーバンド然とした雰囲気で、インディーロックリスナーにはかなり惹きつけられる音になっているのではないでしょうか。

ほかにも「Nephews」でもグランジロックを彷彿とさせるようなヘヴィーな音を聴かせてくれたり、「Give/Take」で聴かせるギターサウンドも、いかにもオルタナ系のギターロックバンドが奏でるような心地よい音色を聴かせてくれたりとサウンドのスタイル的には正直真新しさはあまりなく、むしろ懐かしい感じすらするのですが、個人的に壺に入った音というのもあるのですが、それだけに比較的シンプルなギターサウンドがとても心地よさを感じる楽曲が並びます。

ただ、このバンドの大きな魅力はこの80年代インディーロック然としたバンドサウンドという以上に、物悲しさを強く感じてしまうメロディーラインでしょう。「Long」や「Nephews」、さらにタイトルそのまま「Pop Song」と、悲しい雰囲気のメロディーラインが流れるギターロックが続きます。ボーカルのDana Margolinの歌い方は自然体なスタイルのボーカリストなのですが、それだけにこの感傷的なメロディーラインにピッタリとマッチしているように感じます。そんなボーカリストがゆっくりと歌い上げるメロディーが強い印象に残るようなアルバムに仕上がっていました。

おそらくこの手のギターサウンドが好きなリスナーは少なくないと思いますし、メロディーをしっかりと聴かせるシンプルなサウンドが特徴的なバンドなゆえに、日本でも今後、さらに注目度は増しそうな予感がします。今後の動向に要チェックのバンド。これからも楽しみです。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Eternal Atake/Lil Uzi Vert

デビューアルバムに続いて本作でも全米ビルボードチャートで1位を獲得するなど高い人気を誇るアメリカのラッパーによる最新作。E.L.O.かよ!と思わせるようなスペーシーなジャケットが印象的なのですが、楽曲的にも前半は「Lo Mein」のような明るく軽快な曲や「You Better Move」のようなゲーム音を彷彿させるような音を取り入れた曲など明るい雰囲気の曲が目立ちます。ただ途中からは、流行のトラップで哀愁感たっぷりのラップが展開。これもこれで悪くはないのですが…個人的には序盤のような明るい曲調の方が好みだったような…。

評価:★★★★

| | コメント (0)

2020年5月 2日 (土)

奇妙な名前の今話題のシンガーソングライター

Title:From DROPOUT
Musician:秋山黄色

かなり奇妙なネーミングの名前が強いインパクトを残しますが、秋山黄色、最近注目を集めている男性シンガーソングライターです。もともとYou Tubeで楽曲を発表しているところからその活動がスタートしているあたりは、いかにも今時といった感じ。もっとも、いわゆるボカロP出身ではないみたいですが…。その後、初の配信シングル「やさぐれカイドー」がSpotifyのバイラルチャート(日本)で2位を獲得したり、「出れんの!?サマソニ!? 2018」の最終14組に残り、「SUMMER SONIC 2018」に出演したりと徐々に注目を集めた彼。本作はそんな彼のメジャーデビューアルバムであり、初のフルアルバムとなります。

そんな本作は、まずは話題となった初の配信シングル「やさぐれカイドー」からスタート。テンポよいリズムのオルタナ系ギターロックのサウンドで、比較的ハイトーン気味のボーカルも今時といった感じでしょうか。また、どこか社会の中で疎外感を覚えるような人間の心境を描いた歌詞も印象を残します。

サウンド的には比較的分厚いバンドサウンドを聴かせる疾走感あるオルタナ系のギターロック路線がメイン。ピアノが入って軽快なポップにまとまった「夕暮れに映して」やパンク色の強い「ガッデム」などそれなりにバリエーションはありつつ、ただアルバム全体としては特にこれといった強い特色もないギターロックが主軸の構成となっており、あまりサウンド面からの「売り」は感じられません。

一方でやはり秋山黄色としての特徴を出しているのは歌詞の世界でしょう。「薄暗い 部屋 今日も一人」と歌う「クラッカー・シャドー」「もう何回一人で死んでしまったか」と歌う「Caffeine」、さらには「猿上がりシティーポップ」のように、「やさぐれカイドー」と同じく、社会から疎外感を持っている人の孤独を歌い上げる歌詞が目立ちます。そしてさらにその中で、その向こうの希望を歌ったり、愛する人との出会いを歌ったりしています。

ただ正直言ってこのテーマ性については比較的ありふれている…という印象を抱いてしまいます。その中で秋山黄色らしい視点がしっかり描かれているのか、と言われると、残念ながらそこまでの個性はいまのところ感じません。歌詞のテーマ性や描写については比較的わかりやすさもあるのですが、個人的にはもう一歩、秋山黄色らしさを出せたらもっとよかったように感じました。

しかしその反面、「モノローグ」「悲しみは2つに 喜びは1つに」や、ラストを締める「エニーワン・ノスタルジー」「大人と子供の間にいるからだ」のような、比較的インパクトある言葉を、曲の中のインパクトあるフレーズに上手くあてはめており、リスナーをしっかりと惹きつけるような楽曲に仕上げているように感じました。このインパクトある歌詞をインパクトあるメロにしっかり載せるというスタイルは、なにげになかなか難しい反面、ヒット曲を次々と飛ばすミュージシャンは難なくこなしているようなヒットには必須とも言える要素。それを彼は難なくこなしているだけに今後の大ブレイクも見込まれるのではないでしょうか。この点は彼の大きな強みのように感じました。

