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2020年2月 4日 (火)

2019年ベストアルバム(邦楽編)その2

4日間にわたってお送りしてきました私的ベストアルバムも今日が最後。邦楽編の1位から5位の紹介です。

5位 エアにに/長谷川白紙

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今、最も注目を集めるシンガーソングライターの最新作。非常な奇妙なジャケットも目につくのですが、サウンド的にも最新のジャズの要素を取り入れつつ、複雑な構成となっている楽曲が印象に残ります。ただ、それにも関わらずメロディーライン自体はポップにまとめあげており、全体的には広いリスナー層にアピールできそうなポピュラリティーをしっかりと確保。このバランスの良さも見事でしょう。今後、さらに注目が集まりそうな傑作アルバムでした。

4位 新しい人/OGRE YOU ASSHOLE

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アルバムをリリースする毎に傑作をリリースし続けるOGRE YOU ASSHOLEの新作。今回も極限までそぎ落としたシンプルなサウンドの中で最高にサイケデリックな雰囲気を醸し出す曲を聴かせてくれているのですが、その中で今回のアルバムで特徴的だったがOGRE流ディスコサウンドとも言うべき4つ打ちの楽曲。スペーシーなサウンドで軽くトリップ感を味わえるような独特のグルーヴが産みだされており、彼らの新たな魅力を感じさせるサウンドを作り出していました。

3位 30/電気グルーヴ

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今年を代表する傑作ながら、ピエール瀧の逮捕により、いまだに聴くことが出来ない「幻の作品」となっている本作。結成30周年を記念してリリースされた本作は、彼らの過去のターニングポイントになった曲を現在の視点から「リメイク」した作品になっており、電気グルーヴの活動を俯瞰するのは非常に優れた1枚であると同時に、彼らの実力をいかんなく感じられる傑作アルバムになっていました。レンタルでは普通に聴くことが出来るため、是非、そちらでチェックして欲しい文句なしの傑作。しかしソニーは、いつまでこの愚行を続けるのか…。

2位 cherish/KIRINJI

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先日、KIRINJIが現在のバンド形態での活動を今年末で終了する旨のアナウンスを行いました。元々、スーパーグループ的なバンドだっただけに、長くは続かないだろうなぁ、と思っていただけに意外性はなかったのですが、最新作はバンドとしての攻めの姿勢を強く感じ、次回作が楽しみだっただけにその点は非常に残念。ただ一方で、エレクトロサウンドと生音を見事に融合させ、今のKIRINJIとしてのサウンドの到達点を示した傑作アルバムだった本作をリリースした今、バンドとしてやれることはやりつくしたのかなぁ、とも思うような作品でした。

1位 PUNK/CHAI

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もう文句なしの2019年を代表する最高傑作アルバム。聴いた当時に「このアルバムを評価せずに、どのアルバムを評価するの?」と書いたのですが、その気持ちは今も変わっていません。足腰のしっかりしたバンドサウンドにカラッとした、邦楽ばなれした、しかししっかりとポピュラリティーを保ったメロディーラインが大きな特徴。なんと本作はかのPitchforkで「BEST NEW MUSIC」を獲得。さらに年間ベストアルバムで46位という快挙を達成しています。洋楽邦楽の枠組みを超えて2019年を代表する傑作アルバムです。

そんな訳であらためてベスト10を振り返ると…

1位 PUNK/CHAI
2位 cherish/KIRINJI
3位 30/電気グルーヴ
4位 新しい人/OGRE YOU ASSHOLE
5位 エアにに/長谷川白紙
6位 834.194/サカナクション
7位 三毒史/椎名林檎
8位 Section#11/THE BAWDIES
9位 underground/SPARTA LOCALS
10位 ジェニーハイストーリー/ジェニーハイ

他のベスト盤候補としては…

あいつロングシュート決めてあの娘が歓声をあげてそのとき俺は家にいた/忘れらんねえよ
ALL THE LIGHT/GRAPEVINE
HOCHONO HOUSE/細野晴臣
ドロン・ド・ロンド/チャラン・ポ・ランタン
THE ANYMAL/Suchmos
9999/THE YELLOW MONKEY
労働なんかしないで 光合成だけで生きたい/スガシカオ
Ride On Time/田我流
MOROHA IV/MOROHA
THA BLUE HERB/THA BLUE HERB
LOLIPOP SIXTEEN/SOLEIL
燦々/カネコアヤノ
音の門/国府達矢
スラップスティックメロディ/国府達矢
スターシャンク/Cocco
見っけ/スピッツ
KYO/m-flo
井上順のプレイボーイ講座12章/小西康陽とプレイボーイズ

12月末の暫定版の時は、年間ベストクラスの傑作が少なかった…と書いたのですが、ただ、特に12月リリースのアルバムで傑作も目立ち、結果としては文句なしの傑作がしっかり並ぶ10枚になっていたように感じます。ベテラン(電気グルーヴ、KIRINJI、椎名林檎)、中堅(サカナクション、THE BAWDIES、OGRE YOU ASSHOLE)、若手(CHAI、長谷川白紙)がバランスよく名前を並べているベスト10となっており、そういう意味でも今の日本のミュージックシーンがしっかりと活況を帯びたものになっている証拠でしょう。今年もおそらくいろいろな傑作がリリースされてくるでしょうが、今からとても楽しみです。

ちなみに過去のベストアルバムは

2007年 年間1 
2008年 年間1  上半期
2009年 年間1  上半期
2010年 年間1  上半期
2011年 年間1  上半期
2012年 年間1  上半期
2013年 年間1  上半期
2014年 年間1  上半期
2015年 年間1  上半期
2016年 年間1  上半期
2017年 年間1  上半期
2018年 年間1  上半期
2019年 上半期

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コメント

ゆういちさん、こんばんは。

やはり、1位はCHAIでしたか~。改めてベスト10のレビューを見てみても、CHAIのレビューは熱量が違って見えましたもの。
あと電グルですが近々ピエール瀧が役者として復帰するそうなので、ミュージシャンピエール瀧及び電グルの復活もそう遠くなさそうな感じがしますね(まあ海外では活動してるみたいですが)。
今年もたくさんの名盤がリリースされるといいですね!
ちなみに僕の2019のベスト3は・・・

1位 834.194/サカナクション
2位 見っけ/スピッツ
3位 瞬間的シックスセンス/あいみょん

でした。尚CHAIは僕のランキングでは5位でした。

投稿: 通りすがりの読者 | 2020年2月 6日 (木) 00時24分

忘れらんねえよのあいつロングシュート決めてあの娘が歓声をあげてそのとき俺は家にいたがベスト10の候補者に!嬉しい!週刊青春のレビューも楽しみにしてます!

投稿: オジャオジャ | 2020年2月 6日 (木) 23時42分

>通りすがりの読者さん
CHAIは本当に素晴らしいアルバムでした!ピエール瀧は役者よりも早くミュージシャンとして復帰してほしいです。
サカナクションもいいアルバムでしたね!スピッツもベスト10入りを迷いましたが…。今年も多くの名盤に出会いたいです!

>オジャオジャさん
忘れらんねえよ、いいアルバムでした。正直、ベスト10入りも迷ったのですが…。「週刊青春」も近いうちにレビューする予定ですよ!忘れらんねえよは柴田ソロになってから、個人的にはいい方向に向いているように思います。

投稿: ゆういち | 2020年2月 9日 (日) 23時26分

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