森、道、市場をお茶の間で
会場 お茶の間(オンライン) 日時 2020年5月15日(金)
新型コロナウイルスが蔓延する中、ライブやイベントが一切中止になるなど、音楽業界に大きな影響を与えています。そんな中、オンラインの「ライブイベント」も次々と行われています。今回、私が参加したのはそんな「ライブイベント」のひとつ。もともと5月15日から17日の3日間予定されていたフェス「森、道、市場」。そのイベントが新型コロナの影響で残念ながら中止になりましたが、「森、道、市場をお茶の間で」ということでオンラインでの開催が決定。私はといえば、逆にオンラインになったからこそ参加が可能となり、5月15日の1日だけですが、久々に「森、道、市場」に参加してきました。
「森、道、市場」は一般的な音楽フェスとは異なり、音楽だけではなく、数多くのレストランや雑貨店が参加しており、「市場」というタイトルの通り、そういった様々な店舗の出店もメインとなっているイベント。オンラインのイベントでも、有料配信となった音楽ライブ以外に、You Tubeやインスタグラムのライブ機能をつかったオンラインショッピング的な様々な番組が配信されており、オンラインながらも音楽以外の様々な番組を楽しむことが出来る、まさに「フェス」的な内容になっていました。そんな中、まずこの日は朝の11時より、ライブ配信がスタートしました。
眉村ちあき
まず第1弾は眉村ちあきという「弾き語りトラックメーカーアイドル」を自称する「アイドル」。最初はおそらくライブハウスの片隅でアコギ弾き語りでスタート。途中からライブハウスのステージに立ち、打ち込み+エレキギターでのスタイルでライブをスタートしました。アイドルという立て付けだが、楽曲自体はシンプルなポップ。今回の事態をテーマにして作ったという「手を取り合うからね」は明るいポップに仕上がっており、また「できない」というメロウなポップの新曲も披露。最後は「開国だ」ではサビではこぶしを利かせた力強いボーカルも披露。楽曲的にはアイドルポップっぽさはあまりなく、あくまでも女性シンガーソングライターというイメージ。アイドルを自称しているだけあって、とてもキュートでかわいい方でしたが、「アイドル」と言ってしまうと、若干微妙な気はしないでもないような………。
Campanella
続いては、12時からNAGAN SERVERというミュージシャンのライブ配信だったのですが、昼食を取っていたためパス。13時からのCampanellaのライブ配信から再度参加です。Campanellaはスタジオの録音ブースからの配信。エフェクトをかけた打ち込みのトラックをバックにドリーミーな雰囲気に。最初は「YUME no NAKA」からスタート。新曲も披露してくれました。ドリーミーなトラックにエフェクトをかけてドリーミーな雰囲気のラップも心地よい雰囲気に。Campanellaはビールをのみながら、全体的にまったりした「ライブ」となっていました。
VenueVincent
14時からはVenueVincentというバンドのライブ配信。最初かメンバーそれぞれ個々人の部屋から挨拶。その後は以前行ったライブ映像を配信する形となりました。ラテンフレーバーのギターとパーカッションがちょっとじとっとして心地よい感じのオーガニックなインストバンド。ボーカルみたいな人がずっと踊っているなぁ、と思ったけど、タップダンサーだったのね…。本人たちは「ライブに来てほしい」と盛んに言っていましたが、確かにライブハウスが似合いそうなグループ。彼らについては、音源はもちろん、名前もはじめて聴くグループだったのですが、リズミカルなサウンドが心地よく、思わずパソコンの前で踊ってしまいました。生で見たら気持ちよさそう。コロナ騒動が終わったら、是非、ライブで見てみたい、そう思った配信でした。
bird
続く15時からはbirdの登場。最初は挨拶でスタート。彼女もコロナ騒動の前に行われた、群馬県桐生市で行ったライブの模様をそのまま配信する形に。彼女のボーカルとサポートギタリストによるアコギ1本。「LIFE」「SOULS」の2曲をアコギでしんみり感情的に。内容はよかったけどわずか2曲のみで過去のライブ映像の使いまわし・・・無料配信なら問題ないと思うのですが・・・うーん・・・。