そんなこともあり、近いうちに大ブレイクの可能性も感じさせる彼。今後、その不思議な名前を聴く機会はさらに増えるかもしれません。今後の彼の活躍に要注目です。

評価:★★★★

| | コメント (0)

2020年5月 1日 (金)

地に足がついてきました。

Title:ボイコット
Musician:amazarashi

その歌詞の独自の世界観から高い人気を誇るロックバンドamazarashi。デビュー時も高い注目を集めた彼らですが、その後も人気は上り調子。本作ではBillboard Hot Albums及びオリコン共に最高位2位を記録するなど、その人気の高さを見せつける結果となりました。さてそんなamazarashi、デビュー当初は世の中をあえて斜に捉えたような歌詞が印象的で、どこかファンタジックな世界観も含めて「中2病バンド」的な印象を強く受けていました。特に初期の彼らは社会の中での疎外感という、いかにも「中2病」的なテーマに沿った曲を多く歌っていました。しかしその後、徐々に成長を続けた彼ら。本作ではデビュー当初と同じく、社会の中での疎外感を歌にしつつ、かつてのようないかにも「中2病」的な雰囲気は消えたように感じます。

特に前作「地方都市のメメント・モリ」ではタイトル通り、地方都市をテーマとした歌詞が特徴的。バンドのメインのライターである青森出身の秋田ひろむの出自が強く反映された内容になっていました。その結果、かつての彼らのような、地に足をつかないような歌詞はほとんど消えたのですが、今回のアルバムに関しても、そんな前作に引き続き、地方出身という秋田ひろむの出自、そしておそらく経験が強く歌詞に反映されたようなアルバムになっています。

そんなアルバムで印象的なのが「夕立旅立ち」。田舎に嫌気がさし都会に出てきた主人公がふるさとを懐かしむ歌詞。テーマ的にはポップソングで昔から、ある種普遍的なテーマなのですが、おそらく秋田ひろむも経験した心境なのでしょう、胸がキュンとしてしまうような歌詞が大きな魅力となっています。さらにそれに続く「帰ってこいよ」も強く印象に残ります。いわば都会に出てきた人物が故郷を振り返るのが「夕立旅立ち」なら、本作はそんな都会に出て行った仲間を暖かく迎え入れる田舎に残った人からのメッセージ。郷愁感ある描写も強く印象に残ります。

「夢を叶えたって胸を張ろうが やっぱ駄目だったって恥じらおうが
笑って会えるならそれでいい 偉くならなくたってそれでいい」
(「帰ってこいよ」より 作詞 秋田ひろむ)

という歌詞には涙腺がゆるみます。

また他にも「マスクチルドレン」などはまさに都会の中での孤独を歌った歌詞ですし、「抒情死」などもそんな淋しい雰囲気を感じさせるナンバー。全体的には前作同様、地方から東京に出てきた秋田ひろむだからこそ歌えるような歌詞が続きます。前作同様に、「中2病」的な空想の世界の産物ではない、しっかりと地に足をつけた歌詞の曲が並んでいました。

サウンド的にはいままでの彼らと同様、打ち込みなども取り入れたヘヴィーなギターサウンドにピアノの音色も加え、叙情感たっぷりにダイナミックに音を鳴らすスタイル。ただ一方で、「拒否オロジー」のような、THA BLUE HERBからの影響も感じさせるようなポエトリーリーディングのようなスタイルだったり、歌詞の雰囲気にあった曲調が印象的なカントリー風の「夕立旅立ち」のような曲もあったりと、歌詞の世界に合ったバリエーションも魅力的だったりします。

前作「地方都市のメメント・モリ」はバンドとして垢抜けたという印象を強く受けるアルバムでしたが、本作はさらにそこからバンドとしての大きな成長、いい意味で大人になって地に足をつけた歌詞を書くようになってきた、そんなことを強く感じる傑作でした。amazarashiとしてさらなる進化を感じさせる作品で、今年を代表する1枚といっても過言ではないかもしれません。いまだに人気上昇中である理由がよくわかる作品でした。

評価:★★★★★

amazarashi 過去の作品
千年幸福論
ラブソング
ねえママ あなたの言うとおり
あんたへ
夕日信仰ヒガシズム
あまざらし 千分の一夜物語 スターライト
世界収束二一一六
虚無病
メッセージボトル
地方都市のメメント・モリ


ほかに聴いたアルバム

かすかなきぼう/KODAMA AND THE DUB STATION BAND

元ミュート・ビートのこだま和文率いるKODAMA AND THE DUB STATION BAND。結成から断続的な活動だったとはいえ既に14年が経過しており、EPなどはリリースしていたのですが、かなり意外なことにオリジナルアルバムはこれがデビュー作となります。スカやダブを取り入れた横ノリのゆったりしたサウンドの中に響く、こだま和文のトランペットの音色が胸にくるような楽曲が目立つ今回の作品。その音色をかみしめるように味わいたくなるような、郷愁感あふれるサウンドが特徴的な楽曲が並びます。日本ではおそらく「遠き山に日は落ちて」を思い出させる「NEW WORLD」のダビーな音色は感涙モノ。非常に胸にしみいる1枚でした。

評価:★★★★★

| | コメント (0)

« 2020年4月 | トップページ | 2020年6月 »