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2020年4月26日 (日)

伝説のロックバンドの全シングルが収録

Title:COMPLETE EPLP~ALL TIME SINGLE COLLECTION~
Musician:RCサクセション

本作は、忌野清志郎デビュー50周年記念プロジェクトの第1弾となるアルバム。タイトル通り、RCサクセションのすべてのシングルをB面曲を含めて収録したシングルコレクション。1970年のデビューシングル「宝くじは買わない」から、ラストシングルとなった1990年の「I LIKE YOU」までのすべてのシングルが収録されています。特にB面曲は多く、今回はじめてCD化されたようですし、またシングルバージョンでの初CD化も多いようです。一方で「COMPLETE EPLP」となっていますが、1986年リリースのミニアルバム「NAUGHTY BOY」は残念ながら未収録となったそうで、同作はCD化も未了ということなので、一日も早いCD化が望まれているようです。

さて今回のシングルコレクションは、デビューシングルからラストシングルまでリリース順に収録されています。そのためRCの音楽的遍歴を知ることが出来るのですが、デビュー直後の作品は、かなりフォーク寄りの作品になっています。デビュー曲「宝くじは買わない」なんて完全にフォークソングですし。もっとも、この最初期のナンバーでも「ぼくの好きな先生」のようなおなじみのナンバーがあるだけに、フォーキーなRCでも決して「意外」という印象は受けないのかもしれませんが。

その後、78年のCHABO加入以降、ロックに移行していったのはよく知られている通り。実際、このフォーク期からロックへの移行が今回のシングル集ではとてもよくわかります。もっともこの初期の時期でもおなじみの「スローバラード」のような清志郎の好みが強く反映されたようなソウルバラードの楽曲もあったりして、後のRCの音楽性は最初期から感じることが出来ます。

このように音楽的には70年代から80年代にかけて大きく変化していったRCでしたが、今回のシングルコレクションを聴いて強く感じたのは、歌詞のスタイルに関しては最初期から彼ららしさをしっかりと出していた、という点でした。実際、デビューシングル「宝くじは買わない」から、後の彼らのラブソングに通じるような非常に切ない歌詞が特徴的ですし、そのB面「どろだらけの海」から、いきなり環境汚染を歌った社会派な歌詞になっています。

そんなデビュー当初から確立しつつあったスタイルを、どんどんと成熟させていったというのが、このシングルコレクションを通じて強く感じた点。社会派ながらも大上段に社会を批判するのではなく、どちらかというと素直におかしいと思ったことをおちょくるように歌にするスタイルもどんどん確立し、有名なアルバム「COVERS」収録曲の反原発ソング「ラブミーテンダー」「サマータイムブルース」につながってきます。ちなみにこの2曲は本作にちゃんと収録されています。

全3枚組。非常にボリュームのある内容でしたが、聴かせる曲ばかりであっという間に聴けてしまう内容になっていました。これが忌野清志郎デビュー50周年記念プロジェクトの第1弾ということですが、とすると第2弾、第3弾もあるのでしょうか。次はどんな企画が登場してくるのでしょうか。とても楽しみです。

評価:★★★★★

RCサクセション 過去の作品
悲しいことばっかり
シングル・マン+4
SUMMER TOUR '83 渋谷公会堂~KING OF LIVE COMPLETE~

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