GREEN DAYっぽい?っぽくない?
Title:Father of All...
Musician:GREEN DAY
途中、ベスト盤のリリースを挟みつつ、約3年4ヶ月ぶりとなるGREEN DAYのニューアルバム。各種メディアには「Father of All...」という形で「All」以降を省略するような表記がされていますが、正式名称は「Father of All Motherfuckers」だそうで、実際、ジャケット写真にもその表記があります。文章で書くのはNGなのに、ジャケット写真は構わないのか…と思ってしまいますが、ひょっとしたら、あえて「Motherfuckers」のようなメディアが使えない言葉をタイトルに使いつつ、ジャケットにそのタイトルを記載しているのは、こういうメディアの形式的な対応を皮肉るため???
そんな今回のアルバムはまずは、あまりGREEN DAYっぽくない曲が多く収録されているアルバムになっています。例えばタイトルチューンの「Father of All...」はへヴィーなギターリフ主導のガレージロック風のナンバーになっていますし、続く「Fire,Ready,Aim」も、ちょっとオフスプあたりを思い起こさせるような、メロコアっぽい楽曲になっています。「Meet Me on the Roof」も軽快なリズムのポップチューンになっていますし、「Stab You in the Heart」もロックンロール風の楽曲に。この曲は完全にThe Bealtesの曲をそのままヘヴィーにした、といった感じの曲ですね。途中のギターリフや歌い方なんかも、まんまビートルズですし。
「Take the Money and Crawl」もヘヴィーなギターを聴かせるヘヴィーな楽曲になっていますし、ラストの「Graffitia」も明るいポップチューンなのですが、どちらかというとパワーポップというカテゴライズがしっくり来そうな感じも・・・。「Sugar Youth」あたりは彼ららしいメロパンクのナンバー、といった感じもするのですが、全体的には少数派。正直、あまりGREEN DAYらしさを感じさせないような楽曲が並んでいました。
ただ、個人的に、これは矛盾した言い方になるかもしれませんが、とてもGREEN DAYらしいアルバムだな、とも感じる作品になっていました。10曲入り26分というコンパクトな内容に、疾走感あるバンドサウンド、さらにはそんな中でもポップなメロディーラインが流れており、頭を空っぽにして楽しめるような心地よいサウンドが流れてくる楽曲の数々。それらはみんな、GREEN DAYの大きな魅力であり、そして今回のアルバムには間違いなくそんな魅力あふれる楽曲が並んでいました。今回のこのアルバム、確かに街中で流れるとGREEN DAYの楽曲だ、と気が付かないような楽曲が多いかもしれません。しかし、基本的な楽曲の方向性はやはり実にGREEN DAYらしいとも言える本作。間違いなくGREEN DAYのアルバム、と言えるでしょう。
GREEN DAYらしからぬアルバムということもあり、全体的には賛否わかれるアルバムになっていました。確かに、本作ではキラーチューンと言えるような楽曲もなく、そういう意味では文句なしの絶賛をあびた前作「Revolution Radio」と比べると、物足りない部分を感じる点も否めないかもしれません。ただ、それを差し引いても、やはりポップでへヴィーなロックチューンにワクワクできたという意味では間違いなく魅力的な作品と言える本作。個人的にはGREEN DAYのアルバムとして間違いなく傑作だと言える1枚だったと思います。
デビュー時からいままで、陽気なパンクチューンを主軸にしつつ、様々な音楽性を取り込み成長を続ける彼ら。本作もそんな彼らの新たな一歩と言えるアルバムとも言えるでしょう。なにげに今年はレコードデビューから30年目(!)という、すっかりベテランになった彼ら。しかし、本作からはそんなベテランらしいマンネリ感は皆無。これからも彼らの活躍は続きそうです。
評価:★★★★★
GREEN DAY 過去の作品
STOP DROP AND FALL!!!(FOXBORO HOTTUBS)
21st Century Breakdown
AWESOME AS F**K(邦題:最強ライヴ!)
UNO!
DOS!
TRE!
爆発ライブ~渋谷編
DEMOLICIOUS
Revolution Radio
Greatest Hits:God's Favorite Band
ほかに聴いたアルバム
Jesus Is Born/Sunday Service Choir
昨年10月、ゴスペル色の強いアルバム「Jesus Is King」をリリースしたカニエ・ウェスト。その時、クリスマスにはクリスマスアルバムをリリースすることを予告していましたが、彼としては珍しく、しっかりとクリスマスにリリースされた、カニエ率いるゴスペルグループ、Sunday Service Choir名義でリリースされた新作。全編、正統派のゴスペルアルバムとなっており、コーラス隊が入った力強いゴスペルを聴かせてくれています。全編、似たようなゴスペルの楽曲が並んでおり、日本人にとってはちょっと馴染みの薄さも感じるのですが、ただ、それでも最後までしっかりと聴かせてくれるのは、カニエの卓越したポップスセンスゆえでしょうか。今後はしばらくゴスペル方面に興味が続くのでしょうか・・・。
評価:★★★★
Treat Myself/Meghan Trainor
大ヒットしたデビュー作「Title」ではちょっとレトロで軽快なポップを聴かせてくれた彼女。しかし2ndアルバム「Thank you」で方向性が一変。いかにも今時のR&Bを加えた平凡なポップになってしまい多くのリスナーをガッカリさせました。そして3枚目となる「Treat Myself」ですが…方向性は前作と変わらず。いかにも今時の女性シンガーが歌いそうな、平凡なポップチューンに。結果、前作では3位を獲得していたビルボードチャートが本作では25位と急落。多くのリスナーが彼女のこの方向性を望んでいないことが如実にあらわれる結果となりました。あえていえば最後の2曲「No Excuse」「Have You Now」はデビュー当初の面影を感じるポップスになっていたのですが。正直次回作もこの方向性なら、スルーかなぁ。
評価:★★★
Meghan Trainor 過去の作品
Title
Thank you
THE LOVE TRAIN
| 固定リンク
「アルバムレビュー(洋楽)2020年」カテゴリの記事
- 注目の7人組大所帯バンド(2021.03.28)
- 伝説のロックバンドの初のベスト盤(2020.12.29)
- 新生スマパンの第2弾だが。(2020.12.18)
- 「2020年」を反映した2021年ブルースカレンダー(2020.12.08)
- キュートなボーカルが魅力的(2020.12.07)
コメント