« 良し悪しの差が激しい・・・ | トップページ | リズムを楽しむ »

2020年3月23日 (月)

約30年のブランクを感じさせない傑作

Title:MasterBee
Musician:BARBEE BOYS

主に1980年代に活躍。男女ツインボーカルといまみちともたかの個性的なギタープレイを中心としたバンドサウンドが大きな評判を呼び人気バンドとなりました。その後、1992年に惜しまれつつ解散しました。しかしその後も2003年のエピックレコード25周年記念イベント「LIVE EPIC25」で再結成したのを機に、断続的に「再結成」を繰り返しました。そして昨年、ローソンHMV限定でのリリースながらもアルバム「PlanBee」をリリース。さらにこのたびリリースしたのが配信限定でのアルバムである本作でした。

まずBARBEE BOYSの大きな特徴のひとつがKONTAと杏子のツインボーカルでしょう。どちらも一度歌声を聴けば忘れられないような個性的なボーカリストなのですが、男女の微妙な駆け引きをこの2人のボーカルがそのまま「曲」として展開。時には大人のエロチシズムさも醸し出すスリリングな男女模様をそのまま歌にするというスタイルは非常に独特。男女ツインボーカルを擁するグループは他にも少なくありませんが、ここまで男女ツインボーカルであることを生かしたグループはBARBEE BOYSを除いて他にいないのではないでしょうか。

また、彼らのバンドサウンドも非常に独特で個性的。いまみちともたかのエッジの効いたファンキーさも感じるギターサウンドを中心として、KONTAの奏でるサックスの音色も印象的。ニューウェーヴからの影響を受けつつ、80年代に活躍した他のどのバンドとも異なる独特のバンドサウンドを構築。このサウンドについても完全に唯一無二。圧倒的な個性を放っています。

「PlanBee」の段階で実に29年8ヶ月ぶり(!)のアルバムとなりました。この配信限定となる本作は「PlanBee」収録曲がまるごと収録されているのですが、30年近いインターバルを経ながらも、彼らの魅力は全く変わっていません。まずアルバムの1曲目「ぼくらのバックナンバー」の最初に鳴り響く、いまみちともたかのエッジの効いたギター、さらにはその後に入ってくるKONTAのサックスの音色で、まずはうれしくなってくるのではないでしょうか。さらにその後繰り広げられるKONTAと杏子の絡みも30年前と全く変わりません。続く「無敵のヴァレリー」も同じくメンバー全員、息の合った演奏を聴かせてくれます。

さらに「CRAZY BLUE」は怪しげでエロティシズムを感じる男女ボーカルのやり取りが、まさにBARBEE BOYSらしい感じに!「あいさつはいつでも」「翔んでみせろ」は昔のバービーのナンバーのカバーなのですが、いまでも全く衰えを感じさせないばかりか、サウンドはより迫力を増した感すらあります。さらに「まかせてTonight」はもともとファンの間では知られていたナンバーだったそうですが、ここでの音源化はやはりファンにとってはうれしい限りでしょう。こちらもKONTAと杏子のちょっとエロチックな駆け引きを感じさせる歌詞がBARBEE BOYSらしく、最高にドキドキして、カッコイイ楽曲に仕上がっています。

サウンドに関しても、もちろん彼ららしい個性は健在。ただ、ニューウェーヴからの影響が強かったオリジナルと比べると、バンドサウンドにより重厚さが増し、よりロックな雰囲気が強くなったように感じます。特にヘヴィーでグルーヴ感の増したギターとドラムスのサウンドが大きな魅力。いまみちともたかのギターのファンキーさがより強くなっていたようにも感じました。

久々のアルバムながらも、30年近いブランクを全く感じさせないアルバム。新曲を含めてBARBEE BOYS健在を感じさせる傑作アルバムになっていました。メンバー全員、アラ還世代にも関わらず、それを感じさせない現役感と色っぽさも感じさせます。今回は8曲のうち新曲5曲というアルバムだったのですが、この勢いならそのまま新曲オンリーのフルアルバムも行けるのでは?また、彼らの解散から30年近く経た今でも、BARBEE BOYSのフォロワーたりえるバンドが登場しておらず、それだけ彼らが唯一無二の存在であることをあらためて感じさせる強烈な個性を感じました。今後はこのまま活動を再開するのか?それとも??とりあえずリアルタイムに彼らを知らない世代でも(…というか、私もラストアルバムをギリギリ中学生時代に聴いただけなのですが)全8曲30分程度の長さですし、是非とも一度聴いてほしい傑作です。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

fractal/sleepy.ab

2014年から事実上の活動休止状態だった北海道出身のバンド、sleepy.abがこのほど再始動。実に7年ぶりとなるニューアルバムをリリースしてきました。前作までと同様、エレクトロサウンドとバンドサウンドを融合させたドリーミーでファンタジックな楽曲が魅力的。サイケロックやシューゲイザーからの影響も大きな魅力なのですが、正直、ちょっと似たような感じの曲が多くインパクトも薄め。久々のアルバムとはいえ、全71分という長さはちょっと長かったような…。魅力的なバンドなのは間違いないのですが。

評価:★★★★

sleepy.ab 過去の作品
paratroop
Mother Goose
neuron

ハリネズミズム/キュウソネコカミ

全7曲26分という短さのミニアルバム。疾走感あるパンクロックというキュウソネコカミのスタイルはいままでと全く変わらず。楽曲のバリエーションはあまりありませんし、良くも悪くもいつも通りといった感じ。一方ではシンセを用いた勢いあるバンドサウンドは相変わらずアゲアゲになるし、なによりも楽曲を聴いて一発でキュウソネコカミの曲だとわかる個性はやはり彼らの大きな魅力。26分という短さがさらに短く感じられる、実に彼ららしいミニアルバムでした。

評価:★★★★

キュウソネコカミ 過去の作品
チェンジ ザ ワールド
ハッピーポンコツランド
人生はまだまだ続く
キュウソネコカミ -THE LIVE-DMCC REAL ONEMAN TOUR 2016/2017 ボロボロ バキバキ クルットゥー
にゅ~うぇいぶ
ギリ平成

|

« 良し悪しの差が激しい・・・ | トップページ | リズムを楽しむ »

アルバムレビュー(邦楽)2020年」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 良し悪しの差が激しい・・・ | トップページ | リズムを楽しむ »