高橋創
16時からは高橋創というミュージシャンのライブ配信。彼も音源はもちろん、名前もはじめて聴くミュージシャンでした。ブロック塀の前で、外での演奏。アコギでの弾き語りのステージ。山下達郎ばりの長髪が印象的なルックスで、暖かい雰囲気のインストナンバーを聴かせてくれました。なんでも、アイルランドの曲だとか。The Beatlsの「Here Comes The Sun」のカバーも。外からマイク一本での配信のため声が聴こえにくかったのですが、それもまたリアリティあって逆によい感じ。途中、ヒキダカオリという女性シンガーも参加「Swan LK243」という曲をアイルランドの曲の日本語カバーをしんみり聴かせてくれました。心地よい風がふいてくる感じのステージで、なかなか心地よいひと時を過ごすことができました。
坂本美雨
17時からはご存じ、坂本美雨のライブ配信。そういえば、彼女の「ライブ」を見るのはおそらくはじめてなのですが、まず感じたのは坂本龍一にそっくり…(笑)。この日は自宅から、キーボードをかかえてのライブ。最初は猫と一緒にまったりトーク。アカペラで「Over The Rainbow」を披露してくれましたが、非常に美しい澄んだ歌声が印象的。その後はシンセでクランベリーズのカバー。こちらも伸びやかな歌声を美しく聴かせてくれました。ライブはまったりトークを挟みながら、自宅からの配信らしくのんびりとした雰囲気で続きます。途中には「猫のうた」というユニークな曲も披露。この曲は作詞作曲が彼女ですが、非常に矢野顕子っぽい曲になっており、こちらも血は争えない感じ(笑)。その後は「I Can't Help Falling in Love With You」をアカペラで披露。最後は「喜び合うことは」で締めくくり。最後には彼女の子供も登場し、幕をおろしました。そういえば彼女はもともと高校生の頃、Sister Mとして美声を聴かせる謎の女性シンガーとしてデビューしたんですよね。その美声は今となっても全く衰えていない、そうあらためて認識できたライブでした。
カジヒデキ
18時からはカジヒデキのライブ配信。配信はおそらく彼の自宅と思われ、バックにはレコード棚にレコードいっぱいつまっていました。ボーダーの半そでシャツに麦わら帽子というスタイルで登場し、昔から全く変わらないスタイルが印象的。この日はアコギ1本での弾き語りを披露してくれます。最初は「甘い恋人」からスタート。ちょっと懐かしいナンバーでうれしくなってしまいます。さらに「きみはちから」、そして「シヴィラはある日突然に」というこれまた非常に懐かしい曲を…。軽快な楽曲で、パソコンの前で思わず身体ものってしまいました。その後は「ユーモアが行方不明」、「Have a Lovely Day」と次々と披露。特に「Have a Lovely Day」はこのコロナの中でのエールのような選曲になっていました。そして最後は「ラ・ブーム~だってMY BOOM IS ME~」!彼の代表曲とも言うべきナンバーで、個人的にも大好きな曲だけに、これはうれしかったです。ポップな曲の連続で、思った以上に楽しいライブにくぎ付けとなりました。個人的に、カジヒデキというと、線が細くて、ボーカリストとしてはあまり歌が上手いという印象はなかったのですが、ライブで聴くと、非常に失礼ながら結構歌が上手いんですね…。これはちょっと意外。とても良いステージでした。コロナが終息したら、是非ライブも行きたいなぁ。
The Worthless
