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2020年2月24日 (月)

あいかわらず目が離せない!

Title:もう紅白に出してくれない
Musician:ゴールデンボンバー

2019年の紅白歌合戦出場者発表の日に突如、公表された今回のアルバムタイトル。その絶妙なタイミングに個人的にもめちゃくちゃ受けてしまったのですが、まさにそういうタイミングで、こういうアルバムタイトルを発表する彼らのアイディアの豊富さ、センスの良さに、まずは強く感心してしまいます。特に、彼らのそのセンスの良さと、なにより行動力に感心させられたのが昨年4月1日の「令和」のリリース。あらかじめ元号の部分以外を録音しておき、元号が発表となった直後に残りの部分を録音。そしてその日のうちに新元号を読み込んだ歌をリリースする、というスピード感とそしてユーモアセンスが強く印象に残りました。元号ネタでは同じ4月1日にGLAYが「元号」という曲をリリースを発表したり、清竜人が令和への改元日に「REIWA」というアルバムをリリースしましたが、残念ながらゴールデンボンバーのアイディアの前には、完全にかすんでしまいました。

さらに彼らのアイディアやその行動力はユーモアな部分のみに限りません。おととしの12月には、かつてライブ会場限定でリリースとなり廃盤となっていたためネット上で高値で取引されていたアルバム「音楽が僕らを駄目にする」「The Golden J-POPS」「恋愛宗教論」を無料配信。このような人気ミュージシャンの昔の音源が高値で取引される現象は彼らだけに限らないのですが、その行動力とファンを思う気持ちにも感心させられました。これに続くミュージシャンは残念ながら今のところいないのですが・・・。

さて、そんな活動の勢いの衰えない彼らの、約2年ぶりとなるニューアルバムは、まず話題の「令和」からスタート。トランシーでリズミカルな楽曲は、新たな時代のはじまりを祝福するような曲調…なのですが、サウンド的にはかなり「平成」的なのはわざとでしょうか。さらに「ガガガガガガガ」は特撮マニアの女の子を主人公としたNHKドラマの主題歌。ドラマの世界観に沿ったような、誰にも理解されないような趣味についてうたったような曲が、多くのマニア層の共感を呼んでいます。

その後も「LINEのBGMにしてるとモテる曲」も、ちょっとこじゃれたエレクトロ風のナンバーで、英語詞のメロウなナンバーとなっており、タイトル通り、完全におしゃれな雰囲気を狙った曲。「暴れ曲」はタイトル通り、ライブで暴れることを意図したような、デス声も登場するメタル調のナンバーと、ユーモラスな楽曲が目立ちます。歌詞の面でもタイトル通り、顔を化粧でごまかしている女の子が、いかにスッピンをごまかすかの悲哀を歌った「私すっぴんブスだから」や好きな子の過去を思い悩む「ぺしみずみ」など、彼ららしいユニークな視点の楽曲も目立ちます。

ただ、アルバム全体としては、タイトル通りの傑作だった前作「キラーチューンしかねえよ」に比べると、勢いは落ちてしまった感は否めません。全体的には平凡なJ-POPといった感じのナンバーが並び、特に前半は勢いがあったのですが、後半はちょっとダレてしまった感があります。全16曲65分というボリュームだったのですが、もう3、4曲削って、50分程度の長さに絞った方がよかったような気がします。そういう意味ではちょっと残念に感じる作品でした。

もっとも、とはいえ一時期ほどではないにしろ、まだまだ高い人気を誇る彼ら。特に2019年は「令和」が話題になりましたし、NHKドラマの主題歌も歌いましたし、2019年は十分、紅白に出演させてあげてもよかったと思うのですが…もっとも、このアルバムを出すためにわざと紅白を辞退したのでは?というのはちょっとうがちすぎか。ただ、そろそろまた彼らのパフォーマンスを紅白で見せてくれてもいいと思うんですけどね~。来年こそは、是非!

評価:★★★★

ゴールデンボンバー 過去の作品
ゴールデン・アワー~下半期ベスト2010~
ゴールデン・アルバム
NO MUSIC NO WEAPON
キラーチューンしかねえよ
音楽が僕らを駄目にする
The Golden J-POPS
恋愛宗教論

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アルバムレビュー(邦楽)2020年」カテゴリの記事

コメント

少々細かいですがGLAYの元号のリリースは4月26日です。4月1日はタイトルと発売を告知をした日です。

投稿: Matsu | 2020年2月25日 (火) 09時18分

>Matsuさん
すいません、情報ありがとうございます。一部、記載を修正しました。

投稿: ゆういち | 2020年2月28日 (金) 00時29分

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