« アラフィフの飄々とした雰囲気で | トップページ | ヒゲダンが今週も4曲同時にランクイン! »

2020年3月10日 (火)

oasis曲もカバー!

Title:Acoustic Sessions
Musician:Liam Gallagher

昨年リリースしたソロ名義でのアルバム第2弾「Why Me? Why Not.」も大ヒットを記録。また、内容面でも高い評価を受け、ソロミュージシャンとしてのキャリアも確固たるものとしつつあります。今回のアルバムはそんな中、1月30日にサプライズでリリースされたアコースティックアレンジによる企画盤。いきなり登場したリアム・ギャラガーの新譜に、ビックリしてしまいました。

そしてさらに驚きなのはその選曲。1曲目はいきなりoasisの「Cast No Shadow」からスタート。その後は彼のソロ最新作「Why Me? Why ot.」からNow That I've Found You」「Alright Now」とソロ曲が続くのですが、その後に再び登場してくるのがoasis曲。「Sad Song」にさらにoasisの代表曲の1つと言っていい「Stand By Me」が登場。その後は「Once」「Meadow」とソロ曲が続いてアルバムの幕は下りるのですが、全7曲中3曲までがoasis曲…要するにノエル・ギャラガー作の曲を歌うという点にもかなり驚かされます。

このように同じアルバムにoasis曲と自身のソロ曲を並べて収録するあたり、ソロ活動におけるかなり強い自信を感じることが出来ます。否応なしに聴き比べが出来てしまう状況になるわけですから、ソロ曲の出来が悪ければ、当然、その差が一目瞭然となってしまう訳です。そんな中であえてoasis曲とソロ曲を並べて収録するあたり、「どうだ、ノエルの曲と比べて、決して悪くないだろう」というリアムの自信と主張を感じることが出来ます。

正直言って、まず最初、「Cast No Shadow」を聴くと、「ああ、やはりoasisの曲はいいなぁ…」という感傷的な気持ちになってしまいます。アコースティックセッションですが、ストリングスとピアノも入った爽やかなアレンジに仕上がっており、メロディーラインの美しさも際立つような出来栄えになっているだけに、メロディーの良さがより前面に出ている楽曲になっていました。しかし、その後の「Now That I've Found You」「Alright Now」を聴くと、確かにリアムの自信の理由がわかります。そのメロディーラインの良さは決して「Cast No Shadow」と比べて劣っているわけではありません。特にアコースティックなアレンジになっているがために、メロディーの良さはより前面に出ていますし、なによりもリアムのボーカルの味がよりはっきりと感じられるアレンジになっていました。

しかし、その後「Sad Song」がはじまると、やはりリアムの方が、まだ一枚上手だな…ということを率直に感じてしまいます。続く「Stand By Me」といい、聴き慣れている、という部分は否定できないものの、その感傷的なメロディーといい、インパクトのあるフレーズといい、ノエルの天性の才を再認識させられます。もっとも、一方でやはりリアムのボーカルもまた天性のもの。ノエルソロ曲と比べると、やはり抜群の素晴らしさを感じてしまいます。ノエルの曲が…という以前にoasisはやはり素晴らしい!ということを再認識させられました。

もっともリアムソロ曲も決して大きく劣っているわけではなく、このアルバムの中でいい勝負を繰り広げているのも間違いありません。特にリアムのボーカリストとしての素晴らしさがアコースティックアレンジにより、より際立つ結果となっており、oasis曲、リアムソロ曲も含めて、非常に素晴らしい傑作アルバムとなっていました。個人的には下手すれば「Why Me? Why Not.」よりも良く感じてしまったくらいで。リアムギャラガーのボーカリストとしての天性の才を再認識すると共に、oasis不在があらためて残念に感じる作品。いつかは再結成するように思うのですが……。とりあえず配信限定のアルバムですが、oasis好きなら絶対チェックすべき作品です。

評価:★★★★★

Liam Gallagher 過去の作品
AS YOU WERE
Why Me?Why not.


ほかに聴いたアルバム

Je Suis Africain/Rachid Taha

また今回も2019年各種メディアの年間ベストの後追いで聴いた1枚。Music Magazine誌ワールドミュージック部門第9位。難病のため2018年に59歳という若さでこの世を去った、フランスで活躍していたアルジェリア出身の男性シンガーによる遺作。基本的にはアラブ音楽をベースとして哀愁感ただようメロディーラインを聴かせつつも、楽曲によってはトライバルなリズムで、アフリカからの影響も強く感じさせるような楽曲も。聴かせる哀愁メロとダイナミックなサウンドのバランスも実にユニークな作品でした。

評価:★★★★★

Heavy Is the Head/Stormzy

イギリスのグライムシーンの代表的なミュージシャンで、イギリスの最高峰の音楽賞「BRIT Award」で「英国ソロ男性アーティスト賞」「年間最優秀英国アルバム賞」するなど高い評価を受けているラッパーによる最新作。今時なトラップのリズムを取り入れつつ、メロウな歌とラップで物悲しく聴かせる楽曲の数々が魅力的。強いビートを主軸にしつつ、ピアノなどを取り入れた悲しげで重厚感のあるタイトなサウンドが彼の力強いラップを支えています。透明感あるメロウなメロディーラインはアメリカのトラップシーンとはまた異なる魅力を感じさせる1枚でした。

評価:★★★★★

|

« アラフィフの飄々とした雰囲気で | トップページ | ヒゲダンが今週も4曲同時にランクイン! »

アルバムレビュー(洋楽)2020年」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« アラフィフの飄々とした雰囲気で | トップページ | ヒゲダンが今週も4曲同時にランクイン! »