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2020年4月27日 (月)

バンドブームの頃の「ロック」を忠実に再現

Title:ROCK
Musician:ベッド・イン

「日本に再びバブルの嵐を起こすべく、80年代末〜90年代初頭へのリスペクト精神により完全セルフプロデュースで活動中。」をテーマに、バブル期の日本の風潮・文化をそのまま取り込んだ楽曲を演奏する自称「地下セクシーアイドルユニット」のベッド・イン。今回はタイトルそのまま「ロック」をテーマとした5曲入りのミニアルバム。いままでも80年代のハードロックやバンドブーム前後のビートロックをそのまま取り入れたような曲をよく演っていた彼女たちですが、本作ではそんなロックに焦点を当てたミニアルバムとなっています。

ただわずか5曲といっても、これが5曲とも異なるタイプの曲調に仕上げており、かつ、非常に80年代から90年代にかけてのロックを忠実に再現した良くできた楽曲が並びます。1曲目「We Are "BED・IN"」はヘヴィーなメタリック調の作品で、女性ロックバンドの走り的存在ともいえるSHOW-YAを彷彿とさせる楽曲になっています。2曲目「Everybody 無敵!」は彼女たちの王道路線ともいえるユーロビートとロックを融合させたようなダンスナンバーで、「ポケベル」やら「バイナラ」のよう80年代から90年代を彷彿とさせる「死語」を取り入れたベッド・インらしい曲になっています。

3曲目「悔しいくらい愛してたあなたにSAYONARA」は笑っちゃうくらいのビーイングのパロディー。というか、完全に大黒摩季ですね。イントロなんてまるっきり懐かしいビーイング風ですし、歌いだしなんてまるっきり大黒摩季。サビの前で4連符のドラムが入るあたりも、ビーイング系におきまりのパターン。いや、よく研究したなぁ、と感じるような曲調になっています。ビーイングブームはバブル崩壊後なので、ベッド・インのコンセプトとちょっと異なるのですが、なつかしさを感じる点は共通でしょうか。

さらに4曲目「SHOW ME POWER」も完全にバンドブームあたりのビートロック路線。中村あゆみあたりの路線でしょうか?これも80年代らしい、いい意味での陽気さが気持ちよいナンバーに仕上がっています。そしてラストを締めくくるのはハードロック風なギターに打ち込みのリズムを加えたダンスチューン「LIFE DANCE~人生を踊れ!~」。こちらも要所要所のシンセの音に80年代や90年代を感じるベッド・インらしいダンスナンバーに仕上がっています。

5曲とも80年代から90年代のロックを非常に忠実に再現している楽曲になっており、よくよくあの時代を研究した後がうかがわせる内容になっています。そのため、リアルタイムにこの時期を経験したアラフォー、アラフィフ世代にとっては感涙モノの内容になっています。また、もともとベッド・インの2人は、それぞれロックバンドで活躍していたミュージシャン。そのため、ミュージシャンとしての力量は高く、特にロックにおいては、彼女たちの力量が強く楽曲に反映されています。今回のアルバムに関しては、80年代90年代のオマージュという点でベッド・インらしさが良く出ており、かつロックという側面において、メンバー2人の力量が良く反映されていた、そんなアルバムに仕上がっていました。

正直言って、今の新型コロナの影響で経済が急速に冷え込む中、彼女たちのような「バブル礼さん」的なグループは今後、かなり厳しい状況になるような印象も受けます。そういう意味では今後の彼女たちの活動が少々心配になる点は否定できないのですが…このようなアルバムをリリースできるようなグループなだけに、これからもコロナショックに負けないで頑張ってほしいなぁ。

評価:★★★★★

ベッド・イン 過去の作品
TOKYO
Endless Bubble~Cover Songs vol.1~

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