19時からは、こちらも初耳のThe Worthlessというグループ。まずはメンバーそれぞれ別の場所からリモートで。「うたうヒゲとおどるマリオネットのジャグバンド」といううたい文句のグループなのですが、メンバー全員が付け髭をつけていて、さらになぜかマリオネットも参加。1つの絵本から1曲をつくるスタイルだそうで、「音源」も「絵本」という形でリリースしているそう。絵本の中にQRコードが隠れていて、QRコードを読み取ると、ダウンロードで音源が聴けるスタイル。これはかなりユニークですね。この日はオンラインでの絵本の読み聞かせからスタートしました。その後は途中からはかつてのライブ映像。ジャグバンドらしく軽快で楽しそう。盛んに「ライブを見てほしい」と言っていたけど、確かにライブは楽しそう。「I'm crazy for cats more than lover」「Hambarger」「深呼吸」「うまうま う・う・う!」という4曲を披露。ちなみにこの日の配信は見ている人がコメントを寄せれるのですが、メンバー本人の書き込みもあったりして、ちょっとうれしくなりました。彼らもいつか、ライブで見てみたいなぁ。
畳野彩加(Homecomings)
さて、次はMONO NO AWAREの玉置周啓のライブだったのですが、夕食を取ったためパス。21時からのHomecomingsから畳野彩加のライブ配信を見てみました。レコーディングスタジオからギター1本での弾き語り。フォーキーに聴かせるほっこり暖かい感じのライブ配信となっていました。特にMCもなく淡々と進む感じで、途中のトークは最後の曲の前に「ありがとうございました」くらい。淡々としているが、意外と耳に残るメロが印象的でした。次は、Homecomingsとしても見てみたいなぁ。
君島大空
有料のライブ配信最後となるのは22時から君島大空という男性ミュージシャンの配信。彼も名前を聴くのもはじめてのミュージシャン。この日は自宅のようなところからの配信となっていました。アコギアルペジオとウイスパー気味のハイトーンボイスで聴かせる。アコギアルペジオとファルセットボイスが美しく印象的。MCもウイスパー気味で静かで、ちょっと緊張している感じでした。この日は自粛期間に出来たという「扉の夏」や「向こう髪」を披露。また、吉澤嘉代子の「東京絶景」のカバーも聴かせてくれました。非常に美しい歌声が印象的なシンガーソングライターで、最近、折坂悠太や小袋成彬といった男性シンガーソングライターが注目されていますが、その流れで登場してきそうなシンガー。これから徐々に名前を聴く機会も増えそう。予想外に素晴らしいライブでした。
N F in MORI MICHI ICHIBA 2020
そしてこの日、24時からサカナクション山口一郎が主催するクラブイベントN Fが、ライブ配信という形で実施されました。ライブ配信がスタートすると山口一郎が登場。さらにサカナクションのドラマーの江島啓一、さらにN Fでおなじみらしい青山翔太郎がゲストで登場。インスタのライブ機能なので音は途切れがちだったのは残念・・・。最初は山口一郎のDJでスタート。1時ちょっと前に江島啓一が登場いs。お互い、曲をかけあう「Back To Back」というスタイルでDJを披露してくれました。明け方の5時6時くらいまでやるみたいだったけれど、さすがに寝ないといけないので1時過ぎに後ろ髪を引かれつつ終了しました。
そんな訳で、ほぼ1日中、パソコンの前で「森、道、市場」を楽しんだこの日。正直、リアルタイムでの映像ではなく、以前収録した映像の配信がほとんど(だったと思う)のがちょっと残念にも感じたのですが、ただ一方、自宅からのライブという、ある意味、コロナのこの時期しか見ることの出来ない貴重なライブ映像も楽しむことが出来ました。今年に入ってから、1度もライブに足を運ぶことが出来ず、残念な思いを抱えていましたが、こうやってライブ配信というスタイルでも、あらためてライブの良さを実感することが出来た1日。この日はじめて名前を聴くミュージシャンも予想外に素晴らしいライブを聴くことが出来、意外な出会いもあったのも、ある意味「フェス」らしい感じでした。
早くコロナ騒動が終息して、憂いなくライブを楽しむことが出来るようになればいいのですが・・・。早くその日が来ることを願いつつ、次のライブはいつになるのかなぁ・・・。
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