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2020年3月16日 (月)

ダンスチューンをメインにPSBの魅力満載

Title:Hotspot
Musician:PET SHOP BOYS

フルアルバムとしては約3年9ヶ月ぶりとなるPET SHOP BOYSのニューアルバム。今回のアルバムは前々作「ELECTRIC」、前作「SUPER」から続く3部作の最終章と位置付けられているそうです。前々作「ELECTRIC」、前作「SUPER」共に、EDMを取り込んだダンスチューンが主体となっているアルバムになっていたので、それに続く本作も、同じくダンサナブルなアルバムになっているのかな、そう予想しました。

事実、アルバムはちょっと哀愁感を帯びつつ、スペーシーなサウンドを聴かせるダンスチューンの「Will-o-the-wisp」からスタート。彼ららしい多幸感あふれるタイトル通り、ハッピーなダンスナンバー「Happy people」、軽快なエレクトロサウンドも楽しい80年代風のディスコチューン「Monkey business」、さらには結婚行進曲をサンプリングするなど、ちょっとベタで大味な感じもあるものの、分厚いエレクトロサウンドを含めて、そのベタさも楽しいテクノチューン「Wedding in Berlin」など、ダンサナブルなエレクトロチューンが並びます。

ただ一方、ダンスチューンをメインとした結果、彼らの大きな魅力であるメロディーラインの良さが後ろに下がってしまった前2作と比べると、今回のアルバムは明確にメロディーラインの良さが前に押し出された、珠玉のポップチューンが並ぶ作品となっていました。例えば「Dreamland」も、ダンサナブルなエレクトロナンバーながらも80年代的な雰囲気を感じる、マイナーコードの哀しげなメロディーラインが大きなインパクトとなっています。

そしてなによりも今回のアルバムでPET SHOP BOYSのメロディーメイカーとしての魅力を発揮されたのが「Only the dark」と「Burning the heather」でしょう。「Only the dark」は分厚いエレクトロサウンドをバックに奏でられる美しくも哀しげなメロディーラインが絶品。サビに入るところで転調する、ある意味J-POP的な展開は日本人受けしそうですし、どこか90年代初頭あたりのポップソングの雰囲気を感じて、個人的には非常に懐かしさを感じました。続く「Burning the heather」もエレクトロサウンドを主軸としつつ、アコースティックなサウンドも取り入れ、こちらも懐かしくも、タイトル通りの暖かさを感じさせるようなポップチューンに。美メロという表現がピッタリくる、メロディーラインが胸に突き刺さるようなポップスが並んでいました。

前々作、前作に続くようなダンスチューンを奏でつつ、前2作では物足りなさを感じた彼らのメロディーラインの良さを前面に押し出してきた、まさにPET SHOP BOYSらしいダンスアルバムになっていた本作。前々作、前作と含めて3部作というのならば、間違いなく断トツの傑作アルバムでしたし、また、3部作を締めくくる集大成にふさわしいアルバムとなっていました。軽快なエレクトロサウンドに美しいメロディーラインというPET SHOP BOYSの魅力を詰め込んだいた今回のアルバムはともすれば年間ベストクラスの傑作アルバムと言えるかも。まだまだ彼らの活躍は続きそうです。

評価:★★★★★

で、そんな彼らの傑作アルバムから1曲をピックアップ。同曲のリミックスや新曲を追加したEPもリリースされています。

Title:Monkey business
Musician:PET SHOP BOYS

「Hotspot」の中でも主軸となっていたエレクトロダンスチューン「Monkey business」のRadio editをメインに、Prins Thomas及びFriend Withinによるリミックス、そして新曲1曲を収録した4曲入りのEPとなっています。やはりもっとも聴きどころは新曲「At rock bottom」でしょう。強いビートのエレクトロアレンジながらも、PET SHOP BOYSらしい哀愁感あるメロディーがしっかりと流れる楽曲。アルバム「Hotspot」の延長線上にあるような印象を受ける新曲となっています。

またPrins ThomasによるリミックスもFriend Withinによるリミックスも、いずれもよりビート感を強調してダンサナブルにまとめあげた楽曲に仕上がっています。結果として4曲ともダンサナブルなナンバーが並んだ今回のアルバム。「Hotspot」のダンサナブルな側面をより強調したEPといった感じでしょうか。Prins Thomasのリミックスは日本盤には収録されているので、日本のリスナーにとってはこれではじめて聴けるのは事実上2曲のみ、といった感じなのですが・・・。ただ新曲は聴いて損のない楽曲。興味のある方は、是非。

評価:★★★★

PET SHOP BOYS 過去の作品
Yes
ULTIMATE PET SHOP BOYS(邦題:究極のペットショップボーイズ)
The Most Incredible Thing
Elysium(邦題 エリシオン~理想郷~)
ELECTRIC
SUPER
Agenda


ほかに聴いたアルバム

Beneath the Eyrie Demos, Pt. 2/PIXIES

昨年リリースしたアルバム「Beneath the Eyrie」からのデモ音源集の6曲入りのミニアルバム。基本的には完成形に近い形の音源のため、これはこれで1つの作品として楽しめるような内容になっています。さらに完成形よりもより荒々しさを感じるため、見方によっては完成形より魅力的に感じる部分も?ただ、基本的にはファンズアイテム的な要素は強いのですが。

評価:★★★★

PIXIES 過去の作品
EP1
EP2

Indy Cindy
Doolittle25
Head Carrier
Beneath The Eyrie

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