若干19歳のミャンマー期待のシンガー
Title:Mingalar Akhar Daw
Musician:Khin Poe Panchi
また今回も、2019年に各種メディアでベストアルバムとして取り上げられた作品のうち、未聴の作品を後追いで聴いた1枚。今回もMusic Magazine誌ワールドミュージック部門年間ベストで3位にランクインした1枚。ミャンマーの女性歌手による新作で、ミャンマーの仏教歌謡を歌うミュージシャン。かわいらしいジャケット写真も魅力的ですが、若干19歳だそうで、期待の若手シンガーといった感じでしょうか。
「仏教歌謡」というと、なんか非常に堅苦しいイメージがあるのですが、しかし楽曲を聴いても小難しい感じは全くしません。むしろまずは彼女の透き通るような歌声にまずは惹かれます。アルバムの冒頭を飾る「Min Ga Lar Ah Hkar Taw」からまず、アコギや笛の音色をベースにした美しいサウンドをバックにゆっくりと歌う彼女の歌声に、まずは強い印象を受けさせられました。若干19歳の彼女なのですが、いい意味で落ち着いており、感情もたっぷり。「Buddha Ta Na Se Yan Te Da Tu」(タイトルからして「仏教歌謡」と一発でわかるようなタイトルですが)もピアノも入ったさわやかなサウンドをバックにメロウな歌声を優しく聴かせてくれており、歌手としての実力を感じさせます。
そのほかも「Myat Thaw Ta Yar Nar Kyarr Par」など、のびやかな歌声でメロディアスに聴かせてくれるようなポップな作風の曲が多く、堅苦しさは皆無。「仏教歌謡」ということで歌詞の中身的にはちょっと堅苦しい部分もあるのかもしれませんが、少なくとも、素直に歌を楽しむ点では非常に優しくも美しい彼女の歌声を楽しめるポップな曲が並んでいます。
一方、このアルバムが個人的にとてもユニークに感じたのは、サウンドの面で意外と凝った部分が目立つ点でした。ミャンマーの歌謡曲ということもあり、「Myat Ta Ya Na Gon」や「Ba Wa Tan Ta Yar」など太鼓のリズムやシンセの音色などでエキゾチックな雰囲気を醸し出していた前半。そしてこの太鼓をベースとしたリズムが非常にユニークあふれてくるのが中盤から後半にかけて。まず「Ya Ta Nar Pa Ni Ta」では彼女の優しい歌声が印象に残るナンバーなのですが、バックに流れる太鼓のリズムが非常にユニーク。どこかタブラのようなリズム感を覚えるのは、地続きであるインド方面からの影響もあるのでしょうか?
「Met Lann Ko Shar」なんかも複雑な太鼓のリズムに、笛(?)やピアノの音色が複雑にからむサウンドが印象的なナンバー。そんな複雑なサウンドをものともしないような彼女の歌声によりポップにまとめ上げられているのが印象的です。そしてラストの「Kaung Thaw Lu」はソフトロックすら彷彿とさせてくれそうな、爽やかで軽快なポップチューン。いままでのエキゾチックさはほとんどなく、コンテンポラリーな作風になっており、彼女の音楽性の意外な広さを感じさせつつ、後味のよい爽快さを感じつつ、アルバムを聴き終えることが出来ました。
19歳という若さながらも表現力あふれるボーカルで、ミャンマー歌謡というエキゾチックな雰囲気を残しつつ、私たちにとってもとても聴きいやすいポップな作風にまとめあげている傑作アルバム。ちょっと凝った太鼓の音色も心地よく、最後まで楽しませてくれるアルバムでした。年間3位も納得のアルバム。サブスクでも聴けるようですので、興味のある方は是非。
評価:★★★★★
ほかに聴いたアルバム
The Soft Bulletin: Live at Red Rocks (feat. The Colorado Symphony & André de Ridder)/The Flaming Lips
2016年5月26日にコロラド州レッド・ロックス円形野外劇場で André de Ridder指揮により、コロラドのオーケストラ The Colorado Symphony と行った、1999年にリリースしたアルバム「The Soft Bulletin」の完全再現ライブの模様を収録したライブアルバム。オーケストラアレンジによる分厚いサウンドに、所々に入るバンドサウンドが心地よい、一言で言えば多幸感あふれるアルバム。The Flaming Lipsといえば、ドリーミーな世界観が魅力的なバンドですが、その心地よい夢見心地が、オーケストラにより、より増幅されたライブ盤となっていました。
評価:★★★★★
THE FLAMING LIPS 過去の作品
EMBRYONIC
The Dark Side Of The Moon
THE FLAMING LIPS AND HEADY FWENDS(ザ・フレーミング・リップスと愉快な仲間たち)
THE TERROR
With a Little Help From My Fwends
Oczy Mlody
GREATEST HITS VOL.1
King's Mouth:Music and Songs
A Good Time/DaVido
DaVidoことDavid Adedeji Adelekeはアメリカ生まれのナイジェリア人シンガーソングライター。本作ではシンプルなラテンのリズムで爽快感あるサウンドとメロディーラインを聴かせてくれます。ただ一方ではメロディーラインにはどこか哀愁感を漂わせつつ、比較的シンプルなポップソングが多く、いい意味で聴きやすさを感じます。心地よく楽しめる良作でした。
評価:★★★★★
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